自交労働者No.569、2001年11月15日

運輸当局は労働者の生きる権利、利用者の安全に責任をもて

 許すな状態悪化
 200人が運輸局包囲  −宮 城−

決起集会後、運輸局へむけデモ行進する宮城
地連の仲間=10月19日、仙台市内

 【宮城】宮城地連は10月19日、「許すな!これ以上の状態悪化、規制緩和反対決起集会」を仙台市・榴ヶ岡(つつじがおか)公園でひらき、200人のハイタク労働者の怒りのデモが東北運輸局を取り囲みました。
 相沢委員長は「ハイタク労働者の急激な労働条件の悪化は、労働者の生きる権利とともに利用者の安全確保にも重大な懸念が出てきている。にもかかわらず監督官庁である東北運輸局は、その責任を果たそうとしない」とあいさつしました。
 真壁県労連議長、交運共闘代表の鈴木建交労書記長、山脇共産党市議団長から激励をうけました。
 花火の音がとどろくのを合図に抗議デモに出発。「運輸局は安全確保の行政責任を果たせ」「食える賃金を保障しろ」などの怒りの声が東北運輸局の入っている第四合同庁舎に響きわたりました。

東北ブロックが運輸局交渉
 東北ブロックは10月23日、東北運輸局と交渉しました。
 タクシー労働者の異常な労働条件の悪化や運賃ダンピングの実態を指摘、運収ノルマ強要禁止▽最賃以下の賃金などの指導強化▽悪質業者の処分▽福祉・介護タクシーへの公的補助の拡大▽タクシー協議会などに関して要請しました。
 局では、裁量権の枠内で可能な限りの指導・処分をすることを約束。悪質業者などのダンピングなどは、できるだけ詳しい情報で告発してもらえば、監督官庁の責任において指導や処分を行うことを確約しました。


 悪質業者 処分を
 近畿運輸局と交渉  −大 阪−

 【大阪】10月26日、大阪地連は竹本委員長をはじめ12人が、近畿運輸局に、2002年2月の「改正」道路運送法に対する要請を行い、交渉をしました。
 要請書の要旨は、(1)悪質事業者には厳格な処分を行うこと、(2)台数規制の廃止後に想定される弊害、混乱などへの防止・歯止め措置について明確にすること、(3)違法な臨時・アルバイト雇用を根絶するよう努めること、(4)自交総連がまとめた「タクシードライバー法案大綱」を検討の上、実現に努めること、(5)第一交通問題についての5項目になっています。
 局の藤原課長は、1、2項について、「組織変更で監査指導部が新たに新設され、支局に監査課を設置する。自交総連の要望、意見は本省に伝えている」また、3項については「従来とかわらず厳格に対処していく」などと回答しました。
 その他、権田書記長は「もっと業界全体に強力な指導を」と指摘し、堀川委員長(佐野南海)は、第一交通の重大事故につながる連続勤務や、組合つぶしの実態などを告発しました。


 危険な輸送 指導を
 陸運支局と交渉  −高 知−

 【高知】高知地連は10月24日、高知陸運支局と交渉し、自家用車による介護者の無料送迎問題などについて要請しました。
 支局側は、タクシードライバー法の法制化は、要請があったことを運輸局に報告するとしました。タクシー地域協議会については、関係機関を含め利用者の入った協議会が望ましい、と答えました。
 患者・要介護者の自家用車による無料送迎については、「違法かどうかは個別のケースにより判断」としながらも、「運輸行政を預かる当局として、輸送の安全や事故賠償等を考慮した場合、運送事業者による輸送が第一義であり、許可の取得を指導することに異論はありません」と答えました。


この成果を全国に
 組織の再構築、前進へ
 5年の争議が全面和解  −奈良・カイナラ労組−

 奈良地本カイナラ労組は、委員長の解雇など5年におよぶ争議について9月17日、全面和解しました。
 会社は96年に「違法スト」を指揮したなどとして檀委員長を解雇、さらに地本の小林委員長や佐藤顧問弁護士まで被告にして損害賠償請求裁判を起こすなど、異常な敵意をもって組合つぶしをねらってきました。
 檀解雇事件は地裁で勝利しましたが高裁が不当判決。最高裁に上告していました。損害賠償事件では、ほぼ組合側の主張どおりの勝利判決が出されていました。
 和解の要旨は、(1)深刻な社会情勢の下、健全な労使関係の回復・維持をめざす(2)檀は最高裁への上告をとりさげ高裁判決の確定を確認する(3)会社は既払金の返還を求めず、かつ組合に解決金を支払う、というものです。
 組合では、司法反動化の傾向も視野に、全面和解に踏み切り、組織の再構築、運動の前進をめざすことを決意しています。


この成果を全国に
 5人の「整理解雇」無効
 大分地裁  不当労働行為も認定  −大分・湯平生コン支部−

 大分地連湯平生コン支部は、組合員5人が解雇されていた事件で10月15日、大分地裁より解雇無効の勝利判決をかちとりました。
 同社では、輸送部門を他社に委託するとして97年にミキサー車の運転手の組合員5人を解雇してきました。実際には組合員6人中5人が運転手であることから、組合つぶしをねらったものです。
 裁判で会社は、赤字で会社存続のためやむを得ず行った整理解雇であると主張していました。
 判決は、整理解雇の4要件に照らして、「人員削減の必要性が高度の経営危機状態に基づくものとまで認められない」「真摯に解雇を回避する措置を採ったとは認められない」として、解雇に合理性はないと判断。
 さらに、組合員以外に希望退職を募集していない、他社委託をいいながら職安に運転手の募集をしていたなどの事実から、組合壊滅を狙った不当労働行為であるとも認定しています。


仲間のたより
 遠慮させない雰囲気を
 障害者乗せた私の経験

 (京都)障害者といってもいろいろな障害の方がいます。
 ここでの経験談は聴覚障害者を乗せたときのことです。
 私が、聴覚障害者を乗せたのは、3度程です。いずれのお客さんも、安全・快適・敏速に送り届ければ終わりなのですが、その実、聴覚障害者はけっこう無理している部分があるようです。
 「修学院までお願いします」のメモ用紙。私は「はい」と出発して信号待ちのときに話しかけます。(実は私、手話ができるのです)「私、手話が少しできます。はじめまして」と。すると喜びと驚きで話しかけてきます。もちろんハンドルを放して話したら2人ともあの世行きですから、バックミラーを下げて相手の話を見ます。信号待ちのときに手話で答え質問する。
 何度か繰り返すうち、こんなことがわかりました。
 「実家まで帰りたいのだけれど近くに有名な場所がない。だから修学院駅までと書いたメモを渡した。実は、そこから歩いて10〜15分かかるのです。タクシーを降りてから歩いて10分というのは、あまりタクシーのありがた味を感じないものです」
 なるほど、会話が成立しないと、玄関までいけんわなァー、と思いながらも、遠慮なく肩をたたいて、右・左・真直ぐ、と手で示してくれたら良いですよ、とは言ってみたものの、なかなかそこまでして、という気にはならないようです。
 つり銭不足、身障者割引のし忘れなどあっても、なかなか苦情としてその場で言えないこともあるようです。
 気軽に、メモをやりとりできるような車内の雰囲気づくりこそ大切なことなのかな、と思います。まずは、「ありがとう」の手話を覚えてみたらどうでしょうか。聴覚障害者の喜びと、驚きの声が浮かんできそうです。
(『ハイタク京都』浅井大二)



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