自交労働者No.575、2002年3月1日

累進歩合の改善指導せよ

2・20地域総行動 福岡労働局交渉

福岡労働局と交渉する福岡地連の代表
=2月20日、福岡市内

 【福岡】福岡地連は2・20地域総行動の一環として2月20日に福岡労働局と交渉、森若主任監督官らが対応しました。
 累進歩合について局は「非連続が一か所でも累進歩合」と明確に回答。要請団は「これまで監督官は一か所くらいは許容範囲。2か所以上が累進歩合と言っている。定義を統一せよ」と求めました。
 足切り以下オール歩合の割増賃金、最低賃金、保障給については「いまは努力しても足を切る人がいることも確か。割増賃金や最低賃金からは逃れられない」と答えました。
 その他、労働条件の不利益変更に関して、西鉄タクシーの一時金不払い、第一タクシーの一方的賃下げ、割増賃金、最低賃金についての申告について実態を説明し、監督署によって対応が違うことを指摘しました。

 2・1行動(続報)

俺たちに死ねというんか
運輸局、陸運支局で訴え

近畿運輸局前に座り込む関西ブロックの
仲間=2月1日、大阪市内

(2・1行動続報)
 【大阪】関西ブロックは大阪・京都・和歌山の仲間が参加して、近畿運輸局前で300人が座り込みました。和歌山地連の杉本書記長は「日本で一番運収の低い和歌山では『われわれ運転手は死ねというんか』と怒りの声が渦巻いている」と訴えました(下段に局交渉結果)。
 【山口】山口地連は午後1時より1時間のストライキで決起し、陸運支局前で30人で集会をひらきました。県労連の事務局長より連帯のあいさつを受けました。

 関西ブロック運輸局交渉

乗務員の確保などチェック
第一交通に特別監査

 【大阪】自交総連関西ブロックは2月1日、竹本議長、藤原事務局長ら21人で近畿運輸局と交渉、局から藤原旅客二課長らが対応しました。
 運用基準の厳格な実施と国会附帯決議をどう守るのか、との申入れに局側は、「監査と事後チェックを行う。乗務員の確保は、乗務表などの提出で認めるが、営業開始後、直ちに監査に入る。条件を満たしていなければ取消しなど行政処分を行う」などと回答。
 特別監視地域については「京都、大阪市域については、営収・輸送実績は指定数値であったが、実車率で指定数値に入らなかった。平成13年度の実績をみて9月に改めて判断する」と説明、第一交通問題では「特別監査を行い、労基法違反を労働局に通報した。今後も監視や指導をつづける」と約束しました。

 「改正」道路運送法施行
参入・増車、値下げ申請相次ぐ
1週間で1500台以上の申請

 2月1日から「改正」道路運送法が施行されて最初の1週間だけで全国で1500台を超す参入・増車の申請が出されました。
 2月8日までに国土交通省がまとめた申請状況は、参入が8社87台、増車が146社1339台、計1531台となっています。運賃は27社が値下げを申請しています。
 増車は、三菱グループが大阪・京都で233台、神奈中グループが神奈川・東京で262台の大量増車申請を出している他、第一交通グループが大阪・兵庫で60台(今後全国で申請の見込み)など。
 運賃では、名古屋でエムケイが、大阪でエムケイとファイブスター、ワンコインが下限を下回る運賃を申請。今後個別審査となりますが、仮に申請どおりでは3社の運賃は距離によって高低が入れ替わり、どれが安いかわからないバラバラ・不便な運賃となります。

2月1日以降の主な参入・増車・運貨変更申請
地方 交通圏 会社名 台数/変更内容
【新規許可申請】
愛知 名古屋 名古屋エムケイ 25台
石川 金沢 中央タクシー 16台
大阪 大阪市域 ワンコインタクシー 10台
福岡 北九州 すずらん福祉10台他 20台
福岡 小笠木観光 10台
【増車届出】
北海道 札幌 江別ハイヤー 10台
青森 弘前 北星交通 15台
埼玉 県南東部 草加タクシー 10台
千葉 京葉 櫟山交通 30台
東京 北多摩 グリーンキャブ50台他 53台
南多摩 神奈中ハイヤー 17台
特別区 山三交通11台他 21台
神奈川 京浜 神奈中グループ130台他 291台
県央 神奈中グループ108台他 119台
京都 京都市域 エムケイ67台他(用変含) 157台
大阪 大阪市域 三菱グループ203台他 384台
山口 岩国市 通津タクシー 10台
福岡 福岡 親和交通11台他 16台
【運貨・料金変更申請】
愛知 名古屋 エムケイ 初乗1.8km500円、加算219m50円
大阪 大阪市域 関西中央グループ 遠距離割引5000円超5割引
ダイヤ交通グループ 22〜5時の初乗を超える額3割引
大阪エムケイ 初乗1.7km500円、加算240m50円
ファイブスター 初乗1.7km470円、加算300m70円
ワンコイン 初乗2km500円、加算224m50円
(『東京交通新聞』他、業界各紙の報道による)

 違反点数制
80点超で許可取り消し
労組の監視・チェック機能が重要

 『違反点数制』を導入――国土交通省は1月17日、「改正」道路運送法施行に伴って、タクシーの行政処分基準と監査方針を地方運輸局に通達。監査指導部(運輸局)、監査課(陸運支局)をそれぞれ設置し、事後チェックを強化する旨、指示しました。
 その特徴は、違反累積点数が一定以上になれば事業停止や許可取消しとする違反点数制度を導入。特別監視地域での新規・増車事業者や最高乗務距離指定地域での過労運転違反などで加重処分する一方、駐停車違反に対しても処分基準を新設するなど、処分内容を細分化し拡充強化していることです。
 通達された行政基準の要点は次のとおりです。
 ○車両停止10日車を1点とし、1支局の管轄内で50点超などは事業停止処分、1支局の管轄内で80点超などは許可取消し処分。
 ○緊急調整地域内の事業者などの違反は点数加重。
 ○最近1年間の車両停止処分が20日車未満ならば、新規の営業区域での車庫新設・拡張を認める。
 ○事故・苦情などが多い事業者向けの「重点監査」を新設。
 自交総連は2月1日、同省と交渉。必要な監督指導・監査の徹底と事後チェックの実効性について申し入れましたが、問題点も浮き彫りになっています。
 同省は、自交総連の「事後チェックというが、増える仕事量に見合う体制強化がはかれるのか」との質問に対し、「今まではバス・タクシー・トラックなど『縦割り』で通常業務の片手間だったが、今後は、いまいる人員総出で効率的にやっていきたい。増員が必要であれば予算要求する」と答えました。
 これでは無責任。どんな立派な事後チェックシステムを作ろうと、人員確保がなされないのでは保障の限りではないといわざるを得ません。
 この点では「やるべきことはやる」と言った行政の責任追及と合わせ、行政頼りではなく、労働組合の今後の監視・チェック機能の強化こそが求められます。さらに、職場内における社内罰の強化に対する警戒もいっそう強める必要があります。

タクシー事業者に対する処分等の基準(主なもの)
適用条項 違 反 行 為
事   項
基  準
初 犯
(日車)
再違反
(日車)
法13条 運送引受義務違反※☆ 30 90
法15条3項 事業計画の事前変更届出違反
各営業所に配置する車両数等
10〜20 20〜40
法16条1項 事業計画に定める業務確保違反 法15条の基準を適用
法16条2項 事業計画に定める業務確保命令違反 60 許可取消
法20条 営業区域外旅客運送違反 10〜20 20〜40
法23条1項 運行管理者の選任違反 20〜30 60〜9O
法31条 事業の改善命令違反 60 許可取消
則21条1項 国土交通大臣告示等(勤務時間、乗務時間)の設定違反 10〜30 30〜90
国土交通大臣告示等の遵守違反 10〜40 30〜120
則22条1項 乗務距離の最高限度違反◎ 10〜30 30〜9O
則23条 運賃総額が一定基準以上になるような乗務の強制◎ 30 90
則35条 運転者の選任に関する義務違反 警告〜10 20〜30
則36条1項 日雇運転者等の選任禁止違反※ 警告〜20 20〜60
則38条1項 国土交通大臣告示による運転者に対する指導監督義務違反
ア イ〜オ以外 10〜20 30〜60
イ (1)速度違反30km/h以上
  (2)信号無視等で事故
  (3)酒気帯び等で事故
  (4)飲酒運転等
10〜20
40
60
60
30〜60
120
180
180
ウ イ(4)で公安委員会から通知 初回20/2回目80/3回目以上240
工 最高速度違反で公安委員会から通知 警告/初回20/2回目60/3回目180
オ 駐停車違反等で公安委員会から通知 警告/初回・2回目以上10
注)法=道路運送法、則=旅客自動車運送事業運輸規則
  ※印 最高乗務距離を指定した地域では加重
  ☆印 タクシー業務適正化特別措置法の指定地域では加重
  ◎印 ※、☆印も含め、特別監視・緊急調整地域では1.5倍、特別監視地域指定後に増車した業者は2倍に加算

 宮城・塩竃交通労組
職場復帰の和解成立
抗議集会や全戸配布で包囲

 宮城地連塩竃(しおがま)交通労組は、不当解雇をはじめとする不当労働行為事件について2月18日、地労委で和解を成立させ、市川委員長の職場復帰をかちとりました。
 塩竃交通は、全自交宮城地本の大西委員長が経営する自主経営会社でしたが、組合員の意見を聞かない非民主的な経営のため自交総連労組が結成されました。団交拒否などで地労委に斡旋を申立てたところ、「事故報告を怠った」などの口実で2000年5月に市川委員長と西山副委員長が懲戒解雇されていました。
 地労委に救済を申立てるとともに、仮処分も申請、2000年11月に仙台地裁で、市川委員長については賃金保全の仮処分決定、西山副委員長については不当決定が出され本訴で係争中でした。
 この間、塩竃地方労連との共同で同市で2度の抗議集会を成功させ、全戸配布も2回実施しました。
 今回、地労委で市川委員長は3月から職場復帰するという和解が成立、西山副委員長の定年も絡んだ解雇問題や賃金差別については、今後、労使が誠意をもって話し合うことになっています。

 2002年春闘アンケート
生活が苦しい87%
前年より収入減が84%し
この怒りを春闘へ

 収入が前年より減った人84%、生活が苦しい人87%、普段の仕事で身体が疲れる人91%――2002年春闘アンケートから、組合員のきびしい実態が浮かび上がってきます。この苦しみを怒りとして、その打開をめざすのが春闘。賃上げ要求は5万円以上が60%を占めています。
 アンケートは1月までに26地方から1万0844枚(回収率38%)が回収されました。
 平均年齢は50・4歳となり、年齢構成では50歳以上が3分の2を占めていて、29歳以下は2%しかいません。女性は3%でした。
 前年より収入が減った人は、観光バス100%、ハイタク86%に加え、自教でも66%と前年より16ポイントも増えました。
 こうした状態悪化をもたらしている政府に対する要求では、(1)社会保障充実(2)減税(3)最低賃金の引き上げが上位を占めました。
 自交総連の運動については「一生懸命やっている」が57%でトップでしたが、「将来展望がもてる」とした人は5%しかおらず、展望がもてる運動が求められてます。

新加盟のなかま
 有休制限おかしい
 (656)東京・飛鳥第6労組

 【東京】飛鳥第6労働組合(江東区、五十嵐兵次委員長)が結成され、12月23日付けで自交総連に加盟しました。
 東部自交一般に入っていた五十嵐委員長らが「有休は1日4人までという会社の内規はおかしいが、変だと思っても組合がないと言えない」として結成しました。同委員長は「今は仲間で腕を組んで助け合う時期、そのためにも労基法など学習を重視していく」と話しています。


自 交 総 連