自交労働者No.566、2001年10月1日

 各地でリストラ「合理化」に勝利

 激しいリストラ攻撃が相次いでいますが、負けずに闘っているところでは、さまざまな方法で資本に反撃、勝利が相次いでいます。組合員のなかには「闘えば勝利できる」と確信が広がっています。

賃下げ押しつけ撤回

地労委で和解  −福島・観光労組

 【福島】福島観光労組は8月8日、大幅賃下げ提案を撤回させました。  同社には、連合のハイタク労組がありましたが99春闘で大幅賃下げを協定(有休保障が1日500円、一時金は半額など)したことから、自交総連が結成されました。
 しかし、会社の画策で自交総連が少数組合にさせられ、昨年秋から会社はハイタク労組との協定を自交総連にも押しつけようとし、「自交総連は全員首だ」「会社のいうことを聞けないなら会社を辞めろ」などと言って組合攻撃。組合では2月に地労委に不当労働行為の救済を申立てていました。
 地連や県労連の支援で会社前の抗議集会、抗議ハガキ運動などをくりひろげて闘い、地労委の公益委員からの和解案をもとに、改悪を撤回、現行の累進歩合も改善する方向で協議するなど、ほぼ組合側の主張通りで和解しました。

長時間「点呼」中止させる

運輸局も指導約束  −大阪・南海労組

 【大阪】第一交通の組合つぶしと闘う佐野、堺南海労組は組合員いじめの「長時間、虐待点呼」を中止させました。
 第一交通は、真夏の炎暑下、自交総連の組合員のみ点呼と称して2時間も立たせて出庫させない嫌がらせをつづけてきました。
 組合では、8月30日には、長時間点呼禁止、配転命令効力停止の仮処分を申請しました。
 8月31日には、支援共闘や日本共産党宮本参院議員も入って近畿運輸局交渉を行い、局は「第一交通を呼び事情を聴取した」「現場業務の指示のための点呼は5〜10分だ。2時間の点呼は長い。これは点呼ではない」と言明。今後も引きつづき指導すると約束しました。
 これを受け、佐野南海と堺南海の合同団交が9月2日にひらかれ、第一交通は、長時間点呼は中止する、団体交渉で話し合うと確認しました。
 また、和歌山の白浜南海労組でも9月17日、佐野、堺につづいて、一方的賃下げを無効とし減額分を支払えとする仮処分に勝利しました。

組合の同意なき閉鎖禁止

仮処分で勝利決定  −東京・三田自練

同一資本のラヴィ教習所前での宣伝行動
=8月23日

 【東京】会社から企業閉鎖を通告され、全員解雇の危機に立っている東自教・三田自動車練習所支部は9月7日、組合の同意なき企業閉鎖を禁じる仮処分決定を東京地裁でかちとりました。
 同社では今年3月、突然企業閉鎖が通告されました。もともと会社と組合の間には「企業閉鎖、休業…等を行う場合には、事前に組合と協議し、同意を得る」との協約が84年に結ばれ、毎春闘でも確認されてきました。
 しかし、会社は協約を無視、組合の提案にも耳を貸さず、入所制限など閉鎖の準備を進めてきました。経営悪化のためとしていますが、鈴木社長の個人的な財産保全目的の疑いもあります。
 会社側は、協定は当時予見できなかった債務超過、破産原因がある状況下でも閉鎖を禁止する趣旨ではないと主張していました。
 仮処分決定は、同意協定の有効性を認めたうえで、「会社が客観的に想定される限りの協議、説明、説得等を尽くしても、なお組合が企業閉鎖に同意しないなどといった特段の状況に至った場合」には同意協定の適用が否定される場合がありうるとしながら、本件の場合は、経営者が「協議等を尽くしたと認めるに足りる疎明はない」として、「会社は、その企業閉鎖に当たり、組合と事前に協議し、その同意を得なければならない」と命令しています。

 交運グループへ反撃
 函館〜札幌間で宣伝  −北海道抗議キャラバン
ずらりと並んだタクシーに訴える支援共闘の
松井議長=9月16日、函館駅前

 9月16〜19日にかけ北海道交運グループの大幅賃下げ「合理化」に対する反撃の行動として東京・北海道合同での北海道抗議キャラバンが行われました。
 東京・小林副委員長、太陽労組支援共闘会議の松井議長、太陽労組から福地委員長ほか1人、自交総連本部から久賀書記次長(2日間)が参加し、さらに全日程を北海道・高木委員長が同行しました。
 行く先々で北海道の仲間と合流し、函館から札幌間、会社前、駅頭、タクシー待機場所を中心に訴え、約700キロ走破、1700枚のビラをまき切りました。
 北海道交運の川村理事長が組合側代表との懇談に応じ「東京へ代表を派遣し、解決への道を模索する」ことを約束しました。
 大型宣伝カーの上で初めてマイクを握った伊藤雄次執行委員は、降りてくるなり、一瞬、頭が真っ白になった話していましたが、一つの行動で着実に幹部に育つ姿がみられました。この行動が解決に向け一定の背景をつくったと確信する行動となりました。

 1年間の新加盟組合  1年間の新加盟組合
 団結しなければ権利が守れない
 「合理化」に耐えかねて結成

 自交総連には、この1年間で11地方19組合約700人(本紙前号までの掲載分)の新しい組合が加盟しました。その特徴を分析しました。

 自教、バスでの加盟がめだつ
 職種別ではタクシーに加えて、自教3、観光バス1、路線バス2などの職場での加盟がめだっています。
 また、嘱託の労働者中心や個人加盟方式の組合など新しい形態での組合も増えているほか、企業内との組織統一、他営業所からの加盟で一挙に8倍化などの例もありました。

 リストラ「合理化」に耐えかねて
 加盟の理由では、リストラ、賃下げ「合理化」に耐えかねて組合結成というのが最も多く、「規制緩和やMK進出で競争激化、賃金変更提案」(京都・タクシー)、「希望退職や一時金減額、一方的配置転換」(福岡・自教)などの例があります。とくに自教では教習生減少でダンピング営業、希望退職募集、賃金カットが相次いでいます。
 次いで、未組織の職場中心に、「有休とると一時金カット」(大阪・自教)、「有休も残業手当も就業規則もない」(奈良・運送)など劣悪な労働条件の改善めざす組合結成のが多くなっています。
 また、嘱託労働者の組合結成では、1年雇用の契約更新が最大の要求となっています。
 
 やっぱり産別の力
 加盟の形態では、未組織の組織化がほぼ半分を占めています。グラフには出ていませんが、脱退していた組合が「合理化」攻撃や企業譲渡に直面して再加盟という例が4組合あり、いざ問題がおきた時は企業内では対応しきれないことを物語っています。

組合つくって有休とれた

大阪・学園都市自動車学院労組  委員長 小畑 博士

 有休が使えない、使えば賃金・一時金カット、会社を批判すれば「明日から来なくていい」という専制支配の職場で有志が集まり、兵庫県労連、大阪地連に相談、今年2月に組合を結成しました。
 結成後、有休取得制限の廃止やカット分の過去2年間の遡及支払、付与日数の是正などを実現しました。会社は、大幅な賃下げ「合理化」も企んでいましたが提案できず、一時金のカット提案も、大阪地連の入った数次の団交と教習生への宣伝でカット幅を少なくさせました。
 こうしたたたかいには組合員全員が参加し、たたかうことに確信をもちました。
 いまは、神戸や西宮の自教の仲間の組織拡大に励んでいます。


自 交 総 連