自交労働者No.605、2003年7月1日

依然高水準な事故件数

02年の交通事故

タクシーの増加率は突出

 02年の交通事故統計が明らかになりました。タクシーの交通事故(第一当事者の人身事故)は、前年よりわずかに減ったものの、依然2万6000件を超え、危険な高水準のままです。

解説
タクシーの事故は91年を境に増加に転じ、11年間で1万件以上増えています。91年というのは、不況に突入しタクシー労働者の賃金が低下しはじめた年。営収確保のための長時間労働・過労運転による注意力低下やあせりからくる危険運転が増え、事故が激増していると考えられます。

 ところが国土交通省は、国会答弁などで、タクシー事故増加の原因は自動車全体の事故増加、交通事情の悪化によるものだとして、タクシー事故の激増を過小評価するような見解を示しています。しかし、左上のグラフにみられるように、走行100万キロあたりの事故件数を比較すればこの誤りは明白です。91年から01年にかけて(02年は走行キロが未確定)タクシーは0・81件から1・63件へと倍増、全自動車は1・19倍にしかなっていません。

 タクシーがこれだけ突出しているのは、一般的な交通事情の悪化などとは別の要因があることは明らかで、安全確保を最大の使命とする国土交通行政は、きちんとその原因を究明して必要な対策をとるべきです。


タクシー年収

全国平均は278万円に

賃金低下に歯止めかからず

 02年のタクシー労働者の全国平均の年収は278万円――賃金低下に歯止めがかからず、300万円割れを記録した前年からさらに21万円も下がってしまいました。不況により91年以来下がってきた賃金は、02年2月の規制緩和強行でさらに追い討ちをかけられた格好です。

 地方別では、最も低かったのが宮崎の207万円。次いで沖縄209万円、青森213万円とつづき、32地方が200万円台にとどまっています。

 90年代の最高時からの比較では、下落率では新潟の39%減、下落金額では大阪の177万円減が最高でした。収入が4割も減ったり、月15万円近くも減っているということになり、「節約」などで対応できる限界を超えています。

 前年、年収が全国最低だった沖縄では年間労働時間が324時間も減っているのが注目されます。タクシー運転者のパート化、アルバイト化が進んでいるためではないかと考えられます。


規制緩和の

実態報告ルポ

 神奈川では規制緩和以降約1000台も増車され、日車営収も落ち込み、重大事故も増加するなど深刻な問題が続出しています。


神奈川

1000台増車、駅にも入れず

重大事故は260%の増加

 神奈川では規制緩和以降約1000台もの増車がされ、平均実車率と日車営収は91年度54・0%、4万8532円であったものが、01年度では、46・0%、4万1436円にまで落ち込んでいます。

 神奈川運輸支局の調査によると、01年度と02年度の比較(表参照)では、苦情件数はマイナス31件と減少しているものの、重大事故は27件も増え、実に260%も増加しています。支局は44件中15件が「原因は右左折時・わき見運転・過労運転・考え事など、過去の原因と大差はない。しかし増加していることは事実で、今後分析をして行きたい」と説明しています。

 しかし、分析するまでもなく、営収が減れば生活苦にならざるをえず、そのために食事時間・休憩時間をけずり、また会社の労働時間厳守の指導には、メーターを自ら改ざんしているのが実態です。

 規制撤廃の中で経営者は売上増のためにタクシーの台数を増やし、労働者には、足切り以下40%という過酷なノルマを押しつけて利益を追求しています。主要駅頭での長蛇の列で交通渋滞の原因を指摘されると、減車をするのではなく、駅構内への乗り入れを車両ナンバーで規制し入れないようにし、あふれたタクシーは法違反を承知で自前のタクシー乗り場を作っているのが実態です。

 こうしたことが事故の増加につながっていることは明らかです。(須田茂夫)


東京地連

新作リーフレットで宣伝

今後も未組織宣伝に活用


リーフレットを手にタクシードライバーから厳しい現状を聞く組合員=6月9日、都内タクシー乗り場

 【東京】東京地連は6月9日、主要駅頭で新しくつくったリーフレットを活用しての未組織宣伝行動を行いました。

 リーフレットは組合員からの要望で作成され、道交法闘争、自交共済などの活動がコンパクトに紹介されています。東京地連では今後もこのリーフレットを活用しながら、未組織宣伝行動にとりくむことにしています。


宮城地連

ヘルパー指導者研修を実施

ワンランク上の技術を学ぶ


実技を中心に介護ヘルパーに必要な技術を学ぶ参加者=宮城・仙都タクシー内

 【宮城】宮城地連福祉タクシー推進委員会は5月23〜26日、福岡・清水啓二さんを講師に9人が参加してヘルパー2級取得者のステップアップと指導者育成をめざし、指導者研修を行いました。

 この研修は、2級ヘルパー取得講座修了生の中から指導者を育てようというもので、より実践的で良質なサービス提供が迅速にできる体制を築こうと企画され、座学を中心に、タクシーを使っての車椅子での乗降など介護ヘルパーに必要な技術を学びました。

 参加者からは「ヘルパー取得時の実習と現場とでは、やさしさと気くばりが違う。清水さんの行動の速さには感動した。早く同じレベルになりたい」、「自分のレベルを痛いほど実感。介護ヘルパーのワンランク上の技術とレベルの高さに驚いたのが実感です」「私が欲しかった技術が取得できた。後輩に伝えていきたい」などの感想が寄せられました。(仙都労組・青野邦彦)


労基法違反で経営者を起訴

千葉地検

再三の是正勧告を無視

 【千葉】法違反や組合つぶしを重ねている古知(北港梅田)グループのマツドイースタンの古知愛一郎社長が労基法違反で千葉地検から起訴されました。悪質事業者へのねばり強い責任追及による大きな成果です。

 古知グループは99年に千葉や東京のイースタンを買収、一方的な賃下げや組合攻撃をつづけてきました。有休を発生させないための4か月雇用、足切り以下の賃金カットなどを一方的に強行、組合員が有休を取得したのに欠勤扱いにし賃金カットをしてきました。イースタン千葉労組は柏労基署に申告、再三にわたり指導や是正勧告が出されたにも関わらず同社が従わないため、01年1月、労基法24条(賃金支払い)、39条(有給休暇)等の違反で同署に告訴・告発していました。

 その後も是正されないため柏労基署が書類送検、千葉地検は今年4月30日付で、マツドタクシー株式会社イースタンと古知愛一郎社長を起訴しました。罪名は労基法違反。有罪になれば6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となります。


この成果を全国に

奈良・生駒市衛生社支部

組合結成で解雇は不当

奈良地裁 申請から50日で解決

 生駒市衛生社支部は、組合結成直後に組合役員3人が不当解雇されていた事件で2月3日、奈良地裁より組合側の主張を全面的に認める仮処分命令をかちとりました。

 同支部は昨年12月に結成されましたが、直後に会社側から、生駒市議会を傍聴し「暴言で」市議会を混乱させ会社の取引先である生駒市に迷惑をかけ会社の信用と権威を失墜させたなどの理由で組合役員3人が解雇されていました。

 裁判で会社は、組合員は「会社潰し」を狙って特定の業者と結託しているなどの主張や、裁判の引きのばしをはかってきましたが、裁判官が結審は1月24日とすると宣告。申請から50日という早期での解決となりました。

 また、2月5日には、弁護士の提案で、仮処分命令の完全勝利を踏まえ、解雇された3人を従来通り職場で従業員として働かせるための地位確認を求める本裁判を提起し、現在は本裁判で奮闘しています。

◇     ◇     ◇

宮城・塩釜交通労組

組合嫌悪の処分は無効

仙台地裁  雇用存続は認めず

 塩釜交通労働組合は、西山さんが会社からの不当な休職懲戒処分を受けた事件で5月22日、仙台地裁より、休職処分は懲戒権の濫用で無効とする判決をかちとりました。

 塩釜交通はもともと全自交の自主経営会社で、西山さんは全自交塩釜交通労組の委員長でしたが、全自交宮城地本の非民主的な指導に反対して委員長を辞め、仲間と自交総連労組を結成、民主化の運動を始めました。

 会社は「社の信用を失墜させた」などとして西山さんを懲戒休職処分にし、つづけて解雇していました。

 判決では、「自交総連塩釜交通労働組合の組合活動を嫌悪し、これを排除または弱体化するものと認定すべきであり、本件休職処分は、懲戒権の濫用として無効である」として会社側の懲戒権の濫用を認定し21万円の支払いを命じました。しかし雇用存続については、組合自主管理会社での組合大会で決定された65歳までの定年延長を認めない不当な判決となりました。


人身事故対処マニュアル
(2)事故後はどんなことでもメモに
 人身事故が起きた時にはその時の状況をすぐにメモすることが重要です。警察官に言われたことや自分が言ったことなどすべてメモしましょう。


記憶しているすべてをメモに

言って失敗したことも重要

 人身事故の場合、記憶があるうちに、急いでメモしておこう。事故直前・直後の記憶しているすべてをメモにする。いつでも、思い出した時に付け加えていけばいいんです。

 下のメモ例のように、自分の取った行動、相手が喋った言葉、現場で警察官に喋ったこと、救急隊員に喋ったこと、または、聞かれたこと、聞き返されたことなど、どんな些細なことでも覚えていることは、メモして下さい。

まずいと思ったことも隠さずに

 なお、事故の当日、現場検証の時、調書を作られている時など、ヤバイ、まずいな、こんなことを言ってしまった、あんなことを言われたのに何も反論できなかった、ということもあると思いますが当たり前なんです。警察官はその道のプロ中のプロです。こちら側の思い通りにいかない、いかなかった、それが普通です。そのことが早めに分かれば、その対処をすればいいということになります。そんなことを隠され、検察庁(または、公安委員会・処分課)に行ってから、当日、そんなことを言っちゃったのか?ということを相手からいわれ分かるというのが一番厄介(困る)です。


メモ内容と書き方の例

 ぶつかってしまった。タクシーをすぐに止め車から降り倒れていた子供のところへいった。ケガはないかと即座に聞いた。子供は無言、痛そうに顔をゆがめていた。子供に立てるかと聞いたら足が痛くて立てない。家はどこ、名前は? と聞くも痛みをこらえてて声がでないのか、子供は右手で右足のヒザの部分を押さえてた。スグに救急車を呼ぶから待っててといった。子供は「うん」とうなずいた。近くの公衆電話で119番、救急車の依頼をした。子供の所に戻ってから自転車を道路端に移動した。自転車は壊れている様子はなかった。

 救急車が5分後に到着した。救急隊員が二人降りてきた。子供にどの場所が痛いのか聞いた。担架をもってきて乗せた。救急隊員が○×病院に搬送すると私にいった。お願いしますと答えた。救急車で運ばれたすぐ後に、公衆電話で警察に事故があったことを知らせ、場所を教えた。同時に事故があったことを会社に知らせた。電話を受けた人は職制の○×さんだった。すぐに現場にくるといってくれた。

 5分後に警察官2名が到着した。警察官に事故の状況説明をした。車はそのままで止まってます。子供は自転車、急に飛び出してきた。下り坂だった、急ブレーキをかけたが避けられなかった。子供は右膝を押さえていたので膝を打ったようだ。痛くて立てないというので救急車を呼んで○×病院に搬送してもらった。警察官に、これだけ見通しがいいのに、よそ見でもしてたのか? 何キロで走ってたんだといわれたが、よそ見はしてないと答えた。


 新加盟のなかま  (674)神奈川・生田高砂交通支部

 親睦会から組合へ

 【神奈川】川崎市の高砂交通生田営業所で働く仲間は6月15日、生田高砂交通支部(42人)を結成、自交総連に加盟しました。

 同社には親睦会がありましたが、運転者仲間の会話の中で、今の状態では、会社に労働条件の改善を要求するのに弱いという理由から、今回組合を結成することになりました。

 現在は親睦会の時に入っていなかった人も新たに加入してがんばっています。





自 交 総 連