自交労働者No.594、2003年1月1日



 
人間復興の新たな途を開く
悪政転換のため奮闘を

自交総連中央執行委員長 領家 光徳


 あけましておめでとうございます。

 小泉内閣の20か月は、国民のいのちと暮らし、日本経済の破壊と、日本の平和と民主主義を損なう悪政であることが明らかとなりました。この悪政に対し、国民諸階層の共同のたたかいが広がり、地方政治の変化はその政治的基盤をつき崩しつつあります。

 新道路運送法が施行され、1年を迎えようとしており、誰もが経験したことのない情勢に遭遇しています。特に既存業者の並外れた増車申請、多様な運賃申請は、不況と相まって地域最賃制や生活保護基準を下回る状況を生み出し、生理的限界をこえた労働は、人間としての生存権すら否定されようとしています。関連諸法規の遵守も形骸化され、こうした実態を反映して、産業の社会的使命である「安全」も損なわれようとしています。また、史上最悪の失業率の中でも労働力の流入は、過去の定説を覆し、シルバー的産業への加速を否定しがたい事実で示しています。

 この事態を迎え、新法導入時の各組織の主張と対応が、歴史に耐えうるものであったのか検証され、現実が証明しつつあります。

 今日の実態は、政府・行政の責任と業界・経営者の社会的存在意義が鋭く問われ、戦後の規制の仕組みの中でも克服しがたい矛盾が規制緩和で一層深みに陥っています。こうした状況を打開するためにも産別組織の意義が問われています。

 その矛盾の解決への共同の追求とあわせ「タクシーのそもそも論」を明らかにし、人間復興のため「その主役である乗務員・利用者主役の仕組み」の実現に向け、地域に密着し、社会的に誇れるモラル・技能・知識を備えながら新たな途を切り開くため、統一地方選挙の年でもあり悪政転換の課題と併せてともにがんばりましょう

 
 

新しい自教労働運動の1年に
ピンチをチャンスに変えて


全国自教労組共同センター事務局長 石川 明

 21歳で教習所に入り、今日まで教習所の組合活動を続けてきました。この間、厳しいこと、つらいこと、もちろんそれを上回る楽しいこともありました。

 しかし、近年は長年にわたって苦楽を共にしてきた仲間が、定年で職場を去っていく寂しさを味わっています。

 今年は、二種免許や自動二輪のAT免許が始まる年になります。入所減というなかで、様々な「合理化」攻撃が出ていますが、業務拡大と職場政策の確立を両論に、希望に向かう1年、新しい自教労働運動の始まる年にしようではありませんか。

 情勢の厳しさの裏には、新しい発想が生まれるチャンスが隠れています。ピンチをチャンスに変える、そんな自教の運動を共に取り出していきましょう。

 定年を迎える仲間に、安心してもらえる教習所作りをめざし、みなさんがんばりましょう

 
 
 

組織拡大をめざし
昨年以上に奮闘する

大阪地連バス部会長 松尾 憲司


 新年おめでとうございます。

 昨今の観光バスを取り巻く情勢は、戦後最悪の未曾有の不況と利用者のニーズの多様化や旅行会社の横暴、2000年2月1日に廃止された需給調整規制で、貸切バスの状況は益々悪化の一途をたどっています。

 大阪府内の貸切バスは、新道路運送法施行後、25社264両が増えており需要が低迷している中での供給過剰により、労働者の生活環境は最悪の状態にあります。経営者は労務費の軽減を目的に派遣会社や子会社化を進め、規制撤廃後、大阪地連傘下の観光バス会社2社が破産倒産をしました。

 2004年から施行されるディーゼル・排ガス規制は、車両の入れ替えなど資本投下が必要となり、経営を圧迫させることになります。

 しかし、観光バスの話題は暗い話だけではありません。

 それは大阪地連が提案した観光バスの事業化です。同地連には、すでに組合で経営をしている観光バス会社がありますが、この会社にも協力をもらいながら、事業化の研究を進めて行きたいと考えています。

 今年は観光バス労働者の組織拡大と自業化にむけたとりくみに奮闘し、昨年にもましてがんばっていきたいと思っています。

 

 
 
労働者へのしわ寄せは認める

吉川議員(共)参院で質問小泉首相が答弁」


タクシー労働者の年収と事故のパネルを示し小泉首相に質問する吉川議員=12月10日
タクシー労働者の年収と事故のパネルを示し小泉首相に質問する吉川議員=12月10日、参議院内閣委
 参議院内閣委員会で日本共産党の吉川春子議員が12月10日、タクシーの規制緩和問題をとりあげ、小泉首相に直接ただしました。

 吉川議員は、不況に加え規制緩和でタクシーが5000台も増車され、労働者の賃金が大幅に低下し、事故が急増していることを示し、政府のすすめる構造改革・規制緩和の危険性を指摘しました。

 小泉首相は、「乗客が少ないにもかかわらずどんどん台数が増えているということで、タクシーの運転手さんの勤務状況、大変だなというふうに思っております」と答え、「規制緩和についても、プラス面もあればマイナス面も出てくる」「今までできなかったいろいろなサービスが展開されるいい面と、それによってしわ寄せされるような面というものをどうやって緩和していくか、あるいは直していくかということをやっぱり労使一体となってよく考えていくべき問題ではないか」と、規制緩和のマイナス面は認めざるをえませんでした。

 また、低営収下で累進歩合が横行しているとの質問には、最低賃金額や保障給など労働基準関係法令の違反がないよう監督指導に努めると答えました

 
 
介護タクメインに運行

福岡ワーカーズコープタク

組合員45人で起業


ワーカーズコープタクシー福岡開業式=12月14日、福岡・糟屋郡
ワーカーズコープタクシー福岡開業式=12月14日、福岡・糟屋郡
 【福岡】福岡地連の組合員45人で起業した「ワーカーズコープタクシー福岡」の開業祝賀会が12月14日、本部今村書記長ら多数の来賓が出席するもと同所で開催されました。

 同事業は介護タクシーをメインに、小型車15台、ヘルパー資格者38人体制で、12月20日から運行を開始しており、年明け早々にも前原営業所(5台)を申請する予定となっています。

  
 
戸惑いながらも新聞できた

関東ブロック教宣学校 初参加者が8割

教宣学校で新聞作りに奮闘する参加者=11月25〜27日、茨城・大洗
教宣学校で新聞作りに奮闘する参加者=11月25〜27日、茨城・大洗
 関東ブロックの第17回教宣学校が11月25〜27日、茨城県の大洗でひらかれ、東京・神奈川・茨城から58人が参加、機関紙づくりを学びました。

 8割以上が初参加者で、みんな熱心に講義を聴いたあと、4人づつの班に分かれて実際に新聞やビラをつくりました。

 「何から手をつけていいのか戸惑いばかりで大変でしたが、新しい仲間との交流もでき、楽しかったです」(東京・日の丸交通労組 黒澤英夫さん)

 「初めてビラづくりに参加して、大変な仕事だというのがわかった。これからは、ビラも、つくる側の気持ちに立って、ゆっくり時間をかけて読みたい」(茨城・茨交水戸労組

 竹内幸子さん)

 などの感想が聞かれました

 
 東京地連
運賃競争反対の声明

減収分の補償を求める

 【東京】東京地連は、新道路運送法施行による規制緩和の弊害と運賃競争に反対する声明を経営者・関係機関に対し発表しました。

 【声明要旨】(1)定額運賃制の導入により、今日営業収入が低下しているが、割引いた運賃によって減少した営収を補償するよう企業に要求する(2)大口割引などの料金競争はタクシー運転者に無謀な競争をさせ重大事故を誘発するもので安全輸送の崩壊を加速させるものであり実施の中止を求める。(3)東京都と公安委員会の導入した駐停車禁止とするレッドゾーンはタクシー利用者の乗車、下車を妨げるものである。従ってタクシーの乗降車には、特例措置を要求する。(4)国土交通省は、ボランティア活動に運転者報酬も請求できる福祉輸送を検討しているが、このことは二種免許を有し、ホームヘルパー二級を取得したプロドライバーがその役割を果たすことが必要であり、その制度化を求める。(5)東京・神奈川で発生したタクシー強盗殺人は、我々にとって重大な問題であり非常事態を知らせる機器の改善などを経営者や関係機関に求める

  
 交運共闘国交省・厚労省交渉
「安全と生活・雇用確保」を要求

国民の交通権を保障しろ

 交運共闘は11月27日、坂田議長、今村事務局長ほか7人で国土交通省に対し、「総合交通基本法(仮称)」の制定など3項目の交通運輸政策に関する申し入れと交渉を行いました。

 国民の「交通権」の保障についての要求に対し、役所側から法案の提出をするという立場にないが、と前置きし、国が関与するということになれば財政の確保も必要で、よりよい交通サービスをめざすことになるだろうと否定はしませんでした。また、規制緩和後の輸送秩序、安全対策、生活交通、公正取引の確保などの事後チェック体制については、安全対策は事後チェック機能の強化のため新たにできた「監督指導部」で対応し、立ち入り検査、監査体制の強化と、内容の充実を図る。また排ガス規制による環境問題では、ディーゼル車のフィルター導入などに今年度は国として27億円を補助する、などと前向きに回答しました。



悪質経営者を徹底指導しろ

 交運共闘は11月27日、坂田議長、今村事務局長ほか7人で厚生労働省に対し、労働行政に関する申し入れと交渉を行いました。地域最賃などを理由とした賃金減額や累進歩合制の拡大などの根絶に向けた対策に対し省側は、長時間労働やスピード違反になりかねないような場合は指導・点検している。通達に基づきサービス残業は重点事項・遵守のため監督指導を徹底していきたい。また、累進歩合については法的拘束力はなく指導が中心としながらも、通報制度は有効な手段だと思っている。36協定が守れないなど、監督署に申告していただくなど客観的事実があれば具体的に指導ができると回答しました。

 坂田議長が、経営コンサルタントが最低賃金レベルの出来高賃金を経営者に指導している、これに対し監督署は見てみぬ振りをしていると名指しで暴露すると、厚労省は直接事実関係を確かめることも含め調査の約束をすると答えました。




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