耐えがたい痛みの悪政打破
自交総連中央執行委員長 領家 光徳
新年のごあいさつ
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領家委員長
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謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
小泉内閣の失政・悪政は、深刻な経済不況を招き、過去最高の破産申し立て、史上最高の失業率、3年連続の3万人の自殺などにみられるように国民・労働者に耐えがたい犠牲を押しつけ、新たな庶民いじめの施策も目白押しです。多くの識者は、年明けから不況が一段と深刻化し、戦後経験したことのない状況を迎えるだろうと指摘しています。
こうした中、2月から「改正」道路運送法が施行されます。
今日の実態は「小泉不況と規制緩和」で、ハイヤー・タクシー・自動車教習所・バスなど全国的に労働実態とその中身は、あらゆる統計が示しているように危機的な状況にあります。劣悪な労働条件のいっそうの深刻化と人間の尊厳・生存権、利用者の安全さえもが損なわれようとしています。
まさに、政府・行政が言った、需給調整を廃止して、運用基準などで「その弊害・安全性」を補うことができるのかが検証されることになります。また、法案成立に手を貸した業界・経営者などの責任と今後のあり方も大きく問われてきます。
今後起こりうる情勢は、労使ともに経験したことのないもので、自由化後も、これまで通りの企業間競争に勝ち抜くため長時間・「合理化」賃金を押しつけていくのか、労働組合・労働者と共存の方向を模索しながら協議を進めていく方策をとるのか明確にする必要があります。特に、タクシーの特性から法人の優位性と将来像を明らかにすることがその存在理由につながるわけです。
情勢が大きく変化し、歴史的転換点の情勢認識と今後のイメージを一致させ、現実の矛盾解決と運転者優位のしくみ「タクシードライバー法案」の確立への各地のジョイント政策、および、苦しみの根源である悪政転換を結びつけて攻勢的に打って出るなら新たな枠組みを必ず切り開くことができるでしょう。
自交総連の歴史と伝統を正しく学び、労働組合の基本を堅持し、すべての自交労働者を視野に入れて、その先頭に立って、ともに奮闘しましょう。
2002年は台数規制撤廃実施への反撃の初年。そのためにも自交総連を強く大きくすることが必要です。全国の教訓を集めました。
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組合員が増えて賃金改悪を撤回
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埼玉・練馬タク労組委員長 小野辰夫
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去年の春闘以来、10人の組合員が増えて、賃金体系改悪を阻止する力になりました。
私たちの職場の賃金は、一時金は別に約50%ですが、有休を2回以上とると43%になってしまいます。
改善を要求しても会社が応じないため、やむなく労基署に申告しました。署では、「労基法136条(有休取得の不利益取扱い禁止)に違反する」として会社に是正勧告を行いました。
ところが会社は、是正のため賃金体系全体を見直すとして、逆に賃下げとなる改悪を提案してきました。
組合は、労基署交渉をつよめる一方、職場全体にこのことを知らせました。これには、組合に入っていない仲間も危機感を抱いて、10人が加入、組合員数は2割増になり、団結が高まりました。
その結果、会社に改悪の強行を撤回させ、現在も交渉をすめています。
泣き寝入りはしないと個人加盟
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宮城・バス労組書記長 渋谷政敏
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宮城県バス労働組合(バスユニオン)は1人でも入れる組合として昨年8月20日に結成以来、闘わない組合や不当解雇への反発から新たに4人が加入しました。
遠藤委員長が勤務し、長年1人で闘ってきた古川交通では、一方的な賃下げ、不公平配車などの問題がおき、いま加入している交通労連では話にならないと脱退し、運転手2人が加入したのです。会社はユニオンショップを理由に解雇通告をしてきましたが、すぐに団交で撤回させたことは大きな成果だと思います。
また、帝産バス仙台では、運転手1人、ガイド1人が身に覚えのない理由で解雇通告をされたが「泣き寝入りはいやだ」と加入してきました。組合の建て直しをしようとしたのを嫌ったものです。会社は撤回しないと強気な態度ですが、団交、裁判闘争も考えながら運動をすすめていきたいと思います。
拡大に特効薬ない 日常的によく学ぶ
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東京・グリーンキャブ労組副委員長 徳永昌司
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グリーンキャブ労組は、組織強化拡大に特効薬はないこと、しかし、その基本はあることを確認しとりくんでいます。ポイントは、(1)仕事をまじめにし、信頼される役員に成長すること。(2)幹部活動家が日常的に良く学び力量アップを図ること。(3)学んだことをいかし、組合員の相談や利益・権利を守ること。(4)職場・組合員に目に見える職場活動を基本にすることです。
この10年間で310人以上の勤通大受講と日常的実践理論の学習の先頭に執行委員がたちました。
今日では「俺は組合に入ってよかったよ」と組合員の中から自然に聞こえてくるようになり、組合員が率先して新入社員に声をかけ組合事務所まで連れてくる状況が生まれています。
毎月の組織部会では、各支部が組織率を競い、毎年250人前後の入れ替わりのある中、150人の上乗せにつながっています。
会社となれ合う既存労組を逆転
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京都・京都タク支部書記長 中村正幸
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2000年1月に京自交労組京都タクシー支部として結成以来、2年が経過しました。結成時は1営業所(乗務員6人)の5人によって結成されたのですが、その後同年9月に他営業所(乗務員約60人)より20人の仲間が既存労組を脱退し加入しました。
組合結成の発端は既存組合の一部役員の非民主的な運営と会社とのなれ合い、組合の私物化が極度に先鋭化してきたことです。現在40数人の組合員となり、既存組合を大きく上回っています。
既存組合の一部役員の非民主的な組合運営に対して危機感をもって結成されたわが組合ですが、常に組合員としての自覚と労働組合としての目的意識の向上がなくては、民主的な労組の運営が脅かされることの教訓を学習したように思います。まだまだ未熟な支部ですが京都地連の指導を仰ぎ、組織の充実を図り奮闘していきたいと思います。
いつでも明るく退職者の倍拡大
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福岡・福岡交通労組委員長 古賀勇一
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福岡交通は従業員は4〜500人。1年半で300人が退職・就職した移動の激しい職場です。自交総連は27人で交通労連が300人以上です。交通労連は会社の支援を受け、試採用から本採用になったときは彼らだけに通知し、営業係もフォローします。そんな条件下で拡大するにはやはり覚悟が必要です。
(1)いつでも誰にでも明るくあいさつする。(2)本部100、地連300部の機関紙を社内で配布。(3)質問や依頼には明るく対応し確実、明快に回答する。便利に使われることも多いのですが、恩着せがましくしない。また、組合員が拡大を心がけてくれているときは「ありがとう」と声をかけています。
これらの積み重ねが拡大につながり、この2年間に10数人退職しましたが、それに倍する拡大をして、現在員は2倍になりました。
迷惑タクシーに苦情
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台数を減らすしかない −仙台でマスコミも注目−
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仙台駅のタクシープールからあふれ出るタクシーから 意見を聴く宮城地連の仲間
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【宮城】仙台市の繁華街、国分町周辺で違法駐車など迷惑タクシーが社会問題化し、朝日新聞や地元紙河北新報が相次いで報道、市民の関心も高まっています。
「県警には、客待ちタクシーのことで毎日のように苦情が寄せられる」(朝日)と書かれていますが、なぜ違法な駐停車をくりかえすのか。
ある運転手さんに聞くと「仙台の場合、特に夜はお客さんが乗ってくれる場所が限られるため、違法駐車場所であっても停めてしまう」さらに「賃金体系がオール歩合制になって、お客さんを奪い合わないと、とても生活ができない」と言う。経営側は「立場上違法なことはダメだが、営収だけは上げろ」と言い、労働者は「一体どこに行けば、お客さんがいるのだ」ということになります。
全国で問題化
このような状況は、1995年に鹿児島で問題化し、以来のべ1万日車以上の車両停止の行政処分がくり返されても改善できないでいます。規制緩和をすればこの状態が全国化するとの自交総連の指摘は予想以上に速く現実となり、いまや大阪(TVが特集)はじめ、全国で問題になっています。
タクシーを減らすしか解決策がないことは明白です。
自 交 総 連