(2013年4月掲載)

 消費税を2014年4月から8%、2015年10月から10%にする消費税増税法案が2012年の国会で自民・公明・民主党の談合で可決されました。しかし同法は、経済情勢によっては実施を見直すという条項も入っており、安倍首相は参議院選挙後の2013年9月に最終的に決定するとしています。参議院選挙の結果がその決定に大きな影響を与えることになります。選挙の前に、もう一度、消費税がどんな影響を及ぼすのか、よく考えてみましょう。

 1.大幅な営収減、賃金減

 1997年4月、消費税が3%から5%に上がりました。その結果は甚大なもので、当時わずかながら上向きかけていた景気は一気に急降下、深刻な不況に突入してしまいました。

 消費税は、収入が少ない人にもかかる税金です。税率がアップすれば、国民の暮らしへの影響は大きく、財布の紐が固くなり、タクシー代などは真っ先に削られる運命にあります。

 当時、タクシーの営業収入は、94年から96年までは増収が続いていましたが、97年には消費税分(初乗り10円)の値上げにも関わらず、かつてない乗客の乗り控えが起こって、99年までに14%も減ってしまいました。

 連動して運転者の年収は、消費税引上げ前の367万円が3年で16%減の307万円まで急落しました(図1)。仮に当時と同じくらいの営収減少が起きるとすると、現在250万円程度の年収は200万円に減ってしまうことになります。

 会社にとっても、赤字でも否応なく納めなければならない消費税の負担は重く、消費税で倒産の危機に直面する会社が続出しかねません。

 2.税額控除でダブルパンチ

 タクシー運転者の場合は、営収減少に加えて、消費税を控除された上で賃金計算がされるという点でさらに深刻な影響が生じます。

 消費税は今でも運賃の中に含まれていますから、賃金計算をする場合には、総売上から5%分の消費税を控除した税抜きの売上げに対して歩率をかけて賃金を計算しているはずです。もし消費税が5%から10%になったら、控除される額が倍になるということです。

 消費税が上がって増税分が転嫁され運賃が値上げされたとしても、97年の時にみられるように売上げが増える保障はまったくありません。

 図2のように、40万円の売上げが変わらないとした場合でも、いまは1万9048円だった控除額が3万6364円になり、賃金は8658円も下がってしまうことになります。売上げが1割下がったとすると、控除額は3万2727円で、賃金は2万6840円も下がってしまいます。

 3.増収にも役立たない消費税

 国の財政を健全化するためには増税が必要だという考えがありますが、消費税増税は、国の財政再建にも役に立ちません。景気が悪化し、国の税収にも影響するからで、97年の消費税引き上げ後の実績をみればわかります。

 消費税増税前の1996年度に90兆円だった税収は、2010年度は76兆円、結局は、消費税の増収をすべて帳消しにする減収になっているのが実態です(図3)。

 政府やマスコミは社会保障費の増大などをまかなうためには、消費税を上げざるを得ないと説明していますが、本当に他に財源はないのでしょうか。

 3.大企業・大金持ちに応分の負担を

 現在の所得課税は、年収1億円までは負担率が上がっていく累進課税ですが、1億円を超えると逆に負担率が下がっていきます。大資産家が保有する株や証券への課税が異常に優遇されているからで、年収100億円の人の所得税負担率は年収1000万円台の人(15%)より低い13.6%です(図4)。

 また、大企業は内部留保を増やし続け、2010年度には266兆円にも達しています(図5)。しかも、その内部留保が、労働者の賃金や設備投資などにはほとんど使われず、海外での証券投資などマネーゲームに使われているのです。ところが、こうした大企業に対し、法人税は減税に次ぐ減税が繰り返され、2012年度からはさらに5%減税されました。

 財政が足りない、国が破綻するといいながら、大金持ちには優遇税制、大企業には減税を施し、そこで減る税収を消費税で穴埋めしようというのが消費税増税の本質です。

 こんな消費税、このまま強行させていいでしょうか。

 選挙で、きちんと意思を示すことが大切です。




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