自交労働者No.576、2002年3月15日 |
中央闘争委員会 |
第一交通糾弾のキャラバン |
自交総連は3月6、7日、自交共済事務所で第1回中央闘争委員会をひらき、「当面する対策と統一行動の成功にむけて」と題する方針を決定。8日付で、すべての地方へ闘争指令を発しました。
とくに、4月12日の「国民統一ストライキ」では、賃下げ、増車・運賃値下げなどによるこれ以上の状態悪化を許さない、『安心・安全』の確保と悪質経営者を社会的に包囲、医療大改悪など悪政ノーの3つの課題を結合し、1時間のストライキ及び第一交通糾弾・キャラバン行動(8〜12日、東西2方面から大阪にむけて)などを実施することにしました。
この他、指令された内容の重点は次のとおりです。
○すべての組合が要求を提出し、みんなの力で改善めざす団交促進を(各組合は経営者に対し要求内容に関わる説明の場を設けるよう努め、協力・共同の政策提言についても積極的に提起するなど)
○「合理化」、倒産・身売り、廃業などへの警戒心を高め、事前の対策強化を(労働協約の保全の点検、内容をチェックし改善を、駐停車・スピード違反の社内罰強化や制裁金の新設に反対など)
○増車と新規参入、運賃値下げへの基本的な対応方針を意思統一し、産別視点での反撃と歯止めを(適正な台数・運賃水準の確保は不可欠、優先されるは安心・安全、良貨が悪化を駆逐するシステムこそ必要など)
神奈川地本 |
大量の増車に抗議 |
経営責任を追及 |
【神奈川】神奈川地本は2月21日、新道運法施行以来、県内で大量の増車届出が出されていることから、抗議の要請を県内全社にあてて郵送しました。
神奈川では21日までに、京浜・県央両交通圏で計25社443台にものぼる増車が届出されました。そのうち神奈川中央交通グループが250台を占めています。
地本では、各社が我先にと増車すれば、労働者の生活は悪化し、安心・安全が損なわれる、その責任は事業主にある、と指摘。各社に自重を求めるとともに、今後は、労働時間の厳守、法定どおりの割増賃金の支払いなどを告発し経営責任を追及することを表明しています。
一方、県タクシー協会は、乗務員の引き抜きを憂慮、防止対策を各社に要請しました。
神奈川の増車届出状況
交 通 圏 | 増車届出(神奈中グループ) |
京浜(横浜、川崎、横須賀、三浦市) 県央(藤沢、平塚、相模原市等) | 19社 309台(2社 130台) 7社 134台(3社 120台) |
計 | 25社 443台(4社 250台) |
大阪労働局交渉 |
改善基準に沿って指導強化 |
最賃の基準は1乗務2労働日 |
大阪労働局と交渉する大阪地連の仲間 =2月22日、大阪市内 |
宮城・安全タクシー労組 |
利用者と駅改善 |
東南直結道路が開通 |
開通した古川駅東南口直結道路。奥にみえるのが安全タクシー営業所=2001年12月 |
法「改正」で責任転嫁の動き |
罰金、処分強化に警戒を |
道運法「改正」で事業者に対する行政処分の点数制がはじまりました。累積51点で事業停止、81点で許可取消しなどがされます。駐停車違反や事故などでも減点されるため、経営者の中には、自らの労働強化やあおり行為は棚に上げて、違反・事故の防止策として労働者から罰金をとったりする例があり、今後、会社からそのような提案がされることも予想されます。違約金は労基法違反ですし、事故の賠償は使用者負担が原則、会社の一方的な要求に応じる必要はありません。 |
一方的な控除はできない
事故の負担金を一方的に賃金から引く会社がありますが、これは違法です。
賃金は労基法24条で全額を支払わなくてはならないことが定められており、税金や社会保険料を除き労使協定がない限り何の名目であれ勝手に控除することはできません。
協定があっても限度額がある
仮に控除できる労使協定があったとしても、その金額は賃金から税金・社会保険料を引いた額の4分の1を超えてはならないことになっています。
また、就業規則に減給の制裁規定を定める場合は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が月例賃金の1割を超えてはならないことになっています。もちろん制裁の根拠が公正・合理的なものでなければならないのはいうまでもありません。
事故の賠償は会社負担が原則
業務中の交通事故の賠償は使用者が負担するのが原則で、1958年に国会で「事故の賠償は経営者において負担すること」との決議が採択されています。
仮に運転者に故意や重大な過失がある場合には、会社が運転者に損害賠償を請求することはありえますが、あくまでその立証責任は会社にあります。
その場合でも労働者が全額負担ということにはならず、判例では、一般企業での業務中の交通事故で運転していた労働者への請求が損害の4分の1に制限された例があります。
違約金は違法
違約金(罰金)というのは、労働者が交通違反で摘発されたような場合に取り立てるものですが、これは労基法16条で禁止されています。
また、事故などの際の損害賠償額をあらかじめ予定しておくのも違法です。
実例として第一交通が、駐車違反をしたら違約金50万円、懲戒解雇されても異存ありません、という誓約書を書かせていたケースがあります。こうした誓約書は労基法違反ですから労働者が闘えば、書いた後でも無効とすることができますが、闘わずに認めてしまえば、違法でもそれが通ってしまうことになります。
以上のような法律をよく知り、罰金や事故負担導入や制裁強化の会社提案には安易に応じることのないように警戒しておく必要があります。
労働基準法 |
〉新連載〈〈〈 |
抜本「改正」された道運法 |
関係法令も大幅変更 |
2月から施行された道路運送法「改正」は需給調整規制(台数規制)を廃止するという抜本的「改正」で、関連する特別措置法、運輸規則はじめ通達も大きく変わっています。
各種の通達(運用基準)を含め、どこがどう変わったのか、どの点が悪くなり、逆に活用できる点はどこなのかそのポイントを、これから連載でお伝えしていきます。
第1回は、全体の概要を一覧表にして示しました。「問題点と対応策」の欄にあるように、役に立たない基準がある一方、活用の仕方によっては労働条件改善、悪質企業排除に役立つ点もあります。
次回から、項目ごとに解説していきます。
「改正」道路運送法 運用基準の概要
項 目 | 運用基準の概要 | 問題点と対応策 |
参入・増車基準 |
○営業所・車庫の確保、自己資金の確保、損害賠償保険の加入等。 ○管理体制=運行管理者(有資格=試験実施)は40両までごとに1人 ○運転者= @計画遂行に足りる員数の有資格の運転者を常時選任すること A適切な乗務割、労働時間、給与体系を前提とし、労働関係法令に抵触しないこと B運輸規則第36条(アルバイト禁止)に該当しないこと C定時制乗務員は、適切な就業規則・乗務割による乗務日時の決定等 ○法令遵守=新規は、2年以内に車両停止以上の処分を受けた法人の役員がいないこと 増車は、以上に加え、1年以内に重大事故、悪質な道交法違反がないこと |
従来の基準に新たに加わった部分もあり、きちんと守らせれば一定の歯止めとなる。 とくに運転者確保、定時制の適切な選任の厳守が重要。 行政には書類上ではなく実態を調査させることが必要。 |
緊急調整措置 |
○実車率・日車営収がともに前5年間の平均と比べ10%、または平成9〜12年度全国平均に比べ20%超減っている場合、「特別監視地域」に指定して、監査など強化。 ○さらに1年後、前5年間平均比15%超、全国平均比20%超減となれば、「緊急調整地域」に指定し、新規参入・増車を停止。 ○人口10万人以上の都市がない地域は実車率の減を10→2%、15→3%に読み替え。 |
ハードルが異常に高く実効性は期待できないし、緊急調整地域に指定されても、増車できなくなるだけで減車されるわけではない。 基準自体を変えることが必要。 |
運 賃 |
○中型・小型、課税・免税を統合。現行の中型課税上限〜小型非課税下限をゾーンとして、ゾーン内では自動認可。それ以下は個別認可。 ○長距離割引、定額運賃等の弾力化(原則5000円以上)を認める。 ○次回改定から、深夜割増は2割。 |
上限貼付けで運賃ダンピング競争を阻止することが必要。 下限を下回る値下げ申請については、人件費をつぐなっているのかどうか審査させる。 |
地域協議会 |
○運輸局・陸運支局、事業者団体(法人・個人)、労働者団体、(東京・大阪ではセンター)と、必要に応じ利用者代表、関係行政機関、地方公共団体を加えて構成。 ○事業活性化、良質な運転者の確保方策、利用者利便向上等について話し合う。 | 自交総連を参加させ、政策要求実現、世論喚起のため積極的に活用する。 |
勤務時間等基準 | ○厚生労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善基準告示」を国土交通省が「勤務時間等基準」として告示。改善基準通達も含めて過労防止の基準とする。未遵守には行政処分を行う。 | 未遵守には行政処分があるので、厳密に適用させれば実効がある。 |
違反点数制 | ○車両停止10日車を1点(3年間有効)とする。 ・50点超で事業停止、80点超で許可取消し ・複数の支局にまたがる法人が運輸局単位で160点、全国で320点の場合も許可取消し ・特別監視地域、緊急調整地域では点数1.5倍、そこで増車した事業者は点数2倍増し ○車両停止・点数の基準(例) 運転者の選任義務違反 初犯=10日車(1点)以下、再違反=30日車(3点)以下 勤務時間等基準違反 初犯=40日車(4点)以下、再違反=120日車(12点)以下 ○車両停止1日車でも2年間は増車不可。ただし20日車未満なら他地区への進出は可。 ○車両停止以上の処分は事業者名を公表する。 |
いずれの違反についても厳密に適用させ、確実に公表させることが必要。 違反をくり返す事業者を確実に処分させ、事業停止、許可取消しを適用させる。 点数制を口実にした社内罰、処分の強化、損害賠償の予定等(違法)には警戒が必要。不当な罰金や処分を許さない。 |
監 査 方 針 | ○死亡事故、違反20点超の事業者には特別監査を実施する。参入・増車をしたり、事故・苦情が多い、労働基準当局からの通報があった等の事業者には重点監査を実施する。 | 行政の人的体制は不十分なので、労働者・労組が積極的に申告・告発し、摘発させる。 |
新加盟のなかま |
一方的配転や降格 | ||
*(千葉)流山自校労組 |
【東京】千葉県流山市にある流山自動車学校の仲間は2月17日、流山自校労組(永島秀道委員長、34人)を結成、東自教労組にオブ加盟しました。
同校は、全国展開する黒井産業の経営する教習所で、職制による専制支配がつづき、教習生アンケートによる一方的配転や降格も。勤務時間の一方的変更も予測されたため、東自教に相談、学習会などを重ねたうえで、公然化しました。
自 交 総 連