自交労働者No.601、2003年5月1日

偽装廃業、全員解雇の通告

大阪地連決起集会

激励に内外から250人が参加


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緊急激励集会で決意をのべる堀川委員長(佐野南海労組)=4月19日、大阪・泉南市立文化ホール

 第一交通の無法は許さない! 組合つぶしを狙った偽装廃業、会社解散、全員解雇の攻撃に屈せず、勝利するまで頑張ろう。

 4月19日、大阪・泉南市立文化ホールで、自交総連大阪地連と支援共闘会議の合同主催による「佐野南海労組争議支援4・19激励決起集会」がひらかれました。

 この決起集会には、当該組合員に加え弁護士、地域労連の仲間、大阪労連、自交総連本部、関西・中国ブロックの代表など250人がかけつけて激励しました。

 集会は、4月15日付で自交総連組合員を全員解雇し、翌16日付で佐野第一交通(旧佐野南海交通)を廃業した親会社・第一交通産業(北九州市、黒土始会長、27都府県に5500台を保有)の責任を問い、無法を糾弾し社会的に包囲していこうと決議。また、組合つぶし目的の偽装廃業計画を知りながら、グループの別会社(兵庫県・御影第一)の泉南営業所開設を認めた近畿運輸局の責任を徹底的に追及していくことにしました。

 大阪地連は、当面の緊急対策として、解雇無効を求める地位保全仮処分申請を準備するとともに、第一交通産業などへの損害賠償請求訴訟を提起することにしています。

 抗議先

1.第一交通産業株式会社
     会     長 黒土  始殿
     代表取締役社長 田中亮一郎殿
   〒802−8515 北九州市小倉北区馬借2−6−8
   FAX 093−511−8812

2.三井住友銀行大阪本店
     頭取 西川善文殿
   FAX番号不明の為手紙でお願いします。
   〒541−0041 大阪市中央区北浜4−6−5


この成果を全国に

大阪・佐野南海労組

第一交通を相次ぎ断罪

共済金横領と一方的賃下げ

  大阪地連佐野南海労組は、共済資金横領事件で2月14日に大阪高裁、一方的賃下げ事件で3月25日に大阪地裁で相次いで勝利判決をかちとりました。

 共済資金の横領は、第一交通に買収される前から従業員各人が出資していた共済会の事業運営資金1231万余円を、第一交通が勝手に引き出して、従業員に配ったもの。1審で昨年3月に勝訴していましたが、第一交通が控訴していました。

 判決は、資金全額の返済を第一交通に命じ、差し押さえのできる仮執行宣言もついています。

 一方的賃下げは、労働者の同意なく賃金体系を変更して賃下げした金額で賃金を支給してきたため、組合員が差額を請求していたもの。仮処分では一部の労働者にしか認められませんでしたが、今回の本訴では、買収以前の賃率62・5%の労働協約を合理的なものと認定し、請求額1689万余円すべてが認められました。

 こうした相次ぐ組合側の勝利に加え、執拗な攻撃にもかかわらず組合の団結が崩れないことから、追い詰められた第一交通は4月15日、全員解雇、事業廃業という暴挙を強行しました(上記記事参照)。




空車タクシーで街は大渋滞

東京地連実態調査

規制緩和の弊害続出

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タクシードライバーから規制緩和の弊害の実態を聞く鈴木書記長(東京地連)=4月7日、東京・銀座

入場規制で一般車が違法駐車
 【東京】東京地連は4月7日、交通渋滞解消のために乗り場への入路指定が実施された赤坂、六本木周辺などでタクシーの実態調査を行いました。

 今回調査を実施した赤阪では、タクシーの進入を禁止する交通規制が実施されており、そこではタクシーの姿がないかわりに、一般車による違法駐車が目立ちました。また六本木交差点では規制緩和と不況の影響で空車タクシーの列が渋滞を引き起こしたり、一般車の違法駐停車で乗り場が占拠され、そのことにより違法でありながらも横断歩道の前後で客待ちをするタクシーの姿が見うけられました。

 東京地連では今回の調査をもとにこうした規制緩和の弊害解消に向け、関係機関に対して事態の改善を要請することにしています。


規制緩和の

実態報告ルポ

 北海道のタクシー業界は営業収入が大幅に低下し、ハイタク労働者の3割が最賃割れという地域も続出しています。

北海道

平均営収低下で賃金減少

労働者の3割が最賃割れ

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続発する最賃違反を是正するよう労働局に申し入れを行う北海道地連の代表=3月25日、北海道労働局

 北海道各地方のタクシー業界では地域別最低賃金を割りこむ事態が相次いでいます。

 室蘭では、平均日車営収が2万円を割り込み、大多数のハイタク労働者が最低賃金に達しない状況におちいり、室蘭労働基準監督署は、昨年12月にハイタク会社3社に対し監査を行い、最低賃金法に基づく是正勧告を出しました。

 こうした中で、室蘭以外でも最賃を割りこむ地域が多くなってきており、函館・旭川・釧路・帯広などでハイタク労働者の3割強が最賃を割り込んでいる実態です。

 とくに函館では、営収の極端な低下によって30〜40%の労働者が最賃割れしています。

 自交総連相互交通労組は、03年春闘の重点要求として最賃問題を掲げて交渉しています。最低賃金を下回った場合に差額を保障しろとの当然の要求に、会社は最賃額のなかに深夜割増賃金を含めて計算したり、いったん支払った差額を一時金・臨給から差し引くなどの法を無視した回答をつづけています。

 同組合は、このような違法行為を是正させるとともに、函館労働基準監督署に申告し、違法な経営を根絶する闘いをしています。(高木忠雄)


函館地区市内17社輸送実績表

月度 市内17社平均稼働 相互平均稼働額
02年1月 26,481円 25,791円
2月 24,819円 24,346円
3月 25,108円 24,881円
4月 23,304円 23,096円
5月 22,759円 22,438円
6月 24,352円 22,963円
7月 26,278円 25,811円
8月 27,672円 26,647円
9月 24,039円 23,846円
10月 23,801円 23,724円
11月 24,278円 24,606円
12月 28,793円 29,340円




タクシー労働実態アンケート

山口でもタクシー「多すぎる」

規制緩和で街はタクシーだらけ

 【山口】山口地連は3月8、29日、山口県下の主要都市で「タクシー労働実態」アンケートを実施し、133枚の回答を得ました。

 タクシーの台数についての質問では、「多すぎる」と回答した人が91・0%、「丁度いい」3・8%、「わからない」5・3%と、山口でも多いと回答した人が大半を占める結果となりました。運賃のダンピングについては、「ある」63・9%「ない」36・1%と、この質問でも大半の人が「ある」と回答しています。またアルバイト運転者については4割の人が「ある」と回答していることから、会社のモラルが問われます。

 事故やヒヤリとした経験については半数の人が「ある」と回答しています。

 今回の結果からタクシー台数の過剰は深刻で、同時に安全輸送や社会のモラルまでも崩壊していることが明らかとなりました。

運賃のダンピングについて タクシーの台数について

事故やヒヤリとした経験について アルバイト運転者について



市に需給調整を要請

横須賀市議会

国へ働きかけると回答

 【神奈川】横須賀市のタクシーで働く労働者の社会的地位の向上をめざす会は2月28日、市議会に対して「横須賀で働くタクシー労働者の生活を守るための陳情書」を提出しました。

 陳情書は、(1)横須賀市内のタクシー状況を鑑みて、景気が回復するまでの間、横須賀市の力で需給調整をすること。(2)横須賀中央付近のタクシーの混雑を分散するため、市内の各所に乗り場の増設をすること、を要請しました。

 市議会からは、委員会で審査を行い、趣旨を採択、需給調整に向け国へ働きかけを行うとともに、まちづくりの中で各関係機関、関係団体、企業及び利用者の声を聞きながら取り組まれるよう要望するとの回答を得ました。



処分基準を変更

労働時間違反を軽く

 4月からタクシー事業者に対する行政処分の基準が変更されました。重大事故を発生させた際の運転者への指導監督義務違反や悪質交通違反に関する処分が重くなる一方、労働時間違反の処分は軽くなっています。

解説

 タクシー交通事故の急増に加え、飲酒運転の摘発も相次ぐなど、社会的な批判の高まりに対応して悪質交通違反の処分を重くしたのは当然ですが、労働時間違反の処分を軽くしているのは問題です。

 労働時間の規制(改善基準)は、これまで労働大臣告示として何の罰則もなかったものが、昨年2月以降、国土交通大臣告示ともなり、行政処分が課されることで一定の実効性が伴うようになりました。昨年最も多く監査を行った近畿運輸局の例でも、処分した66事業者中50事業者から同違反が摘発されています。このため、事業者から基準が厳しすぎるとの声があがり、それに「配慮」したのではないかと言われていますが、事故の処分を厳しくしても、その根源である長時間労働を規制する処分を緩めたのでは本末転倒です。


  労働組合 キホンのキ

 (15)欠かせない財政と教育宣伝活動

 労働組合の日常活動で欠かせないのが財政と教育宣伝(教宣)活動です。ともに専門部の役割が重要ですが、担当者や特定の部員任せではなく、普段からみんなが協力するようにします。

たたかいを支える財政

教宣活動で仲間をつなぐ


財政の確立

 財政の基本は組合費です。その額は組合によって違いますが、必要な活動を支えるだけの金額でなければなりません。

 第二組合などは1000円程度の会費で安上がりだと宣伝することがありますが、何もしなければ財政も要りません。労働者の利益を守って会社や行政とたたかう組合ならば、そのための活動費が必要です。全国の仲間と連帯するために地連・本部、地域労連・県労連への加盟費も必要です。当然、一定の金額となりますが、組合員の収入も勘案しつつ、必要な金額を組合員の合意で決めます。

 組合費はみんなの公金ですから、有効・適切に使わなければなりません。詳しい財政実務は省きますが、正確な記帳と定期報告・会計監査は欠かせません。

 労働組合とはいえ、管理が不十分だと使い込みなどが起こることがあり、最悪の場合は組合解散に結びつくこともあります。財政は、絶対に担当者一人任せにせず常に複数で扱う、会計監査を行うことを常識にする必要があります。

機関紙と宣伝

 現代社会は情報があふれていますが、そのほとんどは、政府や大資本に都合のいい情報ばかりです。そのことは「規制緩和すればタクシーはよくなる」というマスコミの大合唱で自交労働者はいやというほど経験させられました。

 身近なところでは、会社が労働者に吹き込む「不況だからガマンしろ」「組合は恐ろしいところだ」などのデマ宣伝もあります。

 こうしたウソを打ち破るためには、機関紙(新聞)やビラで労働者の声、正確な情報を伝えなければなりません。

 とくにハイタクの職場は、出庫すれば一人ですし、交代制で裏番同士は顔を合わせない場合もあります。そうした仲間をつなぐのが機関紙ですから、定期発行を目標に、最初は簡単なものでも、ともかく発行することが大切です。

 ビラやかべしんぶん(マジックで手書きでできる)などに加え、最近はホームページや携帯メールなど多彩な手段で宣伝にとりくんでいるところもあります。

教育・学習

 新入組合員、一般、幹部など状況に合わせて学習会にとりくむことも大切です。

 勤労者通信大学(1年間の通信教育)を活用して、受講料を組合で補助したり、受講者同士の集まりをもったりして、幹部を育てることに成功している組合もあります。



自 交 総 連