自交労働者No.573、2002年2月1日

2002年春闘方針確立 第24回中央委員会

 自交総連は1月23、24の両日、東京・全労連会館で第24回中央委員会をひらき、2002年春闘方針を決めました。中央委員会では23人が発言、各地の厳しい労働実態などを報告、情勢認識を深め、タクシー台数規制廃止に抗議する2・1統一行動を皮切りに、「反撃、初年の闘い」に決起、労働者・労働組合の権利擁護、労働条件改善や組織拡大など2002年春闘を闘う決意を固めあいました。

労働者の期待に応えよう
悪政打破の闘いへ 領家委員長あいさつ

領家委員長

 いよいよ2月からタクシー台数規制が撤廃されます。今日のハイタク、バス、技職労働者の状態は、賃金・労働時間はじめ人間としての尊厳を否定するような厳しい実態にあります。自教も構造的入所減などで「合理化」攻撃がかつてなく厳しくなっています。
 自由化で厳しさが増すことに労働者は不安をいだいており、それだけに組織されていようといまいと労働組合に対する期待があります。
 一方、政府・行政が安全・安心、労働条件が運用基準でカバーできるかのごとくいってきたことが検証される段階に入ります。
 また、法成立に手を貸した業界・経営の責任と今後のあり方も問われます。生き残りのために労働者犠牲の施策を続けるのか、それとも新たな方向を求めるのか、法人タクシーの存在理由が問われることになり、この点での追及も重要です。
 いままで経験したことのない状況の中で、そもそもタクシーという職業はどういうものなのかなど本質的な議論を深め、タクシー運転免許構想を、全ハイタク労働者を視野に入れた政策・運動としていくことが重要です。
 小泉内閣の悪政打破、組織の強化拡大にとりくみ、後世に引き継がれる基点となるような春闘にしていこうではありませんか。

第24回中央委員会参加者数
  出席 委任 合計 (定数)
役員 35   35 (39)
中央委員 67 4 71 (78)
常任顧問 1      
会計監査 2      
傍聴者 51      
来賓 3      
報道他 2      
総務 5      
総計 166      
2・1行動の成功、2002年春闘勝利へむけ、団結がんばろう=第24回中央委員会2日目(1月24日)

たたかえば前進する 中央委員会討論
19地方23人が発言

 タクシー地域協議会の活性化を
 茨城・中嶋好さん いまの子どもたちが将来タクシー運転者になりたいと思うか。タクシー地域協議会のなかで、関係者はみんなが反省して、タクシーを公共輸送としてどう位置付けるのかが問われていると発言した。みんなでつくった協議会を活性化させよう。

 会津若松や浜通り 地方からも相談
 福島・今川光幸さん 不当解雇撤回や地労委での勝利で闘う自交総連をアピールし、会津若松や浜通り地方からも相談がきている。福島市外でも自交総連の旗を上げたい。経営者のなかにも、自交総連に攻撃を仕掛けてくる者と期待している者と両方ある。

 新会社での労働条件の維持を要求
 鹿児島・永田勇二さん 鴨池タクシーは昭和市丸とともに新会社を設立することにしている。組合は団交で、雇用の保障と労働条件低下は認めないとの約束を得た。新会社でも組織拡大に努力したい。2・1には陸運支局前で抗議、タクシーパレードをする。

 教習所閉鎖強行に泊り込みで闘争
 東京・高橋徳男さん 三田自練では、債務超過で特別清算、閉鎖を強行してきたが、今年になり、特別清算でも組合と協議し合意がないと認められないという画期的な判決が出た。連日、泊り込んでいる。所沢中央では全員解雇と闘争。絶対に負けられない。

 地連をたたかう砦にと決意新た
 高知・森木良明さん 組合員が減少し意気消沈していた面もあったが、トラックの組合が加盟、解雇が発生するなか、地連が自交労働者のたたかう砦とならないでどうすると反省し、宣伝カーも買い替え活用して組織拡大を図ろうと執行部一同決意を新たにした。

 繰り返しの宣伝で新加盟組合が誕生
 広島・内谷富雄さん 組織拡大がすすまなかったが、多くの労働者が私たちのビラを心待ちにしてくれていることを支えに宣伝を繰り返した。その成果で昨年、県労連に寄せられた相談に乗るなかで組合が誕生した。地域協議会では遠慮せず積極的に発言してきた。

 2・1には250台のタクシーデモ
 京都・浅井大二さん 2・1行動で、京都ではスト権も確立、4コース250台でタクシーデモをする。明星では全車120台が参加、会社は休業するなど、会社の対応も変わってきている。市民、運輸行政、マスコミに自交総連を大いにアピールしたい。

 京浜自教の闘い 10年ぶりに勝利
 神奈川・笹島快夫さん 10年にわたる企業閉鎖の攻撃とたたかっていた京浜自教が今年5月に新校舎建設の運びとなり全面解決した。都南では高裁で差戻し審をたたかっている。大船では9人が解雇され、20万枚以上のビラをまき、支援の輪も広がっている。

 バスで運転者派遣や子会社化すすむ
 大阪・松尾憲司さん 小泉内閣は、不況下で激痛に耐えている労働者・市民の痛みを理解しているのか。バス業界でも2年前の規制緩和以来、派遣運転者や子会社の活用など巧妙な「合理化」が激しくなっている。一層の指導と共にたたかう行動を要請したい。

 県労連とタクシーシンポを計画
 宮城・高橋明夫さん 倒産や不当解雇、賃下げなど7つの争議がある。バスではたたかうなかでガイドさんも3人加盟してきた。2・1ではタクシー55台、150人でパレードをする。3月30日には県労連と共催でタクシーシンポジウムをやる予定だ。

 第一交通の攻撃と徹底的にたたかう
 大阪・水野裕三さん 第一交通は、賃下げ、虐待長時間点呼、不当配転など攻撃をつづけ、堀川委員長、脇田副委員長を解雇してきた。虐待点呼は中止させ、賃下げ分は仮処分で払わせ、配転、解雇も裁判でたたかっている。団結して徹底的に闘い勝利したい。

 賃下げ押し付けに負けずにがんばる
 北海道・杉本一郎さん 交運グループとの闘いへのカンパありがとうございます。不当な賃下げの押し付けに、札幌・共同労組ともに過半数を超える労働者が怒りをもって結集してたたかった。一時金ジャックで減少したが、勝利するまでがんばりたい。

 特別監視地域に該当する営収減
 山形・金丸正芳さん 鶴岡の輸送実績を試算したら、営収は過去5年平均の13・8%減で「特別監視地域」に該当する数字になった。2・1には陸運支局交渉でこの点を追及する。タクシー運転免許の法制化には、産別の違いを越えた共同が必要だ。

 組織問題、団結回復に努める
 大分・園田忠孝さん 日田で組合費が高いと支部が脱退表明する組織問題が発生した。営収、賃金が下がるなか、組合の必要性の認識が薄ければどこでも起こりうることだ。教宣活動を強め、組合費の見直しも含めて検討し、団結回復に努めたい。

 モラルの向上でお客さんも増える
 埼玉・岩崎尊行(たかゆき)さん 昨年2社が迎車料金の返上を強行した。京王交通が失敗した教訓を学んでいない。組合では、モラルの向上などで営収を上げる努力をしている。お客さんが安心して乗れると評判になり、現に乗客が増えている。

 派遣会社つくり運転者を派遣
 福岡・因(ちなみ)恒良さん ラッキーセブンでは、運転者派遣会社をつくり採用者に組合に入らないように強要したり、経験の薄い非組合員を「優良運転手」として黒塗り車両に乗せたりしたが、逆にお客から苦情がきている。組織拡大してがんばりたい。

 悪質資本には告発・申告闘争が必要
 千葉・和田修さん タクシードライバー法制定のためにも悪質資本との闘いが欠かせない。全国的な行政交渉、告発・申告闘争が大切だ。古知資本の違法行為を労働基準監督署に告発し徹底して交渉、会社から書類を押収させ、出頭命令を出させるまでいった。

 解雇や処分に対し組織拡大で反撃
 山口・境初男さん 平和支部では、会社の経営悪化から会社再建に向けてやっていこうという矢先、昨年10月以来、組合員4人が解雇、5人が懲戒処分の警告を受けた。解雇の二人は脱退、退職者も出ている。裁判闘争をしながら組織拡大にがんばる。

 宣伝で「もっと話を聞きたい」の声
 石川・奥(おく)護さん 昨年暮、県内と富山で宣伝、「もっと話を聞きたい」「仲間がほしい」などの声を聞いた。自交総連への期待は高まっている。金沢市交渉では緊急雇用創出特別交付金を生かしてタクシー駐車の整理員を配置すよう働きかけている。

 地本と支部一体で春闘をたたかう
 神奈川・中村正身さん 地本組織の強化のため、各支部の組織強化、闘争基盤の強化が必要。そのため、支部の自主性を尊重しながらも、欠陥部分をチェックし、組合としての初歩的な役割を遂行できるよう援助・指導し、春闘で一体になってたたかいたい。

 底上げ重視、点検・摘発闘争を強化
 大阪・林克己さん 春闘では、底上げを重視し、最賃や改善基準違反の点検・摘発闘争を強化する。第一交通争議では堀川委員長らの組合事務所立ち入り・団交出席の実効確保決定、バスでも経営危機下でも一方的賃下げはできないという判決をかちとった。

 全労働者視野に新たな産業像追求
 東京・石毛浩一さん 働く喜びと国民的な共同で新たな産業像を追求する春闘と位置付けたたかう。2・1には1500人で決起、交通政策の学習をつよめ、労働者優位の制度をめざすため法人・個人を問わず全ハイタク労働者を視野に入れた闘いを展開する。

 外港の不当解雇、職場復帰まで奮闘
 長崎・三田村聡一さん ラッキーグループに株式譲渡された外港タクシーの吉田、藤本両名は昨年7月、本訴で全面勝利判決をかちとった。会社は控訴したが、和解交渉で復職を認める方向が出されてきた。一日も早く職場復帰できるよう奮闘する。



 学び闘い、闘い学ぶ春闘を
  法人の存在意義問う 執行部まとめ

 まとめで今村書記長は第1に、「知行合一」(前日夜に放映されたNHKの『その時歴史が動いた』=大塩平八郎の乱から引用)という言葉を紹介し、知は力であるが、実践してこその『知』であることを強調。春闘では “学び闘い、闘い学ぶ”構えで臨むことの重要性を強調しました。
 第2に、「法人経営(会社)の存在意義を問う闘い」について言及し、経営者には安心・安全なタクシーの確立、労働者のくらしと雇用の確保にかかわる社会的責務があることを指摘。そうした視点ですべての労働組合が積極的に要求を提出しとりくむよう訴えました。
 第3に、安心・安全を軸に『地域戦』としてとりくむことの必要性を提起。最も優れたタクシードライバー、指導員として活躍する資質、技量の確保をはかる努力を行いつつ、国民の期待に添う公共交通(教育)の健全な発展にむけ奮闘することの必要性を補強的に強調しました。
 また第4に、実効性の確保を迫る行政責任の追及を重視し、法違反の是正や悪質経営者の排除などのとりくみ強化をはかることが大切だと述べました。
 最後に、春闘全体のとりくみを通じて、労働組合の存在価値、自交総連の存在意義を示していくことを訴え、組織の拡大強化への奮闘を呼びかけました。

 労働者の権利を守る闘いを交流
 第24回関係弁護士交流会

  各地の裁判闘争などを交流した弁護士交流会=1月22〜23日、東京・全労連会館

 中央委員会に先立ち1月22、23日、第24回自交総連関係弁護士交流会がひらかれ、25人の弁護士、2人の司法修習生が参加、中執も全員が参加しました。
 会議では、(1)北海道・交運グループの賃下げ個別協定の強要、一時金ジャックについて北海道・竹中弁護士、(2)勝英自教に買収され全員解雇されている埼玉・所沢中央自教について埼玉・野本弁護士、(3)第一交通の組合つぶしについて大阪・藤木弁護士が特別報告を行いました。
 また、各地の闘いについて報告があり、参加した弁護士からは、労働者の権利を守るために各地で組合と一体になって闘っている交流ができ、たいへん勉強になった、元気がでた、などの感想が出されました。
 参加した法律事務所は次のとおりです。
 北海道=たかさき▽青森=青森八甲▽山形=佐藤▽埼玉=福地、埼玉総合▽東京=都民総合、東京南部、五反田、代々木総合、東京、江東総合▽神奈川=川崎合同、馬車道▽京都=京都▽大阪=北大阪総合、きづがわ共同、阪南合同▽広島=広島▽福岡第一(各法律事務所)



自 交 総 連