自交労働者No.611、2003年10月15日


第26回定期大会

原点に立ち返り組織拡大を

総選挙で悪政を転換

 自交総連は10月8〜9日、東京都台東区の台東区民会館で第26回定期大会をひらき、新年度運動方針を確立しました。初日は8月に亡くなられた陶山弁護士に黙とうがささげられ、領家委員長のあいさつ、来賓4氏のあいさつにつづき方針提案と長期争議組合の紹介が行われました。2日目は機関紙・写真コンテストの表彰ののち、討論で23人が発言。今村書記長が執行部答弁をし、方針、予算等の議案が満場一致で決定され、大会宣言を採択しました。

領家委員長あいさつ

03年度運動方針を確立した第26回定期大会=10月8〜9日、東京・台東区民会館

 新道路運送法が施行され1年8か月が経過し、自交労働者は危機的状況に追い込まれています。悪政による不況と規制緩和があいまって都市部を中心に大量増車と運賃値下げ競争が行われ、激烈な競争へと突き進み、02年度の全国平均年収は278万円であり、生活をカバーするため生理的限界を超えた長時間労働にかり立てられています。

領家委員長

 政府・行政は、緊急調整措置制度の導入と運賃認可制度を残したので大丈夫と主張しましたが、公約されたはずの労働条件悪化の防止や安心・安全を担保する社会的規制の方策は、自交総連が規制緩和反対闘争を通じて指摘してきたとおり、この1年余の月日の経過で検証され、欠陥だらけで実効性がないことが事実によって明らかになったといえます。

 運動の前進には、組織の強化拡大が最も求められ、その遅れによる闘争力の低下は、自交労働者の浮沈にかかわる深刻な問題です。背水の陣をしいての組織後退への歯止めが緊急の課題であり、質・量両面から総合的な対策が不退転の決意で進めなければなりません。これ以上の組織後退は、自交総連の社会的存在と有効な産別の存在意義を発揮できないことにつながります。


 総選挙が目前に迫りました。労働組合として、どのような政治を求めていくか、それぞれの職場・地域で語り合い、すべての自交労働者に、苦しみの根源である悪政転換の絶好のチャンスとして、積極的に呼びかけていこうではありませんか。

 自交労働者の現実の痛みと苦しみの根源を見すえ、政権を揺さぶる政治の風を吹かせ、自らの意思と行動で、政治を変えるチャンスとして奮闘していこうではありませんか。




大会討論

職場活動を全力で

14地方23人が発言


ブロック補助金の趣旨は
 (1)東京・笹川吉昭さん (質問)本部の闘争資金を、組織拡大のために分配するということの趣旨は何か。提案では、金を渡すから勝手にやれというようにも聞こえるが、単組では拡大がうまくいかない、分からない状況なのだから、具体的な方法を教えてほしい。

具体的に何をすればいいか
 (2)大阪・園田公作さん (質問)要求実現のために何をするか。「増車とダンピングをどうにかしてくれ」という組合員の声に対して、ドライバー法の説明と将来の展望しか話せないのが実情だ。いま単組では何をすればいいのか具体的に教えてもらいたい。

闘いの中で団結が高まる
 (3)大阪・岩永英雄さん 第一交通との争議は2年7か月が経過した。闘ってこられたのは仲間の支援のおかげだ。55人解雇事件では、第一交通本社・黒土会長相手に勝った。賃金仮払いで組合員の士気が上がっている。闘いの中で組合員の団結が高まっている。

閉塞(へいそく)感を払拭(ふっしょく)する元気を
 (4)東京・高日成さん 目に見える成果がなく、幹部が閉塞感につつまれ確信をもてない現状がある。それを払拭するにはワンランク上の元気を出し、原点に返って運動を再点検したい。機関紙定期発行や月例宣伝などにがんばってきたことは必ず実ると思う。

嘱託社員を正社員化
 (5)北海道・吉根清三さん 不安定雇用対策で、明星労組では嘱託社員の正社員化をかちとり、年間50万円もの賃上げとなった。規制緩和反対の闘いに奮闘し協力してくれたのは日本共産党だ。政党支持は自由だが、共産党に大きくなってもらわなければ困る。

5月に自交総連に加盟した
 (6)京都・吉村勇路さん 洛東グループ労組は、前は全自交だったが5月に自交総連に加盟した。MKの値下げ反対など共同闘争を進めるなかで、政策面で自交総連に移ろうということになった。いまの交通事故増加、渋滞などを世論に問いかける運動が大切だ。

高齢者福祉タクシーを要請
 (7)石川・奥護さん 高齢者福祉タクシー制度創設の要請で、金沢市に要請の趣旨には異論はないと言わせるまで前進した。一方で、大幅な営収の落ち込みや状態悪化で組織的な困難も経験した。情勢に負けず、地連の弱点を克服し、本領発揮にむけてがんばりたい。

廃業通告の撤回かちとる
 (8)山形・釼持(けんもち)恵市さん 山貴ドライビングカレッジ支部では、一方的な賃金カットにつづき今年5月に廃業の意思表示があった。弁護士、地連、県労連、東自教の石川書記長にも入ってもらって、仮処分の準備もし、地労委の斡旋団交で廃業の撤回をかちとった。

自交総連に入って改悪阻止
 (9)福島・半澤松夫さん 99年までは交通労連福島ハイタク労組に加盟していたが、その年の春闘で年間75万円の信じられない賃下げ協定を組合員に相談もなく結んだために自交総連に入った。55歳以上の賃金カットの凍結、有休改悪の阻止などをかちとってきた。

市町村で意見書採択を
 (10)広島・青木成美さん 組織拡大が進まないが、何としても組織を大きくしたい。ビラ配りなどで、労働者にはびこる「あきらめムード」を排除しようとがんばっている。市町村に多すぎるタクシーを改善させる意見書を採択させる運動にとりくみたい。

7年間の攻撃に勝利した
 (11)大分・佐藤利治さん 湯平生コン支部の6人の仲間が7年にわたる攻撃と闘い勝利した。5人解雇に裁判で勝利した後も賃金遅配などがつづいたが、今年5月に未払い賃金の支払いなどで和解した。勝利できたのは自交総連という産別に結集していたからだ。

タクシー破壊の不毛の競争
 (12)大阪・沢田茂さん 大阪では規制緩和後1700台が増車された。法人だけで11%増だ。運賃は5000円超5割引が「5の5」と呼ばれて主流の運賃になってしまった。労働実態は言うまでもない。タクシー産業全体が地盤沈下する不毛の競争だ。

不安定雇用労働者の組織化
 (13)神奈川・細川秀司さん 神奈川では1400台の増車、駅入構トラブルで傷害事件まで発生した。アルバイト乗務員が増え、私の会社でも130人中正社員は68人。不安定雇用労働者の労働条件改善と組織化のため互助会をつくり、段階的に組織化を図っている。

2組合から加盟の相談
 (14)静岡・小粥(おがい)泰則さん 賃金は最高時から123万円も落ち込んだ。厳しいからこそ、組合の原点に戻った活動として組織拡大を重視したい。いま合わせて220人の二つの組合から相談がきている。関東ブロックにも応援をお願いして加盟させたい。

運転者不足で際限ない連勤
 (15)埼玉・杉本満俊さん 埼玉でも200台の増車となったが、競争が熾烈な熊谷地域では運転者不足で、連勤が際限なく増えている。月13出番だったのが23出番日勤ではなく朝7時から終電後まで乗ってやってる人がいる。それでも50万円に届かない。

観光バスで全員解雇を撤回
 (16)大阪・松尾憲司さん 観光バスは00年の規制緩和に加え、10月からはディーゼル排ガス規制で新車に代替しないと走れなくなった。中小では廃業に追い込まれている。中央観光では9月にバス部門の閉鎖、全員解雇の通告があったが、宣伝・交渉で撤回させた。

10年のスタンスで組織拡大
 (17)東京・加藤功さん グリーンキャブ労組では10年のスタンスで継続的に組織拡大を追求してきた。世代交代できる幹部養成のために学習の場を提供、勤労者通信大学や相談に対応できるように労働協約・道交法等の学習もして、10年で300人の拡大をしている。

郡部や滋賀県で組合できた
 (18)京都・安井暁さん 郡部や滋賀県で組合を立ち上げた。それらを育てていくことが大切で、幹部の学習、情報・問題意識の共有化にとりくんでいる。京都ではアンケートでタクシーセンターの要望が多かった。タクシー免許への接近の課題としてとりくみたい。

教習所の業務拡大させる
 (19)神奈川・笹島快夫さん 自教は10年間で39校も閉鎖されるなかで、勝英のような悪質事業者は時給1160円で毎日13時間も教習させている。自交総連は、免許に関することはすべて教習所でできるようにとの政策を掲げ、大型や二種の教習業務の拡大をさせた。

11・19で運輸局に座り込み
 (20)宮城・大島治吉さん 8月にミナトタクシーが値下げしたが、この会社の無許可営業問題で運輸局の責任を追及、11・19統一行動では座り込みを行う。運動前進には闘える組織と持久力が必要だ。05年までに最高時の組織を回復し2000人をめざしたい。

ブロック再編や学習強化
 (21)東京・石毛浩一さん 東京では組織人員が減少し続けているが、定時制労働者の増加とその組織化の遅れが大きな要因になっている。後退に歯止めをかけるため、ブロック体制の再編や役員候補を対象にした労働組合の日常活動の学習などにとりくんでいる。

原点に返り組織拡大に奮闘
 (22)福岡・岩野直文さん 現状を打開する理論はあるが、理論どおり進まないのは、福岡の組織状況をみると組合の原点を置き去りにしてきたからではないかと思う。ガリ版のビラをもち毎日駅頭に立って組織をつくった先輩の話を思い出し組織拡大に奮闘する。


総選挙で怒りの1票を
 (23)大阪・久保義雄さん 小泉自公連立内閣の悪政にストップをかけることが自交労働者の要求実現への第一歩だ。総選挙で怒りの1票を投じよう。組織拡大では、兵庫で1組合が加盟した。個人加盟のハンドルネットワークユニオンも立ち上げ宣伝している。




実利・実益の確保を全力で

討論のまとめ

組織の強化拡大が重要


 討論のまとめを行った今村書記長は、自交労働者と事業をとりまく環境が激変し労働組合運動も大きな転換期を迎えている中で、第1に、原点・原則に立ち返ることの重要性を強調。「“組合員が主人公”という当たり前の原則にもとづいて組合運営や日常活動の面で民主主義を貫き通すこと。また、労働組合本来の任務であるくらしと権利を守る実利・実益確保のための仕事を本業としてやり抜くことが大切だ」と述べました。

 第2に、「どんなに優れた政策・方針であっても力を持たなければ実現しない」と指摘。決定された「3か年計画」にもとづく組織の強化拡大の課題を成功させていくことが重要だとし、大会後ただちに各地方で具体的な行動を組織するよう呼びかけました。

 第3には、タクシードライバー法案の制定などは、いま政府・財界がすすめている規制改革の政策と真っ向から対決するものであり、だからこそ国民的支持の獲得と国政への革新勢力の進出が不可欠であるとし、直面する総選挙闘争での決起を促しました。

 討論の前に出された質問については、(1)ブロックの強化、機動性を高めるために北海道・九州へ専従配置への補助を行うこととした、(2)組織拡大の特効薬はないが、相手の立場でなぜ入ってこないのかを考えることが大切、(3)運賃値下げ競争には、運転者の賃金面での底上げが重要な対抗策となる――ことなどを答弁しました。



織拡大で要求実現を

来賓4氏があいさつ


要求実現のため組織拡大に全力を
 全労連・坂内三夫事務局長 労働組合の数が減っている間は要求実現は難しい。拡大に全力をあげよう。全労連でもハイタク労働者を重点に考えている。

 総選挙では、(1)年金改悪・消費税増税反対(2)リストラ・解雇規制で雇用を守る(3)憲法を守り自衛隊のイラク派兵を許さない、という三つの基準で判断し、政治を変えていこう。

規制緩和の実態の告発と監視を
 交運共闘・坂田晋作議長 交運労働者は、90年のトラック、02年のタクシー、03年の港湾とつづいた規制緩和と闘ってきた。緩和で需要が拡大するどころか、不況との同時進行によりタクシーの乗客も減っている。客待ちタクシーが道を占拠している実態は悲惨だ。増車や運賃競争を告発し、悪質企業を監視する闘いにとりくもう。

陶山弁護士の遺志を継ぎ組織拡大を
 顧問弁護団・小部正治氏 8月に亡くなった陶山弁護士は自交労働者のために奮闘してきた。陶山さんはきっと、5万人の自交総連が見たかった、日本の民主化が見たかった、と思っているだろう。その遺志をついでがんばってほしい。

 佐野南海労組の仮処分勝利は、第一交通の本社を逃がさずに勝った大きな成果だ。

小泉内閣の悪政に総選挙で審判を
 日本共産党・井上美代参議院議員 国民が生活不安、将来不安で苦しんでいるのに、小泉首相は、雇用が増えたなどと事実に反することまで言って何の反省もせず、さらに悪政をつづけようとしている。自衛隊をイラクに派遣し、戦死者が出ても金で補償すればいいという考えだ。生活と平和を守る選択を総選挙で示してほしい。


自 交 総 連