自交労働者No.589、2002年10月15日


逆風を突破し新たな挑戦を

危機打開へ熱心な討論
 新年度方針、体制を確立

第25回定期大会

2002年度運動方針を確立した第25回定期大会=10月8〜10日、神奈川・新横浜国際ホテル
 自交総連は10月8〜10日、神奈川県横浜市の新横浜国際ホテルで第25回定期大会をひらき、新年度運動方針を確立、新役員(任期2年)を選出しました。8日は領家委員長のあいさつ、来賓5氏のあいさつにつづき方針提案が行われました。9日、機関紙・写真コンテストの表彰、争議組合の紹介ののち、討論で29人が発言。10日は、総括討論5人のあと、今村書記長が執行部答弁、役員選挙が行われ、方針・予算などの議案は全員一致で採択されました。

領家委員長のあいさつ

領家委員長
 新道路運送法が施行されて8か月がたちました。8月末で全国で新規・増車が5100台以上、運賃申請844社になっています。まさに経営陣は労働者を犠牲にして「食うか食われるか」の競争に突入したといえます。
 労働者は生理的限界を超えた労働時間となり、健康破壊、自殺が増え、交通事故も増加して、私たちに耐えがたい苦痛が押しつけられています。
 行政は法人自由化・個人規制という日本型規制緩和をすすめています。これは、会社は絶対赤字にならない仕組みをつくり、労基法など諸法規を無視、社会的使命である安全・安心を損なう道であり、法人経営の存在意義が問われています。
 自教でも構造的な少子化で「合理化」攻撃や企業閉鎖が増え、バスや技工にも同質の攻撃がされています。
大会最終日、全員一致で方針を採択=10月10日

 これからの運動は、いままでの延長線上での問題提起では足りません。攻勢的で経営側にまさる政策提起で安全・安心のタクシー実現に打って出るべきです。そのためには、産別組織として「タクシーとはどんな職業なのか、その主役は誰なのか」の本質論を明らかにし、主役である利用者・乗務員が優遇される仕組みをタクシー運転免許構想とも結びつけて、打ち出すことが重要です。
 組織の強化拡大も最重要課題です。情勢の厳しさに後退の理由を求めるのではなく、歴史的に総括し、具体的対応策を明らかにすることが必要です。
 苦しみのおおもとである悪政を変え、有事法制阻止など国民的課題でも奮闘しましょう。

 来賓5氏があいさつ


仲間を増やし悪政変えよう


自交の低賃金は社会的問題

全労連・熊谷議長

 失業者は増え、不良債権は減らない。医療改悪を押しつけ、有事法制をねらい、米国のイラク攻撃にも反対しない。こんな小泉内閣を許さないため声を上げよう。自交労働者が年収300万円に届かないことを社会的な問題にしていきたい。

供給過剰の構造改善を

交運共闘・坂田議長

 新道運法後、新規・増車が相次いでいるが、沖縄が緊急調整地域に指定され、全国で特別監視地域が指定されていることは、国土交通省が公式に供給過剰と認めていることだ。この構造的な問題を改善しなければ安全・安心も守れない。

小泉内閣はくらしを破壊

神奈川労連・菊谷議長

 小泉首相は神奈川出身だが、労働者・国民のくらしの破壊者だ。この悪政とたたかうためには、運動の前進とともに、労働組合がもっと力をつけなければならない。労働組合の力は数だ。仲間を増やして、政治を変えていこう。

攻撃には働くルールで対抗

顧問弁護団・小部弁護士

 資本の攻撃とたたかうには、働くルールを使うことが大切だ。「労働条件の一方的変更は許されない」「会社が身売りしても解雇はできない、労働条件は勝手に変えられない」など、よく知り、労働組合が団結を守っていけば勝てる。

政府・行政に責任負わせる

日本共産党・富樫参院議員

 公共輸送を担う事業の労働者が年収299万円という事態に政府・行政は無責任だ。法案審議のときの言明を守らせ、責任を負わせたい。来年は国民負担が3・2兆円も増える。日本共産党は雇用政策、減税など緊急提案をしている。

 長期争議組合が決意を表明

勝利の日までがんばる


紹介される長期争議組合の代表=10月9日
 大会には8地方11組合(神奈川除く)の長期争議組合が参加しました。代表して、大阪・佐野南海交通労組の堀川委員長が「どの争議団の顔を見てもとことんやる人たちばかりでかならず勝利するまで闘うし、争議団にはさまざまな闘いをもののみごとに成功させてきた自交総連の力がある。その力にあやかり勝利の日までがんばる」と決意表明をしました。カンパの呼びかけに19万1544円が寄せられました。

 19地方34人が発言 大会討論

くらし・雇用・いのちを守ろう

組織の強化拡大を全力で


大会で討論を聞く参加者

自交総連への期待が膨らむ

(1)宮城・渡辺敏春さん

 東北宣伝行動を実施した。どの地域も活気がない状況だが、自交総連への期待が寄せられた。新加盟組合で1年雇用を撤廃させた。

自交総連の風を吹かそう

(2)福島・大波徹さん

 会津地方に自交総連の風が入り労働条件を改善させることができた。新加盟の会津交通労組はまだ少数組合だが、組合員を増やすことをめざしている。

福祉分野での運動が必要

(3)東京・寺田武雄さん

  東京地連では、二級ヘルパー資格の取得に力をいれている。今後は、高齢者の増加も見すえて福祉分野での運動と無線を利用した自治体との協力も考えるべきだ。

年度内判決の勝利に向けて

(4)神奈川・笹島快夫さん

 大船のたたかいは、地域宣伝と裁判闘争を平行し、会社代表者の証人喚問が予定されている。不当解雇の実態をあばき年度内判決の勝利に向けて自教としてもがんばる。

自交の仲間と共にがんばる

(5)大阪・岩永英雄さん

 佐野南海労組のたたかいで南海電鉄と第一交通との矛盾を拡大し、双方が対立しあう状況になってきている。偽装廃業を許さず、今後も仲間の支援でがんばっていく。

労災認定をかちとれた

(6)山梨・丹沢信之さん

 今年3月に初めてのタクシー労働者の過労障害の労災認定をかちとることができた。今後は資本家、権力に立ち向かうような幹部育成をめざしてがんばっていきたい。

自交総連の旗に大きな共感

(7)石川・奥護さん

 自交総連の旗を高く掲げることで、職場や地域から大きな期待や共感を呼び起こすことができた。金沢市にタクシーの窓口をつくらせ、学習会の講師にも参加した。

一声かけて組織拡大を

(8)東京・志村末男さん

 東京の西の地域では、各職場がとなりの職場に一声をかけて組織の拡大を図る運動をしている。このことを各地でも実践していく方針にしていただきたい。

3年で5人から40人へ

(9)京都・中村正幸さん

 京自交京都タク支部では、定年60歳を61歳にさせたり、配車差別を撤回させるなど、皆さんの支援のおかげで、3年で5人から40人の組織となった。

権利確立と要求実現の道

(10)奈良・佐藤均さん

 25年前から、労働者の共同を広げることが権利確立と要求実現の道ということでとりくんできた。現在、争議を2つやっていて、共同委員会をつくって運動している。

乗り場増設にとりくむ

(11)茨城・高橋道夫さん

 繁華街のタクシー乗り場の増設をすすめている。水戸では限られた乗り場にタクシーが集中し、マナーの悪さも加えて問題となっている。乗り場の増設こそ解決の道だ。

少子化で利用者が激減

(12)東京・長谷川廣さん

 自教は少子化によって利用者が激減している。公休日も活用しての高齢者の運転診断などの活動を進めることで経営者の無用な攻撃を事前に防ぐことになる。

新たな1ぺージを記した

(13)東京・加藤功さん

 私たちは古知資本の攻撃とたたかい、最終的には組合員全員が一斉に職場を移ることになった。悪質資本とのたたかいに新たな1ページを記すことができたと思っている。

介護タクシーは利用者増

(14)山形・金丸正芳さん

 介護タクシーは着実に利用者が伸びている。自治体との利用契約やケアマネージャーへの営業、自動車販売会社とタイアップしたコマーシャルも行っている。

介護タクで需要が増加

(15)大阪・園田公作さん

 会社と合意して介護タクシーをスタートさせ、目だって事故も減った。また、口コミで需要も増加した。  今後は、本部としても介護タクシーについて検討して欲しい。

街頭宣伝行動を重視して

(16)広島・吉岡哲郎さん

 山口・岡山と共同し中国3県の宣伝行動にとりくんだ。すぐに成果はでないが街頭宣伝を重視している。第一交通糾弾キャラバンは今後もやってもらいたい。

自交に加入で会社は大騒ぎ

(17)埼玉・坂本寛志さん

 30年間の連合組織を離脱し、2年前に自交総連に入った。会社は大騒ぎになり、役員も替えられた。事故の損害金をなくす、足切り廃止などの成果をかちとった。

顧客増のアイデア募集

(18)鹿児島・橋口良一さん

 組合管理闘争の学習会を行い、会社再建に欠かせない営収増をめざすために、マナーの徹底や顧客増のアイデア募集などで1割運収増をめざしてがんばっている。

良い方向で解決したい

(19)山口・弘中久人さん

 下関のキムラタクシーで経営者から経営を組合に譲りたいとの申し出があった。地連最大の組織で、会社の成り行きによっては組織の存続にも影響がでるので、今後相談して検討したい。

地方政治に積極的参加を

(20)東京・片岡敏康さん

 現在の都政は福祉行政の切り捨てを進めている。今後、石原都政を倒すためにも各職場で自治体での運動が重要だ。地域交通にかかわって地方政治に積極的に参加することが求められている。

安全な専用車両の開発を

(21)神奈川・中村正身さん

 組合員が乗務中に殺害された。犯罪から身を守るためタクシー専用車両の必要性を実感している。地本では業界・行政に要請を出す。本部としても検討して欲しい。

総量規制のNPOに関与

(22)京都・安井暁さん

 3分の1が値下げタクシーとなっている。危機感を抱いた中小事業者が総量規制を目的にしたNPO法人を立ち上げた。地連も免許構想へつながる動きとして関与していく。

実利獲得、もっと具体的に

(23)東京・竹内信夫さん

 方針に実利実益をかちとるとあるが、がんばっても後退するなどの現状をふまえ、もっと具体的に教えてほしい。政策実現には下部から確信を待たせることが必要だ。

マナー悪いと貼り紙で公表

(24)鹿児島・永田勇二さん

 昭和市丸と鴨池が合併し鶴丸交通が発足した。客になりすました管理職がタクシーに乗り込んで、マナーが悪いと貼り紙で公開される。息苦しさに他社に移る人もいる。

介護タクシーの営収は好調

(25)福岡・因恒良さん

 北九州や筑豊では最賃さえ確保できず、職業として成り立たない。しかし労使共同で介護タクシーを積極的に取り入れたところでは介護車両の営収が50万円を超えている。

外港タクの不当解雇が解決

(26)長崎・酒井清則さん

 外港タクシーの不当解雇は和解で解決した。復職はできなかったが、裁判で勝利判決をえるなど、この闘い以降、株式譲渡で全員一旦解雇のやり方は通用しなくなった。

困難の中でも労組の任務を

(27)大分・衛藤和範さん

 組織減少の問題に加え、自主経営のセキタクシーのボランティアが道運法違反に問われる事件が発生している。困難な状況でも労組の任務を果たせるよう奮闘したい。

自教職場の確保に奮闘

(28)大阪・小畑博士さん

 学園都市自動車学院の親会社が倒産。経理公開と賃金ダウンを承諾した。困難だが、大会中の仲間の励ましで展望が見えた。職場確保のため奮闘する。

若さで皆さんにパワーを

(29)東京・高日成さん

 東京の東部は組織減から反転するため組織統一にとりくむことにしている。いま組合幹部の元気がない。若い幹部が現場でたたかうことで皆さんにパワーを与えたい。

賃下げ攻撃に勝利命令とる

(30)北海道・松任正博さん

 交運の賃下げ攻撃に対し、地労委・地裁で勝利命令をかちとった。砂川では、賃下げに従わないとして解雇となったが、組合をつくり撤回させ、組合員も44人になった。

枠を出た発想の転換が必要

(31)埼玉・香取勝雄さん

 今日の危機的状況の下、枠をはみ出した発想で運動を構えることが必要ではないか。方針の実践のため「発想の転換」と「どう行動するか」が一人一人の責任だと思う。

シンポジウムで将来展望

(32)宮城・青野邦彦さん

 3月にひらいたタクシー・シンポジウムでは、利用者や商店街の代表からも意見をもらい、参加者からは、将来展望が見えてきたと好評で運転免許構想が共感をよんだ。

運転者優位の仕組みを研究

(33)東京・宮竹光男さん

 地連の交通政策委員会で運転手優位の仕組みを研究してきた。また具体的に接近するため、資質向上をめざしヘルパー講座にとりくみ、資格取得者は300人を超えた。

法令・附帯決議の遵守を

(34)大阪・林克己さん

 増車と値下げの激動のなか、運輸局に対して法令遵守、附帯決議遵守、再規制を求めたたかっている。有事法制反対や敗訴者負担など司法改悪反対のたたかいも重視したい。

 討論のまとめ

幹部がチャレンジ精神で
組織建設に決起を

 討論のまとめを行った今村書記長は、幹部・活動家がチャレンジ精神で困難を突破していこうと強調。具体的には、提案型(政策的対案をもって経営・行政責任の追及を)、実践型(決まった方針の実践を)、参加型(みんなの要求を基礎にみんなで行動)、ロマン型(目標を持って)、多数派型(数こそ力を基本に)への切替えを訴えました。
 第2に、現局面は『組織防衛』の闘いとしての意義を持つと指摘し、“活力ある自交総連”、魅力と頼りがいのある組織の建設のために決起していくことが重要だと強調しました。その基本は、組合員を大切にし、民主主義を貫き通すことだとし、(1)全組合員を対象とする基礎学習の場の定期的保障と情報提供(2)大会・執行委員会など定期的開催への援助(3)要求のとりまとめと労働条件改善への努力などをあげました。
 第3には、デフレ不況、規制緩和など苦しみの元凶の政策を推進している小泉政権に対し、職場・地域から、『一揆型国民共同』の推進者としての役割を担っていこうと呼びかけました。



 自交総連第25回定期大会選出役員(任期2年)
中央執行委員長 ◎領家 光徳(東 京) 男 58歳
副中央執行委員長 ◎高松 幸尾(神奈川) 男 59歳
◎竹本 文雄(大 阪) 男 61歳
書記長兼会計 ◎今村 天次(山 口) 男 51歳
書記次長 ◎久賀 孝三(東 京) 男 59歳
◎菊池 和彦(本 部) 男 44歳
専従中央執行委員  中山 益則(東 京) 男 52歳
中央執行委員 ◎高木 忠雄(北海道) 男 58歳
◎石垣  敦(宮 城) 男 46歳
 沼倉喜久雄(福 島) 男 46歳
◎三箇登志雄(埼 玉) 男 60歳
◎岡崎 浩一(東 京) 男 56歳
◎岩井康次郎(東 京) 男 59歳
 坂本 敏光(東 京) 男 56歳
 清水 経夫(東 京) 男 54歳
 高木 規夫(東 京) 男 55歳
 早川 広之(東 京) 男 50歳
◎小林  隆(東 京) 男 56歳
◎鈴木  勇(東 京) 男 54歳
◎須田 茂夫(神奈川) 男 51歳
 丹沢 信之(山 梨) 男 54歳
 川原崎 明(静 岡) 男 57歳
 井上  登(石 川) 男 53歳
 藤原 克東(京 都) 男 59歳
◎浅井 大二(京 都) 男 45歳
◎権田 正良(大 阪) 男 56歳
 熊谷 隆昭(大 阪) 男 59歳
 堀川 卓夫(大 阪) 男 52歳
 小林 明吉(奈 良) 男 71歳
 福田 傳司(山 口) 男 65歳
◎緒方  満(福 岡) 男 50歳
 衛藤 和範(大 分) 男 55歳
 瀬戸山実義(鹿児島) 男 47歳
会計監査  相沢 道彦(宮 城) 男 51歳
 宮竹 光男(東 京) 男 52歳
注1、◎印は常任中央執行委員(10月10日の第1回中央
    執行委員会で互選)。
注2、山形、千葉、高知は中央執行委員の選出枠がある
    が、選挙時には未定のため、決まった後に次回中央
    委員会で補充選出することとなる。


自 交 総 連