自交労働者No.554、2001年3月15日


 附帯決議を守れ、実効ある運用基準をつくれ――自交総連は3月2日、純中立も含む多くの官民労組が共同した「新世紀春闘勝利
3・2総行動」の一環として産別統一行動を実施、宣伝、国会座り込み・議員要請、集会、デモなどに2000人が参加しました。

 3・2総行動
 国会で座り込み、銀座デモ 全国から2000人が参加
12:50 銀座をデモ行進
 
11:00 議員会館前で座り込みをする仲間たち
宣伝
 午前8時半、東京・霞が関の26か所と各新聞本社前6か所で180人が宣伝を開始。1万枚のビラを配りました。宣伝には、北海道はじめ地方の仲間も加わりました。

座り込み
 11時から、国会前で300人が座り込み、国会が決めた道路運送法「改正」の附帯決議を守らせろと訴えました。独自ビラを用意して国会周辺でまいた地方もありました。
 日本共産党の瀬古・塩川衆院議員、西山・宮本・大沢参院議員から激励のあいさつを受けました。

議員要請
 座り込みの間、組をつくって衆参の国土交通委員会所属議員70人を回って附帯決議の履行などを要請。「質問など国会活動に生かしていきたい、と言われた」(共・筆坂参院議員秘書)、「タクシーの実態をよく聞いてくれた」(二連・島袋参院議員秘書)などの反応があった一方、「年収450万もあれば十分でしょう、と言われた。まったく現状がわかっていない」(自由・山田衆院議員秘書)など非常識な対応もありました。

日比谷野音集会
 11時45分から日比谷野音で「新世紀春闘勝利! 3・2総決起集会」がひらかれ、さまざまな業種の労働組合から会場の外も含め1万人が参加しました。
 東京・グリーンキャブ労組の徳永さんが、交通運輸労働者の代表で決意表明を行いました。
銀座デモ
集会後、自交総連の参加者は、有楽町から東京駅まで銀座を通ってデモ行進。
 「多すぎるタクシーを減らせ」「食える賃金を」などを訴えました。

省庁交渉
これらの行動とあわせ、午前中に警察庁、規制改革委員会交渉、午後から全乗連との懇談を行いました。

 累進歩合廃止きびしく指導
 足切以下の低賃率も累進 厚生労働省交渉
 自交総連は3月8日、厚生労働省と交渉し、道運法改正に伴う附帯決議の履行などについて要請しました。領家委員長はじめ9人が参加、労基局監督課加藤監察係長ら3人が対応しました。
 累進歩合の廃止については、「廃止すべきものとしてきびしく指導する」としたうえで、以前は通達に明記されていた「○○万円未満は○○%を基本給」というものも累進歩合で間違いないか、との問いに、「解釈は変わっていない」と答えました。
 最低賃金違反について、大阪から、隔日勤務の1乗務を1労働日として最賃の日額と比べて違反でないという間違った指導が行われていると指摘、はっきりした通達を出してほしいと要請したのに対し、直接の担当課がいないので趣旨は伝えるとの答えでしたが、「労働日の解釈について考え方を整理しなければならないという話はある」「基本的には2労働日と指導しているはず」としました。
 そのほか、介護タクシーを介護保険の対象とするように要請、厚労省として要介護者の移送に責任を持つように、つよく申し入れました。

 タク運転免許、将来的に検討
 交通事故急増に危機感 警察庁交渉
 3月2日の警察庁交渉には竹本副委員長ら6人が参加、当局から交通局交通指導課田中課長補佐ら3人が対応しました。
 タクシーの交通事故激増は規制緩和、供給過剰が要因との指摘に、「背景に需給バランスの崩れがあるということは、ありうること」と答え、事故の増加に危機感を持っていることを明らかにしました。
 運転代行の規制法については、白タク行為はあってはならないので「代行車両はタクシーときちんと区別できる表示としたい」との考えを明らかにしました。
 タクシー運転免許の制定については、「免許制度は、運転者には高度な質が必要ということで考えている」としたうえで、タクシーの事故状況が悪化していることを念頭にタクシー特有の事故なども想定して今回の道交法改正を提出した、と述べ、「これでやってみて、なお足りないかどうかはこれから考えていきたい」と将来的に検討する姿勢を示しました。

 みなさんの意見も聞く
 実態を詳しく説明 規制改革委交渉
 3月2日、規制改革委員会への申し入れには、高松副委員長ら4人が参加、総務省行政管理局規制改革委員会事務室の亀谷氏が対応しました。
 規制改革委員会(首相の諮問機関、会長は宮内義彦オリックス会長)が出す見解などが実態を無視して一方的に規制緩和をすすめるものとなっていることについて、現場の意見を聞くように要請したのに対し、「道運法改正の際、自交総連から意見を聞く機会がなかったのはすみません」とし、「なるべく、みなさんから意見を聞くようにしている」と答えました。
 組合側から、タクシーの供給過剰、収入の低さ、事故の激増などについて詳しく説明、担当者は「不況なのになぜ増車するのか」などの質問を交え、熱心に聞いていました。
 規制改革委員会は3月で解散、新しい組織は内閣府の中にできることになっています。

 4月17〜19日に統一行動
 要求提出は確実に 第1回中央闘争委員会
 自交総連は3月7〜8日、第1回中央闘争委員会をひらき、春闘の当面する対策と統一行動の設定について検討し、次のような方針を決定しました。
 当面する対策では(1)情勢問題にかかわっての学習をいっそう推進する(2)倒産・身売り、廃業などへの事前対策強化をはかる(3)要求提出がなされていなかったり、提出されていても、団体交渉がなおざりになったりしている事態を一刻も早く改善する(4)北海道・第一ハイヤーの廃業問題や所沢中央自教及び大船自教の全員解雇攻撃については、全国的支援・協力を行い、3・22一日行動(第一ハイヤー)や裁判への対応策、団体(個人)署名にとりくむことなどです。
 「改正」道路運送法の施行(来年2月)にともなう運用基準の策定、賃上げなどにおける行動配置は、以下のとおりです。厚生労働省交渉=3月8日▽自教共同センター中央行動=3月11〜12日▽国土交通省交渉=3月14日▽統一行動第1波=3月15日▽第2波=4月17〜19日

この成果を全国に
 不当処分取り消し、実損額払う 大阪・関西空港リムジン労組
 勝利和解かちとる 正常な労使関係を約束
 昨年3月に自交総連に加盟、賃下げ「合理化」や勤務中に暴走族に襲われた組合員を逆に処分するなど、不当処分・組合つぶしと闘ってきた大阪地連関西空港リムジン労組は2月14日、勝利和解をかちとりました。
 和解協定は、(1)公平・公正な職場環境と正常な労使、信頼関係を構築する、(2)新賃金体系に基づき別途賃金規定を締結し、一時金については新賃金体系に基づき精算する、(3)訴訟事件は合意終了させる、(4)会社は委員長ら組合員への処分を取り消し、実損額を支払う、(5)会社は解決金を支払うとなっています。
 同社は、全日空の子会社でしたが、争議の最中に日本交通(澤志郎オーナー)に売却されていました。
 調印後、地連権田書記長は「労働者の多くが新賃金を認める中でのきびしい闘いだったが、組合員全員の団結で勝利できた。裁判任せにせず、運動で追いつめた。今後は組合員の拡大で頑張ろう」と訴えました。
 一時金不支給は不当 宮城・秋保温泉タクシー労組
 高裁で逆転勝利 書面なくても合意有効
 宮城地連秋保温泉タクシー労組は、一時金不支給事件で2月26日、仙台高裁から逆転の勝利決定をかちとりました。
 秋保温泉タクシーでは99年5月、経営悪化を理由に賃金見直しを提案。経営内容は明らかにしないまま、同年末一時金を支給しませんでした。組合が支給を求めて仮処分を申立ましたが、仙台地裁は昨年2月に申立を却下。組合側が即時抗告していました。
 抗告審で高裁は、同社では86年以来、夏・冬の一時金を同時に決定してきたこと、91年以降は春闘時の自交総連の集団交渉で一時金も協定してきたこと、などの経過から99年の一時金も合意されていたと判断しました。
 さらに、地裁では合意が書面に明記されていないので無効とされていたのに対し、高裁は作成された確認書の存在などから「(合意は)相手方を拘束する効力が認められてしかるべき」として、組合の請求どおり66人で2079万余円の金額を認めました。

 新加盟のなかま 
 連合から地区労連に (640)青森・さくら交通労組
 【青森】弘前市にあるさくら交通労働組合(棟方善正委員長、17人)は2月27日、自交総連に加盟しました。
 連合津軽に加盟していましたが、団交支援などで協力が得られませんでした。全労連・中弘南黒地区労連に相談し、2000年春に地区労連に加盟しました。 何度か地区労連が団交に参加するなか、弘前市内の他労組と同一歩調をとるべく自交総連加盟を決定しました。
 県労連の支援で前進 (641)青森・十五番タクシー労組
 【青森】弘前市にある十五番タクシー労働組合(金田隆委員長、70人)は2月27日、自交総連に加盟しました。
 中立の企業内組合でしたが、1999年秋に全労連・中弘南黒地区労連に加盟し、県労連からの支援を得ながらいくつかの要求で前進をかちとってきました。
 さくら交通労組、弘南交通労組などと同一歩調をとるべく、2月下旬全員投票を実施し、自交総連加盟を決定しました。



自 交 総 連