2003.1.8 自交総連政策委員会
2002年2月1日、タクシーの台数規制を廃止する新道路運送法が施行された。以後、大量の増車や運賃値下げの発生など輸送秩序は乱れ、ルールなき競争が拡大するなどタクシー事業をめぐる情勢は激動している。タクシー労働者は長引く最悪の消費不況の影響ともあわせ、底なし的な賃金の低下、労働時間の延長、無法・無謀なリストラ「合理化」攻撃など、かつてない過酷な状況にさらされている。 こうした事態は、自交総連が再三にわたって規制緩和の弊害として指摘し、警告し続けてきたことが現実の危機として現れてきたということにほかならない。われわれの主張・提言に耳を貸さず規制緩和を強行した政府・行政当局とそれに追随した勢力には重大な責任が問われている。
そして今日、新局面の下で、危機に陥っているタクシー労働者のいのちとくらしを守る緊急の闘いをすすめるのは当然のこととして、より根本的な解決策であるタクシー運転免許の法制化(タクシードライバー法制定、国家資格化)はますます必要・不可欠のものとして、その重要性を高めている。
この実現へむけての当面の政策課題と実践の方向を明らかにするために、自交総連は、2002年度運動方針(02.10.10 第25回定期大会決定)で、以下のように本委員会の設置を決めた。
「タクシー運転免許構想への接近・『当面の目標』における政策的具体化と実践の方向を検討する専門委員会を設置する。報告の取りまとめは今年中に行い、本格的な運動に寄与できるようにしていく」
政策委員には常任中央執行委員があたることとし、02年11月12日、12月10〜11日、03年1月8日の3回にわたって検討を重ね、本報告(案)をまとめるに至った。なお、この報告(案)で示した課題のうち、すぐに実践できるものについては実践しつつ、さらに検討を重ねるべきものについては、今後も内外からの意見を求めて充実していくこととする。
(1) 相次ぐ増車と運賃値下げ
国土交通省のまとめによると、02年11月末日現在(施行後10か月間)の増車届出等は5957台(新規許可申請810、営業区域拡大366、増車届出4781台)、運賃変更申請等は2949社となっている。
増車届出や運賃変更申請は地域的に偏在しているが、大都市地域で均衡を破って申請・届出する事業者が現れると、その他の事業者もいっせいに追随する傾向が現れている。したがって、増車届出等が少ないところでも、いつ均衡が破れるか今後の状況は予断を許さない。
運賃は、遠距離割引(5000円超5割引等)や定額運賃(駅と空港等2点間の運賃を一定額に決める)が各種出現し、迎車料金の変更・無料化が急速に進行している。とくに、大阪では二十数種類の運賃が混在する状況であり、上限より18〜24%安い自動認可枠を下回る運賃もすでに認可されている。
(2) 営収の低下、労働強化、環境破壊の進行
タクシー労働者の賃金は、もともと、不況と段階的な規制緩和政策のせいで10年間にわたって低下、01年度の全国平均の年収は299万円にまで下がっていたが、2月1日以降は、いっそうの急速な低下となっている。
例えば2月以降約1000台の増車、運賃値下げが相次いでいる大阪では、02年10月の大阪市域の輸送実績をみると、実車キロ単価が前年同月より一挙に10円も下がって351.6円となり、日車営収は同6.3%減の2万9818円に低下している。
増車と値下げが確実に1台当たりの営収の低下をもたらし、それがそのままタクシー労働者の賃金低下となっている。その当然の帰結として、長時間労働・過労運転、乗客の奪い合いからくる無理な運転が増え、交通事故も増加、安全・安心が損なわれている。
増車された大量のタクシーは道路を占拠し交通渋滞を引き起こしたり、排気ガス、CO2を排出して環境を破壊している。
(3) 秩序の崩壊、不正も発生
労働条件の劣悪化に加えて、運賃制度の多様化や経営者の無責任な労務政策もあって、業界秩序やモラルの崩壊も急速に進行している。
タクシー乗り場では、多様な運賃が混在するため、安い車や乗りやすい場所に位置する車が先に乗客を乗せて出て行くようになり、順番の意味がなくなるとともに、乗客の奪い合いで緊張が高まっている。
また、低営収、激しい競争を背景に運転者自身がダンピングを行ったり運賃不正を行う例が増えている。このような行為は、一部の悪質事業者の黙認や事実上の奨励のもとで拡大しつつある。
こうした規制緩和による混乱、労働条件の悪化に対する根本的な解決策としての役割を担うのがタクシー運転免許構想のもつ重要な側面のひとつである。
この構想自体は、タクシー運転免許を国家資格として法制化することで、タクシー運転者の資質を高め、数を制限することにより、無謀な増車を不可能にし適正な台数を維持するとともに、タクシー事業そのもののあり方を経営者優位から運転者優位に変革して、利用者と運転者こそが主人公となることをめざすものである。
この実現までには、幾多の困難を乗り越えて、段階をおって接近していかなければならないが、まさにタクシー事業そのものが崩壊の危機に立たされている状況のもとで、状態悪化に歯止めをかけ、タクシー運転免許構想への接近をはかっていく第一の段階として当面、以下の政策課題を明らかにし、その具体的な実践を重視していく。
(1) 国民的合意の獲得
「タクシードライバー法案大綱」にもとづくタクシー運転免許の法制化の必要性についての世論喚起、国民的合意を獲得する。
@ “規制緩和の現実”を暴露する宣伝の強化
タクシー運転免許の法制化のためには、広範な世論の支持が不可欠である。いま必要なのは、規制緩和が引き起こしている具体的事実を国民の前に明らかにし、「規制緩和は危険だ」「タクシー労働者の労働条件はひどすぎる」という認識を広げることである。
規制緩和が引き起こしているのは、安全(タクシーの交通事故の増加)、安心(運転者の質の低下)、環境(多すぎるタクシーによる交通渋滞、大気汚染)の破壊である。
安心・安全については従来から指摘し続けてきたが、現実に大量増車がされているもとでの環境破壊については、新しい課題として重視していく必要がある。
政府・国土交通省は、自動車NOx・PM法にもとづき自ら定めた告示(02年4月30日 国土交通省告示「自動車運送事業者等の判断の基準となるべき事項」)で、タクシー事業者は、車両走行量の削減、需要動向に応じた車両管理、無駄な走行の削減などに努めなければならないとしている。環境保全の面から考えれば、無駄な車両の削減を言わざるを得ないにもかかわらず、それとまったく逆行する規制緩和・大量増車政策をすすめている政府・国土交通省の矛盾を国民的に批判していくことが重要である。
あふれるタクシーは誰の目にも明らかであり、その不経済性、排出ガスの影響、迷惑性を指摘して国民的な関心を高めていく。
こうした実態暴露のとりくみでは、宣伝方法に地域実情に即した創意工夫が必要である。
宮城地連がとりくんだ「タクシー規制緩和による弊害を告発する実態調査」は、タクシー労働者 982人への聞き取りアンケートや現場での車両を特定しての調査により、運賃ダンピング、不正営業、大量の客待ち車両等の実態を明らかにして記者会見をひらき、仙台のテレビ、新聞がいっせいに報道して大きな反響をよんだ。報道の大きさに、運輸支局・労働局も緊急の対策にとりくまざるを得なくなっている。
このように、的確でタイムリーな企画は、世論に大きな影響をあたえ、行政当局の行動もうながすことができる。
こうした事例も参考にして、実態調査やアンケート、シンポジウムなどを企画していくことが重要である。また、企画時には、事前に県庁(市)記者クラブ等への記者会見・記者レクチャー・資料配布などマスコミ対策を実施すべきである。
A 多種・多様な共同の拡大
国民的合意獲得の第2の要点は、多種・多様な共同の拡大である。
従来から協力・共同の関係にある諸団体との関係を強化するとともに、その枠に留まらない共同の拡大が必要である。
東京のタクシー適正化協議会では、消費者団体の代表が、規制緩和は世界的に見直しの趨勢なのにタクシーは逆行しているとの発言をするなど、消費者の側からも規制緩和に疑問が提出されている。「消費者団体は規制緩和賛成」というような短絡的な対応とならないように注意を払う必要がある。
以下の各方面について、懇談の申し入れ、シンポジウム等への出席要請、共同宣伝や行動の申し入れなどを計画していく。具体的な内容については、相手の実情にあわせて中央・地方で工夫する。
○全労連・春闘共闘関係
福祉・介護タクシー、地域の交通政策確立の視点も考慮する。
――交運共闘各単産、医労連、福祉保育労、自治労連、全教
○市民・民主団体
タクシーの現状理解を深めてもらうために働きかけを強める。
――福祉・医療(民医連等)・環境・消費者団体
○ハイタク産別
タクシー運転者の公的資格の確立に関しては、各産別とも共通する要求になっている。すでに地方ごとに共同が実現しているところもあるが、中央・地方において共同の形態を含め検討していく。
――全自交、交通労連、私鉄総連ハイタク部会
○地方自治体・議会、政党・国会
地域のタクシー政策に関する申し入れ、地方議会での意見書採択、地方議員との懇談などを働きかける。全国会議員を対象に要請を行う。
(2) ブロドライバーにふさわしい資質の向上
「タクシードライバー法案大綱」に示されたプロドライバーとしての資質の水準に接近していく。また、現存している関係機関の機能を、有効なものとして作用させるための改善をかちとる。
@ 必要最低限のモラルの維持・確立
過当競争、労働条件の急速な低下は、労働者のモラルの維持・確立に重大な否定的影響を与えている。その根本には劣悪な労働条件を押しつけて恥じず、労務管理も放棄するなどの経営者の姿勢に問題があることは間違いないが、それを理由に、現実に乗客と接する運転者がモラルを保持できないという言訳は世論からも是認されない。
タクシードライバーとして必要な運転技術の向上、接客態度の確立に注意を払わなければならない。
また、運賃ダンピングやメーター不倒などの不正は犯罪行為であり、許されないことは当然である。その背景責任の追及を含め、モラルの保持を徹底する必要がある。
A 資質のいっそうの向上――運転者側からのバリア・フリー化
身体障害者や高齢者、要介護者の輸送に関して、自交総連は早くから先進的な政策を確立して奮闘してきた。今日では、各地で多くの実践、経験が蓄積されてきている。
ホームヘルパー2級の資格をとり、介護タクシーにとりくんでいるところでは、仕事に誇りを感じ、乗客を思いやる気持ちをもち、交通事故も減るなど、組合員の意識がおおきく変わったと報告されている。
さらに、資格取得後も介護技術を競い合い研究しあうことで、「家庭内のベッド・布団から―車―病院のベッド」に至る高度な移送・介護技術を確立、医療関係者からも高く評価され、利用者も拡大したなど、先進的な事例(福岡・新和タクシー労組)も生まれている。このような高度な技術をもった組合員は自交総連の大きな財産ともいえる。
こうした教訓にも学び、車両のバリア・フリー化は当然の前提としつつ、運転者側からもバリア・フリー化のとりくみをはかり、社会的な評価を高めていかなければならない。
各地方・単組では、組合員の学習会・研修の実施やホームヘルパー資格取得のための講座の開設にとりくむとともに、資格取得後も介護技術の研修・相互交流にとりくむ。これらのとりくみを経営者へ「提案」し、会社との共催や補助を獲得することや自治体からの補助・協力も重視する。
また、身障者補助犬法の施行(02年10月)も契機として、盲導犬・聴導犬・介助犬同伴の身障者の乗車への協力・介助を徹底する。
各地での介護タクシーの実践が行われていることをふまえ、自交総連労組のある企業については、地域内や全国での情報交換やネットワーク化の検討を行う。
B 運転者の適正な選任の徹底
増車競争、労働条件の劣悪化は、アルバイト運転者の増加、車両数に見合わない運転者不足など、運転者の資質向上に逆行する事態を引き起こしている。
運輸規則第35、36条(運転者の選任)をはじめ、現行法・通達の規定の厳守を運輸当局に求め、違反事業者は処分させる。
運転者の登録が義務付けられ、タクシーセンターが置かれている東京・大阪については、登録時にアルバイト等違法な雇用形態でないことを確認させるなど「不安定」雇用の排除を求める。
また、センター試験では地理試験を厳格化し、必要な資質を備えない者は合格できないようにする。東京ではすでに試験が難しくされ、合格率50%前後となっているが、今後、経営側からの簡易化の要求が出てくることも予想されるので、厳格化を維持させることが必要である。
東京・大阪以外の大都市圏では地域実情に応じてタクシーセンターの設立を求めていく。不適切な運転者の選任を放置、奨励している事業者団体の責任を追及する。
さらに、将来の検討課題として、運転者の年齢制限の必要性の有無、高齢者の二種免更新条件の厳格化を研究する。
(3) 地域に根ざしたタクシー政策の確立
利用者・住民、タクシー労働者の声が反映する『タクシー地域協議会(仮称)』を制度的に設け、地域実情に見合ったタクシー輸送のあり方と健全な発展への施策について検討し、具体的な推進をはかれるようなシステムを確立する。
タクシーは地域内の交通を担う公共輸送機関であり、そのあり方と発展方向は地域の総合的な交通政策のなかに位置付けられるべきである。その点で、地域住民、地方自治体との関係を強め、タクシーへの理解を広げるとりくみが求められている。
従来から、地方自治体への要請などでは、タクシー問題に対応する部局自体が存在しないなどの障害があったが、地方自治体も深刻化する交通渋滞や環境保全の面から総合的な交通政策の確立にとりくむところが増えている。
石川県金沢市では、「新金沢市総合交通計画」を策定する協議会を設け、そのなかに石川地連も参加してタクシー車両のバリア・フリー化や自家用車の総量規制などの計画が立てられた。
今後、規制緩和の弊害が社会問題となることは必至であり、そのなかで積極的に地方自治体への働きかけを強め、地域交通計画のなかにタクシーを位置付けさせることが大切である。
現在、都道府県ごとに設けられているタクシー適正化協議会については、利用者・地方自治体の参加を求め、開催頻度や実効性を高めて、地域の交通政策が話し合えるようにする。協議内容を狭い枠内にとどめようとする運輸支局からの制約をさせないようにしなければならない。
人口数十万規模以上の中・大都市については、交通・環境行政の施策の策定に関する協議会等の設置とそこへの参加を求めていく。
また、京都地連の政策も反映して京都でタクシーも含む自動車の総量規制を目的に事業者がNPO(非営利団体)法人を設立した。地域実情に合わせて、このような事業者・労働組合が主導するNPOの活用も重要である。
(4) 働くルールの確立とそれを保障する組織の強化
『タクシー労働者の権利確保と社会的地位の向上、事業の将来のために』で提言している、@「労働者を大切にし、働くルールを守る職場とするために」 A「環境を整備し、仕事を増やし、働きがいのある仕事とするために」 B「社会的地位を向上させ、夢のもてる職場とするために」のなかに盛り込まれた当面の目標にかかわる政策課題の達成を重視し、その実現をはかる。
@ 働くルール、最低賃金の確保
規制緩和は、企業間競争を激化させ、そのしわ寄せは、権利侵害、リストラ「合理化」として労働者に襲いかかっている。
労働者の権利確保、労働条件の向上については従来からの政策・方針でとりくむが、当面とくに重視しなければならないのは最低賃金法違反の一掃である。違反を是正させることで実利を獲得するとともに、「公共輸送を担うタクシー労働者が最低賃金にも達しない低賃金で、安全・安心輸送が保障されるのか」という世論へのアピールを重視しなければならない。
また、産別最賃阻止の姿勢にみられるような、労働者の賃金を地域最賃ギリギリ程度に押しとどめておこうという身勝手な経営側の論理については、強く批判し、社会的に包囲していく。
A 無責任な経営政策への対応
増車や運賃の値下げに反対して、その歯止めのためにあらゆる手段をつくす。適切な台数の維持と同一地域同一運賃及び適正な運賃水準の確保はタクシーの安心・安全を担保する根幹的原則であり、今後も必要な再規制を求め続けていく。
同時に、過当競争が結局は共倒れにつながることを経営者にわからせる説得的対応のためにも、増車や運賃値下げの経済上の効果・影響等について、今後、理論的な研究を行い(必要な場合専門家の協力を得る)、増車・運賃競争の不合理性を明らかにしていく。
一方、リース制や累進歩合制などにより低営収でも利益が確保できるしくみをつくったうえで、労働時間管理をせずに、不正行為も放任するという無責任な事業者が増大しつつある。利益さえ上がれば、あとはどうでもいいという経営手法は、まさに規制緩和の行き着く先を暗示するもので、法人経営の存在意義を自ら掘り崩すものである。
労働組合を敵視し法律も守らない第一交通などの悪質経営と合わせ、規制緩和がもたらした経営者のモラル・ハザード(崩壊)の実態を明らかにし、社会的に糾弾していくようにする。
B 組織強化の対策
政策課題の実践のためには、その保障となる自交総連の組織強化が欠かせない。 現実に進行しているタクシー労働者の低賃金化、年功部分のない賃金体系化、不安定雇用化は、いやおうなしに労働者の意識にも影響を与えている。企業への帰属意識は希薄となるとともに、あきらめ・無気力・無関心なども広がっている。こうした状況に対応して、組織拡大強化についても従来の延長線上ではないとりくみが必要となっている。
すでに、いくつかの地方で成果があがっているように、労働者が個人でも加盟できる個人加盟労組の結成・強化を早急にはかっていく。
また、自交総連の労組から個人タクシーに行く者も相当数にのぼっていること、新道路運送法下で個タク労働者の政策に対する要求も切実になっていることをふまえ、個人タクシー(法的には事業者ではあるが1人で営業している実態としては労働者)の組織化にもとりくんでいく。 こうした労働者の組織化のためには、充実した共済制度などの実利的な魅力も欠かせない。自交共済の強化や個別の付加的給付など共済制度についての検討を行っていく。
さらに、すべての犠牲を労働者に押し付ける経営手法を強行し、改善の見込みもないような場合には、労働者は最終的な決断として労働組合の組織を維持しつつ、集団で企業を移動することもありうる。悪質経営者には労働力を提供しないことも労働者の権利である。どのような場合にそうしたケースが想定されるのか、同一資本下の他の労組、労働者へ与える影響についても慎重に考慮しつつ対応していく。
(5) 自主経営での先進的実践
自主経営闘争の新しい位置付けをふまえ、経営の健全化と民主的発展にむけてのとりくみ推進とタクシー運転免許構想の先進的な実践をはかる。
介護技術の向上について前述した福岡・新和タクシーは自主経営の職場である。この例を含め自主経営は、営利企業間の競争のなかで生き残らなければならないという困難な条件におかれつつも、先進的な政策の実践の点で重要な役割を果たしている。
自交総連の提起する政策を、「経営者の妨害や無関心」という障害物なしに真っ先に実践できる優位性もある。こうした利点を生かし、「自主経営の今後のあり方」(01年9月発表)で確立された方向にもとづき、チャレンジ精神を発揮していくようにする。
自主経営会社(組合)の相互交流と連携については、年1回必ず研修会や学習交流会を総連本部として計画するとともに、全国的なネットワーク化について検討をはかる。
福岡地連は、「泣潤[カーズコープタクシー福岡」という新しい自主経営企業を立ち上げ、02年12月から営業を開始した。この事業は、地連内において数年間にわたる慎重な検討のうえに立ち、十分な準備を行ったうえで実現したものである。
こうした新たな自主経営企業の立ち上げという政策については、地方ごとの事情が異なるので全国的な統一政策とはせず、各地方で実情に応じて慎重に判断していく。
以上の政策と実践課題を項目別に要約するとつぎのようになる。
自交総連は、全国のタクシー労働者の先頭に立って、この実現のために奮闘、タクシー運転免許の制定に一歩づつ接近していくものである。
(1) 規制緩和の危険性を明らかにするための安心・安全に加え環境を重視した世論の喚起、実態調査など工夫をこらした宣伝の実施。従来の枠にとどまら ない協力・共同の拡大。
(2) プロドライバーにふさわしいモラルの保持と向上、移動制約者のための運転者からのバリア・フリー化。運転者の日雇い・アルバイト化防止、適正な 選任の徹底。
(3) タクシー適正化協議会の実効性確保と地方・地域でのタクシーを含めた総合的な交通政策の実現。
(4) 働くルールの確立、最賃法違反などタクシー労働者の劣悪な労働条件是正の世論化。経営者のモラル・ハザード糾弾。企業横断的な労働組合の組織化、自交総連の組織強化・拡大。
(5) 介護・福祉タクシーなど自主経営での政策課題の先進的実践。
以 上