自交労働者No.567、2001年10月15日


 法律守らない経営者と行政の責任は重大
 自交総連は10月10、11の両日、東京・両国KFCホールで第24回定期大会をひらき2001年度運動方針をきめました。1日目は、領家委員長、来賓のあいさつを受け、議案提案。2日目の討論では25人が発言、きびしい労働実態やリストラ攻撃との闘いなどの現状を明らかにし、これを打開し、将来展望を切りひらく闘いをすすめる決意を表明しました。方針、予算等の議案を満場一致で決定。テロ根絶、報復戦争反対の特別決議、大会宣言を採択しました。

第24回定期大会参加者数
  出席 委任 定数
役 員 37   38
中央委員 68 4 77
代議員 103 31 154
傍聴者 47     
来賓他 11    
総 務 4    
270    
第24回定期大会で新年度運動方針を確立し全員でがんばろう=10月11日、東京・KFCホール

 領家委員長あいさつ
領家委員長
 アメリカで起きたテロは許すことのできない蛮行です。私たちは国連を中心にした法による裁きを主張してきましたが、アメリカは軍事報復に出ました。これでは、罪なき市民が犠牲になるばかりでなく、新たな報復を生む可能性もあり、真の解決になりません。
 小泉首相は軍事報復を支持し、自衛隊の軍事支援の特別法を国会に提出、強行しようとしています。憲法違反、国民いじめの悪政に対し、国民の声を結集して闘いましょう。
 来年2月から「改正」道運法が施行されます。経営者は「合理化」攻撃に必死です。法律を守ろうとしない経営者とそれを黙認する行政の責任は重大です。労働者を世間並みに扱うことさえできないのなら、法人企業の存在意義、法人中心の行政の枠組みの有効性が問われます。
 自交総連は、タクシー運転免許構想で乗務員優位のしくみを提起、今大会でタクシードライバー法案大綱を提案します。そこに接近する道筋と当面の解決すべき課題をリンクさせて闘えば、情勢を切り開いていくことができると確信します。
 労働者は今日の困難な実態を肌身で感じており、組合を求めています。未組織、不安定雇用労働者の組織化を戦略的に位置づけ、焦眉の課題としてとりくみましょう。

 タクシードライバー法案実現へ接近を
 大会討論 権利擁護や組織拡大 19地方25人が発言

交運事業団の賃下げと闘う

 (1)北海道・杉本一郎さん 交運事業団は昨年1億6400万円の利益をあげているのに、年間40〜80万円もの賃下げを提案、一時金を払わない。秋の燃料手当も未払いが予想され死活問題だ。勝利するまでたたかう。

生活保護問題で労基も動く

 (2)宮城・渡辺敏春さん 地連で生活保護申請にとりくみ、認められたことでマスコミもとりあげ、労基署が経営者を集めて指導した。また、仙台市との労使の懇談会が実現した。県内から50%以下の賃率をなくしたい。

総連に加盟しリストラ阻止

 (3)福島・中村守男さん 連合に加盟していたが、一時金半減などを勝手に受け入れたため、昨年5月に総連に加盟した。会社の工作で組合員が減らされたが、いっそうのリストラ提案と闘い、地労委で勝利和解した。

逃げずに闘うしかない

 (4)茨城・中嶋好さん 何もしない労働者の職場が狙われ賃下げされている。困難な状況に、もういやだと思うこともあるが、全国の仲間の闘いを聞けばやめられない。逃げる所もないなら闘うしかない。頑張りましょう。

迎車料金廃止で総連加盟

 (5)埼玉・坂本寛志さん 京王交通は97年から150台増車、迎車料金を廃止した。この問題で連合組合ではらちがあかず総連に加盟した。迎車料金廃止しても一時的に増えた客もすぐ減り大幅減収、何ら得るものがない。

道交法事件の裁判が前進

 (6)東京・片岡敏康さん でっち上げ交通違反と闘う吉倉国家賠償訴訟では裁判官の現場検証を実現し前進している。タクシーは平和産業だ。米の報復戦争やめさせ、小泉の支援法案を阻止しよう。

政府・行政・業界は声を聞け

 (7)神奈川・中村正身さん 我々は長年社会的水準の労働条件を獲得するために運動してきたが、規制緩和など政府はそれと正反対の行動をとっている。政府・行政・業界は我々の声に従うことを要求したい。

教習所でも攻撃が相次ぐ

 (8)東京・長谷川広さん 89年から38%もの入所減で、閉鎖や「合理化」攻撃が相次ぐなど教習所はきびしい状況だが、兵庫、北海道で新加盟がある。自らの闘いで情勢を変えるため業務拡大など要求前進させたい。

全自交と共同で陸運交渉

 (9)山梨・遠藤敏実さん 分裂以来25年ぶりに全自交と共同での陸運支局交渉が実現した。山梨にも第一交通が入ってきて悪さをしている。生活悪化の現状に、自交総連が呼びかけ共同が実現し、話題になっている。

割増賃金を支払わせた

 (10)静岡・諏訪部みゆきさん 昨年、労基署の勧告により割増賃金を払わせ、累進歩合をも止めさせた。しかし、会社は新たな賃下げを強行してきた。何回法違反をくり返すつもりか。健全な会社になるまでがんばる。

地域めぐりで期待感じる

 (11)石川・奥護さん 金沢でも生活保護受給者が生まれた。人間らしく生きて働く出口を求める声が高まっている。底上げと何でも聞かせてとザックバラン方式の地域めぐり全県キャラバンで寄せる期待の強さを感じた。

交運に負けず雑草精神で

 (12)東京・金田富孝さん 太陽労組は北海道の仲間とともに交運事業団と闘っている。北海道キャラバンで交運本部の理事長と面談を果たし、対角線交渉を行っている。踏まれれば踏まれるほど強くなる雑草精神で闘う。

総連への期待で職場の多数派へ

 (13)京都・浅井大二さん 葵タクシーの不当処分、相互タクシーの不当解雇、ともに総連に入って解決した。私鉄系の京都タクシーでは大幅賃下げ、「合理化」に怒って5人から40人へと次々と加盟、多数派になった。

バス競争激化政治変えよう

 (14)大阪・松下末宏さん バス部会は7単組中4組合が賃金カット、企業閉鎖など争議中。企業の生き残り、労働者の生き残りをかけた競争が激化している。現状打開には、自交総連の運動と政治を変えるしかない。

高齢者にもタクシー券給付

 (15)広島・吉岡哲郎さん 地連のタクシー活性化政策を自治体に申し入れ、広島市からは高齢者へもタクシー券を給付するなどの回答があった。全県に広げたい。組織拡大のため、宣伝と対話をねばりづよくすすめる。

10・24で陸運支局と交渉

 (16)高知・森木良明さん 幹部の年齢もあり、65歳までの定年延長などを重点にとりくんでいる。10・24では陸運支局に対し、地域協議会設置、病院・介護施設の自家用車による無料送迎問題などで交渉する。

介護タクシーで会社も増収

 (17)京都・安井暁さん 会社が資金面で苦しいなか、会社は懐疑的だったが、組合で積極的に介護タクシーにとりくみ、ホームヘルパーを養成、結果は前年比増収になった。移送だけでなく総合的な介護を行っている。

日田市で福祉タク助成獲得

 (18)大分・山野茂利さん 地連では福祉タクシー充実の提案を行いホームヘルパー養成講座もひらいてきた。今年から日田市では障害者が400円の負担だけで市内どこへでもいけるタクシー助成をかちとった。

外港タクの解雇裁判に勝利

 (19)長崎・永野修さん 外港タクシーでは、買収したラッキータクシーが第一交通のように一旦解雇、賃下げ再雇用を強行し2人が解雇された。7月に裁判で解雇・賃下げ無効、一時金も払えという判決をかちとった。

カイナラ争議が和解し解決

 (20)奈良・和田忠男さん 全国から支援してらったカイナラ労組の争議は健全な労使関係確立、高裁判決の確定、解決金支払などの内容で9月に和解した。組織の再構築を決意し、組合員一丸となってがんばっていく。

地域協議会に総連も入る

 (21)山口・斉藤豊さん 現状打開にはタクシードライバー法のとりくみが展望を示す方向だ。地域協議会には労働者代表も入れ、自交総連など4団体から登録すると連絡があった。総連の政策が浸透してきた成果だ。

厳しい財政状況打開の道は

 (22)福岡・岩野直文さん 予算案について質問。たいへん厳しい財政状況だ。組織拡大が根本的な解決だというのはわかるが、本部としてこの打開について、どのように考えているのか知りたい。

利用者に愛される働き方を

 (23)福岡・広瀬早美さん 西鉄、第一タク、古賀自校では反「合理化」の闘いの中で組合員が大きく増えた。タク免許実現には国民の支持が必要。介護タクのとりくみをはじめ利用者に愛される働き方をすることが未来を切り開く。

17種類20万枚のビラを配布

 (24)大阪・吉田一夫さん 大阪市内の失業率は9%で、営収も3万3000円にしかならない状況。9月に発足した地域協議会の場も活用して改善していきたい。第一交通闘争では17種類20万枚のビラを配布した。組合つぶしを必ず阻止する。

安全が崩壊理解求め宣伝

 (25)東京・石毛浩一さん 10年で交通事故が倍増、安全・安心輸送が崩壊の道をたどっている。運賃値上げの要求を掲げ、利用者の理解を求め実態を訴える宣伝をしていく。いまはわずかしかいない若年労働者が入りやすい職場にしたい。

 執行部答弁 幹部自身の姿勢が大切
 今村書記長 心の中に旗を高く
 執行部答弁に立った今村書記長は、冒頭、大会討論の特徴についてふれ、「25人の発言者中10人が初めての経験として討論に臨んだが、事前に発言準備を行うなどの奮闘が見られた。大変だっただろうが、今回にこりず次も頑張って欲しい」と激励しました。
 質問のあった「きびしい予算編成」問題では、『本部財政方針の基本である実在組合員の80%登録に(50%以下は直ちに改善)』を組織の団結上のルールとして守る、(2)財政問題は、単にお金の問題ではなくイコール組織の力を示すものとして重視すべきと述べました。
 まとめでは、「幹部・活動家自身が、まずはっきりと将来像をイメージし、目標に接近していく姿勢こそ大切だ」と強調し、『心の中に旗を高く掲げよ』と呼びかけました。
 この他、(1)悪質事業者を包囲する労働組合の、あるいは労使共同による、さらには社会的な統一した力が必要・不可欠、(2)現実の問題解決を重視し、「合理化」への適切な対応や底上げと非正規雇用労働者の待遇改善への努力、(3)職場活動の活性化などその必要性を強調しました。

 新加盟のなかま 
 給料の基準も不明確 (649)高知・光陽運送労組
 【高知】高知市で重量物輸送をしている光陽運送に働く仲間は9月22日、光陽運送労働組合(桐島三男委員長)を結成、自交総連に加盟しました。
 同社では、何日働いても基本給は同じなのに、休むと一方的に引かれるなど給料の支払方法が不明確で、労働者の権利が認められていませんでした。
 以前、自交総連に所属していた桐島さんが仲間を集めて、組合結成にいたりました。
 有休申請で退職強要 (650)北海道・広島自学労組
 【北海道】北広島市にある広島自動車学園に働く仲間が9月27日に自交総連広島自動車学園労組(田中敏一委員長、10人)を結成しました。
 7人の従業員が同時に2日間の有休取得を申請したところ、会社は時季変更権を行使するとの理由で拒否したうえ、7人を個別に呼び出し「会社を辞めてもらいます」と退職を強要してきました。このため、労働組合を結成、権利を守る闘いに立ち上がりました。


自 交 総 連