自交労働者No.580、2002年5月15日 |
衆院・国土交通委員会 |
大幡議員(共)が追及 |
第一交通の無法ぶりを追及する大幡議員=5月8日 |
第73回メーデー |
戦争法阻止など掲げ 全国372か所で集会 |
5月1日、全国各地でメーデーが行われ、自交総連の仲間もそれぞれ参加しました。 東京の中央メーデーは73回目。労働者の団結、医療改悪反対、戦争法阻止などを掲げて、亀戸中央公園に8万人が参加、3コースのデモを行いました。 日の丸自交労組は見事な登り龍の張りぼてをつくって参加、龍の腹には「タクシー労働者に食える賃金と眠る時間をよこせ」「これ以上の国民負担は許さないぞ」と怒りのメッセージ。 一部で雨模様の天気となりましたが、大阪・扇町公園に5万人をはじめ、372か所で集会・デモが行われました。 |
怒りの登り龍を担いで行進する東京・日の丸自交労組=東京・葛飾区内 あいにくの雨をついて集まり、団結のこぶしをあげる大阪地連の仲間=大阪市内 |
東京労働局 |
労災新基準にそって |
過労防止へ労働時間を指導 |
領家委員長(中央)先頭に東京労働局と交渉する東京地連の代表=4月19日 |
近畿運輸局 |
運賃原価に疑問なら認めず |
労働条件をチェック |
近畿運輸局と交渉する大阪地連の代表=4月9日 |
神奈川 |
同一運賃守れ |
全事業者に要請 |
【神奈川】神奈川地本は4月5日、運賃競争の抑制を求める要請を全事業者に送付、同一地域同一運賃の堅持を要請しました。
要請は、先に大量増車の自重を求める要請を出したのにつづくもの。大阪などでバラバラ運賃や割引の申請がされていることをあげ、適正な運賃こそ事業の健全な発展と労働条件に欠かせないと指摘、「同一地域同一運賃、上限張り付き」を今まで通り堅持することを求めています。
ある経営者から「組合の言うとおりだ」と地本に電話がかかってくるなど、さっそく反響がありました。
法違反80%、告示違反55% |
厚労省監督結果 |
「事後チェック」に不安 |
ハイタク企業の労働関係法違反は80%、改善基準告示違反は55%――厚生労働省は01年中の自動車運転者を使用する事業場の監督結果をまとめました。バス業では、労働関係法違反58%、改善基準告示違反49%でした。
【解説】8割が法違反、告示違反も半分以上という実態は、現在の集計方法になった92年以来、毎年つづいています。
この高違反率の常態化は、法律を守る意識が極めて薄いハイタク事業者の実態を示すとともに、規制緩和と引きかえに政府がやるという「事後チェック」の限界をも示すものです。
しかも、監督実施数が89年の1080から376事業場(ハイタクのみ)にまで減っていることは、事後チェックそのものさえできる体制があるのかとの疑問を生じさせるものとなっています。
厚生労働省の改善基準告示は2月から国土交通省告示ともなりましたが、労働組合の監視が欠かせません。
●ハイヤー・タクシー業の違反率の推移
年 | 1989 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 |
監督実施数 | 1080 | 417 | 361 | 370 | 382 | 385 | 376 |
法令違反 同 率 |
− − |
333 79.9% |
278 77.0% |
284 76.8% |
317 83.0% |
304 79.0% |
299 79.5% |
告示違反 同 率 |
569 52.7% |
237 56.8% |
199 55.1% |
214 57.8% |
225 58.9% |
210 54.5% |
206 54.8% |
厚生労働省 |
残業は月45時間以内に |
過労防止の通達 |
労災発生には司法処分も |
厚生労働省は今年2月、「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」との通達を出しました。昨年12月に脳出血等の労災認定基準を緩和したことを受け、長時間労働の防止をはかる方針を示したものです。タクシー事業には当てはまる部分が多いので、長時間労働の是正に活用できます。
【解説】労災認定基準の緩和では、過重労働について、時間外労働が発症6か月前から月45時間を超えていると業務との関連性が強まり、2〜6か月間に月80時間を超えているか1か月間に100時間を超えている場合には労災と認めるとしています。また、不規則な勤務▽拘束時間の長い勤務▽交替制・深夜勤務▽精神的緊張を伴う業務などが負荷要因となるとしており、タクシーはほとんどが当てはまります。
この基準を受け、通達では過労防止のため事業者がとるべき措置として、(1)時間外労働の削減(2)有給休暇の取得促進(3)健康診断の徹底実施などを定めています。
時間外労働は月45時間以下とするよう求め、45時間を超えている場合は産業医等の助言・指導を受ける、80時間を超えている場合は当該労働者に医師と面接による健康指導を受けさせることなどを義務づけています。
そして、過重労働による労災を発生させた事業場で労基法違反があった場合には、司法処分を含めて厳正に対処するとしています。
(自交労働者月報2月号に認定基準、5月号に通達を全文掲載)
平和大行進が広島へむけ出発 |
東京・夢の島を出発して都内を歩く平和大行進の隊列=5月6日 |
核兵器のない地球を――2002年原水爆禁止国民平和大行進が5月6日、東京・夢の島の第5福竜丸(米水爆事件の被害船)展示館前を出発しました。 アメリカが「テロ支援国家」対策などとして核兵器使用を依然公式の方針として掲げ、小泉政権が有事法制=戦争法の制定をねらうなか、平和への願いを込め、北海道・沖縄から広島へ全国を網の目のように歩き継ぐ平和行進が計画されています。 自交総連の仲間も参加して平和をアピールしました。 |
「改正」道路運送法−どこが変わった? どこがダメ? どう活用する? 〉連載 5〈〈〈 |
勤務時間等の基準告示 |
「改正」道路運送法では、従来から厚生労働省告示として決められていた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を国土交通省告示としてタクシー運転者の勤務時間の基準としました。違反には行政処分があります。
厚労省「改善基準」を国交省も告示 |
違反には行政処分、減点 |
改善基準とは
厚生労働省の「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準)は89年にそれまでの通達から告示になり、法律に準ずるものとして事業者が守るべき基準とされました。何度か改正され、現在の基準は下表のようになっています。
しかし、この改善基準は、法律ではないため罰則、強制力がなく、あくまで行政指導として事業者に「守ってもらう」という性格のものにとどまっていました。このため、実際には守られることの方が少なく、厚生労働省の監督結果でも、毎年、半数以上の事業場が違反しているという状況がつづいています(参照)。
厚労省の告示が国交省の告示に
今回、「改正」道路運送法の運輸規則で、運転者の勤務時間及び乗務時間の基準を国土交通大臣が告示で定める(第21条)ことになりました。
その基準として厚生労働省の改善基準がそのまま国土交通省告示ともなったわけです。
違反には行政処分と減点がある
国土交通省告示となったことにより、違反事業者に対して車両停止などの行政処分ができるようになりました。
処分の基準は、(1)告示の設定違反=初犯車両停止10〜30日車、再犯30〜90日車(2)告示の遵守違反=初犯10〜40日車、再犯30〜120日車となっています。
さらに、「改正」法とともに実施された違反点数制により、車両停止10日車で1点、51点で事業停止、81点で許可取り消しなどの処分が行われることになります。
従来は違反しても何のペナルティーもなかったのが、行政処分がされることにより一定の違反抑制効果が期待できます。
実際の処分には監視が不可欠
しかし、厚生労働省の監督結果にみられるように、違反の監視体制はきわめて不十分で監督数も年々減っている実態です。
国土交通省の監視体制についても同様の懸念が消えず、人員の点からも充分とはいえません。
労働者・労働組合が悪質事業者、増車事業者等について積極的に監視、申告・告発し、行政処分をさせていくいくことが、違反をなくすためには不可欠です。
「改善基準」告示の内容(タクシー)
日勤勤務 | 隔日勤務 | |
拘束時間 | 1か月 299時間 1日原則13時間 最大16時間 |
1か月 262時間 2暦日21時間 |
休息期間 | 継続8時間以上 | 継続20時間以上 |
休日労働 | 2週間に1回以内、かつ、1か月の拘束時間および最大拘束時間の範囲内 |
自 交 総 連