自交労働者No.564、2001年9月1日

 企業閉鎖、譲渡、賃下げに黙っていられるか

 小泉内閣の「構造改革」が与える国民への激痛はハイタク・自教・観光バス業界ではすでに現実になっています。企業閉鎖、解雇、賃下げなど激しいリストラ攻撃が各地で続発しています。

突然、企業閉鎖の通告

東京・三田自練  連日の宣伝、抗議

支援共闘会議・結成総会で激励を受ける
三田自練の仲間=7月18日

【東京】約70年の歴史がある港区の三田自動車練習所では今年3月、団体交渉の席で鈴木明子社長が突然、会社閉鎖を発言しました。理由は「人件費と固定資産税が払えないまで経営が悪化している」というものですが、本音は自分の相続税対策です。
 「企業閉鎖などを行う場合は、事前に組合と協議し、組合の同意を得る」という協定書があるにもかかわらず鈴木社長はこれを無視し、閉鎖を強行しようとしています。
 7月に支援共闘会議が発足し、東京地裁に会社閉鎖差し止めの仮処分を申請し、さらに8月からは田町駅前や社長宅前で東自教各支部の応援を受けながら、閉鎖反対の宣伝行動を行っています。

初めてのストを決行

福岡・古賀自校  賃下げ押しつけに反撃

初めてのストに決起した古賀自校労組の仲間
=7月25日

【福岡】賃下げ、配置転換など一方的な「合理化」攻撃に対して、企業内組合と組織統一してたたかう自交総連古賀自動車学校労組は7月25日、組合結成以来初めての1時間の時限ストを決行しました。
 「合理化」を押しつけながら「組合が会社の意見を聞かないから」と団体交渉を拒否しつづける会社に対し、6月末に統一した組合は、古賀自校と系列の宗像自校の2か所でストに突入。かけつけた地連・岩野委員長は「本日の時限ストでみなさんの団結がさらに強固なものになることを確信します。地連は総力をあげてともにたたかう決意です」と激励しました。

1時間50分の異常な「点呼」

大阪・南海  組合員にいやがらせ

気温33度のなか、交代しながら延々と話す
第一交通の管理職(帽子)=7月24日

【大阪】組合破壊攻撃とたたかう南海労組に対し第一交通は、組合員にのみ1時間50分におよぶ異常な「点呼」の攻撃を加えてきています。
 会社が組織した交友会の乗務員は1〜2分で点呼を終えすぐに乗務するなか、組合員には炎暑下、風通しの悪いガレージで管理職5〜7人が労組委員長への個人攻撃などを次々としゃべります。露骨ないやがらせと乗務時間を短くして稼げなくする差別攻撃です。
 組合では、人権侵害として泉佐野市人権推進部や近畿運輸局に申し入れ、運輸局は「改まるまで指導する」と答えました。



 タクシーの将来像への接近
 タクシードライバー法案大綱など論議

 自交総連は8月6日、自交共済事務所で政策プロジェクト会議をひらき、タクシードライバー法案大綱と自主経営の今後のあり方について9月5、6日の第5回中央執行委員会に報告する成案をまとめました。
 同中執で確認後、必要な解説資料と合せて、秋の学習運動の中で地方・単組ごとに大いに論議・学習し、規制緩和というきびしい状況のもとで、それを克服するタクシーの本来のあるべき姿、タクシー労働者の社会的地位向上という将来像へむけて、職場・地域から接近していくことをめざします。

タクシードライバー法案大綱
 タクシー事業で運転者となるには「タクシードライバー」の国家資格が必要であることを規定する法律の案文を示したものです。
 二種免取得のうえに、一定の養成施設で知識・技能を修得、国家試験を受験し合格した者に免許を与えることを規定しています。
 これにより、タクシードライバーの資質の高度化をはかるとともに、経営者と運転者の関係で「運転者優位のしくみ」を確立し、規制緩和のもとでも労働条件の悪化を阻止し安全輸送を確立すること、将来的には運転者自身が自分で働き方(法人・個人・労働者協同組合など)を選べることをめざします。

自主経営の今後のあり方
 現在、自交総連では4地方10社で自主経営がとりくまれています。この会社の経営基盤を確立し将来にわたって継続、発展させていくために、これまでの運動で得られた経験・教訓を明らかにし、「労働者の権利を守る」「地域に貢献する」などの自主経営の任務、闘争の留意点をまとめています。


 核兵器の廃絶へ共同を
 2001年原水禁大会  若者の参加の多さに感激

 原水爆禁止2001年世界大会が8月3日から9日まで広島・長崎でひらかれ、メイン会場となった長崎では7〜9日に約6500人が参加、各国の代表が参加して決めた国際会議宣言(下記)の実践を呼びかけ、核兵器廃絶を誓いました。
 自交総連の各地方からも代表が参加し、7日の産別交流会には、宮城・東京・神奈川・京都・大阪・山口・長崎から43人が集まり、親交を深めました。
 参加者は次のように感想を語っています。
          ◇
 核の恐ろしさを知らない年代である私が、原爆が落とされた長崎の地を踏むとは数年前までは思ってもみなかったが、まだ被爆の傷痕も生々しい場所を「当時もこんなに暑かったのかなー」と思いながら歩いてみると、一瞬のうちにそこで生きていたすべての人々や動物・植物を生きる屍にした核の恐ろしさを感じるとともに、いかなる理由やいかなる人の判断であろうとも二度と核を使ってはいけないと思った。(宮城・日交労組・守屋欽章さん)
          ◇
 はじめて参加し、ビックリしたことは、高校生や20代の若い人たちの元気な姿でした。恥ずかしい話ですが、私が20代のころは、平和について深く考えたことはありませんでした。原水爆禁止運動の流れとしては、つぎの若い世代の人たちが育っていることを大いに感じとれました。
 原爆資料館で、原爆の恐ろしさとともに、こんなことは2度とくり返してはいけないと深く心に思いました。この思いを家族や職場で話していくことが大切だと思います。(大阪・茨木大阪労組・文栄孝至さん)

この成果を全国に
  長崎・外港タクシー労組
 株式譲渡で解雇は無効  労働条件の引き下げのみを目的
 長崎地裁  改悪前の賃金を支払え

 長崎地連外港タクシー労組の吉田委員長と藤本書記長は、会社の譲渡にともなう不当解雇事件で2001年7月24日、長崎地裁より全面勝利判決をかちとりました。
 外港タクシーは99年8月、全株式をラッキー自動車グループの長与タクシーに譲渡、その際、従業員全員を一旦解雇、改悪した労働条件を認めた者は再雇用するという方式がとられました。吉田、藤本両氏は解雇を認めず、再雇用の面接を受けなかったところ、そのまま解雇されていました。
 仮処分で2000年1月に賃金仮払いを認める決定が出されていました。
 判決は、株の譲渡について「企業廃止のように、性質上従業員全員の解雇を必須とするものではな(い)」としたうえで、「従業員の解雇を避けるような再建策を検討した形跡は全くなく」「再雇用にあたっては、従前より引き下げられた労働条件を承諾した者だけを採用しており、労働条件の引下げのみを目的として従業員全員を解雇したもの」と指摘、このような解雇は解雇権の濫用で無効としました。
 新賃金への改悪も合理性がないとして、改悪前の賃金体系に基づき毎月それぞれ約20万円の月例賃金と99年冬以降3回分の一時金(吉田約74万円、藤本約49万円)の支払いを会社に命じています。

新加盟のなかま
 個人加盟のバス労組  (648)宮城・県観光バス労組

【宮城】観光バス労働者が個人で加盟する宮城県観光バス労組(遠藤清市委員長、12人)が8月20日、結成されました。
 観光バスは規制緩和で車両が増えて仕事は減り、賃金はダウン。一時金不支給も増加。これまで、ハイタク一般労組に加入していた労働者を中心に、県内のバス労働者が結集しやすい組織形態を追求、結成後すぐに2人が加入しました。観光バスの産別政策の実現をめざします。


自 交 総 連