タクシー労働者の権利確保と
社会的地位の向上、
事業の将来のために(補強版)

2001.9.6 第5回中央執行委員会

第1.労働者を大切にし、働くルールを守る職場とするために

 ●経営者への要求

 労働者の団結する権利を保障した労働組合法や労働条件の最低基準を定めた労働基準法を尊重し、労使対等の立場による団体交渉によって、雇用、賃金・労働時間など労働条件問題の解決にあたること。

 1.労働組合への敵視・弱体化などの労務政策を一掃し、健全な労使関係を職場に確立すること。
 2.すべての労働条件や職種の変更、解雇などについては事前に労働組合と協議し、同意を得なければ実施しないこと。また、事業の休廃止や身売り問題については、労働組合と事前協議し、合意の上で行う、いわゆる「同意約款」の協定を締結すること。
 3.累進歩合制度の排除、保障給の設定、地域別最低賃金を下回る賃金の是正、ノルマ強要の禁止などについては早急に改善すること。
 4.臨時、アルバイト運転者など違法な雇用形態については直ちに是正、改善すること。

 ●国・行政への要求

 労働組合法、労働基準法などに定められた労働者・労働組合の権利を一切認めず、不当労働行為や労働条件の一方的切り下げ、権利侵害をつづける悪質事業者に対しては、断固としたきびしい行政姿勢を堅持し、法にもとづく厳格な処分を行うこと。
 また、相互通報制を有効に活用し、道路運送法に定める事業者の適格性を欠くものについては、免許(「改正」法実施後=許可)取消しを含むきびしい処分を行うこと。

第2.環境を整備し、仕事を増やし、働きがいのある仕事とするために

 ●経営者への要求

 社会的水準の労働条件確立を求める労働組合の『要求の正当性』を認め、それへの接近にむけた独自の経営努力や台数制限、運賃水準の適正化、需要の拡大など共通する政策課題での労使の協力・共同を行う方向へ、経営政策を転換すること。

 1.安易な労働者犠牲の賃下げ、人件費削減といった経営危機の乗り切り策を改め、「経理公開」を含む経営実態の説明など真面目な対応により、経営改善あるいは倒産防止、将来展望にむけての協力・共同を労働組合と行うようにすること。
 2.顧客の拡大、新規需要の開拓など運送収入増加策の営業努力を行うとともに、遊休車両の放置、経営規模の限度を越えた管理部門の費用、異常な金利負担など経営圧迫要因をチエックし、その改善や事業の効率的運営にむけ努力すること。
 また、地域の状況によっては、小規模経営の制約要件や非効率を改善するため、車両・備品の共同購入や事業自体の(共同の社屋・車庫、無線の統一化など)協業化を促進すること。
 3.一定地域でのタクシー台数規制と運賃の同一化、水準の適正化をめざす労働組合との協力・共同を重視したとりくみを強化すること。
 4.タクシー輸送(仕事)の領域を広げるための努力を行い、福祉・介護タクシーへの積極的関与、乗合タクシーの検討など地域住民の期待に応える公共輸送事業者としての責任を果たすこと。この場合、労働者・労働組合の合意、協力体制の整備を重視すること。

 ●地方自治体への要求

 地域交通の一翼を担う公共輸送機関として明確に位置付け、タクシー乗り場の増設やバスレーンへの乗り入れ、乗合タクシーの活用や福祉・介護タクシーの拡大、充実のための施策を推進すること。
 また、利用者・住民、タクシー労働者の声が反映する『タクシー地域協議会(仮称)』を制度的に設け、地域実情に見合ったタクシー輸送のあり方と健全な発展への施策について検討し、具体的な推進をはかれるようなシステムを確立すること。

 1.利用しやすさや迅速性を保障するため、タクシー乗り場の増設やバスレーンへの乗り入れなど優先通行権の確保・拡充をはかること。
 2.身障者、介護を必要とするお年寄りなどの『移動の権利』を確保するため、タクシー利用については、補助額と対象範囲の拡大(福祉タクシー)、「シルバーパス」(65歳以上の高齢者)、介護保険制度の改善(介護タクシー)などにより負担の軽減措置をはかること。
 3.通常の公共輸送機関の利用には困難が生ずる身障者等移動制約者の輸送については、@希望する事業者の自治体登録 A無線電話の情報ネットワーク化と共同配車 B運賃・料金の共通化 C自治体補助と共同チケットの交付などの輸送システムを検討し、制度化できるようにすること。
 4.郡部・過疎地における生活交通の確保策として、乗合タクシー導入の検討を行うこと。また、自家用車の送迎など危険な輸送方法は排除し、自治体が行う公的な運転業務全般についてはタクシーの活用をはかること。
 5.マイカーの都市部乗り入れや観光地規制など「パーク・アンド・ライド」方式の具体的検討に際しては、公共交通に占めるタクシーの役割を明確にし、その活用をはかる施策を講ずること。

 ●国・行政への要求

 安心・安全な輸送を阻害し、輸送秩序を破壊するアルバイトなど違法的雇用形態や運転代行など『白タク』行為の除去をはかること。
   また、福祉・介護タクシーの全国的な拡大、制度的充実をはかるため、助成を含む支援措置を講ずること。とくに、介護タクシーサービス(乗車前後の介助と移送)を介護報酬の算定対策とすること。

第3.社会的地位を向上させ、夢のもてる職業とするために

 ●国・行政への要求

 プロドライバーとしての資質向上と社会的地位の確保をはかるため、『タクシー運転免許』の法制化をはかること。当面し、タクシー業務適正化特別措置法による「指定地域」の運転者については、違法なアルバイト運転者などの登録防止や地理試験内容の高度化、研修制度の充実をはかること。

 1.労働者保護と安全輸送を保障するため、賃金、労働時間における最低労働条件の法制化をはかるとともに、社会的水準の労働条件を確立できるようにすること。
 2.タクシー労働者の食堂、トイレ、休憩所等福利厚生施設の完備にむけて、必要な支援措置を講ずること。