自交労働者No.596、2003年2月15日


2月1日 規制緩和後丸1年

全国で宣伝行動 座り込みも

タクシードライバーにともにがんばろうと
はげます仲間=福島
 改正道路運送法施行から丸1年を迎える2月1日に自交総連は全国でいっせいに「台数規制廃止の責任を問う2・1宣伝行動」を行いました。各地の主要駅頭などでビラを配布し、規制緩和により街にはタクシーがあふれ、タクシー労働者の労働実態が悲惨な状態になっていることなどを市民に訴えました。
 京都では2月6日に、運輸支局への請願行動も行いました。またこの行動は各地のマスコミにも取り上げられ、反響を得ました。
規制緩和に抗議して座り込む仲間=大阪 市民にタクシー労働者の実態を訴える仲間
=東京

タクシードライバーにビラを渡す仲間=神奈川
抗議の座り込み行動を行う仲間=京都

雪の中タクシー規制緩和の弊害を訴える仲間
=北海道
街行く人にビラを渡す仲間=大分
 
 2003年春闘アンケート
 

仕事をやめたいが7割

厳しい実態があきらかに

 生活は苦しく、仕事をやめたいが7割自交労働者の厳しい実態が2003年春闘アンケートの結果からわかりました。アンケートは23地方から1万0239枚を回収。回収率36・8%でした。

 平均年齢は51・5歳で前年より1・1歳アップ。50歳以上が3分の2を超えています。

 賃上げ要求は、3万円以上が68・0%(前年79・1%)、平均要求額が4万5893円(同5万0733円)と、いずれも前年を下回りました。きびしい実態から現実的な数字を選択する人が多かったといえます。

 政府に対する要求では、(1)社会保障の改正(2)最賃額引き上げ(3)税負担軽減が上位となりました。最賃額引き上げが、前年の41・2%から52・0%に急増しています。

 いまの職場をやめたいと思うことがあるかを聞いたところ、「よくある」と「たまにある」が合わせて72・2%になりました。その理由は、ハイタクでは「賃金が安い」、自教では「将来性がない」がトップでした。高齢化とあわせ、退職・転職願望の多さは、事業の将来にも深刻な影響を与える問題です。

 自交総連の運動についてどう思っているかについては、「一生懸命やっている」がトップでした。

 月の残業は、40時間以上がハイタクで18・0%、自教で44・3%に達しました。長時間の残業は健康に有害です。残業せざるを得ない低賃金の是正と合わせた対策が必要です

 
 東北ブロック教宣学校

教宣の大切さを学ぶ

3地方から25人が参加

熱心に機関紙を作る参加者
=2月4、5日、福島・相馬市

 自交総連東北ブロックは2月4、5日、福島県相馬市で第18回教宣学校をひらき、宮城・山形・福島から25人が参加しました。

 教宣活動の大切さ、手書き新聞のつくり方などの講義を受けたあと、4班に分かれて実技を行い、翌日昼までにB4判の新聞を完成させました。

 「ふだん目にしている新聞が、こんなに緻密で正確に書かれているとは、教宣部の苦労がひしひしと感じました」(宮城・半沢敏弘さん)などの感想が聞かれました。

 学校には、地元相馬市を中心にタクシー労働者を組織している福島県自交労組(無所属)の2人も参加、交流しました。



 この成果を全国に  
 宮城・秋保温泉タクシー労組
 

一時金不支給は信義則に違反

仙台高裁 労使の直接合意を認定

 宮城地連秋保温泉タクシー労組は1月31日、組合員65人分の年末一時金の支払いを求めた裁判で仙台高裁より支払いを命じる決定をかちとりました。

 同社では99年4月、「労働条件は現行通り」との内容で労使で合意。夏の一時金は支給されましたが、会社はその後、一時金を含む賃金見直しを提案し、労組がこれを拒否したところ、会社側は年末一時金を支給する合意文書が存在しないことを理由に同年の年末一時金を支給しませんでした。

 組合員が仙台地裁に支払いを求める仮処分を申し立てました。しかし裁判では却下、即時抗告し、仙台高裁で逆転の勝利決定を得ましたが、これに会社が異議を申し立てていました。

 決定は、一時金は10年間毎年支給されるのが慣行化しており夏の一時金は合意通り支給されており、従業員が年末の支給を信じるのは当然。支給しないというのは信義則に反する。また会社が一時金を支給できないような経営状態にいたっていないとして、会社と従業員との直接合意(書面のない協定)の成立を認定し、会社に約1400万円を支払うよう命じています。


 
 
 自交総連は1月30日、はじめての福祉・介護タクシー全国交流集会をひらきました。集会で報告された各地の実践例は、参加者にたいへん好評でした。4地方の特別報告(宮城・東京・大阪・福岡)を2回に分けて紹介します。


6社6労での福祉輸送構想

経営者との協議が今後の課題

宮城・日交タクシー労組 金野武司
 宮城地連では00年11月に福祉タクシー推進委員会を設置してとりくみを本格化させました。

 福岡から講師を招いたり、障害者団体とも懇談して学習、政策化をはかり、組合員の希望者がヘルパー養成講座に通い、会社には介護タクシー導入のための要求を出しました。自治体に対しては、事業への助成措置・利用者負担軽減を求めて運動してきました。

 02春闘では、6社6労組共同での福祉輸送センター構想を打ち出し、参加組合の合同会議を設置、専従者を配置して具体化を追求してきました。

 この構想では、6社の共同により地域全体をカバーでき、スケールメリットもある、全体で100人以上のヘルパーが確保できる、などの利点をあげ、利用者・地域から支持される政策・サービスを提供することを強調、6社6労組実務者会議の開催を経営者と確認、協議しています。

 現在、各社ごとに介護タクシーの解説を行っていますが、経営側は採算性を心配しています。そこをどう突破するかが課題ですが、組合側ではすでにヘルパー資格取得者90人、講習中36人を確保、共同の実現にむけ奮闘しています。



ヘルパー取得1000人めざす

 地域でのボランティアも取り組む

東京・小田急交通南多摩労組 皿嶋裕規
 東京地連では、政策委員会でタクシードライバー法への道づけとして、ホームヘルパー、救命士等の資格の義務付けを提起しています。

 その実践として、ヘルパー1000人構想を打ち出し、現在までに239人のヘルパー2級資格取得者が誕生しました。自治体にも運賃助成等の請願をしています。

 小田急南多摩労組では、00年度の運動方針で介護タクシーのとりくみを決め、会社に提案、組合員32人がヘルパー資格を取得、救急救命普及員資格も取得しました。02年1月から介護タクシーがスタート、1年間の実績では、495回の利用、介護料とメーター運賃の総計は214万円余りになりました。今年1月からは小田急百貨店と提携して「お買い物サポート・サービス」もはじめました。

 問題点としては、介護技術は講習だけでは不十分なので自分たちで研究していかなければならないこと、組合主導ですすめているが会社の関心が薄いことなどがあります。

 今後は、介護事業部を設立して勤務・賃金体系の整備、自治体の移送の引き受けなどをめざし、地域でのボランティア活動も強めることにしています。


 
 労働組合キホンのキ
 

「上部抜ければ…」は目先のアメ

御用組合化の誘いは拒否


(10)経営側の攻撃の 手口と対応(2)

 労働組合への経営者の攻撃の手口として、前回とりあげた反共攻撃と同時に多いのが御用組合化や第二組合づくりです。アメとムチの使い分けで組合の弱体化をはかってきます。


 
御用組合化

 組合を嫌う経営者の常套手段が御用組合化です。御用組合というのは賃下げでも何でも会社のいうことを聞く組合のことです。

  経営者は「上部組織(自交総連)を抜けて、企業内組合として活動するなら認めよう」などといって、自交総連を抜けたら賃上げなど要求の一部を認めると誘いをかけてきます。

 こんな誘いに乗って上部組織を抜ければ、その年は一定の改善があったとしても、翌年にはたちまちそれ以上の改悪が押しつけられます。そのときには、支えてくれる上部組織も周囲の仲間もいないわけで、経営者の思うままです。

 経営者は、上部組織(自交総連や全労連)の大きな力を恐れるからこそ、企業内に押しとどめようとするわけで、目先のアメにだまされてはいけません。

 幹部の抱き込み

 こうした攻撃のときは、組合の幹部に対する誘惑も行われるのが通例です。料亭で飲み食いさせたり、定年後のポストや特別の待遇を約束したりして、会社側に抱き込みます。

 会社の役員と一人では会わない、接待は受けないというのが基本ですが、そのような誘いがあったときは組合員(執行部)に報告し、話があるなら執行部全員で会って話をしようと答えます。

 個別の組合員に対しての誘いもありますから、全体で対処方法を意志統一しておきます。

 第二組合づくり

 もう一つの弱体化攻撃は、第二組合づくりです。会社の意を受けてまともな組合と対抗する組合が第二組合です。

 経営者は、管理職などを使って第二組合をつくらせたうえで、自交総連の組合員には配車差別や嫌がらせなどを行う一方、第二組合員を優遇、自交総連を抜けて第二組合に入りなさいと誘います。

 春闘時期には、第二組合と先に賃下げなどの協定を結び、それを自交総連に押しつけます。

 ビラや口コミで、第二組合が果たす役割、それを育成する会社の意図を全従業員によく知らせ、第二組合が策動する場をなくすことが重要です。

 同時に、一部幹部は別として、個々の第二組合員は同じように苦しんでいる仲間ですから、無闇に敵視せず、あらゆる機会を通じて共同できるように努力することも必要です。


 
 新加盟のなかま  
 強い団結が必要
 (667)ワーカーズコープ福岡労組

 【福岡】糟屋郡志免町にあるワーカーズコープ福岡に働く仲間は1月13日、ワーカーズコープ福岡労組(大瀬良利之委員長、36人)を結成しました。

 同社は、昨年12月に福岡地連の組合員有志が自ら出資して立ち上げた会社。労働者協同組合方式で経営と運動の両面に責任を負う特殊な形態であることから、より強固な団結が求められ、労働組合としても運動の先頭に立って奮闘する決意です。



自 交 総 連