自交労働者No.597、2003年3月1日


京都地連請願行動

16組合300台が参加


運輸支局の担当者に請願書を渡す自交総連の仲間
=2月6日、京都運輸支局
 【京都】京都地連は2月6日、京都ハイタク共闘会議として運輸支局へタクシードライバーの労働条件改善や京都駅北口の道路改良などを求める怒りの請願行動を行いました。
 労働者自身が営業車で運輸支局に集まり、請願するというかたちでの請願行動。16組合300台のタクシーが参加し、事前に集めたものも含め、1441筆の請願署名があつまり、支局側に手渡しました。
 支局交渉は要請書に基づいて行われ、慢性的な渋滞が発生している京都駅北口の改善問題では、局からは「去年から何度も関係機関と協議している。今後も積極的に問題解決にとりくむ」との前向きな回答を得ました。
 交渉した藤原議長は取材に訪れた記者に「支局側からは、駅北口問題解決に向けて関係機関に働きかけるとの発言があった。『安心・安全』なタクシーを実現するためにも、一日も早く事態の改善を図ってほしい」と話しました。
 

駅頭などでビラ300枚配布

中国ブロック宣伝行動

自交総連への期待ふくらむ


アンケートで対話する自交総連の仲間
=2月13日、広島・宣伝行動にて
 【広島】中国ブロックは2月12日、広島市で今村本部書記長、広島県労連、山口地連役員を講師に03春闘学習会をひらき、情勢を学びたたかう体制を確立しました。全運輸中国支部からも連帯あいさつを受けました。
 翌日広島駅で、「規制緩和後のタクシー労働実態」のアンケートを実施。タクシー労働者の協力で82枚回収。「タクシーは多いと思うか」の設問に全員が「多い」と回答、規制緩和の弊害が如実に現れていました。
 その後2日間、地連(本)から選ばれた5人が中国ブロック宣伝行動を行い、12か所の駅頭・ターミナルで約300枚のビラを配りました。
 タクシー労働者は口々にタクシー需給調整の必要性と生活困窮を訴え自交総連への期待を寄せていました。(内谷富雄)
 

タクシー台数多すぎる97.4%

大阪地連・アンケート調査

現場の苦しみ明らかに


タクシー再規制を求めて怒りの座り込み行動
=2月1日、大阪・JR大阪駅
 【大阪】大阪地連は、2.1宣伝行動の一環として待機所で客待ちをする乗務員へ「規制緩和後のタクシー労働実態アンケート」の調査を行いました。
 調査は、新道路運送法施行1年が経過した今日、規制緩和の弊害がどのように影響しているのかを明らかにする目的で行ったもので、質問はタクシー台数の需給・多重運賃など7項目。77人から回答がありました。
 タクシー台数の質問に対しては、多すぎる75人(97.4%)、丁度よい1人(1.3%)、少ない0人、わからない1人(1.3%)で、多すぎるが大半を占めました。
 多重運賃については良い5人(6.5%)、何も思わない11人(14.3%)、悪い54人(70.1%)、無回答7人(9.1%)で、この質問でも悪いが大半を占めました。
 また、事故を起こしたり事故になりそうでヒヤリとした経験がありますか、という質問でも半数を超える39人(50.6%)があると回答し、規制緩和の失敗が現実のものとなっています。
 

成田空港

定額運賃でアブレ続出

県外車両の違法行為も影響


 【千葉】成田空港では、規制緩和の影響で1回も仕事ができないアブレがでたり、賃金が10万円減となるなど深刻な事態です。千葉地本と空港タクシー親睦会は1月29日に空港タクシー運営委員会(経営者団体)、2月6日に空港公団に申し入れをしました。
 成田空港では、東京〜成田間の定額運賃導入で利用者が予約に流れたり、旅行・航空会社の帰宅タクシーサービスなどの影響に加え、県外車両が予約外の客を乗せるなどの違法行為も頻発。その影響を空港タクシーが受け、アブレを「公平」にするためにくじ引きで順番を決めているありさまです。
 千葉県側でも定額運賃を導入しましたが、事実上は観光目的で1〜2時間も遠回りになるアクアライン経由で東京に行っても定額という扱いになっているため、労働者からはメーター運賃の半額以下になるあまりのダンピングだとの怒りの声が出ています。

 
 
 自交総連は1月30日、はじめての福祉・介護タクシー全国交流集会をひらきました。集会で報告された各地の実践例は、参加者にたいへん好評でした。4地方の特別報告(宮城・東京・大阪・福岡)を2回に分けて紹介します。


利用数は1年で260%の伸び

制度の改悪には抗議を

大阪・朝日自動車労組 國領貫志


 大阪・朝日自動車では、26年前から障害児の園の送迎を組合と会社で共同してすすめてきました。
 01年からは訪問介護事業を始め、現在3営業所全部で行っています。ヘルパーは140人。車両はセダンが74台、リフト車4台、軽リフト車4台。利用数は昨年度10月が4600件、今年度10月は1万2000件と260%の伸長です。
 介護内容は、自宅から病院までの往復だけではなく、着替えやトイレの介助などヘルパーの仕事を充実させるようにしています。
 厚労省が介護保険の見直し案を出していますが、介護タクシーの利用は身体状況「要介護1」からになっていて「要支援」が抜けているのを危惧しています。「要支援」でも車椅子の人もおり、介護タクシーに乗せてあげたいと思います。
 また、報酬が1000円に下がります。厚労省は儲けすぎだからといっていますが、実態は違っていて、1000円では最低賃金も守られないような状況になってしまいます。
 自交総連では、介護タクシーの利用枠の拡大をめざし、制度の改悪等があれば抗議をするなど、政治革新とも合わせてとりくんでいくべきだと思います。
 

介護タクシーは質が重要

 移動サービスの提供は公的責任で

福岡・新和タクシー支部 清水啓二


 介護タクシーを始めるときに重視したのが「質」です。ヘルパー資格をとっただけでは、実際に現場でベットから人を動かせるかというと不可能です。
 そこで、北九大や福岡日赤で聴講生となって、ボディー・メカニクス(人体の動作機能)を学び、別に身体移動等160時間の講習を受けました。それをマニュアル化して役立っています。それでも現場では、まだ無理。利用者を見たときに「今日は顔色がいいな」などの洞察力・観察力が必要です。
 始めた当初は、利用者が来るのか不安でしたが、介護技術と時間厳守でケアマネージャーから信用を得て、仕事が来ています。
 このなかで変わったのは、乗務員の自己改革です。お客さんから手を合わせて拝まれる。帰りに「また来てね」、また行くと「あなたでよかった」。今まで無かった自分の重要性・必要性を見出していくんです。
 誰でも、いつでも、どこにでも行ける、移動が自分で決定できるということは基本的な人権です。移動制約者への移動サービスの提供は公的責任であり、私たちの分野でもあることをよく考えていきたいと思っています。

 
ビラ配布で解雇は無効

福岡地裁

配布目的に不当性ない

福岡・西鉄タクシー労組


 【福岡】福岡西鉄タクシー労組は1月30日、副委員長の権藤さんが不当解雇されていた事件で福岡地裁より解雇無効の判決をかちとりました。
 この事件は、会社主導ですすめられていた3労組統一の動きについて、権藤さんが「3労組統一は、賃下げ・合理化への道」と題するビラを配布したことにより00年8月に懲戒解雇されていたもので、会社は、事実を歪曲したビラを配布し、業務に支障を生じさせた、などと主張していました。
 判決は、ビラの記載について一部不正確、誇張にわたる面があるとしたものの、過度に挑発的な表現を用いて、ことさらに職場秩序を乱す意図はないと評価。また、ビラの他の部分においては、事実の裏付けのある記載であり、組合員らに注意喚起しようとした目的自体は不当とは言い難いとして、ビラ配布は懲戒解雇事由に当たるとはいえない、と判断しています。
 また、会社に対して毎月の賃金と夏、冬の一時金を支払うよう命じていますが、一時金については、不必要に重い出勤停止処分があったために営収が下がったことを認定し、その分を計算し直した金額での支払いを命じています。

 
 労働組合キホンのキ
 

団結を基礎に会社を包囲

相手にスキを与えないことも大切


(11)不当解雇・処分 とのたたかい

 反共攻撃や御用組合化でも組合の団結が崩れないとみると、会社は、法律や労働組合の権利、労働者の人権をも無視した不当解雇や処分など乱暴な攻撃を仕掛けてくる場合もあります。


 
不当解雇・処分

 組合つぶしのために、いろいろ口実を設けて組合員を解雇したり、出勤停止などの処分で賃金を減額させるという攻撃があります。
 その場合、さすがに「組合つぶしのため」とは主張できませんから、表向きには何らかの理由がつきます。営業成績不良、業務命令違反、事故を起した、乗客・同僚とのトラブル、職場秩序を乱した、会社の名誉を傷つけた…などさまざまな口実をつけてきます。

 スキを与えない

 その口実は、まったくのでっち上げという場合もありますが、些細な事実を針小棒大にして言う場合もあります。
 会社の攻撃が予想されるときには、緊張感をもって仕事や組合活動を行い、つけ入るスキを与えないことも大切です。

 団結を基本に

 こうした攻撃への対処の基本は、あくまで団結を守ることです。団結が崩れなければ必ず勝利できます。
 まず攻撃の内容、不当性を全組合員に知らせるとともに、地連・地本、自交総連本部、地域労連・地方労連に知らせ、指導・援助を得て対策を立てます。
 対策に基づいて、組合員が動揺したりしないようにし、必要な行動の意思統一を行います。
 職場の非組合員や地域の住民・労働者にもビラや宣伝で事実を知らせ会社を社会的に包囲する、解雇の場合は当面の生活対策などにとりくみます。

 まずは交渉で

 会社に対しては、まず交渉で道理をつくして不当な行為をやめるように説得します。これはどんな場合でも基本です。
 それでも、頑迷に聞く耳をもたない場合には、地方労働委員会への救済申立や裁判の提起(仮処分の申立)にふみ切らざるを得ない場合もありますが、労働委員会・法廷闘争は闘いの一手段です。それをテコに争議の早期解決をはかるという姿勢を堅持し、弁護士任せ、裁判頼りになったり、裁判自体が目的化して長期化しないようにします。
 裁判などになった場合には、日常の会社の不当労働行為の実態の証明が重要です。管理職や職制の言動、組合員差別行為などを普段からメモ(日時、場所、状況など)して、組合で集約しておくことが大切です。



自 交 総 連