自交労働者No.590、2002年11月1日


第一交通の区域拡張を却下せよ

近運局前座り込みに200人
行政は組合つぶしに手を貸すな

大阪地連

近畿運局前で座り込み行動を行う大阪地連の仲間=10月17日、大阪・近畿運輸局前
 【大阪】近畿運輸局は第一交通の組合つぶしに手を貸すな――大阪地連は10月17日、近畿運輸局前で「卑劣な御影第一交通の区域拡張申請を却下せよ」と、組合員約200人が参加し座り込みと個人請願行動を行い、また同局抗議の申入れを行いました。
 これは組合つぶしの一貫として、第一交通は、自交総連の存在する佐野第一交通を計画的に偽装倒産・廃業させ労働組合の壊滅を目的におこなったものです。 竹本委員長はあいさつで「日本の運輸行政は現場の声も聞かず一方的に『改正』をおこなった。また、この悪法を使い第一交通が今回のように組合をつぶすために会社を立ち上げるなどと言う暴挙を行うのだ。行政の責任で申請を却下せよ」と痛烈に批判、怒りの声をあげました。
 最後に、岡田副委員長の発声で「団結がんばろう」を三唱後、真砂旅客2課長にたいし「請願書」を読み上げさらに、参加者によって、1800筆の同書を提出し、午後からは同地連の代表者らが請願書に基づき交渉を行いました。

 神奈川地本


殺害事件で支局交渉

再発防止を強く要請

運輸支局と交渉する神奈川地本の代表=10月24日、神奈川・運輸支局内
 【神奈川】2002年8月31日の深夜、京急交通の川島りつ子さんが乗務中に殺害された事件で、神奈川地本は再発防止を求め、県タクシー協会・神奈川陸運支局・京急交通にたいし、10月16、17、24日にそれぞれ要請行動を行いました。  タクシー協会への要請は、各車に防犯カメラの設置など5項目の内容で行い、タクシー協会は「9月6日に会長名で緊急通報装置の設置などと、緊急事態時の乗務員の対応について通達を出した。しかしこれで万全と言うことではなく、この問題では今後労働組合と協力して乗務員の安全を確保していくための方策を作り上げて再発防止に積極的に取り組んでいきたい」と答えました。  支局交渉では、神奈川のタクシー協会に支局長命で再発防止に関わる通達などを出すよう要請しましたが明快な回答はなく「支局長に申入れがあったと伝える」程度に止まり、今後の支局の姿勢が問われています。

 宮城・泉タクシースクールバス分会

団交で不安定雇用に歯止め

労働条件改善に大きく前進


【宮城】去年10月に1人で宮城地連ハイタク一般労働組合に加盟した泉タクシーバス分会(現在は4人)は、9月28日、七北田コミュニーティーセンターにおいて、第3回目の団交を行いました。
 団交の中で、高平社長は組合側が提出した要求書や1年雇用の撤廃について「1年雇用を期限のない雇用として60歳定年となっても働けるなら、そのまま継続できるようにする。来年の雇用期限がきても、このまま継続できるように協定書を結ぶ」と回答しました。
 また、基本給11万8000円を3万円引き上げて、基本給を14万8000円とすることに対しては「基本給をいま変えることはできないが、みんな一律にして、みなし時間にし、20万〜21万円ぐらい になるように協定書をかわしたい」と答えました。
 今回の団交では経営者側から1年雇用を撤廃させたことや、学校が休みのさいの賃金を保障させるなど、不安定雇用の流れに歯止めをかけ、組合の団結で労働条件改善に向けて大きく前進しました。

 交運共闘

タクシードライバー法を要請

日本共産党と懇談会


日本共産党と懇談する交通運共闘の代表=10月18日、衆院第2議員会館

10月18日、交運共闘(12万人)は、交通運輸の安心・安全を中心に、坂田議長、今村事務局長ほか、各単産の代表と、日本共産党の瀬古由紀子衆議院議員富樫練三参議院議員ほか、議員会館で懇談会を行いました。
 トラック・ダンプ、タクシー、港湾に関連する単産から趣旨説明を行い懇談しました。
 全運輸福田委員長は規制緩和による現場の実態は、火事場に裸で消しに行くようなものだと痛烈に批判。タクシー関係では、久賀書記次長が2月新道運法施行で新規・増車、運賃ダンピング、悪質事業者の組合つぶし、沖縄の駆け込み増車など現実におきている問題の対処と、自交総連の国家資格によるタクシードライバー法制定の運動に、日本共産党としてどう対応していただけるのかをご検討願いたいと要請。瀬古議員は、まったく歯止めがない規制緩和になっている。国会答弁、付帯決議などないがしろにされていて国の責任をどうするのか、各省庁交渉、質問趣意書など部会で議論し対応したいと約束しました。

 この成果を全国に 
 大阪・三和交通労組

解雇無効の全面勝利
大阪地裁 最賃の保障は法律に従え

 【大阪】大阪三和交通労組は10月4日、副委員長が解雇されていた事件で、解雇を無効とする組合側全面勝利の判決を大阪地裁よりかちとりました。
 この事件は、会社が解雇に関する就業規則を改訂し、最賃に満たない賃金となる乗務員は、能率が著しく劣るものと認められ、解雇の対象となるが、最賃法により会社が保障した差額を従業員が会社に返すのであれば解雇はしないというもので言いかえると最賃法の保障を受けたいのであればクビを覚悟で受けとれというもので、江藤副委員長が会社に最賃の保障をもとめたところ、解雇されたというものです。
 今回の判決で裁判所は「会社が主張する一方的に変更した就業規則は最賃法の主旨を没却するもので無効であり、会社が制度的に保障するからといって、最賃の保障の枠をはずすことを制度として認めてもいいとはならない」としました。
 また、最賃の計算方法として隔日勤務の場合、1乗務2日とする事も確認されました。  今回の判決は、クビを覚悟しなければ最賃の保障を受けられないという会社の脅しが、最賃法の主旨に反して違法であることを明確に判断しました。


 9月末現在

増車等は5346台
運賃値下げ大幅増加

 国土交通省のまとめによると、新道路運送法施行後8か月間(2月1日〜9月末)の増車等は5346台、運賃値下げ申請は2328社となっています。
 増車関係では、新規許可申請が99社768台、営業区域拡大申請が44社352台、増車届出が1331社4226台で、合計1474社5346台です。 地域的には、宮城、神奈川、京都、大阪などが突出しています。
 運賃関係では、9月中に東京の法人71社・個人879者が東京〜成田空港間の定額運賃(ゾーン別に1万4000〜2万円)を申請したことから大幅に増えました。

タクシー増車・運賃等の届出・申請状況
(国土交通省調べ、2002年9月末現在)
新規許可申請 99社 763台
営業区域拡大申請 44社 352台
増車届出 1331社 4226台
合  計 1474社 5346台
運賃変更申請 2328社(個人含)


 解 説

団交や裁判の権利を奪う
新仲裁法は労働者に不利

 政府の司法改革推進本部は労働者の権利に重大な影響を及ぼす新仲裁法の制定をめざすことを発表し、来年の国会での法改正も予想されます。この法律、じつは大変な悪法です。
 仲裁とは、紛争がおきたときは第三者の仲裁人の裁定に服することを当事者間で予め合意しておくことです。その場合、仲裁の裁定は強制力をもち、不服であっても別途裁判に訴えることはできなくなります。
 司法改革推進本部の案では、このような仲裁の適用範囲に労働契約も含まれることになっています。
 そうなると、例えば、労働条件の改善を求めて団体交渉を申入れても仲裁を理由に団交を拒否される、解雇や賃下げで裁判を起こそうとしても、仲裁制度で解決しろということになって、裁判に訴えられないという事態が予想されます。
 予め仲裁契約を結ばなければいいといっても、入社時に就業規則に仲裁に合意する旨の条項があった場合、採用を希望する圧倒的に弱い立場の労働者がそれを拒否することなどできるはずもなく、合意して入社したとみなされてしまいます。
 新仲裁法の適用対象から労働契約を除外する運動を早急に強めなければなりません。


 労働組合キホンのキ

団交は労働組合の法律上の権利
拒否や不誠実な回答は禁止

  前回、要求提出について書きましたが、要求を出したら次は団体交渉(団交)です。団交は労働組合に認められた法律上の権利であり、要求実現へ前進する大切な場面です。

(6)団体交渉の申し入れと団交拒否

 要求を提出する場合には「団体交渉申入書」も同時に提出します。

 団交拒否は違法

 団交というのは、単なる任意の話し合いではなく、法律で規定された労働組合の権利です。経営者は、正当な理由がなくて団交を拒むことはできません(労働組合法第7条)。
 社長の病気など真にやむを得ない理由があれば、団交の日時を変更することは可能ですが、これも会社側が何度も引き伸ばしたりすれば「団交拒否」に当たり、不当労働行為とみなされます。

 交渉委員の人選は組合の自治

 団交に参加する組合側の交渉委員は組合が自主的に決められます。よく会社側は、上部の人は除いて…などといってきますが、経験豊富な幹部を排除することで何とか丸め込もうという意図にほかなりません。
 「労働組合の委任を受けた者は…交渉する権限を有する」(労組法第6条)と規定されていますから、自交総連の地連・本部、地域・地方労連の役員などの参加を会社は拒否することはできません。

 不誠実な回答はゆるされない

 団体交渉で会社は誠意を持って回答することが義務づけられています。
 責任ある役員を出席させず、社長と相談してからなどといって何度団交しても回答しない◇理由も説明もなく要求拒否を繰り返す◇資料も根拠も示さず経営状態が悪いからなどとして要求を拒否する――などは不誠実団交として不当労働行為になります。


【団体交渉申入書の例】
○○株式会社
 代表取締役社長 ○○殿
               ○年○月○日
               ○○労働組合
                執行委員長○○(印)
      団体交渉開催に関する申し入れ
 ○年○月○日に提出した賃金はじめ労働諸条件改善要求について、下記のとおり団体交渉を申し入れます。
            記
1.日  時 ○年○月○日 ○時より
2.場  所 社内の会社指定の場所
3.交渉委員 会社側 本件解決に責任の持てる会社役員
         組合側 組合員(執行委員)全員、自交総連○○地連代表、○○地方(地域)労連代表(その他にも必要な委員があれば記入)
4.連  絡 日時、場所等についてやむを得ない理由で変更したい場合は、至急ご連絡ください。
                      以  上



新加盟のなかま
滋賀県で組合結成
 (664)京都・汽船タクシー新労組

【京都】滋賀県大津市にある汽船タクシーで働く仲間は10月15日、汽船タクシー新労働組合(藤田裕允委員長5人)を結成、自交総連に加盟しました。  同社には、汽船タクシー労組がありそこで活動していましたが、さらなる労働条件の向上と既存の組合の非民主的運営からこの度脱退し新たに組合を発足、現在は既存組合と同等の協定書を締結させるために会社に要求書を提出しています。


自 交 総 連