|
|
|
待っても待ってもお客はいない… |
タクシー労働者の2000年の年収の統計が発表になりました。
全国平均の年収は前年より4万円減って303万円。1時間当たりの賃金は1205円でした。
年収は91年以来、96年を除き年々低下しており、下落幅は少なくなったものの、300万円台ギリギリの水準にまで落ち込んでしまいました。
地方別にみると、年収400万円台は東京と神奈川のみ(91年には500万円台を含め17地方)、300万円台が21、200万円台が23地方となっており、最悪の沖縄は前年につづき200万円を割り込んでいます。
ピーク時との比較では、全国平均で91年の382万円から79万円、21%の低下です。とくに大阪が91年と比べ188万円、37%も落ち込んでいるのが目立ちます。
(注)数値は労働省統計もとに自交総連が20年前から同一の計算方法で算出しているもので、処理の仕方が違うため業界紙等で発表されているタクシー運転者の年収とは若干数値が異なります。
第6回常執 国土交通省の運用基準案に抗議 |
国会での約束に程遠い内容
|
自交総連は7月11日、自交共済会議室で第6回常任中央執行委員会をひらき、「運用基準案に対する態度」を確認、秋季・年末闘争方針、新年度運動方針を論議しました。
国土交通省が公表した道路運送法の運用基準案については、基本的に運輸省(当時)が国会で約束した社会的規制には程遠い内容であり、実効ある歯止めとはなりえないとの立場が確認され、国土交通省にきびしく抗議、タクシー運転免許構想など将来像をかかげた闘いで規制緩和に対抗していくことの重要性が強調されました。
また、秋闘や運動方針では、組織拡大、権利擁護の点検・摘発闘争などの重点が確認されました。
運用基準の概要案 実効性ない緊急調整措置 |
附帯決議に反する内容 |
6月28日に内示された「運用基準の概要案」は、もっとも注目をあびていた『緊急措置の発動要件』と『運賃関係』について、まったく評価するに値しない、国会答弁や附帯決議にも反するものを臆面もなく打ち出しています。
まず、緊急調整地域の指定要件はその予備措置として、特別監視地域を地方運輸局長が指定し、経過を監視した上で、実車率及び日車営収のいずれもが過去5年間の平均値を15%以上下回っている場合で、かつ「安全関係の法令違反件数及び苦情件数が、2年連続、前々年度と比較して増加」するときに、運輸審議会に諮るというものです。
自交総連の試算によれば、東京の場合、96〜2000年度の平均実車率が45・8%で運収が5万4316円ですから、15%以上を下回るとなると実車率38・9%、運収4万6168円以下にならなければなりません。
これを賃金水準でみれば、12勤・賃率60%で約399万円、55%賃率で約365円となり、99年の水準467万円(労働省調べ)と比べ100万円もの賃金低下が当然視される内容のものです。
一方、自交総連は「抜かずの宝刀」のしくみとなるおそれが濃厚と警告し、タクシー運転免許の新設こそ「もっとも合理的かつ実効性あるもの」と指摘してきましたが、結果は『宝刀どころか竹光まがい』で、だれにも飛べないハードルの高さとなっています。
運賃関係では、労働条件をいっそう悪化させる低運賃競争が是認され、バラバラ運賃の拡大と大幅な割引制度が目立っています。
労基法の遵守を要請 |
京都・労働局通達 違反率上昇を憂慮 |
【京都】京都労働局は6月18日、タクシー事業者(協会)にあてて「労働基準法の遵守徹底について」とする通達を出しました。京都地連の5月25日の交渉などを受けて出されたものです。
通達は、ハイタク業の監督結果が「過去2年間と比較して違反率が高く…他業種と比較しても違反率が高い」「最低賃金や交通事故につながる恐れのある長時間労働に関する違反が多くなっており、極めて憂慮すべき状況」として「いかなる社会情勢においても、労働条件の最低基準である労働基準関係法令は遵守されるべき」と強調、法令の遵守を要請しています。
添付資料によると、京都の労基法等違反率は、98年度48%が、99年66%、2000年72%となっています。
東京・タクシー三者懇談会が発足 |
労・使・行政の代表で構成 |
【東京】東京ハイタク労働6団体と自交総連、東旅協、関東運輸局(東京支局を含む)による第1回目の「三者懇談会」が6月19日に、市ヶ谷の自動車会館で開催されました。
この懇談会は、「改正」道運法が来年施行される状況のなかで、東京のタクシーのより良い発展をめざして、タクシー問題を広く論議する場として設置されたものです。
構成メンバーは22人で、東京地連からは小林副委員長と鈴木書記長の参加です。
発足に際して、向良一東京陸運支局長、川村巌東旅協副会長、宮川方男全自交委員長が各界を代表して、この懇談会での成果を期待してあいさつ。関運局の花角英世第1部長が「就任以来、こういう場ができたらよいと思っていた。発足に感謝し成果を期待する」と感謝を述べました。
次回は9月に開催予定。
自交労働者と選挙3 小泉「改革」の中身を確かめよう |
国民にとって良いか悪いか |
「痛み」に耐えれば未来が開けるのか? |
参議院選挙では、21世紀の日本のあり方が問われます。小泉内閣は高い内閣支持率を誇っていますが、その政策の中心である「構造改革」の中身をよく見極めて、労働者・国民にとって良いものなのか、悪いものなのかを確かめることが大切です。
大量失業、雇用不安か 働くルールの確立か
小泉内閣の「改革」の目玉である金融機関の不良債権処理は、中小企業の大量倒産を招くと心配されています。いま「不良」債権と呼ばれているものは、ほとんどが不況で資金繰りが苦しくなっている中小企業向けの融資です。それを無理やり回収すれば倒産が相次ぎ、100万人を超す失業者が生まれるという試算もあります。
これまでも日本の企業社会は、人減らし・リストラ「合理化」など大企業の横暴がまかりとおり、「ルールなき資本主義」とも呼ばれてきました。
大企業の横暴への民主的規制と社会的ルールを確立する国政の転換こそが必要です。
法律違反のサービス残業(ただ働き)を一掃すれば、新たに90万人の雇用を生み出すことができます。
消費税14%か、3%か
小泉内閣の竹中経済財政大臣は「消費税は最低でも14%」(『竹中教授のみんなの経済学』)が持論。14%になれば、国民一人あたり年間30万円にのぼる大増税です。
いまの不況は、消費税5%への引き上げが引き金となりました。さらに増税では、不況は深刻化するばかりです。タクシーに乗る人もますます少なくなってしまいます。
経済の主役は個人消費です。ここを暖めることこそ景気回復の決め手です。
消費税を3%に戻し、年金・医療・社会保障の改悪を凍結、国民が将来にむけ安心して暮らせるようにすることこそが必要です。
その財源は、ムダな公共事業への税金たれ流しを改めることで生み出せます。
日本の公共事業費は、日本以外のサミット参加先進国すべての公共事業費を合せたよりも巨額です。このムダづかいを改められる政治が求められています。
憲法改悪か、平和と人権の擁護か
小泉首相は、就任早々、憲法9条の改悪、集団的自衛権行使の検討、有事法制の制定、靖国神社公式参拝を公言するなどタカ派的発言が目立っています。
集団的自衛権とは、日本への攻撃がなくても、海外での武力行使に乗り出すというもので、憲法の平和原則に真っ向から反するものです。アジア諸国からも警戒の声があがっています。
平和勢力を結集し、憲法改悪を許さない国会構成をかちとることは、今度の選挙の重要な課題です。
さらに環境問題でも、二酸化炭素排出規制を決めた京都議定書をいまになって反故にしようという米・ブッシュ政権に追随して、いまだに批准をしようとせず、欧州諸国からきびしく批判されています。
この点でも、地球の将来を見据えた確かな判断が求められます。
自 交 総 連