自交労働者No.595、2003年2月1日


第25回中央委員

規制緩和で生活破壊

行政・経営の責任追及


 自交総連は1月29、30の両日、東京・全労連会館で第25回中央委員会をひらき、2003年春闘方針を決めました。中央委員会では15人が発言、各地の厳しい労働実態やタクシー台数規制廃止に伴う弊害などを告発、情勢認識を深め、新道運法施行丸1年を迎える2月1日に台数規制廃止に抗議する2.1宣伝行動を実施するのを皮切りに、労働者・労働組合の権利擁護、労働条件改善や組織拡大など2003年春闘に勝利する決意を固めました。

領家委員長のあいさつ

領家委員長
 新道路運送法が施行されて1年、増車は全国で6800台、運賃も二十数種類に及び、事業者は自殺的な競争に突き進もうとしています。労働者の賃金は十数年前に引き戻され、人間としての生存権さえ否定されようとしています。
 この現実をみた時、自交総連が再三にわたり規制緩和の弊害を指摘してきたことが証明されています。規制緩和を強行した政府・行政の責任と追随してきた業界の責任を問わないわけにいきません。
 その責任を追及する闘いと当面の「合理化」攻撃を許さない闘い、さらに政策提起のなかで共同を広げ、人間らしい労働の復活のために、タクシーの主役である乗務員・利用者中心の仕組みの実現をめざしましょう。

03春闘方針を決めた第25回中央委員会=1月29、30日、東京・全労連会館

提出議題案を採決する参加者=中央委員会2日目
 組織・未組織を問わず苦しみに追い込まれているすべての労働者を視野に入れて運動することが重要です。
 小泉内閣の20か月は、国民の命と暮らしを追い詰め、平和と民主主義を損なう悪政であることが明らかになりました。国民との矛盾も深まり、支持基盤がほころび始めています。社会保障改悪、消費税増税、イラク攻撃への加担、有事法制制定などに反対し、悪政の転換を春闘の職場課題と結びつけて闘おうではありませんか。
 未組織労働者の組織化は労働組合の任務です。幹部活動家が組織者となり世話役活動など日常活動のなかで、自交総連の強化・拡大をめざしましょう。


 
 

労働組合の力が求められている

来賓3氏があいさつ


闘う労働組合
の役割発揮を

 全労連・岩田幸雄事務局次長 今年の春闘は大変厳しい情勢での闘いとなるが、そんな厳しい中にも勝利の芽や闘いの前進があることに確信をもっている。こんな時代だからこそ闘う労働組合としての役割や本当の力が求められている。怒りを行動にして立ち上がり、要求の前進や組織の拡大のために03春闘をともにがんばりましょう。

労働者犠牲の
規制緩和反対

 交運共闘・板倉隆幹事 港湾では、2年前の規制緩和によって荷主や船会社の値引き強要や、大手企業の新規参入などによって港湾事業者の経営環境は日増しに厳しくなっています。大変厳しい実態ではありますが、「労働者犠牲の規制緩和には反対」することを基本に労働者犠牲の回避にむけとりくみを強化してがんばっているところです。

仲間をつくれ
ば展望ひらく

 顧問弁護団・須藤正樹弁護士 現在行われている規制緩和や自由化の攻撃は、一部の大企業が自分の会社を世界中でいかに有利にするかという一環でやっている。しかし、経営者は労働者に働いてもらわなければ企業活動もできない。そのことに確信をもち、労働者同士や地域で手をとり合って仲間をつくって闘えば大きく展望はひらける。 

 


仲間を増やして闘おう

中央委員会討論

11地方15人が発言


 過半数の組織にし
 て攻撃打ち破る

 (1)北海道・笹川清史さん 共同交通では北海道交運の賃下げ、組合つぶしと闘っている。1100人中組合員は400人、後は未加盟だ。過半数をとろうと加入用紙を一人1枚づつもって拡大にとりくみたい。函館金星の闘いにもご支援を。

 実態調査に大きな
 反響、行政も動く

 (2)宮城・伊藤武春さん 昨年、規制緩和の弊害を告発する実態調査を実施。メーター不倒やダンピングの実態を発表するとテレビでも一斉に放送され「ダンピング・ロード」が一躍有名になった。行政も対策に動かざるを得ないようになった。
 賃上げ、一時金、
 職場政策が3本柱
 (3)東京・原田光幸さん 教習所もタクシー同様大変きびしい。東自教では、賃上げ、一時金、職場政策を柱に春闘を闘っていきたい。所沢中央支部では全員解雇と刑事弾圧と闘っている。総連がジャマで解雇した。裁判勝利にがんばりたい。

 77日拘留も仲間の
 支援でがんばれた


 (4)東京・長谷川悦雄さん でっち上げ暴行事件で01年1月逮捕、77日間拘留された。何度もあきらめようと思ったが、知らない人からも支援され、手紙ももらったりしてがんばれた。最高裁の不当決定は残念だが、解雇の裁判ではがんばる。

 規制緩和で観光バ
 スの安全も破壊


 (5)大阪・松尾憲司さん 00年2月の観光バス規制緩和で大阪では25社264台が増車された。ワンマン運行も増えて安全も失われている。地連ではバスの事業化を提起して研究をすすめている。地方選挙・総選挙で小泉政治にとどめをさそう。

 MKが駒労組に
 不当な攻撃を集中


 (6)京都・上坂幸男さん MKはグループの合併で、リース制でない自交総連の駒労組に攻撃を集中、組合員を水も電気もない営業所に集め、個別に踏絵を迫っている。支援をよろしく。春闘の手始めに2月1日に駅前で2時間座り込みを行う。

 未組織職場に入り
 ビラまき、対話


 (7)福岡・岩野直文さん 春闘では県下のすべてのタクシー労働者を視野に入れた歯止め闘争を闘う。数は力であり、1年を通して委員長と書記長で県下くまなく未組織職場に入り、ビラをまき、対話をして、組合員に模範をしめしたい。

 第一交通との闘い
 組合員は元気だ


 (8)大阪・岩永英雄さん 佐野南海労組は第一交通と闘って1年11か月、組合員64人は元気だ。昨年12月、神戸の御影第一の組合つぶし目的の区域拡張が認可された。運輸局に抗議、進出先の泉南市にも要請した。ひきつづきご支援を。

 もっと行政責任
 の追及が必要


 (9)茨城・中嶋好さん 水戸で1日1万5000円の売上が難しくなってきた。自己破産の相談が多くなっている。タクシー協議会で輸送課長が運賃値下げの説明をしたが、上限貼付けが原則だと抗議した。もっと行政をいじめないといけない。

 減車要求、バラバ
 ラ運賃反対の春闘


 (10)神奈川・大矢コウ山さん 全国有数の900台近い増車で駅のまわりに違法駐車が増え、ナンバーの奇数偶数で入構制限をしている。事業者は質で競争すべきだ。減車要求、バラバラ運賃反対、生活確保の2003年春闘にとりくむ。

 高齢者の福祉タク
 シー創設を要請


 (11)石川・奥護さん 厚労省の外出支援サービスの制度を利用して高齢者の福祉タクシー制度の創設ができないか金沢市に要請している。市議会でも取り上げられた。職場を変え、地域を変え、政治の流れを変える闘いを展開したい。

 介護タクシーの
 ネットワーク化を


 (12)大分・高野修さん ケアワークドライバのネットワーク構想を提起した。利用者から選ばれるドライバーになり、そういう仲間を利用者に推薦できるようになろうということだ。本部は、産別の情報収集力を生かして情報を発信してほしい。

 どのように闘うの
 か学んでいきたい


 (13)福島・赤井幸一さん 昨年は会津交通が地連に加盟した。まだ際立った増車・参入はないが、先行きの不安はある。春闘で賃下げや一時金切り下げが提案されるのではないか。皆さんに、どのように闘ったらいいのか教わっていきたい。

 仮眠室が定宿化、
 反転攻勢の闘いへ


 (14)大阪・久保義雄さん 大阪は規制緩和の実験場となり営収は3万円を割っている。自宅にも帰らず仮眠室が定宿化している労働者もいる。消費税増税、大企業本位の小泉内閣を糾弾し、地方選挙勝利、国会解散、反転攻勢の闘いをしたい。

 春闘で分離給の
 一括支給を要求


 (15)東京・石毛浩一さん 2月1日には12駅頭で7000枚のビラをまく。AB型で分離給部分にカット条項など「合理化」を入れらる例が多い。4月から社会保険料が年収対象となるので、分離給は一括支給にするように要求している。



 
 

学びつつ闘い、闘いつつ学ぶ

執行部答弁

すべての職場で要求を


 まとめを行った今村書記長は、「春闘は期限があり、必ず総括する日がやってくる」と指摘。その時には、「要求の前進度合い」「労働者意識の向上(団結力)」「組織の拡大」の三つについて結果の評価を迫られるとし、そのことを念頭においた事前の準備が大切だと述べました。
 その上で、(1)すべての職場で要求を出すことが大切。小さな要求でもみんなの願いとして要求を出すよう地連・地本は傘下の組織を責任をもって指導、みんなで決起しよう。
 (2)学びつつ闘い、闘いつつ学ぶ。国交省が環境面では排ガス規制の告示をだし、タクシーの無駄な走行排除などをいっていることなど知ることで力になる。道運法や労働法など基本的な知識を身につけて闘おう。
 (3)方針が決まったら行動に移そう。その先頭に立つのはわれわれ自身だ。自分たちの地方で行動に移すことを実践しよう。
 (4)今回の議長の高さんや発言した福島の赤井さんら新しい若い人は頼もしい。若い人を抜擢して任務を与え、育ってもらう。闘いのなかで次代の働き手をつくっていきたい。
 ―と訴えました。



 
 

役員の変更を承認


 第25回中央委員会で、地連での役員変更に伴う副中央執行委員長並びに中央執行委員の変更及び補充が承認されました。新しい役員は次のとおり。
 副中央執行委員長
 大阪=権田正良(57)
 中央執行委員
 山形=阿部達徳(52)▽大阪=林克己(54)



 
 

賃下げ、解雇等の攻撃から
労働者の権利を守る弁護団

●第25回関係弁護士交流会●


第25回関係弁護士交流会
=1月28、29日、東京・全労連会館
 中央委員会に先立ち1月28、29日、第25回自交総連関係弁護士交流会がひらかれ、24人の弁護士、1人の司法修習生が参加しました。
 会議では、(1)宮城・秋保温泉タクシーの冬期一時金の不払い、組合潰しの法的対策について宮城・増田弁護士(2)三田自動車練習所の閉鎖闘争と職場占有問題について東京・蒲田弁護士、(3)白浜南海タクシーの組合潰しに抗しての闘いについて大阪・藤木弁護士、(4)福岡西鉄タクシーの労働条件の一方的不利益変更について福岡地連緒方書記長が特別報告を行いました。
 また各地の闘いについての報告があり、とくに第一交通問題では参加者全員の関心事ということもあり、参加者からはさまざまな発言や意見がだされました。
 参加した法律事務所は次のとおりです。
 北海道=たかさき▽山形=佐藤▽宮城=一番町、増田▽埼玉=福地▽千葉=東葛総合▽東京=東京南部、江東総合、東京、代々木総合▽神奈川=川崎合同▽京都=京都▽大阪=北大阪総合、天王寺▽広島=広島▽福岡=福岡第一▽鹿児島=鹿児島合同(各法律事務所)


 
 

移動の権利守る実践交流

福祉・介護タクシー全国交流会に87人


特別報告(福岡・清水さん、正面右から3番目)を聞く参加者
 自交総連は1月30日、はじめての福祉・介護タクシー全国交流集会をひらき13地方87人が参加しました。
 福祉・介護タクシーのとりくみの現状と到達点について菊池書記次長が基調報告。宮城・金野武司さんが6社6労組による福祉輸送のとりくみ▽東京・皿嶋裕規さんが東京の介護タクシーのとりくみ▽大阪・國領貫志さんが介護タクシーの現状と介護報酬の見直し▽福岡・清水啓二さんが自主経営のケアタクシーについて特別報告をしました。実践に裏付けられた報告に参加者は真剣に聞き入り、討論では4地方以外から介護タクシーのとりくみが紹介されました。
 参加者からは「障害者も健常者も誰でも差別なくいつでも安心して適正な料金でタクシーに乗れることができる社会の実現を」(東京・小島知己さん)、「今後のタクシーのあるべき姿、乗務員としてどう対処すべきか、各地での先進的な活動の話を聞き勉強になった」(東京・北見伸夫さん)などの感想が寄せられました。
 報告の要旨は、次号から順次紹介していきます。


 
 

組合つぶしに手を貸すな

近運局交渉

悪質業者に権限を使え


近畿運輸局に申し入れを行う自交総連の代表=1月9日、近畿運輸局
 自交総連は1月9日、領家委員長、今村書記長ら本部役員が参加して第一交通の組合つぶしの区域拡張申請・営業所新設を認可した近畿運輸局に抗議と交渉を行いました。
 領家委員長は、大阪地連が再三認可するなと申し入れていたにもかかわらず、明白な組合つぶしに手を貸す認可は許せないと抗議。
 真砂旅客二課長は、第一交通側から、組合つぶしではない、現在の佐野第一も営業を続けると説明されたのを信じていると答弁しました。今村書記長らは、第一交通が約束を破ったらどう責任をとるのかと追及。課長が人間としては怒ると答えたのに対し、組合側は、そういう場合は、局があらゆる権限をつかって対処するべきで、それが行政の権威ではないか、とつよく申し入れました。



自 交 総 連