2008年度運動方針(案)

自 交 総 連


も く じ
I 情勢の特徴と運動基調
II 主な運動課題と対応する基本方針
III 産業別組織体制の確立・強化にむけて
<関連文書>主な運動課題の到達点と今後の課題

I 情勢の特徴と運動基調

1.確かな再生への足掛かりを築く闘いの局面

 07年7月の参議院選挙の結果生じた“与野党逆転”という劇的な政治変化と、その後の国民的運動の前進を受けて、労働者・国民の要求実現を現実なものとする可能性が飛躍的に高まっている。
 こうした条件下のもとで、規制緩和実施後6年半を超える長期の闘いを粘り強く推進してきた自交総連にとって、向こう1年の闘いは、「日本のタクシーの確かな再生への足掛かりを築く局面」として、極めて重大な意義を持っている。

(1)激変したタクシー規制緩和政策への対応

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昨年の11・16中央行動

 08年2月に設置された交通政策審議会「タクシー事業をめぐる諸問題に関する検討ワーキンググループ」(交政審ワーキンググループ)は、そもそも、東京地区の運賃改定に係る内閣府・物価安定政策会議総会の審議結果と、続く「物価問題に関する関係閣僚会議」における決定を受けてのものであった。
 決定の内容は、「政府は、規制緩和の効果を消費者に一層還元し、また、タクシー事業の更なる発展をめざす方向で」、「(1)総括原価方式の見直し、上限運賃規制そのものの見直し(中略)など、自由な競争の中で経営努力が促され、消費者利益に的確に反映されるようにする方策 (2)サービスの質の確保、不良事業者の退出促進、タクシー運転者の賃金の確保等の観点から、経営の変革を促し市場の構造を変える方策、の2つの論点について早急に検討を進める」というものである。
 東京地区の運賃改定を契機に提起された「現行運賃制度の見直し」及び経営の効率化と新規需要拡大等の経営努力を求める「経営の変革」を主要なテ―マとしたはずの交政審ワーキンググループは、2〜6月の間に7回の会合を重ねる中で、その限定された枠を大きく乗り越え、タクシー事業の規制のあり方そのものについての議論を活発に展開するに至った。
 最大の焦点は、需給の不均衡(供給過剰)を解消するための総量規制と不良事業者の退出促進及び同一地域同一運賃制の実現であり、この課題の達成は、安全性の確保、労働者の労働条件改善、渋滞・環境等社会的問題の解消にとって不可欠という意見が大勢を占めた。さらに、緊急的に新規参入・増車を一時的にストップさせる立法措置や地域的減車を可能とする方策の導入を求める意見が出されるなど、前回の交政審タクシー小委員会(05年10月発足、06年7月報告書取りまとめ)審議とは、様相が一変している。
 そうした中、7月3日の第8回ワーキンググループ会合において、中間取りまとめのひとつのタタキ台、討議材料としての提案文書=「タクシー問題についての現時点での考え方」が、国交省自動車交通局より示された。
 その構成は、「J・タクシーの役割と検討の視点」「K・現状の問題点」「L・原因」「M・対策」となっており、注目された「対策」では、「考えられる具体策の例」を列記しつつ、(1)利用者ニーズに合致したサービスの提供、(2)供給過剰への対策(緊急調整措置=特定地域の指定及び指定基準の合理化、特定地域における参入・増車の要件の引き上げ、特定地域への総合的計画制度の導入、独占禁止法との調整を前提とした協調的減車措置など)、(3)過度な運賃競争への対策(不当競争防止に関する考え方の明確化及びその運用の強化、下限割れ運賃についての実態把握及び認可等の運用の強化など)、(4)悪質事業者対策(参入・増車要件の厳格化、参入・増車の手続きの厳格化=審査における現地確認の徹底、運輸開始時の確認など)等についての提起がなされている。
 その後、国土交通省は7月11日、「一般乗用自動車運送事業(タクシー)に係る緊急調整地域の指定等について」と題する通達を出し、“供給過剰に伴う問題の更なる悪化を防ぐ”(冬柴国交相=当時、閣僚会議後の記者会見)とする一連の強化策の実施に踏み切っている。

(2)相次ぐ与野党の規制緩和政策見直し提言

 タクシー規制緩和の根拠法である改正道路運送法は、2000年5月の通常国会において日本共産党と社民党を除く、政府与党の自民・公明・保守三党に加え野党・民主党の賛成などにより可決・成立した。
 改正道路運送法成立から8年余が経過したが、いまや政界の動向は様変わりし、与野党からの見直し提言が相次いでいる。
 自民党ハイヤー・タクシー議員連盟は、規制緩和検証部会での検討作業を進めていたが、5月30日、主な議論について「中間整理」をまとめた。その中で、需給バランスを改善するためには総量規制が有効であるとし、運賃については同一地域同一運賃が望ましいとの方向性を打ち出している。また、供給過剰を解消するため、時限立法等により独占禁止法の適用除外措置を講じた上で地域全体の減車を促進すべきなどと提言している。
 民主党は6月11日、「タクシー問題に関する緊急提言」を取りまとめ、冬柴国土交通大臣に提出した。この緊急提言は、臨時国会での(新規参入・増車を一時的に停止するための)議員立法、その後の道路運送法の見直し論議という3段階のとりくみの第一ステップとなるもので、緊急調整指定地域等の機動的発動による新規参入・増車の停止、ダンピングの疑いが濃厚な下限運賃の全廃、名義貸し行為の実態把握と是正のための実効ある緊急対策の3点を求めている。
 政界では最も早い時期に「タクシーの緊急措置に関する法案」を策定していた国民新党は6月20日、冬柴国土交通大臣に要請書を提出。需給調整を前提とする新規許可と増車の認可制の導入、減・休車に対する財政上の援助、同一地域同一運賃の原則の3点を求めている。
 2000年春の改正道路運送法国会審議の時点から一貫して「タクシー破壊法」ともいうべき悪法に反対し、規制緩和実施後も規制緩和の見直しと政策転換の必要性を主張し続けている日本共産党及び社民党は、“野党共同法案に賛成”の立場で臨んでいる。
 こうした動向を受けて、自交総連はすでに、与野党が政策的にほぼ一致していると見られる新規参入・増車停止の時限立法措置については歓迎の意を表明し、国会での成立を期待する旨の委員長談話を出している。

(3)現状の危機打開と将来像への接近を結合して

 規制緩和実施後、自交総連がこれまで重視してきた政策目標(将来像への接近)は、「台数規制と運転者優位の仕組みの確立、タクシー運転免許の法制化」と、「地域に密着した公共交通機関たるタクシーの発展」の2つである。自交総連は、この目標を運動の基本に据えつつ、直面する現状の危機打開と解決策の実現にむけて全力をあげる。
 とくに、供給過剰を解消し実車率アップを可能とする制度的な減車システム及び同一地域同一運賃制の確立、適正な原価を償うに足りうる運賃の確保は、輸送の安心・安全、労働者の労働条件改善にとって必要・不可欠のものであり、この課題における早期実現が求められる。
 全国産業別組織・自交総連としての責務を自覚し、最大限の努力を払う必要がある。多くの期待を寄せる組合員、広範なハイヤー・タクシー労働者とともに前進することが重要である。
 その際、要求実現を成し遂げようとする我々自身の固い決意と闘いの構えこそが不可欠であり、産別組織の力を総結集した生活危機突破と事業の将来をかけた闘争の推進にむけ全力をあげなければならない。
 同時に、この闘いを通じて、実践的かつ産別的な視点を持った幹部・活動家の育成に力を注ぐとともに、実勢3万人の回復をめざす組織拡大の課題において、目覚しい成果をかちとることが強く求められる。

2.くらしと雇用・命の危機打開に向けて

 “最小限の競争ルールさえ守らず、儲け第一主義で勝手放題”“労働組合を破壊し、無権利と人件費切り下げで儲けを拡大”─そうした手法で競争力を強化し企業拡張をはかる経営者が、ハイヤー・タクシー、自動車教習所、観光バス企業でも数多く見られる。
 買収に次ぐ買収を重ね、日本最大手のタクシー会社に成長した第一交通グループの過去・現在における労働組合否定、権利抑圧の労務対策や名義貸し会社の横行(大阪)、特定特別監視地域における駆け込み増車の続出(東京・大阪)等に見られる事態は、公共交通機関に携わる経営者としての資質が問われる重大な問題である。
 ライブドア・村上ファンド事件(金融・証券)、グッドウィルの違法派遣(労働)、英会話学校NOVA事件(教育)など構造改革・規制緩和路線の中で急成長した会社の不祥事を通じて明らかになった「企業の社会的責任」(CSR)の問題は、労働組合の存在とチェック機能の重要性、その運動強化の必要性を我々に教えている。CSRは、法令順守や製品・サービスの安全確保といった当たり前の行動に加えて、環境対策、人権尊重、地域・文化貢献など幅広いとりくみを企業に求めるものである。
 こうした視点を重視し、法人経営の存在意義を問い事態改善のための責任を果たさせるため、CSR運動と政策闘争とを結合した闘いを推進することが極めて重要である。

(1)貧困ライン層の増大と高齢化、健康破壊 ―ハイヤー・タクシー

 ハイヤー・タクシー労働者の賃金は、今から25年前(82年)の賃金水準とほぼ同額の278万円(厚労省調査、06年度)にまで低下しており、他産業労働者との比較では241万円の格差が生じている。
 02年2月の規制緩和実施後、貧困ラインに相当する低賃金層が広がりをみせ、地域別最低賃金や生活保護基準額を下回る異常な低賃金が大都市においてさえ常態化しており、今日においてもなお改善の兆しは見られない。
 都道府県別(厚労省調査、07年度)にみれば400万円台は東京(448万円)・愛知の2都県で、300万円台は10府県、200万円台は31道県、200万円未満は4県で最も低かった沖縄は183万円となるなど地方間格差の拡大が急速に進んだ。また一方では、低賃率、無権利の非正規労働者の拡大に伴い、地域全体の賃金・労働条件は低下し、格差と貧困を加速させている。
 07年4月から08年3月にかけて、半数を超す50ブロックで運賃改定が実施されたが、一定の増収となった地方・郡部を多く抱える運賃ブロックを除いては、大・中都市部を中心に運収減となり、労働条件の実質的改善につながっていない。大・中都市部では、規制緩和実施後の新規参入・増車によって実車率が低下したが、運賃改定時においても地域的な減車が実現しえなかったことにより、これがマイナス要因として作用している(内的要因)。
 さらに、アメリカの住宅バブル崩壊、低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題に端を発したアメリカ経済の減速は、行きどころを失った投機マネーを原油・穀物へと向かわせ、日本国内においても原油高騰、食料品等の値上げに及び、個人消費の落込み、中小経営の圧迫など景気の悪化をもたらした。このことが、タクシーの需要動向にも大きな影響を及ぼしている(外的要因)。
 ハイヤー・タクシーは、職業としての“魅力”を失い年々高齢化が進む一方、台数が減少している地方においてさえ、他産業からの流入が少ない慢性的な「乗務員不足」状態にある。経営危機も一段と深まり、とくに地方都市・郡部では破産・廃業等による整理解雇が広がっている。
 生活破綻に陥る労働者や過労死、健康破壊が増加し続けている。貧困化に伴う運転者の資質やモラルの低下も起こり、乱暴運転、接客態度不良、乗車拒否、地理不案内など利用者からの苦情は依然として減少していない。

(2)雇用不安と劣悪化する賃金・労働条件、権利侵害 ―自教・観光バス

 自動車教習所は、競争関係が熾烈さを増してくる下で、将来の経営維持に不安を持ち廃業など撤退の道を選択することや、親会社が抱える多額の債務返済処理をめぐる手段として系列の自動車教習所を丸ごと売却するなどのケースが近年、目立っている。過去10年の間に1530校(96年末)から1441校(06年末)へと全国で89校が減少しているが、10運輸局の内、関東が22校と最も多く、次いで近畿の13校となっている。
 構造的な問題である少子化傾向を背景に、自動車教習所は、入所者の減少をカバーするルールなき競争の激化など厳しい環境下におかれている。経営者の多くは、料金値引き、日曜・夜間営業の延長などの生き残り策に力を注ぎ、労働者からは働く意欲と将来展望を奪い、人件費の削減、パート・契約指導員の導入をはじめ、これまでかちとってきた権利を剥奪する攻撃を進めている。
 観光バスでは、2000年2月からの規制緩和実施後一気に新規参入が相次ぎ、06年3月末時点で68%増の3923事業者へと驚異的な伸びを示している。07年2月に発生した「あずみ野観光」スキーツアーバス死傷事故は、規制緩和によるバス業界の安値競争のひずみとして新聞・テレビで取り上げられ、大きな社会的問題として論議を呼んだ。過当競争の激化は、貸切り単価の切り下げとなり、経営そのものの危機を現出しているが、NOx・PM法対策としての新車買替えなどの設備投資が強いられ、倒産、企業閉鎖などによる失業・雇用不安が深刻化している。
 また一方では、利用客減や大手旅行業者による無理な運行計画の強要や運賃・料金ダンピングなどによる過当競争の打開策として、賃下げ「合理化」・長時間労働の押し付けに加え、「正規」をアルバイト・派遣運転者に置き換える攻撃が続いている。

(3)原点に立って、闘う自交総連の本領発揮を

 不合理で納得のいかない賃金水準、ひどすぎる職場環境と格差社会、ルールなき競争と権利抑圧の現状を変えるために奮闘することが求められる。
 その際、最も困難な状態に置かれている非正規労働者の利益を考え、細心の注意を払うことは、極めて大切なことであり、それぞれの職場・地域で対話と宣伝のとりくみを旺盛に展開しつつ、広範な仲間との相互信頼にもとづく関係を確立することが不可欠である。また、日常的な助け合いと生活相談、みんなの要望・期待に応える雇用、賃金、労働条件、権利における実利・実益の確保、さらには道交法闘争や職場環境改善など諸活動の再構築をはかる必要がある。
 たたかう自交総連の本領発揮が期待されている中で、職場で労働組合としての存在意義を示し、同時に主戦場である地域を視野に入れての運動との結合をはかりつつ、自交労働者の生活防衛闘争の先頭に立つことが重要である。

3.目線を地域に、悪政打破の課題と結合して

 2代目安倍、3代目福田となって受け継がれてきた小泉構造改革・規制緩和路線は、完全に破綻した。痛みの後に訪れるはずであった生活の安定と老後の保障、地域社会の活性化と日本経済の成長などは、空手形に過ぎなかった。10年連続3万人を上回った自殺者、100万を超える生活保護世帯、極端な低賃金と無権利に苦しめられる若者や非正規労働者、勝ち組と負け組、高齢者や子供への虐待、凶悪犯罪の増加、年金問題などこの国の政治と社会のあり方はおかしい。
 いま、後期高齢者医療制度や年金問題をめぐる労働者・国民の不満と怒りは全国的な広がりを見せ、政権与党を追い込んでいる。いまこそ、新しい情勢変化の下で、組織された労働者が広範な国民各層と手を携えあって協力し合い、悪政転換、政治革新への大きなうねりを作り出すことが期待される。

(1)「もうひとつの日本」をめざす大運動の前進を

 全労連は、06年夏よりとりくまれてきた「もうひとつの日本」をめざす大運動推進の重要性を強調し、(1)「戦争をしない・参加しない日本」の追求、(2)働くルールの確立、社会的格差と貧困の是正、(3)安心・安全な地域社会の実現、をキーワードに諸闘争のいっそうの前進をはかろうとしている。
 第1は、戦争しない・参加しない日本を貫くことである。「戦争か平和か」が、世界の際だった対立軸となっている。とりわけ日本では、常時戦時国家体制づくりをめざすアメリカに追随する自民党政治のもとで、教育基本法の改悪、改憲手続法の制定、米軍基地の再編強化などが強権的に進められてきた。一方では、08年4月の名古屋高裁のイラク派兵違憲判決や、読売世論調査(08年4月)で、憲法を変えることに「反対」が「賛成」を上回るなど大きな変化が生まれている。
 第2は、働くルールを確立し、格差と貧困を是正することである。今、格差と貧困の問題が、労働組合運動や市民運動をはじめ国会論戦や選挙戦でも最大の対立軸となっている。これまで、市場経済万能論、弱肉強食の競争社会を進める構造改革が財界による政治支配によって推進され、日本経済と国民生活の矛盾をあらゆる分野で深刻化させてきた。長期失業者やワーキングプア(働く貧困層)、ネットカフェ難民、生活保護世帯、ホームレスの増加など、政府の政策によってつくりだされた社会的格差と貧困の克服こそ、今日の日本社会の焦点である。
 第3は、安心・安全な地域社会の実現をはかることである。「国から地方へ」が叫ばれる裏側で、地域経済の深刻な存立危機、過疎化と高齢化、中心商店街の「シャッター通り」化、病院の廃止・縮小や鉄道の廃線、路線バスの撤退が進行することによって地域共同体の崩壊が進んでいる。地方自治体の財政破綻も深刻である。政府の構造改革は、住民の最も身近な社会単位である地域を破壊し格差を広げている。

(2)全労連運動の一翼を担って国民的共同の前進を

 組織された労働者の優位性を発揮し、要求実現の立場で、悪政打破、政治革新をめざす闘いに決起していくことが求められる。とりわけ、自民党政治を打ち破り、日本社会と経済の健全な発展、平和に貢献する日本をめざすには、“労働組合運動分野からの接近”を重視し、恒常的かつ継続的に国民的共同の可能性を模索する必要がある。自交総連は、そのために公務・民間労働者の共同を前進させることや、労働者・地域住民一体となった地域変革のための共同実現に力を注ぐ。
 また、全労連第23回定期大会が示した「憲法を職場とくらしにいかし、貧困と格差の是正・平和の実現を」をスローガンとする全労連結成20年目の運動を大きく前進させる。
 さらに、タクシー・自動車教習所など業種の特性に立脚した地域住民(利用者)との接点を重視し、安全性と移動する権利の確保や環境問題を共同の運動課題として位置付け、具体的な政策を持って地域に積極的に打って出ることもまた重要である。こうしたとりくみは、組合員一人ひとりの政治意識を高めることにも大きく貢献することになろう。
 自交総連は、自交労働者と事業、日本の明るい将来を築くために、これまでも困難に正面から立ちむかい、団結の力で乗り越えてきた自交労働運動の歴史と伝統に確信を持ち、それに恥じない底力を発揮していく。

II 主な運動課題と対応する基本方針

1.4つの要求課題と運動の基本方向

(1)社会的水準の労働条件確立への接近、権利の確保

(1)賃上げと底上げ闘争の強化

 1) 社会的水準の労働条件確立など「権利要求」の視点を大切にし、それへの接近にむけた要求闘争を重視する。そのため一定の時期に闘争を集中させてたたかう春闘と通年闘争としての政策闘争を結合してとりくむ。
 ○ 運賃改定に伴う確実な労働条件改善に関わる闘いについては、“社会的公約を守れ”を基本に、ノースライドプラス重点改善要求獲得の徹底追求をはかる。スライド賃下げ等の攻撃に対しては、経営者への抗議・撤回を迫る大衆行動を強化するとともに、関係行政へ改善指導を求める。
 ○ 減車と上限運賃の確保を最重点課題とし、地域の経営者共同の責任として労働条件改善のための環境整備を行うよう要求する。
 ○ 自動車教習所、観光バスでは、経営環境の改善を重視し、仕事量の拡大など職場政策要求への合意、実施を明確にしたとりくみ強化をはかる。
 2) 状態悪化に歯止めをかける闘いでは、地域における賃金底上げの視点を軸に最低賃金法違反の一掃、足切りの引下げ、累進歩合制度の廃止、企業内最低賃金の確立などを重点課題としてとりくむ。
 3) 年次有給休暇の不利益取扱いの是正、割増賃金の適正な支払いなど法定労働条件の確保をはかる。
 4) タクシーについての特定最低賃金(従来の産業別最低賃金)の確立(大都市=1500円以上、地方都市・郡部=1000円以上)では、重点地域の設定を検討し、「公正競争ケース」による申出の可能性を追求する。また、全国一律最低賃金制の法制化と現行最低賃金制の改善にとりくむ。
 5) 労働条件の高位平準化と到達闘争を全国的に展開し、地方(地域)での労働条件の格差是正をはかる。また、「職場・地域から時給1000円未満をなくそう」の課題を重視した運動を推進する。

(2)リストラ「合理化」反対、権利の確保

 1) 労働者犠牲のリストラ「合理化」に反対し、労働者・労働組合の権利尊重、賃金・労働時間、雇用規制などにおける働くルールの確立とCSRを問う運動の推進をはかる。
 ○ タクシーでは違法な日雇い・アルバイトの一掃、雇用の正常化にむけての地域的運動にとりくむ。
 ○ 名義貸しであるオーナーズ制度や「業務委託契約」等への対策については、地連(本)毎に情報収集や調査を行い、運輸局交渉を通じて根絶をはかる。
 ○ 整理解雇の4要件(企業の維持・存続にとっての差し迫った必要性、解雇回避についての努力、労働者側の納得、人選の仕方が客観的・合理的なものであること)など解雇ルールの確立をはかる。
 ○ 7年6か月に及ぶ長期争議となっている大阪・佐野南海労組の闘争を支援し、第一交通グループの社会的責任を追及する中で、組合員全員の職場復帰と労働者・労働組合の権利確保を含む全面的解決をめざす。
 2) 運輸・労働行政の監督指導責任を明確にさせ、道路運送法や運輸規則、労働基準法等を無視し労働者・労働組合の権利を認めない悪質経営者への厳しい措置や厳格な処分を迫る。
 3) 労働基本権や労働基準法など基礎知識の総学習運動を日常的に重視し、職場・地域での権利総点検活動を展開する。
 4) 倒産や廃業・身売り対策については、“いつでも起こり得る”ことを前提に、地連(本)として学習会の開催や対策会議の定期化、機関会議での情報交換などチェック機能の強化を含め体制強化をはかる。
 5) 職場で起こっている差別、支配介入など不当労働行為の一掃を重視する。また、裁判(地労委)一辺倒の闘争におちいる弱点を克服することに努め、職場を基礎とする産業別レベルでの反撃体制の確立、地方労連などの支援体制と社会的包囲との結合を重視する。
 6) 各種政府委員の獲得などについては、全労連の具体的方針にそった闘いの展開をはかる。とくに、中央・地方で労働者委員候補者を立て、共同のとりくみとして運動強化をはかれるよう奮闘する。
 7) 日雇い派遣の禁止や特定業種に限定する派遣の規制、派遣先企業の責任の明確化など労働者派遣法の抜本的改正を求める。

(2)必要な規制の維持・強化、将来像を見据えた政策要求の実現

 1)“輸送の安心・安全”“誇りと働きがい”“地域貢献”を確実なものとする「新たなタクシーシステムの確立」(タクシー運転免許構想)を展望し、その根幹となるタクシー運転免許の実現を粘り強く追求する。また、現在生じている供給過剰の是正、労働条件低下の防止策等の解決をはかるため、具体的な政策要求にもとづく事態改善のとりくみ強化をはかる。
 年内取りまとめの日程で検討が進んでいる交政審ワーキンググループへの対応では、前記の方向性をふまえ最大限の努力を払う。
 ○ 6月14日に施行された政令指定都市等13地域における運転者登録制度については、良質な運転者の確保という本来の目的に適った実効性のある仕組みとして定着させること。また、運転者の登録取消処分などに係る対応については、懲罰的制裁主義を排し、公正、教育・指導、公開の原則を尊重するほか、背後責任の追及を明確化することを求める。
 ○ 緊急重点対策として、(1)実効ある減車制度の導入 (2)参入基準の厳格化と増車の抑制策 (3)適正な運賃、同一地域同一運賃制の確立、(4)緊急調整措置制度の改善、実効性の確保 (5)名義貸しの根絶、累進歩合制度及びリース制賃金の排除、の5つを取り上げてとりくむ。
 来年の通常国会に提出するとされる道路運送法等の改正の動きに対しては、(1)独占禁止法の適用除外措置にもとづく地域的減車の合法化、(2)道路運送法と労働者保護及び安全運行規定の一体的機能化(労働保護立法的側面の挿入)を重視していく。
 ○ 利用者・住民、タクシー労働者の声が反映する「タクシー地域協議会」を制度的に設け、地域実情に見合ったタクシー輸送のあり方と健全な発展への施策について検討し、具体的な推進をはかるシステムを確立するよう求める。さらには、地域分権の確立を基礎に、利用者・住民、事業者、タクシー運転者の声が反映する官民合同の委員会を設け、タクシーサービスのあり方や適正なタクシー台数、運賃などの重要事項の決定権を与えるようなシステムの確立をめざしていく。
 ○ 東京の国賠訴訟控訴審対策については、政策形成訴訟の視点を重視し、実態告発と国の責任の追及、運動高揚と世論喚起の場として位置付けるとともに、最大のテーマである「原告適格を認めさせる」闘いの支援・協力体制の強化をはかる。
 2) 経営者自らが引き起こしている増車・運賃値下げ競争に対しては、3つの観点(第1=適正な台数・運賃水準の確保は不可欠、第2=優先されるべきは輸送の安心・安全、第3=良貨が悪貨を駆逐するシステムこそ必要)を組織的に身に付け、原則的に対応していくことを重視する。
 3) プロドライバーとして必要な運転技術の向上、接客態度の確立に努めるとともに、移動制約者や高齢者の輸送についてのとりくみ推進をはかる。
 4) 地方自治体に、タクシーを公共交通機関として位置付けさせ、タクシー問題を担当する部局を設けさせる。また、乗り場の増設やバスレーンへの乗り入れ、乗合タクシーの活用、福祉・介護政策とタクシーの役割及び労働者の関与のあり方について検討・具体化させる。
 5) 自教関係では、「自教労働者の権利と社会的地位の向上、事業の将来のために」(03年4月、第4回中執決定)にもとづき、とりくみ推進をはかる。とりわけ、地域の交通安全教育センターとしての機能強化に関する政策提言の実現、「職務領域や業務範囲の拡大」を重視していく。
 6) 観光バス関係では、公正な取引ルールの確立、安全性と雇用・労働条件の確保のための政策要求を掲げてとりくむ。とくに、旅行会社による不当な低運賃の押し付け、運賃ダンピング・区域外営業など法違反の是正、過労運転の防止措置、労働条件改善にむけての環境整備などを重視していく。
 7) 対等・平等にもとづく正常な労使関係の確立、一致する政策課題における関係労使の協力・共同の前進を追求する。
 8) 社会貢献の観点を重視し運動の強化をはかる。とくに地域住民との接点を追求し、住みやすい街づくりとの関係で、「移動(交通権)の確保」「安全教育、交通事故の根絶」といった分野での関与のあり方を積極的に検討し、労働組合としての社会参加を追求する。
 9) 全労連が提起している「労働組合の地球温暖化防止運動」を積極的に受け止め、「タクシー減車による地球温暖化防止への貢献」(08年5月発表、自交総連作成)を活用し地域における減車闘争に役立たせるなど、交通政策からの接近をはかる。

(3)悪政の打破、反核・平和、国政の民主的転換

 自交総連は、安保優先・大企業本位の政治の転換、平和・民主主義擁護、憲法改悪に反対する国民多数の世論結集をめざす運動の強化を重視し、全国革新懇が示す「3つの共同目標」をいっそう高く掲げてとりくむ。具体的な運動については、全労連をはじめ民主的な諸団体の行動提起を積極的に受け止め、その前進をめざしていく。地方政治の分野では、「オール与党」による悪政を打破し、地域住民のくらしや営業、地域経済を守る地方自治体を建設していくために奮闘する。
 憲法闘争では、全労連が提起している(1)すべての職場に憲法を守る会の確立を (2)すべての地域に憲法を守る地域の会や共同センターの確立を (3)すべての職場で憲法改悪反対署名の過半数集約を (4)中央、都道府県、産業で労働者9条の会などの結成を、にもとづきとりくみ推進をはかる。
 きたるべき衆議院選挙については、政権交代の現実的な可能性もはらむもとで、政治の真の民主的転換の方向性を明らかにし、自交労働者の生活危機打開、事業の将来をも確かなものとする選挙闘争方針を確立してとりくむ。

(4)自交総連3万人の回復と強大な全労連の建設

 1) 実勢3万人の回復にむけて、全国的な組織強化拡大運動を推進する。
 ○ 重点目標として、「一桁組合からの脱却、少数派から職場内多数派へ」「二桁の地連(本)は100人以上の組織勢力へ」を追求し、各地連(本)での最高時勢力の回復をめざす。各地連(本)は、独自に策定した計画にもとづき中央のとりくみと結合したとりくみ推進をはかる。
 ○ 空白県の組織化については、隣接ブロックの協力や地方労連との連携をはかり未組織宣伝行動などを計画する。
 ○ 各地連(本)は、「地域タクシー労働組合」(個人加盟方式)の設置を行う。また、非正規雇用や個人タクシー、自教・観光バス労働者の組織化を、運動方針に明確に位置付け必要な対策を具体化していく。とくに非正規雇用労働者の組織化にあたっては、組合規約をチェックし、「パート労働者は加入できない」などの不備・障害があれば改善し体制整備をはかる。
 ○ 各地連(本)は組織内点検を行い、機関会議欠席組合や組織機能を失っている少数派組合への対策を重視しオルグ強化を含む必要な手立てをとっていく。総連本部としては、体制・機能の確立がなされていない地連(本)への個別オルグ、援助と指導を重点的に行う。
 2) 一致する要求にもとづく共同の拡大をはかる。減車、リストラ「合理化」反対、廃業・身売り対策等での職場内共同を推進するほか、政策提言の実現を重視した地方(地域)内共同を積極的に進める。
 3) 「200万全労連建設と600地域組織確立」をめざし、中央・地方で全力をあげる。また、中央交運共闘の組織・運動面にわたる機能強化にむけ積極的な役割を果たすとともに、各地連(本)は交運関係組合との共同拡大、地方交運共闘確立への努力を払う。

2.当面する運動の基本的展開

(1)2008年秋から2009年春闘に向けた闘争の具体化

 2008年秋から2009年春闘にむけての闘いは、独自の産別要求・政策の重点と国民的課題とを結合し、春闘の前段闘争と位置付けとりくむ。とくに、全労連が提起した「なくせ貧困、生活危機突破」を中心課題とする08年秋闘の前進を重視し、11・13中央行動を起点とする全国集中行動旬間(〜23日)に結集していく。闘いの具体化では、「2008年秋から2009年春闘にむけた闘争方針」を第4回中央執行委員会(9月9〜10日)で決定しとりくみを進める。

(2)2009年春闘の準備

 1) アンケートの実施については、全労連の「働くみんなの要求アンケート」を基本とし、全組合員と広範な未組織・未加盟の労働者を対象とする独自のものを作成しとりくむ。この際、すべての地連(本)は、アンケート活動の目的と意義を職場組織に徹底し、明確な目標と対象を設定してとりくむこととする。
 2) 春闘方針は、11月中に執行部原案をつくり、1月下旬には中央委員会をひらき決定する。春闘方針の職場討議は、1月初旬から執行部(案)にもとづいて行えるように準備する。

3.通年闘争の諸課題とそのとりくみ

(1)通年闘争のとりくみ

 1) 全労連や民主的諸団体がとりあげる国民的諸課題について積極的に対応していくこととし、原水協、全国革新懇、非核の政府を求める会、安保廃棄中央実行委員会、国民救援会などとの共同を発展させる。
 2) 「自交労働者月報」の購読者拡大とその積極的活用、「自交労働者新聞」の内容充実を重視していく。また今年度は、機関紙コンクール・写真コンテストを実施する。教宣学校は、ブロック毎に計画を立て本部からの講師派遣を行う形で実施する。
 3) 不当弾圧や解雇、争議権制限に対するとりくみ強化をはかる。関係弁護士交流会については、中執メンバー全員の義務参加のもとに今年度も開催していく。
 4) 在職死亡(過労死や職業病、自殺)の増加など健康破壊が深刻になっていることを重視し、自交労働者が健康で生き生きと働ける職場環境を確立させるためのとりくみ強化をはかる。
 ○ 労働者の安全と健康を確保するため、職場内に安全衛生法にもとづく安全衛生委員会を設置し、安全衛生の確立と機能の充実をはかる。
 ○ 事業者負担による成人病検診の義務付けとともに、検査項目にマーカー検査(ガン検査)を入れるようにする。定期健康診断の受診率を高め有所見者の再診を義務付けさせる。
 ○ 働き過ぎによる過労死など労働災害をなくすための総合的な事前対策を重視する。
 ○ 不幸にも被災労働者が発生した場合には積極的に労災認定闘争を行う。
 5) タクシー強盗防止のため、警察庁が作成した「タクシーの防犯基準」の実施を求めるとともに防犯機器の設置など必要な対策を経営者に講じさせる。また、運転席と客席部分を完全に隔絶させる等の車両改造の義務付けを検討させる。
 6) 道交法闘争を発展させるため、引き続きとりくみ強化をはかる。
 7) 自交共済第27回総会の決定をふまえ、自交共済及び自交共済年金への加入促進運動を行う。また全労済の各種制度普及に努め、厚生文化行事は条件によって計画していく。
 8) 国際連帯活動については、国際労働運動の紹介に努め条件に応じて大衆的国際交流を検討する。

(2)政党との関係について

 労働組合と政党との関係は、以下の4原則をふまえ対応する。
 自民党政治の反労働者、反国民的政策に反対してたたかうとともに、自交労働者の生活と権利、平和と民主主義を守ってたたかう政党と協力・共同の関係を保っていく。
 前項の立場に立って、組合員の政治意識を高める活動を行う。
 組合員の政党支持・政治活動の自由を保障していく。また資本や警察からの妨害・弾圧には、労働組合の立場から政治活動の自由を保障する見地でたたかう。
 政党別選挙に際しては、特定政党・特定候補の支持は行わない。ただし、労働組合の要求実現とのかかわりで政策協定を結んだ革新・民主勢力共同の候補については、労働組合として積極的に支持していく。

III 産業別組織体制の確立・強化にむけて

1.執行体制と顧問の委嘱について

(1)機関会議開催の計画と本部専従体制

(1)機関会議開催の計画

 中央執行委員会の開催は大会及び中央委員会時を含め年5回とする。また「地方代表者との合同会議」を適宜セットし、地方の幹部・活動家育成に役立たせる相互の経験交流や学習、個別問題での相談などを重視した運営にしていく。常任中央執行委員会(中央闘争委員会を兼務)は年7回開催していくほか、必要に応じて専門討議を行う。中央委員会は1月に開催し、2009年春闘方針を決定する。

(2)本部専従体制について

 総連本部の専従役員は4人体制(内1人は全労連に派遣)とし、書記については2人とする。
 産別指導体制を強化するため、ブロック協議会の機能強化と運営改善をはかる。また、書記局内に自教担当を配置する。

(2)顧問の委嘱

 顧問弁護団は、東京法律事務所、馬車道法律事務所、代々木総合法律事務所、江東総合法律事務所の4事務所とし、引き続いて協力を要請する。また、公認会計監査については坂根公認会計士に委嘱する。

2.財政の確立と2008年度予算(案)

(1)2008年度予算(案)の編成にあたって

 (1)収支率100%を基本にした予算編成が困難である財政事情と繰越剰余金の次年度取り崩し限度額とを勘案の上、資金収支計画を立てる、(2)予測される収支差損の縮減をはかるため、支出面での費用削減と事務の効率化に努める、(3)本部への登録率は実組合員数の80%以上、会計年度途中の変更は認めないことを原則とする、(4)50%未満の地連(本)は3〜4年の実施計画を策定し登録増への改善をはかる、ことをふまえ2008年度の予算編成を行う。
 臨時徴収金については、長期争議組合支援(20%)、組織化対策及び大型宣伝カー積立(20%)、ブロック宣伝還元金(25%)、全労連会館単産特別賦課金(30%)、その他予備費(5%)を基本に配分する。

(2)各地連(本)の財政基盤の確立

 労働組合の日常活動の基本は、「組織」「教育宣伝」そして「財政」の3つであるが、軽視されがちなのが財政活動である。財政活動は、組合を運営し、日常的な活動を支える上で欠かせないものである。改めて財政活動の重要性を認識し、すべての地連(本)は財政的基盤の点検と計画的改善をはかる。また不団結や組織力の低下を招くことになる不明瞭な財政支出や「使い込み」などをチェックする機能を確立する。
 会計報告は定期的に行い「公開の原則」を貫くなど会計面における民主主義の徹底をはかる。各地連(本)は、学習会の機会などを活用し、組合会計の基礎的知識を関係者が身に付けるように努める。総連本部としては、必要に応じて講師派遣を行う。

〈関連文書〉

主な運動課題の到達点と今後の課題

1.2008年春闘のとりくみ結果

(1) 第30回中央委員会で決定した要求と課題

 自交総連は1月29、30日、東京・全労連会館で第30回中央委員会をひらき、「団結と統一で要求実現、なくそう貧困と格差社会 08春闘」をスローガンとする春闘方針を決定した。

 「基本的な要求・課題と闘いの力点」では、(1)みんなに賃上げを、底上げ闘争の強化、(2)リストラ「合理化」反対、権利の確保、(3)タクシー運転免許構想との結合、政策要求の実現――を提起。「闘いの基本方向と組織の強化拡大」では、(1)学習春闘を重視し、権利要求の構えで、(2)みんなで決め、みんなの力を合わせ、みんなで行動を、(3)地域を足場に、社会のあり方を変える世直し春闘の前進を、(4)仲間を増やし、組織の力をつけ、魅力ある自交総連の確立を――を重視し、春闘の具体的な展開をはかっていくことにした。

(2) 具体的な闘いの経過と到達点

(1) 中央闘争委員会等で決定・確認した闘争方針

【第3回中央執行委員会(3月4日)の決定】

《重点課題に関わる対応方針》

 1) 08春闘を反転攻勢の好機ととらえ、闘いを精力的かつ大胆に
 ○ 08春闘をめぐる情勢の最大の特徴は、“安心・安全”という公共交通機関の根幹をなす課題において、タクシー運転者の質の確保と、それを担保する労働条件の改善が強く求められていることにある。闘いの焦点となっている実効ある運転者登録制度の確立と運賃改定に伴う賃金・労働条件への確実な還元は、そうした課題達成に直結するものとして重要視しなければならない。さらに、悪質事業者の市場からの退出と供給過剰問題の解決(増車抑制と減車)を促す仕組みの確立は、緊急、不可欠の課題となっており、新たに設置された交通政策審議会ワーキンググループにおける検討課題の主たるテーマのひとつになっている。したがって、08春闘をめぐる今日的情勢を、“反転攻勢の好機”ととらえ、『もうひとつのタクシー 確かな再生へ』にむけた政策的視点をもって臨み、自らの力、運動の推進によって情勢を切り開く。
 ○ 運賃改定に伴う労働条件改善問題については、行政の認可責任と企業の社会的責任を追及していく。その際、改定後における労働条件の確実な改善を指示した運輸局長名通達及び厚労省労働基準局長通達を活用し、社会的公約の実行を迫るとともに、具体的には、減車と上限運賃の確保、労働者への確実な還元=ノースライドプラス重点改善要求の獲得をめざす。
 ○ 08年6月実施にむけて準備が進められている運転者登録制度で、新たに設置される指定地域については、実効ある制度として機能させるために、登録、登録時講習の内容、効果測定などについての厳格化及び処分の公平性・人権の確保をはかる。
 ○ 総括原価方式及び上限運賃規制など運賃制度そのものの見直しと“経営の変革を促し、市場の構造を変える方策”を検討している交政審ワーキンググループは、すでに2回開催(第1回=2月8日、第2回=2月22日)されており、以後、以下の日程で審議を行い、08年中の取りまとめ(答申)を行うことにしている。
 第3回=3月6日(16:00〜18:00、各地域の関係者からの意見聴取等)
 第4回=3月28日(10:00〜12:00、各地域の関係者からの意見聴取等)
 第5回=4月15日(16:00〜18:00)
 第6回=5月16日(14:00〜16:00)
 第7回=6月17日(14:00〜16:00)
 先の交政審タクシー小委員会審議、報告(06年7月)に続く、今後のタクシーの将来を左右する重大な局面であることをふまえ、いっそうの運動強化をはかっていく。

 2) 底上げ闘争の強化、実効ある行政指導の徹底追及を
 ○ 「最低賃金法違反の一掃、累進歩合制度の廃止を軸とする賃金の底上げ」及び「違法な日雇い・アルバイトの是正・根絶」を重視する。その場合、職場内での改善闘争にのみ目を奪われるのではなく、地域全体の底上げをはかる“地域戦”として位置付けてとりくむ。
 ○ 各地連(本)は、地域におけるタクシー労働者全体への啓蒙・宣伝活動を展開し、具体的な実態把握のもとに労働・運輸行政へ是正改善指導を求める。

 3) 減車推進、増車・運賃競争反対の闘いでは、産別視点での運動強化を
 ○ 賃金低下に歯止めをかけ、生活改善の賃金増をはかるために、(1)増車はやめろ!大幅減車で運収増をはかれ (2)値下げをするな!下げた運賃は元に戻せ、を重点課題とし経営者の責任ある対応を求める。
 ○ 一定地域における減車の数値目標について、各地連(本)は、実情に見合った減車台数を具体的に試算の上、その実現を迫る運動を追求する。なお、遊休車両については即時減車を要求し、経営効率化への経営責任を全うさせる。
 ○ 増車と運賃値下げに関わっては、基本方針として確定している「3つの観点」をふまえ対応する。
 1. 適正な台数・運賃水準の確保は不可欠
 増車と運賃値下げは、賃金のいっそうの低下と長時間・過密労働をもたらすもので、良質な労働力の確保を大きく阻害する要因となる。また運賃の値下げは、その『安さ』によって特定の会社が一時的に顧客の拡大をはかることができても、値下げ分を補い運収増につながることなどはまったく期待できず、将来的にも安定的な需要を確保していくことにもつながらない。
 2. 優先されるべきは『安心・安全』
 運転者の労働条件の劣悪化は、安心・安全な輸送を根幹から揺るがす要因ともなり、増車と運賃値下げへの政策転換は公共交通機関たる事業の社会的責任を自ら放棄する自殺行為に等しい。
 3. 良貨が悪貨を駆逐するシステムこそ必要
 増車と運賃値下げ競争の結果は、市場における第一交通グループなど悪質経営者の寡占化、一人勝ちを許すだけのことであり、事業の将来展望にとっては破滅的なマイナス要因となる。
 ○ 各地連(本)は、個別経営者はもとよりのこと地域全体の経営動向にも注意を払い、増車と運賃値下げ競争の弊害・不利益を主張、宣伝し、経営者自らが自粛・歯止めのとりくみに踏み出すよう積極的な役割を担う。

《当面する統一行動及びとりくみの具体化》

 1) すべての職場組織が要求を提出し、執念を持って獲得への追求を
 ○ “これ以上の状態悪化は許さない、みんなに賃上げを”の構えを基本に、賃上げと一職場一重点要求獲得の徹底追求をはかる。このため、各地連(本)は要求提出の意義を徹底し、未提出組合への援助・指導を引き続き強化する。
 ○ 回答指定日の設定は3月21日までとする。回答指定日に至る事前の対策として、各職場組織は経営者に対し要求内容に関わる説明の場を設けるよう努め、協力・共同の政策提言についても積極的な提起を行っていく。
 ○ 各職場組織は、回答指定日の翌日(3月22日=自交総連第2次統一行動)には時間内外の報告集会などをひらき、回答内容の説明、その評価と以後のとりくみ方針を報告し討議・確認を行う。また、組合旗のいっせい掲揚など創意工夫し、全組合参加の行動としての前進をはかる。

 2) 3・5中央行動で、“世論の喚起”と世直し春闘の前進を
 ○ タクシー労働者の労働条件改善、実効ある運転者登録制度の実現を中心とする緊急要求と“なくせ!格差と貧困、安心できる雇用と賃金を”など労働者・国民の共通課題を結合し全力をあげてとりくむ。この3・5中央行動は、自交総連第1次統一行動とし、1600人規模の闘い(=交運共闘)として成功をめざす。
 ○ 中央行動では、(1)交運共闘・国交省前共同行動、(2)国交省請願行動、(3)国交省、厚労省交渉及び政党・議員要請行動を実施する。

 3) 第3次統一行動(4月23日)の設定と企業の社会的責任を問う運動の提起
 全労連の統一行動日である4月23日を、自交総連第3次統一行動として位置付け、『春闘要求実現と企業の社会的責任(CSR)を問う一日行動』として全国的なとりくみを展開する。闘争形態については、ストライキ、決起集会・デモなど要求闘争の進展状況に見合った具体的設定を各地連(本)毎に行うこととする。

 4) 増車・運賃競争激戦区(大阪・宮城)への対策強化
 中央本部として、三役メンバーを中心とする代表団を編成し、実態把握と激励、運輸局・事業者団体への要請行動などを実施する。大阪は4月中、宮城は5月中を目途とし具体化をはかる。

 5) 産別重点署名のとりくみ推進
 春闘期間中に集中してとりくむ産別重点署名は、「タクシー運転免許の法制化」及び「憲法改悪反対」「第2次働くルールの確立」の3つの個人署名とする。各地連(本)は、担当者を配置するなど特別な体制をとってとりくみ推進をはかる。08春闘における「タクシー運転免許の法制化」署名の到達目標は10万筆分、5月までに集約し達成させる。

 6) 悪政の打破、雇用・くらし・いのち・平和の安心をめざして
  庶民大増税、社会保障制度の改悪、憲法改悪の策動など福田・自公政権の悪政推進に反対し、国民的共同の諸行動に結集していく。また、「平和憲法を守ろう」の闘いを重視し、全労連、陸・海・空・港湾労組20団体の一員として各種の共同のとりくみに参加する。

 7) 組織拡大月間で仲間を増やし、実勢3万人の目標達成を
 ○ 組織拡大月間は3〜5月に設定し、「実勢3万人の回復」の達成をはかる方向で臨む。各地連(本)は、この方向にもとづき具体化を行い、組織内未加入者への対話と加入呼びかけ、地域単位による宣伝、職場訪問などに集中してとりくむ。
 ○ 空白県対策やブロック内共同による組織化のための諸行動を強化する。とくに空白県対策などについては隣接地連(本)と連携し、総連本部からのオルグ派遣を行いとりくみ推進をはかる。
 ○ 新宣伝カーの完成後、○○地方を重点とする未組織宣伝行動を5月連休明けに実施する方向で具体化をはかる。

【第1回中央闘争委員会(4月9日)の決定】

 1) 労働組合の存在意義を示す要求獲得にむかって全力を
 ○ 各地連(本)における要求提出状況を再チェックし、一職場一重点要求の設定を含め未提出組合への援助・指導を引き続き強化する。
 ○ 4月中決着をめざすとりくみの強化をはかる。そのため、第3次統一行動(4月23日)に続いて、春闘決着をめざす統一行動ゾーン(4月28〜30日=第4次)の配置を行う。各地連(本)は、中核的組合の早期決着を促進するためストライキを含む戦術配置を行い、追い上げをはかる。
 ○ 自交総連三役メンバーによる大阪・宮城への激励行動については、以下の内容で実施する。
 【4・10〜11大阪行動】
 (1)近畿運輸局との意見交換 (2)大阪市への申し入れ行動 (3)激励集会
 【5・26〜27仙台行動】
 (1)東北運輸局要請 (2)宮城県タクシー協会と懇談 (3)地連役員と交流・実態視察 (4)減車を求める決起集会
 ○ 春闘の『3つの解決基準』については、次の3点を重視する。
 第1=昨年実績を上回る賃上げ額の獲得と賃金体系の改善をはかる。
 第2=一職場一重点要求の実現など含め全体的合意を前提に、納得のいく中身の解決を重視する。タクシー運賃改定が実施された地域では、ノースライドプラス重点改善要求の獲得をはかる。
 第3=将来展望を切り開くにたり得る政策合意の取り付けに努め、協定化をはかる。タクシーでは、減車と増車抑制、同一地域同一運賃化(上限運賃の確保)の課題を重視し、個別労使あるいは集団的な合意による協定の実現を追求する。

 2) 倒産・廃業、身売り対策を重視し、働く職場と労働債権の確保、労働組合の維持・存続を
 経営環境の悪化による経営危機・倒産や放漫経営の破綻による破産・廃業が一段と懸念される情勢のもとで、事前防止にむけての経営チェックの強化、問題発生時における説明責任の追及と打開策の提示など労働組合としての機能発揮が求められている。すべての地連(本)は警戒心を強め、倒産・廃業、身売りに関する対策会議や学習会を計画し、ことあれば即時対応できる体制を確立できるよう努める。なお、緊急時における本部からのオルグ派遣等については、関係地連(本)と調整の上、機敏な対応措置を講じる。

 3) 実効ある運転者登録制度の確立をめざして
 新たに設置される指定地域については、引き続き、第3回中央執行委員会決定にもとづき、実効性確保へのとりくみ強化をはかる。

 4) 交政審ワーキンググループ審議への対応
 諮問理由の説明とフリー討論、各地域の関係者からの意見聴取等(ヒアリング)及び論点整理を終えたワーキンググループは、4月以降、おおむね1か月に1回開催、論点ごとに必要とされる対策等について審議される。各論点に関わる重要事案については、三役会議あるいは四役会議において意見調整を行い、その上で、審議に意見を反映させる努力を行う。審議開催日におけるビラ宣伝、座り込み等の行動計画については、審議動向を見定めた上で必要に応じた提起を行う。

 5) 政治の革新、くらしと雇用、いのち、平和を守る国民的共同の前進を
 ○ 労働者・国民の生活悪化に追い討ちをかける後期高齢者医療制度の撤回や物価高騰に対する改善対策など国民的課題と春闘を結合し、各種集会、デモなど共同の行動に参加していく。
 ○ 第79回中央メーデーは、福田政権の大企業優遇、国民・労働者犠牲の政治に対する国民的な一大反撃の場として、5月1日に代々木公園で開催される。この中央メーデーと全国で開催されるメーデーを大きく成功させるため、参加体制のとりくみ強化をはかる。

 6) 組織拡大を重視し、職場・地域内での加盟促進を
 ○ 「仲間を増やし、組織の力をつけ、魅力ある自交総連の確立を」の課題達成をめざす観点から、すべての地連(本)は、「組織拡大月間」(3〜5月)での職場内非組合員や中立組合・親睦会への加盟呼びかけ、未組織労働者の組織化のとりくみを集中して行う。
 ○ 空白県対策やブロック内共同による組織化のための諸行動をいっそう推進する。
 【計画されている未組織宣伝行動】
 中央本部・関東ブロック=4月27〜30日(神奈川、静岡、山梨)
 東北ブロック=5月19〜21日(青森)

【第2回中央闘争委員会(5月7日)の決定】

 1) 5月中最終決着をめざし個別対策強化を
 ○ 各地連(本)は、それぞれの闘争状況をふまえ、ストライキを含む統一行動の独自設定と団体交渉の促進により、5月中の最終決着をはかるために全力をあげる。
 ○ 各地連(本)は、第1回中央闘争委員会で確認した春闘の『3つの解決基準』をふまえ、未解決組合への援助・指導など個別対策を重視する。

 2) 国・行政の責任と企業の社会的責任の追及を
 ○ 6月14日実施(予定)となった運転者登録制度の実効性を確保し、スムーズな制度移行を確かなものとするために、指定地域予定の札幌、仙台、埼玉、千葉、東京(現存)、横浜、名古屋、京都、大阪(現存、指定地域の拡大)、神戸、広島、北九州、福岡に関係する地連(本)は、運輸局あるいは支局からの制度説明、意見具申などを行う場を早急に設定していく。
 ○ 増車・運賃競争の温床となっている最低賃金法違反の地域的一掃、累進歩合制度の廃止や名義貸し行為の禁止にむけたとりくみ強化をはかる。このため、6月中までに労働局・運輸局(支局)交渉を行い、具体的な改善指導を即時実行に移させるなど行政責任の徹底追及をはかる。
 ○ 緊急調整地域に指定された仙台地区における宮城地連の減車闘争を激励し、需給不均衡の解決策を求める5・26〜27仙台行動を成功させる。

 3) くらしと雇用、いのち、平和を守る闘いのとりくみ強化を
 後期高齢者医療制度の中止・撤回やガソリン税の暫定税率再引き上げ反対など国民的課題と結合した共同のとりくみを重視する。最低賃金時給1000円の実現、08年度地域別最低賃金の引き上げをめざすとりくみでは、5・30第2次最賃デー及び第3次(6月20日)、第4次(7月17日)への行動参加を行う。

 4) 組織拡大月間で対話と宣伝、加盟促進を
 ○ すべての地連(本)は、引き続き、「組織拡大月間」(3〜5月)の中で、職場内非組合員や中立組合・親睦会への加盟呼びかけ、未組織労働者の組織化のとりくみを集中して行う。
 ○ 各ブロック協議会は、可能な限り共同による未組織宣伝行動を計画し、空白県の組織化など含め組織拡大のとりくみ強化をはかる。

(2) 統一行動及び省庁交渉などのとりくみ結果

 1) 統一行動の実施状況
 統一行動の配置と実施状況は、次のとおりである。
 2月1日 春闘スタート、規制緩和失敗の責任を問う宣伝行動
   27〜29日 いっせい申し入れ行動ゾーン
 3月5日 交運共闘中央行動(第1次=1600人)
   22日 全国統一行動(第2次)
 4月23日 全国統一行動(第3次)(第1次最賃デー)
   28〜30日 春闘決着をめざす統一行動ゾーン(第4次)

 2) 省庁交渉等の結果
 省庁交渉等の結果は、『月報』No.364(08年3・4月号)、No.365(08年5・6月号)に掲載したとおりである。
 ○国土交通省
 3月5日(春闘課題)
 4月9日(名義貸し、観光バス問題)
 4月22日、5月16日、6月18日(登録制度問題レクチャー)
 ○厚生労働省
 3月5日(春闘課題)
 ○国会議員・政党要請
 3月5日(衆参国土交通委員40人と日本共産党)

 3) 産別重点署名の集約状況(9月10日現在)      (昨年度末)
  タクシー運転免許の法制化を求める請願署名  59,044筆(58,834筆)
  憲法改悪反対、9条を守る署名            6,062筆( 4,537筆)
  働くルールの確立を求める請願署名 第1次   35,411筆(35,411筆)
                        第2次       587筆(新  規)

(3) 大阪・宮城激励行動の実施

 規制緩和の弊害が最も鋭く現れている大阪・宮城へ三役が赴き、当該地連とともに要請・懇談、集会などにとりくんだ。
 値下げ競争でバラバラ運賃が進行し、名義貸し営業など経営のモラルハザードも起きている大阪では4月10〜11日、近畿運輸局、大阪市へ申し入れ・懇談、激励集会を実施した。
 全国一の増車率でタクシーが1.5倍近くも増えた仙台市をかかえる宮城では5月26〜27日、東北運輸局、県タクシー協会へ申し入れ・懇談、決起集会を実施した。

(4) 未組織宣伝行動の実施

 未組織宣伝行動は、4月27〜30日にかけて神奈川・静岡・山梨(本部・関東ブロック)、5月19〜21日に青森(東北ブロック)、6月29〜30日に群馬(本部・関東ブロック)で実施、各地連・地本は県内の宣伝行動にとりくんだ。4月の宣伝行動については、『月報』No.366(08年7・8月号)にまとめを掲載してある。

2.闘いの到達点とその評価

(1) 経済闘争の到達点とその評価

(1) 要求提出状況と統一行動への結集

 春闘アンケートの回収は、25地方、8528枚、回収率40.3%(前年23地方、9102枚、回収率40.4%)で、回収地方が増え、回収率はほぼ前年並みだった。
 要求提出状況は、ハイタクでわずかに前年を下回ったものの、全体としては前年をやや上回った。
 要求提出率 ハイタク 76.1%(前年77.0%)
       自  教 75.0 (  25.0 )
       バ ス 他 69.4 (  61.1 )
       全  体 75.4 (  74.7 )
 春闘アンケートの回収は、前年並みとはいえ組合員の半分に満たなかった。10月にとりくむため、春闘との関連が認識しにくい側面があるが、組合員の意識を知り、春闘要求を決める基礎となるものとして位置づけ、実際に春闘にも生かしていく必要がある。
 要求提出では、4分の1程度の組合で要求提出ができなかった。そのほとんどが一桁組合であるが、たとえ少数の組合でも春闘時に要求を提出することで、職場の中での存在感を増すことにもつながる。要求書作成や提出への同行など地連(本)では少数組合への援助を工夫する必要がある。
 統一行動では3月5日の中央行動に全国から中執・地方代表者が結集し成功したが、その他の統一行動日(ゾーン)については、日時を合わせていっせいに行動できない弱点があった。交渉等では相手の都合があるとはいえ、できるだけ全国でいっせいに行動することが、闘いの勢い、相乗効果を生むことにもなるので、その点の努力が求められる。

(2) 要求獲得状況と特徴点

 賃上げ闘争の結果では、ハイタクで運賃改定が実施されたところでは、ほぼノースライドを獲得した上で、賃率アップやカード手数料などの労働者負担の軽減をかちとった職場も多かった。運賃改定がないところでは、現行賃金体系維持に加えて解決金3000〜3万円、足切り減額などをかちとった。
 職場の重点要求では、定年延長、有休改善、防犯対策、政策合意等で前進、とくに定時制の賃率アップやパートの退職餞別金創設など不安定雇用労働者の改善をかちとったところが目立った。
 運賃改定地方では、国交省3・28通達、運輸局の労働条件改善指示文書などを活用して、ノースライドを確保した上で、春闘での交渉をすすめた。燃料費の上昇や増収がないなどの厳しい条件もあったが、労働条件改善という運賃改定の趣旨、世論も背景にして前進をかちとった。
 一方、香川・福岡など一部の職場で、スライド賃下げが強行され、埼玉・静岡などでは自交総連以外の職場でスライド賃下げされているところがある。国交省通達も利用者の期待をも踏みにじるスライド賃下げの暴挙を許すことなく、組織の強化拡大とも結合しつつ引き続きたたかっていく必要がある。
 また、運賃改定後の実際の増収状況は地方ごとに異なり、一定の増収があるところと増収が少ない、あるいはマイナスのところに分かれている。増収がなければノースライドをかちとっても賃金額そのものは増えない。減車など政策闘争の意義を徹底しつつ、賃金アップをめざしていく必要がある。
 運賃改定のない地方でも、粘り強い交渉で解決金など一定の金額を獲得していることは重要な成果といえる。
 自教では、北海道・神奈川・福岡で要求を提出し、北海道・星が浦自教が賃上げ1000円を獲得した。

(2) 政策闘争の到達点とその評価

(1) 運賃改定時の労働条件改善

 国交省・各運輸局は、07年3月28日付けの通達にもとづき、運賃改定時に労働条件改善(歩合率の維持)を事業者に指示し、改定後半年以上がたった大分・長野では労働条件改善状況が2月に公表された。長野で運送収入に対する運転者人件費割合が低下していた実態を受け、国交省は全乗連に「運送収入に占める運転者人件費割合を維持することは、今回の運賃改定の趣旨を全うする意味で、重要なポイントである。これは、いわば、国土交通省及びタクシー業界の国民、利用者に対する約束事とも言うべきもの」との念押しともいえる口頭指導を行い、全乗連はその内容を各協会に通知した。
 一方、運賃改定後の労働条件改善状況の公表時期が6か月の実績をまとめた後とされたことから、たとえスライド賃下げがされても、その公表時以前には事業者を指導できないかのような解釈を国交省が示す動きをみせたが、3月5日の交渉で厳しく追及、翌6日には、「6か月後にこだわらず、オール歩合制などにおいて明らかに歩合率が下げられるものとわかるものについては、局あるいは支局の方へ話をもっていっていただければ適切に対応する」との再回答を引き出した。
 タクシー運転者の労働条件改善は国と業界の社会的公約であることを明言させたことは、今後実際に労働条件改善にならない場合にどう公約に責任をもつのかと追及し、減車を迫っていくという点でも重要な意味をもっている。同時に、こちらが油断をすれば行政当局は多少なりとも指導や監督の手を緩めかねない傾向も明らかであり、各地方では、運輸局・支局に対しきちんとした指導を厳しく求めていくことが重要である。
 各地方で労働条件改善結果が公表された際、改善が不十分な点について、個別事業者への指導はもとより、改善公約の確実な履行のために減車などの必要な方策を追求し、世論を喚起していくことが必要である。

(2) 運転者登録制度の実施

 運転者登録制度は6月14日から東京・大阪に加え新たに11の政令指定都市で施行され、国交省は13日までに通達を出して運用基準の詳細を定めた。
 新規登録の講習では、実効ある制度とするために修了の基準を設けるよう求めてきたが、効果測定(ペーパーテスト)を行い、正答が70%以上ないと修了と認めないこととし、60%以上の場合は補講、60%未満の場合は補講後再度効果測定をすることとなった。
 運転者の処分基準は、(1)軽微な違反は点数が付与され7点以上で命令講習が義務付け(受講しないと会社も行政処分)、(2)道交法違反で40日以上の免停・取消しの場合は登録消除(新規登録の際に講習は不要)、(3)重大な違反の場合は登録取消し、再登録禁止期間があり、再び乗務する場合は講習を修了して新規登録しなければならない、などが決まった。
 運転者登録制度は、運転者の質を向上させるためのもので、数を限らせるためにも一定の難度のある関門がなければ実効性がない。効果測定で不合格なら基準に達するまで再度効果測定を受けさせる仕組みが制度化されたことは今後の改善につながるものである。
 質の向上という観点から、違法行為について処分がされること自体は否定できないが、その運用については、運転者の人権侵害にならないようにしなければならない。処分事項には、道交法違反など輸送の安全に関する違反が新設され、点数制が導入された。処分は運輸局が行い、取消しの場合は聴聞が行われることになっている。乗客の一方的な言い分で処分されたり、事実関係を争っているのに処分だけ先行するなど強権的・機械的な運用とならないよう運輸局に申し入れ、万一不当な処分があった場合はきちんと権利を主張するなど、実際の運用を監視していくことが必要となってくる。
 また、運転者の違反行為を誘発しないような労働・交通環境をつくる義務と責任が事業者・行政にあることも忘れてはならない。

(3) 減車を中心とした規制緩和見直しの課題

 1) 緊急調整措置の見直し
 国交省は昨年11月20日、緊急調整措置(特別監視地域制度)を見直すとともに仙台市を緊急調整地域に指定するよう運輸審議会に諮問、仙台市は1月6日から緊急調整地域に指定された。
 特別監視地域制度については、新たに「特定特別監視地域」「準特定特別監視地域」が設けられ、増車する事業者は労働条件に関する計画の提出が義務付けられ、増車見合わせや減車勧告の仕組みが導入された。この制度は、今年8月末までの試行的な措置とされ、幅広く意見を求めて実施状況も踏まえた上で必要な見直しを行うこととされている。
 緊急調整措置は、当初から自交総連がその指定のしにくさと減車の実効性がないことを強く批判してきたもので、指定要件の見直しをせざるを得なくなったことは運動の成果といえる。しかし、発動後も仙台市の減車は進まず、減車の実効性がないことが改めて証明された。指定しやすく、減車の実効性があがる制度にしていくことが必要である。

 2) 地球温暖化防止、CO2削減の面からの減車提案
 「タクシー減車による地球温暖化防止への貢献―ムダなタクシーを減らせば年間62万トンのCO2削減」の試算を5月に発表、マスコミや経営者の側からも注目された。
 規制緩和がいかにムダなCO2を排出させているかを示し、タクシー減車の必要性を訴えることは、世論喚起の点でも効果が大きい。今後、地方ごとにCO2削減計画をもつことになっている都道府県・政令指定都市への働きかけを強める必要がある。

 3) 増車・新規参入停止の立法措置の動き
 自民党のタクシー・ハイヤー議員連盟は、タクシーの増車・新規参入を時限的に停止する議員立法を秋の臨時国会に提出する方針を申し合わせ、民主党も、緊急調整措置の要件緩和などの緊急提言を国交省に提出、法案提出も検討している。
 参入規制等の緊急的な立法措置は、実現すれば相当な効果を発揮するものであり、与野党を問わずそのような対策を採らざるを得ないという共通認識にまで至ってきたことは、大きな前進といえる。ただし、検討されている緊急措置は、現に多すぎるタクシーを減車させる上では不充分な点があることも事実であり、根本的な解決策であるタクシー運転免許の法制化をいっそう高く掲げるとともに、当面の緊急措置として減車を実現するために、立法措置を含め、国交省の緊急対策、地方自治体の条例策定、独禁法の適用除外、事業者の自主的な減車などあらゆる側面から全力をあげる必要がある。

(4) 交通政策審議会ワーキンググループの動向

 国交省の交通政策審議会ワーキンググループは、2月8日から審議を開始し、7月3日の第8回会議で中間とりまとめを議論した。
 この間の審議の特徴は、タクシー労使以外の学識者委員をも含めて、タクシーの規制緩和の弊害を是正するためには、なんらかの台数・運賃の規制が必要となっていることを認めざるをえないことで、国交省も中間とりまとめのなかで、参入厳格化や減車促進などを含めた法改正の方向を示しており、規制緩和の見直しでは一致している。
 規制緩和の問題点を訴え続けてきた自交総連の主張の正しさを裏付けるもので、年末の最終まとめにむけて、いっそうの奮闘が求められている。

(5) 名義貸しの違法行為撲滅のとりくみ

 本部・大阪地連・顧問弁護団名による『急増する「名義貸し営業」の分析と違法行為根絶のための意見書』を3月4日に発表、国交省に提出した。大阪を中心に急増している名義貸し営業が、法人企業の責任を放棄した危険で悪質な違法行為であることを詳細な実態調査、論証で分析したもので、行政と経営側にも大きな影響を与えた。
 国交省は6月6日、「タクシー事業における名義貸し行為の判断基準」を通達したが、この判断基準の作成には、自交総連の意見書が大きく貢献したといえる。通達後は、一定期間の行政指導を経て、該当事業者が従わない場合は行政・刑事処分に至ることが予想される。処分逃れを許さないなど、引き続き運用を監視していくことが必要となっている。

(6) 国家賠償訴訟、重点争議と裁判闘争

 1) 規制緩和の責任を問う国家賠償訴訟
 緊急調整措置の発動を講じなかった国の責任を追及する宮城地連の国家賠償訴訟は、国交省が仙台市を緊急調整地域に指定することを決めたことで、裁判の目的を達し、昨年12月に取り下げた。
 大口割引運賃を認可した国の責任を追及する東京地連の国家賠償訴訟は5月16日、東京地裁で、規制緩和の弊害を見ず、運転者には訴える資格がないとした不当判決が出され、控訴した。不当判決に関わらず、裁判をたたかうことによって、タクシー運転者の実態がマスコミなどに大きく取り上げられるようになり、規制緩和がもたらした格差社会への告発として大きな役割を果たしてきたことは明らかである。

 2) 第一交通の社会的責任を問う闘い
 組合つぶしのための偽装解散・全員解雇について大阪・佐野南海交通労組は最高裁で5月1日、親会社第一交通本社の雇用責任を認める歴史的な勝利決定をかちとり、高裁判決が確定した。「法人格否認の法理」にもとづき子会社の解散で親会社の責任を認めるとともに、組合つぶしで大阪地連への賠償を認めた判決は、タクシーに限らず特筆すべき戦後の重要な労働判例のひとつとなるものである。
 司法の最高決定にも関わらず第一交通は、反省せずに組合つぶしを継続している。大阪地連と佐野南海交通労組は6月26日に北九州で第一交通糾弾の宣伝行動を実施、最終的な争議解決をめざしている。

 3) 長期争議組合の成果
 なら合同労組ビックナラ支部(スーパー)は3月24日、支部長の「名ばかり管理職」の残業代請求とその後の降格処分について、残業代支払いと元の役職への復職などの勝利和解をかちとった。
 高知地連高知県倉庫運送労組(トラック)は3月25日、組合員が脳梗塞で半身マヒの障害となった事件について、会社の安全配慮義務違反を認め3600万円の賠償を命じる判決を高知地裁でかちとった。
 宮城地連塩竃交通労組は6月12日、組合員への脱退工作などの不当労働行為について、会社役員に50万円の損害賠償の支払いを命じる判決を仙台地裁でかちとった。

(7) 観光バスの政策闘争

 観光バスの安全問題に関して、走行距離に応じた交替運転者の配置基準を検討してきた国交省は今春、670km(一般道の走行は2倍に換算)を超える場合という案を示した。これは、運輸規則の「1日9時間」という基準を単純に高速道路の走行距離に置き換えたもので、もともと運輸規則の基準自体が長時間労働を容認する緩い基準であるため、それを元に決めた走行距離の基準も緩いものにならざるを得ないものであった。
 本部と大阪地連バス部会では4月9日に国交省に申し入れを行い、再考を求めていたが、国交省では6月27日に原案通り670kmの指針を1年間の試行措置として通達した。今後、運輸規則の規定も含めて実効ある基準となるように改善を求めていくことが必要となる。

(3) 組織強化拡大の到達点とその評価

(1) とりくみの基本方向と重点

 1月30日、東京・全労連会館で組織強化拡大全国交流会をひらき、15地方101人が参加した。全労連オルグの経験や地方の具体的・実践的な活動報告を受けて交流し、今後の拡大へつながるものとなった。
 春闘期間中の3〜5月を組織拡大月間として、あらゆる活動を拡大に結合してたたかうこととした。
 4月27〜30日にかけての関東・東海の未組織宣伝行動では、17か所806台のタクシーにビラをまき30人と対話した。とくに、スライド賃下げが行われている静岡では運賃改定の趣旨を訴え未加盟の仲間に大きな影響を与えた。

(2) 到達点と今後の課題

 昨年9月以降の新規加盟組合は10地方15組合124人となっており、とくに空白県だった秋田で新たな組織が結成された。既存の組合でも組織を拡大しているところもあるが、全体としては実増になっていない。
 タクシー運賃改定でのノースライド方針や規制緩和の弊害の噴出など、自交総連が長年にわたって主張してきたことの正当性が行政や世論からも認められる情勢になっており、自交総連に加盟することが実利にも結びつく状況が生まれている。こうした有利な条件があるにもかかわらず、それを充分に生かしきっていない状況がある。労働者の高齢化や経済的な困窮化など困難な条件も存在しているが、実際に宣伝行動などに足を踏み出したところでは着実な成果をかちとっているところもあり、東京・埼玉では、運賃改定に関する宣伝や道交法共済制度の創設が組織拡大の可能性を広げている。
 組織強化拡大全国交流会でも改めて提起され経験が報告された以下のようなやるべきことをきちんとやっていくとりくみが必要である。
 ・持続的・計画的な宣伝、ビラづくり、宣伝方法の工夫、熱意
 ・日常的な幹部の育成、学習に目的意識的に組織的な力を傾注する
 ・定時制・不安定雇用労働者の意識に見合った組織化
 ・個人加盟組織の有効性
 ・共済制度の活用、充実
 ・日常的な単組・支部への目配り、新組織へのアフターケアー
 ・組織的な問題などでの脱退・消滅の防止
 これらのとりくみを進める上で、地域にみあったビラの作成、学習会の開催などについて、地連(本)によっては組織的な力量からそれ自体が困難になっているところもあり、ブロックでの対応、本部の対応を考えていく必要がある。

3.その他の諸行動のとりくみ結果

(1) 主な関係団体の動きと役員人事

(1) 全労連第23回定期大会

 全労連(全国労働組合総連合)は7月23〜25日、東京・ホテルイースト21東京で、第23回定期大会をひらき、今後2年間の運動方針と次の役員を決めた。

 議   長 大黒 作治(自治労連)
 副 議 長 生熊 茂実(JMIU)
   〃   植田 保二(大阪労連)
   〃   大木  寿(全労連・全国一般)
   〃   小松 民子(日本医労連)
   〃   柴田真佐子(全  教)
   〃   堤   敬(東京労連)
   〃   根本  隆(生協労連)
 事務局長 小田川義和(国公労連)
 事務局次長 井上  久(日本医労連)
   〃   渡邊 正道(全労連幹事会)
 幹  事 今村 天次(自交総連)
       中山 益則(自交総連) (以下略)

(2) 交運共闘

 交運共闘(交通運輸労働組合共闘会議)は2月25日、第19回総会をひらき2008年度運動方針と次の役員を決めた。

 議   長 佐藤 陵一(健 交 労)
 副 議 長 今村 天次(自交総連)
   〃   鈴木 信平(検数労連)
   〃   森奥 鎮男(海貨労協)
   〃   高橋 将治(建 交 労)
   〃   熊谷 俊介(全 運 輸)
 事務局長 小林  隆(自交総連)
 事務局次長 岩永 千秋(建 交 労)
   〃   北畑 良介(検数労連)
   〃   高橋  浩(全 運 輸) (以下略)

(3) 交運研

 交運研(交通運輸政策研究会)は4月12日、第18回総会をひらき、2008年度運動方針と次の役員を決めた。

 会   長 安部 誠治(関西大学)
 副 会 長 桜井  徹(日本大学)
   〃   西村  弘(大阪市立大学)
   〃   田中 博文(国  労)
   〃   飯沼  博(自交総連)
   〃   安藤  陽(埼玉大学)
 事務局長 田中 茂冨(全 運 輸)
 幹   事 菊池 和彦(自交総連) (以下略)

 また、5月24〜25日には、静岡県伊東市で第6回交通問題研究集会をひらき、自交総連からの28人を含む16団体158人が参加、「交通政策の提言2008」を発表した。

(2) 結成30年記念行事の開催

 自交総連は1978年の結成以来30年を迎えたのを記念し、1月29日、東京・ドームホテルで記念レセプションを行い、友好組合・団体、業界、行政、自交総連OBなど各界から250人が参加した。記念誌『ハンドルは未来にむけてIV』と記念バッチを作成した。

(3) 第30回関係弁護士交流会の開催

 第30回関係弁護士交流会は1月28〜29日、東京・全労連会館でひらかれ、25人の弁護士、1人の司法修習生、中央執行委員が参加した。
 交流会では、田辺弁護士が運賃・料金改定とタクシー労働者の原告適格についての基調報告を行い、特別報告として、(1)佐野南海交通労組・高裁判決の評価と活用=大阪・横山精一弁護士、(2)高齢者における不当解雇事件の特徴と課題=山口・横山詩土弁護士、埼玉・杉村茂弁護士、(3)会社更生法にもとづく再建闘争の到達点と教訓=鹿児島・増田博弁護士――の3つをとりあげたほか、宮城・東京の国家賠償裁判、各地方の裁判闘争が報告された。

(4) 自交共済第27回総会の開催

 自交共済は9月10日に東京・台東区民館根岸分館で第27回総会をひらき、11地方31人が参加して第26期(2008年度)活動計画を決めた。
 自交共済の加入状況は18地方8540人(08年5月末現在)で前年より124人増加したが、当面1万5000人を目標にさらに加入促進をはかることとした。
 また、在職死亡の増大に伴い、健全な収支を維持するために、09年4月1日より組合員死亡の産別給付を10万円減額し20万円とすることを確認した。



自 交 総 連