自交労働者No.581、2002年6月1日

第一交通 きちんと監査

国土交通省交渉

下限以下の値下げ

労働者の合意が必要


国土交通省と交渉する自交総連の代表
 自交総連は5月14日、領家委員長ら7人で国土交通省と交渉、悪質事業者対策などについて質しました。自交局旅客課海谷(かいや)課長補佐ら4人が対応しました。
 回答の要旨はつぎのとおりです。
 ◎新規・増車=(運転者の常時選任や車庫など)あやしいと思ったら、なるべく現地を見に行く。増車事業者には台数の多いほうから順に監査する。基本的にはみんなやる。
 (常時選任の判断は)日雇いなどを入れないようにするという趣旨なので、そういう実態が見られれば「十分な数」が選任されていないということになる。監査でも、そういうところを見る。
 ◎運賃変更について=(自動認可に該当しない値下げは)通達で、労働者の合意を要件としてある。(5000円以上5割引の申請は)事業者ごとに査定をして、人件費が(原価計算会社の平均より)1割を下回っていれば、労働者の合意が必要だ。
 ◎累進歩合やノルマの排除=政府全体としてとりくむ。監査で累進歩合があれば労働当局に通報する。
 ◎悪質事業者対策とくに第一交通=大手だから(監査を)甘くするというわけではなく、きちんとやる。増車したり事故があれば重点監査にも入る。個別に処分するなかで、(第一交通の処分が)集中すれば、問題が出てくると思う。
 ◎「改正」道路運送法の労働組合対象の説明会=地方ごとに運輸局と相談してほしい。


 厚生労働省交渉

 
悪質事業者 厳正に対処

違約金は労基法違反

 自交総連は5月20日、厚生労働省交渉を実施。今村書記長ら6人が参加、労基局監督課川又監察係長ら5人が対応しました。
 悪質事業者への対応では、「(第一交通の)不当労働行為事件は承知している。地労委が厳正に対処している。監督署は事業所を調査している。法違反があれば処分も行う」「(古知資本=イースタン千葉は)現在捜査中」としました。
 違反点数制導入で社内罰強化や事故の損害金を負担をさせる例が増えているとの指摘には、「月給の10分の1以上の制裁は労基法91条違反。事故の実損額と関係なく1件○万円などと決めていれば、賠償予定の禁止で16条違反。実費の弁償だとしても、賃金から勝手に引けば24条違反となる」と答えました。
 累進歩合などの通達違反、法違反の横行については、当初は「指導を徹底したい」と一般的な回答でしたが、通達を出すとか国土交通省との合同監査とか、実効をあげる措置が必要だとの再度の追及に「これからの監督のあり方、行政方針について、どういう工夫ができるのか検討したい」と答えました。


 岸和田労基署

 
第一交通の法違反を確認

指導強化を約束

 【大阪】第一交通の労基法違反を摘発せよ――大阪地連と佐野南海労組は4月26日、岸和田労基署と交渉、先に8項目の法違反を申告していた問題について聞きました。
 労基署側は「2回調査に入った。まだ最終結論ではないが」としつつ、次の点を明らかにしました。
 ◇協定無視の一方的賃下げは、労基法24条(全額払い)、労組法15条(労働協約の期間)違反である◇(36協定に関わる就業規則の虚偽報告は)届出に不備があるので改善するよう指導した◇連続勤務の実態がある。告示違反でもあるので改善させた◇累進歩合となっているので指導する◇深夜割増の未払いがあるので指導する。
 また、「(第一交通には)強い関心を持って再度の調査、改善指導を強化していく」と答えました。


 千葉・柏労基署

 
イースタン・古知代表 処分を

あらゆる手段で対処

 【千葉】5月13日、千葉地本小林委員長、イースタン千葉労組から藤崎委員長ほか2人、本部より久賀書記次長が参加して、昨年の1月31日に告訴・告発したイースタン千葉交通の古知一郎代表を即、呼び出し厳重な処罰を、と柏労基署に求めました。
 職場では労基法無視、是正勧告無視、組合差別など卑劣なやり方で、組合員が次々と離脱、40人にまで激減していると実情を訴えると、労基署側は、「これまで対応したどの事業者より悪質だ。これまで主任が対応していたが、事態を重視、次長が対処することとした。あらゆる手段を行使し古知一郎代表を呼び出し、場合によっては大阪に出向き対処する決意でいる」と述べました。


  

有事法制阻止へ4万人


大阪でも5600人が集会

 
労組、団体の枠越え
 
廃案へ共同広がる

 STOP! 有事法制5・24大集会が陸海空港湾労組20団体や宗教者団体など3団体のよびかけで5月24日、東京・明治公園でひらかれ、さまざまな立場や考え方の違いを越えて「有事法制反対」の1点で共同し、4万人を超える参加者が集まり、有事法制の廃案を強く求めました。
 集会では国会の内外から報告、女優の吉永小百合さんからもメッセージがくるなど、大きな運動になっています。自交総連からも75人が集まり、デモ行進に参加しました。
 また、大阪でも5月20日、全労連や連合加盟、中立の陸海空港湾労組のよびかけで有事法制反対集会がひらかれ5600人が参加しました。

4万人が集まった5・24大集会
=5月24日、東京・明治公園

大阪で5600人が参加した5・20関西集会
=5月20日、大阪市扇町公園


 「改正」道路運送法−どこが変わった? どこがダメ? どう活用する?
 〉連載 6〈〈〈

行政処分と違反点数制

  政府・国土交通省は、規制緩和後の安全確保のため「社会的規制は強化する」と言ってきました。その具体策の一つとして、法違反事業者への行政処分の基準を細目化して公表、運転免許の点数制と似た違反点数制が導入されました。

処分基準を明確化

点数たまると許可取消し

 行政処分とは
 行政処分は、刑事罰とは別に行政当局の裁量により法違反事業者に対して行われる処分で、車両停止、事業停止、許可の取消しなどがあります。
 今回、左表に一例を紹介したように、どのような違反に対してどの程度の処分がされるかの詳細が決められました。
 1台の営業車を10日(あるいは10台を1日)使用停止にするのが10日車です。

 処分の加重
 特別監視地域や緊急調整地域に指定された地域内では一定の違反の処分が1・5倍に加重されます。また特別監視地域で増車した事業者や故意・重大な過失による違反は2倍に加重されます。

 違反の点数制
 車両停止の行政処分自体は以前からありましたが、今回新たに違反点数制が導入されました。
 車両停止10日車を1点として、51点で事業停止、81点で許可取り消しとなります(点数は3年間を累計)。
 複数の支局にまたがる法人は、運輸局単位で101点で事業停止、161点で許可取消し、全国で201点、321点となると許可取消しとなります。

 処分の公表
 車両停止以上の処分を受けた事業者は、名称、違反行為の概要などが報道資料、インターネットで公表されます。

 主な行政処分の基準(タクシー)
違反行為 基  準
適 用
条 項
事  項初 犯
(日車)
再違反
(日車)
法23条運行管理者の選任違反20〜3060〜90
法31条事業の改善命令違反60許可取消
則21条国土交通大臣告示等(勤務時間、乗務時間)の設定違反※
国土交通大臣告示等遵守違反※
10〜30
10〜40
30〜90
30〜120
則22条乗務距離の最高限度違反◎10〜3030〜90
則23条運賃総額が一定基準以上になるような乗務の強制◎3090
則25条乗務等の記録義務違反※10〜2030〜60
則35条運転者の選任に関する義務違反警告〜1020〜30
則36条日雇運転者等の選任禁止違反※警告〜2020〜60
則38条国土交通大臣告示による運転者に対する指導監督義務違反  
 ア イ〜オ以外10〜2030〜60
 イ @速度違反30km/h以上
   A信号無視等で事故
   B酒気帯び等で事故
   C飲酒運転等
10〜20
40
60
60
30〜60
120
180
180
 ウ イCで公安委員会から通知初回20/2回目80/3回目以上 240
 エ 最高速度違反で公安委員会から通知警告/初回20/2回目60/3回目180
 オ 駐停車違反等で公安委員会から通知警告/初回・2回目以上10
 注.法=道路運送法、則=旅客自動車運送事業運輸規則
   ※印 最高乗務距離の限度を指定した地域では加重
   ☆印 タクシー業務適正化特別措置法の指定地域では加重
   ◎印 ※、☆印も含め特別監視・緊急調整地域では1.5倍、
      特別監視地域指定後に増車した業者は2倍に加算


自 交 総 連