自交労働者No.606、2003年7月15日

本採用で職場復帰

大阪・金剛自動車労組

勝利的和解で解決

 大阪地連金剛自動車労組は、宇都宮朝勝さんの本採用が拒否されていた事件で5月16日、大阪地裁堺支部にて本採用で職場復帰するとの和解をかちとりました。

 この事件は99年11月に採用され試用期間中だった宇都宮さんが00年2月、会社から突然具体的な理由も伝えられないまま一方的に本採用しないとして解雇されたため同年3月、仮処分を申し立て本採用拒否の不当性を争っていました。

 今回の和解は、裁判闘争の中で本採用拒否の不当性などが明らかになり、証拠調べが終わった時点で、裁判所から和解の提案があったもの。会社側との和解交渉では、条件として本採用を提示したところ、(1)正社員として採用する(2)有給休暇、退職金はさかのぼって計算する(3)和解金を支払うという内容での和解が成立し、5月21日から正社員として職場復帰することになりました。

 今回の事件を担当した白倉弁護士は「本採用拒否を争い、本採用を認めさせる和解が成立することはまれなことで、今回の和解は、ほぼ全面勝利的和解といってよいのではないでしょうか」と話しています。


この成果を全国に


宮城・秋保温泉タクシー労組

集交での合意は有効

仙台地裁  一時金を支給せよ

 宮城地連秋保温泉タクシー労組は、賃下げを認めないとして一時金が支給されなかった事件で6月19日、仙台地裁より一時金を支給せよとの勝利判決をかちとりました。

 宮城では、秋保温泉タクシーを含む5〜4社で91年以降春闘時に集団交渉を行い、賃金・一時金を決めてきました。99春闘でも現行賃金体系維持の合意が成立しましたが、同社は7月に賃下げを提案、組合が拒否したところ、夏は支払ったものの冬の一時金を不支給にしてきました。

 このため一時金の支給を求めて組合が提訴していました。仮処分の1審では敗訴、抗告審で逆転勝訴していました。本件は、その本訴の初審判決です。

 判決は、毎年重ねられてきた集交の経緯等を認定したうえで、(1)99春闘の4社集交で一時金を支給するとの合意は成立している(2)ただし、合意が書面化されていないので労働協約としては成立していない(3)しかし、集交の合意により、会社と個々の労働者との労働契約が成立していると認められる――として一時金の請求権を認め、原告64人に総額2017万余円と年5分の利息を支払うように命じています。



佐野南海労組

偽装廃業に抗議の宣伝

裁判に向け署名を実施

三井住友銀行に対し抗議宣伝を行う佐野南海労組の仲間=6月25日、大阪・淀屋橋駅前
 【大阪】佐野南海交通労組は第一交通による組合つぶしの偽装廃業問題で6月10、25日、宣伝行動を行いました。

 10日には、大阪地裁岸和田支部の最寄り駅前で500枚のビラを配布し、25日には、淀屋橋駅前で第一交通のメインバンクである三井住友銀行に対する抗議の宣伝行動を行い、ビラ1000枚を配布しました。

 また、佐野南海労組では、従業員としての地位確認、賃金の仮払いを求めて大阪地裁岸和田支部に仮処分申請をして闘っていますが、この闘いに向け個人・団体署名活動にとりくみ、7月25日までに、個人署名1万筆、団体署名2000筆を目標にがんばっています。

 またすでに全国からぞくぞくと大阪地連に返送されている署名や単組独自が集めた署名もあわせ6月19日に地裁に提出しました。



第7回常執

団結して要求かちとる

労組の原点を重視

  春闘総括や情勢などを討論した第7回常執=7月9〜10日、自交共済会議室
 自交総連は7月9〜10日、第7回常任中央執行委員会をひらき、03年度運動方針第1次案などを論議しました。

 春闘総括や情勢の討論では、厳しい状況のなかでも集団交渉を維持した自教や現行プラスアルファーを獲得したハイタクの闘いから、要求を出し団結して何らかの成果をかちとるという労働組合の基本的な機能の重要性が改めて確認され、要求が出せなかったり、初歩的な知識・経験の不足があるところでは、学習し、改善していく必要が強調されました。

 また、規制緩和失敗の現実を示して、行政・経営・政党の責任を追及していくこと、構造改革特区での白ナンバー輸送など、いっそうの規制緩和に警戒心をもち対応すること、産別組織を含めた共同が必要、などの意見が出されました。

 最賃違反是正、底上げなど実効ある闘いとタクシー運転免許実現など将来展望をひらく闘いにとりくみ、国政革新、組織拡大をめざす方針が提起されました。


規制緩和の

実態報告ルポ

 福岡では客待ちタクシーが違法駐車で検挙されることから、街頭指導員が交差点での客待ちをしないように指導を行っています。


福 岡

違法駐車で検挙されるタクシー

ルールを守れば稼げず

 街頭指導の努力もむなしく検挙される客待ちタクシー――福岡では規制緩和によるタクシーの増車や不況による客減りで夜の繁華街では客待ちタクシーの違法駐車が目立ち、検挙される数が俄然高くなっています。

 県警が昨年10月、違法駐車取締り強化月間としてタクシーの違法駐車を取締ったところ、108台のタクシーを検挙したと発表。6月の取締りでも昨年10月と同様の検挙数になるものと思われます。こうした中で事態を重く見た福岡市タ協は、公道を利用するタクシーとして最低限の義務を果たそうと協会員所属による街頭指導を実施。繁華街での交差点などで客待ちをしないように指導を行っています。しかし警察の取締りは指導員が帰った後に行われ、結局検挙されてしまうケースが多く、業界内からは街頭指導員の存在意義を問う声も多く聞かれています。

 現在街頭指導員をしているワーカーズコープタクシーの廣瀬早美(53)さんは、「私たちの指導により、ルールをまじめに守る人は交差点などのポイントを通過して稼ぐことができず、違反をする運転手だけが儲かるという不合理な現象が起きてしまい指導をしていても何か罪悪感のようなものを感じる。それに警察も私たちが帰った後に取締りを行うからせっかくの努力も水の泡だ。車を減らすしか解決方法はない」となげいています。

表・福岡での増車と新規許可状況


ノルマの強要をやめろ

福 岡

法違反で会社を告発

 【福岡】福岡ラッキー・セブン合同労組は6月17日、ノルマの強要が、運輸規則第23条違反に当たるとして、会社を福岡運輸支局に告発しました。

 会社は2月ごろから一定の走行キロを強要。当初は一日当たり230〜250キロ程のノルマでしたがどんどんエスカレートし、最近では280キロ、3万8000円という地域平均を大幅に上回るとんでもない数値を押しつけ、これに達しない者に対して報告義務を課したり、呼びつけて解雇をちらつかせるなど、常軌を逸した行為を繰り返していました。

 こうした中で、職場のAさんが5月13日、九産大付近の信号柱にノンストップで激突、28日に死亡するという事故がおきました。今回の事故については労働基準監督署も調査中ですが、非常識な労務管理が背景にあることは想定されます。

 組合は再三にわたり会社に対してノルマの強要をやめるように勧告してきましたが、応じないため今回の告発となりました。


過労死認定前年の倍

運輸業が最多

労災でもタクは突出

 02年度の過労死・障害の労災認定は317件で前年の倍以上、なかでも運輸業が最高――厚生労働省は6月10日、脳・心臓疾患等(いわゆる過労死・障害)の労災補償状況を発表しました。

 過労死の労災認定基準は01年12月に改定され、それまでは直前1週間の過重労働だけが評価されていたのが、半年前までの蓄積疲労も評価されるようになり、以後大幅に認定件数が増えています。02年度は初めて1年を通して新基準での認定となりました。

 内訳を業種別にみると、(1)運輸業72(2)卸・小売業60(3)製造業57件となっていて、運輸業での過労死認定が一番多くなっています。職種別でも、(1)管理職71(2)運転・通信従事62(3)事務職57件と、運転業務が2番に入っています。

 また、すべての労災の発生頻度(100万労働時間あたりの死傷者発生数)をみると、タクシーは4・31で、全産業平均の1・77の2・4倍にも達しています。

表・過労死(障害)の労災補償状況

グラフ・労働災害の発生頻度


人身事故対処マニュアル
(3)検察庁から呼び出しのハガキがきたら


記出頭前に現場の略図を作成

警察・検察は甘くみないこと

検察庁に呼び出されたら

 検察庁から、○月×日、出頭しろの呼び出しハガキがきたら、即組合の役員に知らせることです。出頭前に、事故現場の略図を作成しておくことです。略図には、交差点、T字路、信号あり、信号無し、アスフアルト、砂利道、天候、雨、風、標識は、付近に駐車していた車は、目立った商店(タバコ、八百屋、銀行など)、道路の方向、至○×駅など。

 メモや、事故現場の略図が、なぜ必要なのか? 事故後1週間〜10日前後には取り扱った警察署から、検察庁に書類(調書、見取り図など)が送られるでしょう(書類送検)。

 警察官(署)による現場検証(実況検分)が行われ、調書、見取り図が作成され、事情聴取(実況検分調書作成のための)を受け、その警察官が作成した書類に、署名、捺印をしたら、罰金が取れる(罰金を取られる)手続きが完了したということになります。(資料(1)を見てください。「この事故で私が不注意だった点とその理由は、」とすでに書類には印刷されています。この項がある以上、責任を免れることはありません)事故後、1〜1か月半くらいたつと、検察庁から呼び出しのハガキがきます。

 出頭した時の対処のためメモや略図が必要です。

罰金の最高額は50万円です

 1週間のケガで、横断歩道での人身事故だったら、50万円の罰金が現実にきています。

 警察官(署)や、検察官(庁)、裁判官(所)を甘くみないことです。警察官や、担当検事を甘くみるなということは、世間話をしながらごまかされたり、世間話をして気分を和らげようとされたり、緊張感をなくさせ、攻撃的(反撃)な態度を和らげてしまうということです。

 例えば、「あれ、君は、○×学校を卒業したのか。私と同じ学校じゃないか。私の何年、後輩じゃないか」、「私の先輩じゃないですか」、あるいは「君は○×町なのか」「私も、○歳まで、この町に住んでたんだ、まったく偶然だね。○×駅前の○×という店はまだあるの? あの店へはよく子供の頃行ったんだよな」など。そんな言葉をかけられれば、当然この警察官(あるいは、検事さん)は、俺の先輩か? 俺の後輩か? 悪い人じゃないんだ? というイメージにさせられてしまいます。

資料・被疑者供述調書




自 交 総 連