自交労働者No.579、2002年5月1日

医療改悪やめろ 悪質企業ゆるすな

4・12国民総行動

ストや座込み、デモなど多彩に


小泉内閣、第一交通を糾弾

 自交総連は4月12日、4・12国民総行動に決起、各地でスト、職場集会などを行い、医療改悪反対と第一交通糾弾の決議をあげました。宣伝、いっせい警笛、タクシーデモや県労連の行動にも参加しました。

 北海道では、札幌・大通り公園でタクシー30台80人を集めて昼休み集会。12時半にはいっせいに警笛を鳴らしてアピールしました。
 宮城では、ストの他、終日宣伝カーを出して宣伝、第一交通糾弾のビラ800枚をまきました。
 埼玉では、13組合が職場集会、労組の合意なく増車をしないことなどを経営者に申入れました。
 東京では、国会前の座り込み行動に雨をついて44組合378人が結集、「運用基準の厳守」「医療費本人3割負担はイヤだ」などの横断幕を掲げて小泉内閣の悪政に抗議しました。また、4組合がスト、9組合が職場集会をひらきました。
 神奈川では3組合がスト、1組合が職場集会を行いました。
 山梨では10台でタクシーデモを実施。
 大阪では、大阪労連と一緒に第一交通糾弾の1日行動。東西からのキャラバン隊も合流して各地で宣伝。デモで第一交通、南海電鉄に抗議しました(2面に関係記事)。
 福岡では、3組合が職場集会、地域行動にも参加しました。
 その他、ハイタクなんでも相談会(京都)、陸運支局申し入れ(高知)をはじめ、石川、広島、山口、愛媛、佐賀、長崎、大分、鹿児島など集会や県労連の行動に参加しました。

大阪労連とともに第一交通糾弾のデモを行う大阪地連=大阪市御堂筋

昼休み集会に結集したタクシー=札幌市大通り公園

職場集会をひらき団結ガンバローをする埼玉・観光タクシー労組=埼玉・東松山市

国会前に座り込み医療改悪反対、運用基準を守れと訴えた東京地連=東京・国会議員会館前

 第一交通


法を守れ、組合つぶしやめろ

悪質企業の実態暴露

第一交通糾弾キャラバン 東西から大阪へ

 自交総連は4月8〜12日、東京と福岡から大阪に向けて第一交通糾弾キャラバン行動を行い、各地で宣伝、法も常識も守らない悪質企業の実態を暴露し、組合つぶしに負けずにたたかっている大阪・佐野南海、和歌山・白浜南海労組を激励しました。

(西コース)広島・福山城の前で宣伝するキャラバン隊=4月10日、広島県福山市
(東コース)大津駅前で訴えるキャラバン隊=4月10日、滋賀県大津市
 あふれる空車から悲痛な声
  本部・久賀孝三
 キャラバン行動西コースは4月8日、九州運輸局裏の中比恵公園で福岡地連の仲間とともに出陣式を行い、緒方書記長が行動の目的について説明、全日程参加の熊谷氏(大阪)が第一交通の近況報告、久賀(本部)が行動の決意を表明、早速、博多駅前で宣伝行動を開始、宣伝カーの上から訴え、タクシー乗務員と通行人にビラを配布しました。
 第一交通本社付近はじめ北九州地域の宣伝行動後、山陽道を経て12日、大阪で東コースと合流しました。
 広島駅、姫路駅構内の待機所に入りきれない空車があふれ、「これ以上タクシーを増やしてくれるな」「第一交通の社内罰が厳しく会社を辞めるに辞められない」など悲痛な声が聞かれました。
 南海電鉄本社への糾弾行動では、第一交通の職員が、威嚇整列する中、大阪労連から300人以上の仲間も結集し、行動は大きな成功をおさめました。
 駆け抜けたキャラバン行動
  大阪・久保義雄
 4月8日から4日間、1都2府5県を駆け足で第一交通糾弾キャラバン宣伝行動。若い東京地連の2人と駈け抜けました。
 行く先々、タクシーがあふれている、小泉政治不況がタクシー労働者を直撃。岐阜では「アパレルがだめ、繁華街も人が出ない。JR駅前では列車がきてもなかなかタクシーを利用してくれない。1時間待って1メーターこんな事は日常、イベントでもなければ動かないよ」と、半分あきらめ顔の労働者、こんな話を聞きながら宣伝行動の意義を噛みしめ訴えてきました。
 宣伝行動を行いながら、感じたことは東海道すべての府県に自交総連をということ。8月の原水爆禁止世界大会に向けての「国民平和大行進」に通し旗が運べる、そんな自交総連の構築を――。


 大 阪

値下げ競争は自殺行為

事業者に公開質問状

 【大阪】新道運法施行以後、大阪では増車や運賃値下げ申請が相次いでいるため、大阪地連は4月5日、運賃値下げ事業者と大阪のすべての事業者に対し「公開質問状」を送付し、労働者を犠牲にした低運賃政策と増車指向で生き残りをはかる事業者に警鐘と遺憾の意を表明しました。
 公開質問状は「運賃値下げ競争は自殺行為である」と言及。現在でも約4000両もタクシーが多く「減車が必要だ」と主張している事業者があるなか、他方で3月末で600両を超える増車届出があり、このままでは最悪といわれている大阪地区の実車率がさらに下がることは火を見るより明らかと指摘。
 タクシー労働者の賃金がさらに低下し、安心・安全が脅かされると警鐘を鳴らしています。


  

新規・増車は3000台

運賃改定申請は148社

 新規・増車などは全国で3000台――国土交通相は4月4日、「改正」道運法施行後2か月間の申請・届出状況をまとめました。
 タクシーは、新規370台、増車2580台、事業区域拡大201台と3151台の増強、運賃申請は148社にのぼっています。
 運賃のうち愛知と宮崎の計99社はイベントの定額運賃で3月中にすでに認可されました。その他、近畿を中心に遠距離割引や自動認可の下限を下回る申請が出ています。

「改正」道運法施行後2か月間の申請・届出
(国土交通省調べ、2月1日〜3月31日)
【新規許可申請・増車届出・区域拡大申請】
  新規許可 増  車 区域拡大
北海道 7社 46台 60台  
東 北 4 25 90  
新 潟 1 5 29 5台
関 東 7 77 1065 18
中 部 5 66 85  
近 畿 4 45 823 35
中 国 5 19 198 40
四 国 2 7 63  
九 州 9 80 137 103
沖 縄 0 0 30  
44社 370台 467社 2580台 23社 201台

【運賃認可申請】
北海道 1社 50万円以上1割引
東 北 1 定額
中 部 43 定額(3/29認可)、初乗1.8km500円
近 畿 43 5000円超5〜3割引、6000円超4割引、7000円超3割引
初乗2km540〜500円、1.7km470円
22〜5時の加算3割引など
四 国 3 5000円超5割引
九 州 57 定額(3/13、14認可)
148社  
(注)新規は福祉限定除く。事業者数は重複あり。
増車は減車分を減じてある。

 千 葉


過労死させない行政を

労災認定基準で追及

 【千葉】千葉地本は4月16日、千葉労働局と交渉し、健康破壊の法違反の撲滅などを要請、局は「県民の命とくらしを守るため真剣に対応したい」と答えました。
 地本では、先に山梨でタクシー労働者の労災が認定された事例を引き、厚生労働省が昨年末に出した過労死認定基準に照らすと、ほとんどのタクシー労働者が当てはまる、規制緩和で状況はさらに悪化しており、労災で過労死させないように当局は本腰を入れるべきだと追及しました。。
 当初、労災は個別の事例ごとに労災請求で…と言っていた労働局側も、具体的な資料で懇々と説明すると思わずうなずき、「労働災害のないよう法律違反の撲滅をはかる」と答えました。
 また、設置されたタクシー地域協議会に労働当局としても参加することを求めたのに対して「上司と相談して対応したい」と答えました


 茨 城


乗合タクなどに補助

車両購入費など1655万円

 【茨城】茨城県は「生活交通支援事業」として1655万円を補助する新規事業を4月からスタートさせました。茨城地連が県知事、県議会に再三要請していたことが実を結びました。
 県の事業は「県北山間地域における生活交通の確保をはかるため、従来の代替バス運行に加え、新たに高齢者にとって利便性の高い乗合タクシーやフリー乗降バスなどの導入に対して補助する」というもので、県北18市町村を対象にジャンボタクシーの車両購入費の半額、運行の経常欠損額の6分の1〜5分の1を補助。市町村からの補助と合わせて、乗合タクシーの運行にはずみがつきます。
 地連では、県北自治体に資料も送って説明、積極的な活用をうながし、補助を全県に広げ、「公共輸送には税金で補助する原則」を広げるために奮闘していきます。


新加盟のなかま
 組織を統一し加盟
 (658)高知・高南ハイヤー労組

 【高知】高知市の高南ハイヤー労組(堀井一則委員長、145人)は3月10日、大会をひらき自交総連加盟をきめました。
 高南ハイヤーには二つの組合がありましたが、会社の攻撃が激しくなるなか、近い将来、必ず賃下げ攻撃があり、分裂の組織状況ではそれに耐えられないとして、組織を統一して職場の過半数を確保、自交総連に加盟して知識の豊富な産別組織の指導も受け闘うことになりました。


 「改正」道路運送法−どこが変わった? どこがダメ? どう活用する?
 〉連載 4〈〈〈

新しい運賃制度の概要

 「改正」道運法でも運賃は認可制が残されました。しかし多様化の名のもとに不便なバラバラ運賃に拍車がかかりそうです。賃金の切り下げ、歩合給の低下を前提にした労働者に犠牲転嫁するダンピング値下げの阻止が大切です。

不便なバラバラ運賃に拍車

労働者犠牲の値下げ許すな

 運賃制度については「改正」道運法でも認可制となっており、認可されない限り変更できません。
 しかし、自動認可の幅が拡大され、定額運賃や割引などが増え、一部経営者の身勝手な値下げ申請も相次いでいます。
 なお、主な改正点は、次回の運賃改定(上限改定)以降に適用となります。

 自動認可の幅
 現在も設定されている自動認可運賃の幅は、普通車・小型車、課税・非課税が統合されるのに伴ない拡大されます。上限から約13%の幅の中で10円単位で初乗り運賃を設定でき、この範囲内なら申請は自動的に認可されます。

 下限より下は個別に審査
 下限を下回る運賃については、個別に原価計算をして審査されます。
 この際、運転者の異常な低賃金を前提にした申請である場合には、申請を出し直させたり、認可しないという通達(国自旅第100号)が出されています。
 もともと、最賃違反が続出するような運転者の賃金実態からも、歩合給のため値下げがそのまま賃金低下につながるしくみからも、タクシーの運賃値下げは、労働者に犠牲をおしつけるダンピングにほかなりません。
 審査を厳密に行わせ、不当な値下げは認可させないことが大切です。

 定額や割引制度
 駅と空港、イベント会場の間などでは定額の運賃を設定でき、5000円を超える高額の運賃の場合は割引ができるようになります。
 深夜割増は2割増、迎車料金は定額制に統一されます。

 利用者にも不便なバラバラ運賃
 以上の結果、運賃はひどくバラバラとなり、利用者にとっても混乱が生じかねません。
 現に大阪では各社が身勝手に各種値下げを申請、未認可ですが仮に申請どおりで試算すると左表のようになります。
 乗車距離1・7キロまではA社、1・7キロ超〜5キロまではB社、5キロを超えたらC社、さらに40キロを超えるような長距離なら「5000円超5割引」のタクシーが一番安い――というわけですが、利用者に電卓片手にタクシーを選択しろとでも言うのでしょうか。決して利用者の利便にもつながりません。

大阪のバラバラ運賃申請の概要(未認可)
                   
    現 行
中 型
上 限
5000円

5割引
A 社 B 社 C 社
運賃設定 初乗 2km
660円
2km
660円
1.7km
470円
2km
500円
1.7km
500円
加算 273m
80円
273m
(40円)
300m
70円
224m
50円
240m
50円
乗車距離 km
1.7 660 660 470 500 500
2.0 660 660 540 500 600
3.0 980 980 820 750 800
4.0 1,300 1,300 1,030 950 1,000
5.0 1,540 1,540 1,240 1,200 1,200
10.0 3,060 3,060 2,430 2,300 2,250
30.0 8,900 6,950 7,120 6,750 6,400
40.0 11,860 8,430 9,430 9,000 8,500
注.   最も安い運賃   2番目に安い運賃


自 交 総 連