自交労働者No.553、2001年3月1日


 2月21日、全労連・春闘共闘に結集する労働組合は全国1500か所で「地域総行動」にとりくみました。自交総連も各地で、地域の仲間とともに、宣伝、集会、独自の交渉などに決起しました。

 廃業、解雇許すな
 行政当局交渉も実施
春闘共闘の仲間とともに第一小型ハイヤーの前で廃業、解雇通告に抗議する北海道地連=2月16日
 廃業通告に抗議
 北海道では21日の行動に先立ち16日に争議勝利をめざす総行動を実施。運輸・労働局交渉とともに、廃業通告が出されている札幌・第一小型ハイヤー、函館・センターハイヤーに抗議しました。道春闘共闘の仲間300人は第一小型ハイヤー前で、組合つぶしの廃業許すな、とシュプレヒコールをあげました。

 仙台市が協議会に
 宮城では、早朝宣伝から終日行動、運輸・労働局、仙台市と交渉しました。仙台市からは、県春闘共闘の代表も入った交渉でタクシー協議会に参加することが表明されました。

 府庁で座り込み
 京都では、春闘共闘の行動の移動用にステッカーを貼ったタクシー60台が活躍。京都府・市役所前で座り込みと交渉を行いました。巨大のぼり、横断幕をつくり、交通・タクシー政策の実現を訴えました。
 高知では、陸運支局交渉を実施、運用基準や運転代行規制について要請しました。
特大ののぼりを立て京都市役所前で座り込む京都地連の仲間=2月21日

 不当解雇に抗議
 福岡では朝7時から夜8時まで宣伝や要請行動に決起。争議勝利をめざす要請行動では、ビラを配ったことを理由に組合員が解雇されている西鉄タクシー、西鉄本社でも抗議行動を行いました。
 大分では、陸運支局に要請、最賃違反の是正(減車)、自治体への提案の実現などを申し入れました。また、大分市の繁華街で県労連の宣伝行動に合流して、マイク宣伝と「これ以上のタクシーは要らない」のビラを配布しました。
 このほか、福島・徳島で陸運支局交渉、石川で金沢市交渉とタクシーデモ、長崎ではタクシー協会交渉を実施、各地で県労連の宣伝・集会・デモなどに結集しました。

 第一ハイなど重点対策 第1回中央戦術委
 3・15統一行動 全職場で組合旗を
 自交総連は2月23日、第1回中央戦術委員会をひらき、3・2中央総行動の実施および当面する対策の強化について協議しました。
 会議では、春闘をめぐる情勢につき、この間、ほとんどの地連・地本で中央委員会や学習会などをひらき、要求提出の意義を含め論議されているが、「事態はまさに一変。何が起こっても不思議ではない局面」であることへの認識の不十分さや要求提出をちゅうちょする傾向が残っていることを検討。早急に全職場で学習を強化し、要求提出への指導・援助を強めることを確認しました。
 また、「合理化」や倒産・身売り、廃業などへの対策強化をはかるとともに、北海道・第一ハイヤーの廃業問題や所沢中央自教と大船自教の全員解雇問題について、総連本部として必要な手立てをとることにしました。
 統一行動では、3月15日に組合旗をすべての職場で立てるとともに、ストライキあるいは時間内外の報告集会を実施していくことを指令することにしました。

 市町村が認定すれば保険給付 厚生労働省
 介護保険適用タクで方針 移送のみに特化はダメ
 厚生労働省は2月14日、介護保険の担当課長会議をひらき、介護保険適用タクシーの取り扱い方針を公表しました。移送のみに特化したものは保険対象として認められないとする一方、市町村が認定した場合は特例として保険給付の対象となるとしています。
 運転者がホームヘルパーの資格を取り、高齢者・障害者の移送を行う介護タクシーは、全国に広がりつつありますが、介護保険適用については明確な基準がありませんでした。
 今回示された基準は以下のとおりで、4月以降実施されます。
 (1)タクシー会社が介護事業者としての指定を受ける場合には、移送だけでなく、身体介護や家事援助などのサービスを幅広く行っていなければならない。移送のみに特化している場合は指定取り消しもありうる。
 (2)移送に特化している場合でも、市町村が地域の実情に応じて必要と認めれば、基準該当サービスとして保険給付の対象とすることができる。
 (3)いずれの場合も、運転者一人の場合は、運転中を除き、乗車前後の介護時間を合算して報酬を算定する。
 (4)以上と別に、要介護者に対する移送サービスを、介護予防・生活支援事業や市町村特別給付の対象として実施することは従来から可能である。

 除雪調査の新業務を開始 山形
 出動要請と報告をする
 【山形】山形県の庄内地方は近年になく雪が多く、除雪や排雪作業は、昼夜とわずフル稼動しています。
 鶴岡市大山地区でも、7つの業者が登校や通勤の前に除雪を行い、交通停滞の緩和に努めています。
 ハイヤーセンター支部では、新分野の業務として除雪が必要かどうかを調べる業務をはじめました。
 12月17日〜2月28日まで、地区(12キロ)を午前2時に積雪調査に出発し、路面に10センチ以上の降雪がある場合、業者と市除雪本部に、出動要請と報告をすることになっています。
 業者の責任者は「深夜走るハイヤーなら安心してまかせられるし、問題はなにもない。除雪本部も期待しているようだ」と話しています。
 大山営業所の仲間は「判断がむずかしい時もあるが、全体の道路を見回り、吹きだまりなどは部分除雪を出動要請している」と責任をもって任務にあたっています。

 労災認定めざす 山梨
 超過労働で脳出血組
 【山梨】山梨地連では、甲府名鉄交通の秋山忠さんの労災認定闘争にとりくんでいます。
 秋山さんは昨年5月、タクシー乗務中に脳出血で倒れ、現在入院加療中ですが、マヒと失語症で働ける状態ではありません。当時59歳でした。
 組合では、会社から、日報や給与計算基礎表などの資料を提出してもらい、分析したところ、直前1年間で、1か月最大332時間、10か月が300時間を超え(改善基準告示では299時間が上限)、公出も月平均2・5回となっていました。
 同社では、個人別稼動表というグラフを掲示し、売上を競わせ、秋山さんは定年後の再雇用の心配もあり、公出過多の長時間労働となっていました。
 地連と組合では、家族とともに、県労連、過労死110番の専門家の協力も得て、昨年12月に申請、要請署名などにとりくみ、認定を求めていくことにしています。

この成果を全国に
 会社が謝罪、勝利の和解 奈良 富士運輸分会
 ネット犯罪までして組合つぶし
 奈良地本富士運輸分会は昨年12月、激しい会社の攻撃にうちかち、割増賃金請求などについての和解をかちとりました。
 同分会は96年に結成、小松分会長ら2人が解雇されました。2年後職場復帰したものの、殺人的スケジュールの過密運行を強要するかと思えば一転して極端な閑職コースとするなど、いやがらせをくり返しました。
 さらに、職制が組合員の自家用車を壊すなどの非常識な攻撃はエスカレートし、一昨年には、インターネットの掲示板に分会長の実名、電話番号を入れた卑猥な書き込みが行われました。これが会社のパソコンから書き込まれたことが判明、S課長が逮捕され有罪判決を受けました。
 結局これが命取りとなり、追い込まれた会社が和解に応じたものです。和解内容は、(1)会社が謝罪、管理職を監督し再発防止をはかる(2)組合の権利を保障する(3)解決金を支払う――となっています。
 残業割増賃金請求で和解 奈良 豊和運輸分会
 組合つぶしの攻撃打ち破る
 奈良地本豊和運輸分会は、5年にわたる卑劣な組合つぶしとの闘いの末、昨年9月に勝利和解をかちとりました。
 同分会は96年に結成、自交総連に加盟しました。直後に会社は分会長の林さんを解雇。これはすぐに撤回させ、職場復帰をかちとりましたが、今度は、車両差別、行先差別で賃金が月10〜12万円も低下するようにしてきました。
 激しい組合つぶしに、組合員の減少を余儀なくされ、業務命令と称して草むしりやどぶ掃除をやらせるイジメ・いやがらせがつづきました。
 99年1月には、組合つぶし、いやがらせについて、高裁で会社は288万円の損害賠償を支払えとの勝利判決をかちとったあと、同時に提訴していた残業割増賃金請求の裁判がつづいていました。
 2000年9月、裁判所の関与和解で、損害賠償を上回る水準の割増賃金をかちとりました。
 ビラまきで解雇は無効 福岡 西鉄タクシー労組
 客観的に合理的理由欠く
 福岡地裁は1月31日、福岡西鉄タクシー労組の権藤さん懲戒解雇事件で、解雇を無効とする仮処分決定をしました。
 そもそも解雇理由は「3労組統一反対のビラを配った」というだけのもので、地裁は「本件解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することができず、結局、解雇権の濫用(らんよう)として無効というべきである」とし、「本件解雇以降も従前同様の債務者の従業員としての地位にあり、債務者に賃金請求権を有している」と判断。「地位保全」は認めなかったものの、会社に対して賃金請求額の8割相当額の支払いを命じました。
 決定は、ビラについて、「基本的には3労組統一による合理化への懸念から債権者なりの意見を表明したもの」と判断しました。
 権藤さんは、「地連や皆さんのおかげです。本訴で職場復帰をかちとりたい」と新たな決意と仲間への感謝を表明しています。



自 交 総 連