自交労働者No.592、2002年12月1日


ルールなき競争やめ安全を守れ


11・20統一行動


許すな増車・悪政推進


国交省に怒りの請願行動

 許すな! 増車・ルールなき競争と悪政推進、再規制でタクシー労働者、国民の安心・安全を自交総連は11月20日、11・20全国統一行動にとりくみました。東京では、東京地連の仲間が早朝からビラ宣伝、その後国土交通省前で交運共闘の仲間と個人請願行動、日比谷野音での中央総決起集会、国会請願デモをくりひろげました。また午後からは代表が省庁交渉も行いました。(関係記事は2面、地方の行動については次号)


東京駅前でビラを配る仲間=9時
 早朝8時から山の手線の各駅を中心に宣伝行動を開始。宣伝カーからタクシー労働者の悲惨な実態を訴えビラ1万枚を配りました。
 10時15分には、国土交通省前に交運共闘の仲間も含め約1500人以上が集まり、個人請願行動を開始。参加者は、国土交通省の職員に「規制緩和の誤りを正せ」などの一言を添えて請願書を手渡しました。
 請願後、日比谷野外音楽堂で全労連・中央総決起集会に参加、国会までデモ行進をし、午後からは、代表が警察庁、国土交通省、厚生労働省、環境省と交渉しました。


請願をするため国土交通省前に集まった1500人の仲間たち=10時15分

国土交通省の担当者に請願書を手渡しする仲間=11時


日比谷野音に全国から6000人が集まり決起集会=12時


国会までデモ行進する仲間たち=13時
行動参加者の願い

 東京のタクシー乗務員(28)「規制緩和によってタクシー業界はめちゃくちゃになった。このままではタクシー労働者に未来がないので、この行動でタクシー労働者の未来がかわることを願っている」
 茨城・関鉄水戸タクシー労組高橋道夫さん(55)「規制緩和によってタクシーが街にあふれ、安心・安全の輸送が崩壊しているので一日もはやく、再規制をしてほしい」
 神奈川・三和支部高野和宏さん(40)「今の賃金ではまったく生活ができないので最低限の生活ができるような制度を国に望む。また、規制緩和で将来に不安を感じるようになったので、その不安がなくなるような政策を作ってもらいたい」
 東京・東都労組昼間秀男さん(49)「今回の行動にこれだけの人が参加して団結するのはとてもすばらしいことだ。この団結の力をもって規制緩和を撤廃していきたい」
 など、それぞれ抱負を話していました。

 

 国交省交渉

運転者いなければ計画変更、減車

「悪質企業の情報提供を」



国土交通省に要請書を渡す領家委員長(右)
 国交省交渉には領家委員長、今村書記長他16人が出席。応対した多門勝良・旅客課長補佐は、「基本的には市場原理を導入したわけだが、利用者にも労働者にも利益になればと思っている。いま批判を受ける立場でみなさんの話を聞いているが、安心・安全に関わるものについては、できるだけ事後チェックで頑張る」とした上で、次のように答えました。
 【回答要旨】(1)タクシー運転者の選任については、(通達でも明らかだが)短期の雇用はよろしくない。増車しても適切な数の運転者が確保されていなければ、事業計画の変更、減車ということになる。実態をふまえ制度の適正な運営をはかる。
 (2)安全に関わっては、過労防止の観点から平成元年の労働大臣告示を今回、国交大臣告示として定めた。厚労省との相互通報制を活用し、連絡を密にしてやるつもりだ。
 (3)自動認可運賃を下回る値下げ申請の場合基本的には運転者の給与が(原価計算対象事業者の平均額より)1割を超えて下回っていれば、(労働者の)了解をとることが原則だ。同意書の提出が必要である。(4)(悪質企業への改善指導では)急激な増車や企業拡張の場合に監査でみてるし、労使紛争があれば、特に注意している。何かあれば補完的に情報提供をお願いしたい。
 
 
 厚労省交渉

最賃法違反を指導せよ

「情報もらって対応」


 厚労省交渉には菊池書記次長ら6人が参加、労基局監督課川又修司監察係長ら9人が対応しました。
 最賃法違反が続出している異常事態となっていることについて、「重点項目として監督指導している」との一般的な回答に対し、経済苦からの自殺者が頻発していること、申告したら就業規則の改悪をして解雇する悪質企業まであることを指摘して追及。省側は「最賃法違反が多いのをよしとしているわけではない。指摘された点も踏まえ、情報も提供してもらって対応したい」と答えました。
 法令遵守の徹底について、監督件数自体が大幅に減っているとの追及には、人手がないと言訳めいた本音をもらし「(上に)増員するよう要求している」と答えるとともに「申告や情報提供があった場合はもちろん、タクシーは重点業種として監督指導している」としました。
 新道運法施行という新しい事態に対応して本省から通達を出して違反一掃を徹底すべきだとの追及には「中央労基局として自動車関係を重点としてしっかりやれといっている。そういうこと(通達)も含めて考えていきたい」と答えました。
 
 
 環境省交渉

大気汚染防止に減車を

「排ガス規制に力を入れる」


 環境省交渉は高松副委員長他、東京・神奈川の代表ら5人で申し入れました。
 応対したのは環境管理局自動車環境対策課・吉川和身課長補佐含め2人で、次のように答えました。
 「97年頃からタクシー関係にはアイドリングストップ運動にご協力頂いている。PM法の基準を10年前に作り、一昨年には達成しているはずだった。車がむちゃくちゃに増え、特に東京は目標の達成率が悪い。国交省に対し、物流・人流など局長会議で取り上げてほしいと要請している。10月に大気汚染の判断が出て以来、排ガスに力を入れることになった」。組合側からは、「規制緩和でさらに車両が大幅に増えれば渋滞・排ガスをまき散らすことになる。無駄なことを規制し、もっと環境行政を優先すべきだ。今後、情報なども公開し、組合側にも教えてほしい」と要望しました。
 
 
 警察庁交渉

過労運転はさせるな

「使用者責任も含め追及する」


 警察庁への要請は、高松副委員長をはじめ東京・神奈川の代表など6人で行いました。
 同庁からは、交通企画課・筒井洋樹課長補佐含め4人が応対し、「タクシーの事故が急増しているのは(過労運転など)要請文のとおりだと思っている。今後は、使用者責任も追及する」と述べ、また駐車の正常化については、「タクシーの客待ちについては除外する。タクシーベイなどは京都では設置されており引き続き努力していきたい」と答えました。
 さらに、「今回の道交法改正によって事故が大幅に減っている。酒気帯びについてはパンフレットを作成し教習所などで活用している」、運転代行の駐車違反については「交通の妨げや事故の原因にもなっているので適切に対処する」「白タク行為については、罰則とは別に営業停止のしくみもできたので適切な運用で対処したい」などと答えました。
 
 
 この成果を全国に

不法目的の協約破棄はやめよ

白浜南海タクシー労組

和歌山地労委 謝罪文の提出を命令

 白浜南海タクシー労組は10月28日、一方的協約破棄をはじめとする第一交通の一連の不当労働行為についての是正命令を和歌山地方労働委員会よりかちとりました。
 白浜南海タクシーは01年3月、佐野南海交通などとともに第一交通に株式譲渡され、その後、一方的協約破棄などの不当労働行為がつづけられていたために同労組が昨年地労委に救済を申し立てていました。
 命令では、一方的破棄について、協約の解約については何ら制限はないものの、その解約が組合の弱体化を狙うなど不法な目的の場合には解約権の濫用であり許されないとし、今回の破棄通告が、団交拒否、新賃金実施、チェック・オフ停止など一連の動きのなかで行われ、組合に協約当事者としての地位を失わせ、組合のよりどころを奪い、組合の弱体化を狙ったもので、支配介入の不当労働行為に該当するとし、協定は引き続き効力を有するとしています。
 また、その他の事項についても、中退共脱退は本人の同意がなく違法のうえ協定違反であり支配介入の不当労働行為とした他、団交拒否など、これまでの不当労働行為に対する謝罪文の提出を命じています。
 
 
 労働組合キホンのキ

闘いとった成果の証拠
就業規則に優先する効力もつ

(8)労働協約の締結 とその効力

 使用者と労働組合の合意内容を書面にして双方が署名または記名捺印したものが労働協約です。労働協約で決めた事柄は、労基法や就業規則にも優先して、使用者は守る義務を負います。

合意を文書にすれば労働協約

 労働協約というのは、労使の合意内容を文書にしたもので、最低限、双方の署名さえあれば成立し、法的拘束力をもちます。協定書、確認書、合意書、覚書、仮協定など名前は何であっても構いません。
 労働協約で決めた内容は、就業規則、労働基準法にも優先します。
 例えば、週の労働時間(所定)は労基法では40時間です。就業規則でも40時間と決まっているとき、労働協約で35時間と協定したら、それが優先され35時間となるわけです(逆に週48時間というような労基法違反の協定をした場合はその部分は無効)。
 労働協約に定める内容は、賃金、労働時間をはじめ、退職金、休日、賞罰、災害補償など労働条件全般に加え、廃業・企業譲渡など重大事項の事前協議・同意条項(同意約款)など労使関係に関わるあらゆる事柄が含まれます。
 労働協約があれば、それに反する一方的な労働条件の改悪はできなくなるわけですから、その効力は非常に大きなものがあります。まさに労働組合が闘いとった成果の証拠が労働協約なのです。

一般的拘束力

 職場に4分の3を超える多数派の組合がある場合、そこが結んだ低い労働条件の協約を少数の組合に押しつけてくることがあります。
 労組法17条の一般的拘束力を根拠にしたものですが、この適用を受けるのは未組織労働者の場合であって、少数ではあっても労働組合がある場合は、その組合の独自の団結権、団体交渉権を保障する観点から、他の組合の協定に拘束されることはありません。



自 交 総 連