タクシー運転者の賃金 10年間で83万円も減少 |
300万円を切る年収で安全輸送の確立が望めるのか |
01年度のタクシー運転者の賃金・労働条件の統計がまとまりました。年収は前年比1・2%減で、ついに300万円台を割り込み299万円に。1時間当たりの賃金は1207円でした。
タクシー労働者の賃金は91年に最高の382万円となって以来、ほぼ毎年下がりつづけ、10年間で22%、83万円も減ってしまったことになります。
地方ごとにみると、23地方が300万円未満、沖縄では200万円をも下回る196万円です。前年比で急に増加している地方もありますが、これはサンプル企業のとり方の違いによるものです(例えば大阪)。長期的な落ち込み傾向はどこでも変わりません。
落ち込みが激しいのは、山梨が96年から5年で167万円減、京都が94年から7年で163万円減などとなっています。
1時間当たりの賃金で1000円を切ったのは沖縄の801円をはじめ7地方でした。
2月から「改正」道路運送法が施行されていますが、同法成立時の国会の附帯決議では「適正労働条件の確立を図る」ことがうたわれていました。
300万円を切る年収で「適正労働条件」なのか、これで安全輸送の確立が望めるのか、事業者・行政の責任が問われています。
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南海電鉄本社前で宣伝する大阪地連の仲間 =6月6日、大阪市難波 |
【大阪】組合つぶしの偽装倒産・廃業を画策する第一交通の問題で大阪地連は6月5日、近畿運輸局・大阪労働局と交渉、連日の宣伝を行っています。
不当な偽装廃業を許可するなとの申し入れに、近畿運輸局の真砂旅客二課長は「組合の申し入れは理解できるので、何ができるか研究している」、大阪労働局の猪野主任監督官は「人権問題など労基法に基づいて対応したい」と回答。両局とも、今回の問題について非常に関心をもって対応しています。
5日には運輸局前の谷町で宣伝、6日には難波の南海電鉄本社を皮切りに、南海本線を南地協、高野線を西地協が担当して沿線でキャラバン宣伝を行いました。
【福島】組合結成直後に委員長ら3人が不当解雇されていた自交総連会津交通労組は、4日後の6月13日に解雇を撤回させました。
自交総連結成を察知した会社と交通労連全福島ハイタク労組は、結成メンバーを規律違反としてまずハイタク労組を除名、それを受けて会社が解雇してきました。福島地連と県労連が不当性を厳重に申し入れ、支援体制を整えるなかで、会社も弁護士に相談して解雇に正当性がないと忠告されたもようで、撤回を通知してきました。
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駅前で大型宣伝カーから訴える宣伝隊 =6月4日、青森・弘前駅前 |
【宮城】自交総連東北ブロック協議会は6月3〜5日、盛岡・弘前・青森市内を中心に未組織拡大宣伝行動を実施しました。
本部の大型宣伝カーからの訴えやアンケート調査、聞き取り調査を行った結果、どの市でもタクシー労働者の生活苦は限界に達している状況でした。
盛岡市内では、月に25〜26日仕事をしても手取りは最低賃金以下で、有休があっても取れず、休むと給料にひびき、ますます生活がひどくなるといっていました。
また、有休があることすら知らない人がほとんどでした。
この他、全自交の幹部が、組合費を流用して、大騒ぎになっていました。
弘前市や青森市でも全自交への批判が高く、全自交を脱退し自交総連への加入を申し込む団体も出てきていました。(渡辺敏春)
実質組合勝訴の決定 |
東京地裁 事務所は執行官が保管 |
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企業閉鎖と闘う三田自教の仲間 =東自教三田支部 |
企業閉鎖強行に対して組合事務所に泊り込みをして闘っている東自教・三田支部は、会社が提訴した「大小組合事務所明け渡し断行等仮処分事件」で東京地裁民事11部より6月4日、実質組合勝訴といえる決定をかちとりました。
決定は、(1)組合は大組合事務所の占有を解いて執行官に引き渡し、執行官が保管しなければならない(2)会社は小組合事務所を組合が使用することを妨害してはならないという内容です。
その理由として、当裁判所で企業閉鎖など営業上の変更は組合と事前に協議し同意を得なければならない旨を命じる仮処分決定がすでに出され、異議申立でも維持されていることが改めて認定され、建物の明渡しを断行すれば、会社が建物を取壊すおそれがあり、閉鎖に関する協議がされる前に練習所の再開が事実上困難になり、組合が被る不利益が少なくないとしています。
建物は執行官保管になり、会社の意図した建物撤去を阻止することができ、三田支部にとって大きな成果になりました。
5月22日、身体障害者補助犬法が国会で成立し(10月1日施行)、タクシーを含む公共輸送機関は身体障害者が利用する際の補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)の同伴を拒んではならないことが法律上も明記されました。補助犬同伴で気持ちよく乗車してもらうためにどうしたらいいのか、介助犬の場合について取材しました。
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駐車場のチケットを取る介助犬。以前は後続車に取ってもらっていた(写真提供=日本介助犬アカデミー) |
「介助犬を連れている障害者にとっては、タクシーは絶対必要な大切な交通手段です」日本介助犬アカデミー専務理事の高柳友子さんは、タクシーの重要性を強調しました。
障害者の介添え役
介助犬は肢体不自由の障害者の日常生活の手助けをする犬です。落とした物を拾ったり、緊急事態のときに携帯電話を持ってきたり、なくてはならない存在です。国内で活躍しているのは十数頭ですが、今後、多くの障害者に普及していくものと思われます。
法制化にともない、適切な訓練を受けた犬が公式の介助犬として認定されるようになります。まだ厚労省の通達が出ていないので詳細は未定ですが、証明書を犬が装着し、人も所持するようになります。介助犬は犬種が様々なので、この証明書で普通のペット犬と区別します。
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エレベーターのボタンを押す。介助犬は外出時はハーネスと証明書を装着している。仕事中ですから、町で見かけたら勝手に触ったり餌を差し出したりせず、暖かく見守って下さい(写真提供=日本介助犬アカデミー) |
少しの気遣いで
訓練を受けた介助犬は排泄で車内を汚すことはありません。抜け毛防止や体を清潔に保つようにしています。
「しかし…」と高柳さんは話します。「介助犬とはいえ完璧ではありえません。雨の日などどうしても足が汚れ、使用者自身も障害のために十分手入れができない場合もあります。原則として犬は座席の足元の床に乗りますが、車内にビニールシートか古新聞など用意しておいて敷いてもらえると、とてもありがたいのです」。
「何か問題があれば遠慮なく言ってもらいたい」「数年前と比べると『乗車拒否』はずいぶん少なくなりました。乗る側も乗せる側も相手の立場を理解できる関係でありたい」と要望されました。
タクシーは、障害者が普通に社会生活をおくるための交通権を保障する大切な役割を果たしています。運転者側のちょっとした気遣いで気持ちよく乗ってもらえるようになり信頼が増します。
リフト車の普及を
「タクシーを使いたいけど使えない場合がある。普通車のタクシーでは電動車椅子は乗れません。リフト付車両が気軽に乗れるように普及してほしい」との切実な願いも。
行政や事業者にも積極的な対応が求められています。
自 交 総 連