自交労働者No.552、2001年2月15日


 副支部長が不当逮捕
 「暴力」でっち上げ 埼玉・所沢中央自教
不当解雇撤回を訴え1軒ずつビラを渡す神自教の仲間=1月15日、大船駅前商店街
 【東京】昨年、岡山の勝英自校に経営権を買収(契約不履行で旧経営者と係争中)された埼玉の所沢中央自教では、大幅賃下げとなる再雇用を認めない24人の組合員全員が昨年11月20日に解雇されています。さらに同日、会社のでっち上げた「暴力事件」で組合事務所などが家宅捜索をうけ、1月25日には副支部長が埼玉県警に不当逮捕されました。
 この「暴行容疑」は勝英の人間が一人でつまずいて肩を黒板にぶつけたというもので、まったくのでっち上げです。副支部長は、警察の呼び出しに対し弁護士と一緒に説明に行っているにもかかわらず、勝英側の一方的な告訴によって逮捕され、「容疑を認めない」として20日間も拘留されています。
 勝英は現在、「19万5000円、技能教習費用追加なし」というダンピング料金を宣伝しており、安全教習にも逆行した経営戦略を強行しています。
 東自教労組では、不当解雇の撤回と副支部長の釈放を求め、埼玉労連・所沢労連の協力も得て、連日の抗議・宣伝行動を実施しています。

 道知らない指導員が教習
 組合員解雇で補充 神奈川・大船自校
不当逮捕に抗議する所沢中央自教支部や所沢労連の仲間=1月26日、浦和検察庁前
 【神奈川】神奈川でも大船自校を買収した勝英は、全労働者に一旦退職、賃金半額で再雇用を迫り、退職願の提出を拒否した組合員11人全員を昨年12月15日に解雇しました。
 勝英は、ベテラン指導員を解雇した穴埋めに、岡山や伊豆大島などから指導員を連れてきて、短時間の講習を受けさせただけで教習に当たらせています。なかには他所をセクハラなどで退職した指導員も含まれています。
 地元の地理を知らないため、路上教習で教習生に道を尋ねたり、一方通行路を逆走させることまで引き起こしています。
 神自教では、昨年末から連日の大量宣伝で10万枚のビラを配布、1月15日には大船駅前商店街でハンドマイク宣伝も行いました。
 「新しい先生たち道知らないから信用しない方がいいよと噂になってます」(教習生)、「いきなり夜9時半まででしょ。あっちのマンションと相談して抗議しようかといっているんだ」(近所のマンションの管理人さん)など、反響は大きく、市民を味方に悪質経営を包囲する闘いをつよめています。

 廃業、320人解雇の通告 北海道
 第一ハイヤー労組 雇用の確保に全力
 【北海道】道内大手のタクシー会社である第一小型ハイヤーは1月16日、事前の交渉もまったくないまま、(タクシー業のみの)廃業の一方的な通告を口頭で示してきました。
 「過去40数年間、業績向上に努力をしてきたが、経営が不振で規制緩和に対応していけないと判断。3月中旬を目途に廃業し、全社員約320人を解雇する。退職金も精算」(吉野常男社長)というものです。
 会社は、業績不振を理由としていますが、毎年、法人所得ランキングの上位に位置する優良企業であり、将来の見通しが立たないなどとするのは不当なものです。
 自交総連第一ハイヤー労組は、現在共闘している第一ハイヤー新労組とで、行政などに対し不当な廃業を認めないよう地連、道労連の全面的な協力・支援を受けて要請行動を繰り広げています。
 また、会社が一切の団体交渉を拒否していることから、地労委にも不当労働行為の申し立てをしました。
 両組合では、今回の廃業問題は、組合つぶしと未払い賃金請求裁判(昨年秋に提起、総額1億800万円)をないがしろにする意図が十分見受けられることから、廃業させない運動を強め、雇用の確保と労働組合の維持にむけ全力でたたかう決意を固めています。

 古知氏を刑事告訴 千葉
 労基署の指導無視に対応 イースタン千葉共闘
 【千葉】千葉地本のイースタン千葉交通共闘会議(桜谷靖雄議長)は1月31日、北港・梅田グループの古知一郎代表を柏労働基準監督署に刑事告訴、同日、同署は受理しました。
 北港・梅田グループがイースタン千葉交通を買収し、これまでの闘争の結果、一定の歯止めをかけての集約、協定を締結しました。
 しかし、協定は守らず、話し合いには応じず、一方的に強行するため、これまでに何度となく監督署に要請をしてきました。ところが、監督署の呼び出しにも応じず、是正勧告・行政指導にも従わず、団体交渉を何度となく申し入れてもなしのつぶてという実態です。このままでは、千葉全体に悪影響を及ぼし、悪質なやり方が蔓延すると共闘会議で結論を出し、告訴に踏み切りました。
 申告した具体的内容は、有給休暇を行使しても、有休手当をつけるどころか欠勤扱い、入社する乗務員は4か月雇用、定年後の嘱託者も4か月雇用を繰り返し、有給休暇の発生をなくす、社会保険の掛け金を少なくするための低額な届出を含む法律違反などです。
 現在、生活保護基準以下、最低賃金以下と最悪な状況下にあるにもかかわらず、このままでは、安全運転に赤信号がともると、告訴したものです。

 勤務ダイヤ改悪を打破 静岡
 残業代支払わす 富士急石川タクシー労組
 【静岡】静岡地連富士急石川タクシー労組支部では、勤務ダイヤの一方的変更という会社の攻撃を打ち破り、残業割増賃金の支払いをかちとりました。
 組合では昨年、オール歩合で一切残業代が支払われていないと労基署に申告。労基署も認めて会社に支払うよう命令を出しました。
 それをうらんだ会社は、1月22日から突然勤務ダイヤを改悪。ダイヤに組み込まれていた残業をカットし、非常識に短い労働時間として営収があがらないようにしてきました。勤務時間を無理に縮めたため運転手が足りなくなり、無線のお客を断ってまで嫌がらせを強行してきました。
 組合では、全従業員に事態を知らせるとともに、富士地区春闘共闘の協力も得て駅頭で利用者・市民へ宣伝、富士急本社にもビラを送り要請、お客を断っている実態を陸運支局にも訴え、指導を要請しました。
 本社から新たに人が派遣されるなど追い込まれた会社は1月31日、昨年8、9月分の残業代を全従業員に支払い、2月4日から勤務ダイヤを元に戻しました。
 今後の残業代等は、改めて団交で話し合うことにしています。

 介護タクシー事業を開始 京都・明星自動車労組
 利用者から感謝の言葉
 【京都】京都地連明星自動車労組は労使共同事業として12月11日から介護タクシー事業を開始しました。
 組合では昨年、ホームヘルパー2級の資格を取得した36人の乗務員が「明星ケアワークの会」というボランティアサークルをつくり介護技術の向上にとりくむとともに、10月から労使の福祉サービス委員会で事業開始の準備、セールスなどをすすめてきました。
 利用されたお客さんの1例を紹介しますと、右半身マヒで歩行ができないBさんは老人保健施設に入所していますが、年末年始を自宅で過ごすために介護タクシーを利用しました。奥さんと二人暮らしで、奥さん一人では到底自宅のベットまでは移送が不可能だったからです。施設のベットから車椅子、タクシーへ移乗、自宅の階段をへてベットまでの移送介護を実施しました。
 利用された方々を後日訪問し感想をうかがうと、今後の利用に加え感謝の言葉までいただき、恐縮しました。
 利用者や地域の介護保険事業者からの要望もあり、いま労使は、介護保険適用サービスの指定事業者になるための準備をすすめています。明星ケアワークの会もNPO法人(特定非営利活動法人)になり、自らも指定事業者になるために動き出しています。

 運転代行に2種免義務付け
 道交法改正案 自交総連の政策要求が実現

 警察庁と国土交通省は1月11日、運転代行の運転者に2種免許取得を義務付けるなどの運転代行業法の試案をまとめました。
 現在は何の規制もない運転代行は、白タク行為や暴力団の介在、死亡事故発生率がタクシーの5倍に達するなど問題が多発しており、自交総連では早くから適切な規制を求めてきました。
 今回の試案では、代行業者は公安委員会(国土交通省と協議)の認定がなければ営業できないこととし、運転者への2種免許取得を義務付けた他、暴力団関係者の排除、損害保険加入の義務付けなどが盛り込まれ、警察と国土交通省は立ち入り検査や営業停止、認定取り消しなどを実施できるとしています。
 また、警察庁は昨年末、免許更新時の高齢者講習義務付け年齢を75から70歳へ引き下げることや2種免許の指定教習所での取得などの道路交通法改正案も公表。自教共同センターの政策提案が取り入れられています。
 両法案とも今国会に提出する予定です。

 新加盟のなかま 
 脅迫にもき然と対応 (638)神奈川・荒井自校支部
 【神奈川】平塚市の荒井自動車学校(花水校)で1月28日、神自教荒井自校支部(中野久雄支部長)が結成されました。
 同校では、大幅なダンピングのつけを賃金や労働時間延長で労働者に押しつけてきたため、企業内組合では闘えないと、自交総連支部を結成しました。管理職が「上部に入ったら、一家を殺しに行く」などと支部長に異常な脅迫を行っていますが、支部ではき然と対応しています。
 有休とると一時金減 (639)大阪・学園都市自教労
 【大阪】兵庫県神戸市にある学園都市自動車学院(自教)で2月4日、労働組合(小畑博士委員長)が結成されました。
 職場では、有休を使うと一時金の査定対象になったり、全従業員の一時金から3〜2・5万円を一方的に天引きし、会社が意図する評価の高い人に支給するなど非常識なことが繰り返され、たまりかねた労働者が兵庫労連に相談、当面は大阪地連に入ることになりました。



自 交 総 連