自交労働者No.607、2003年8月1日


小沢議員が第一交通追及

厚生労働委 自民議員に多額の献金

  
小沢和秋衆議院議員
第一交通を追及する小沢和秋衆議院議員=7月16日、衆議院厚生労働委員会
第一交通による組合つぶしの偽装廃業問題は国会でも取り上げられ、7月4日には、共産党7議員が連名で提出した質問主意書に対する答弁が、7月16日には、小沢和秋衆議院議員(共産)が厚生労働委員会でその悪徳ぶりを追及しました。

 7月16日衆議院厚生労働委員会にて、日本共産党小沢和秋衆議院議員が悪質企業第一交通産業の追及を行いました。

 小沢議員は第一交通産業は、企業を買収するや身分一新と称して全員を解雇し、会社が提示する大幅賃下げを認めたものだけ再雇用する。労働組合との協定などはすべて一方的に破棄し、組合活動そのものを認めない。大阪の佐野南海では偽装倒産までする。今やタクシーの営業台数だけで5000台を超える日本最大の業者にのし上がった。さらに事業を拡大し続けることは、国民の交通安全にかかわる重大問題で、行政として第一交通グループが極めて悪質な企業であるとの認識を持っているのか。このまま放置してよいのかと詰め寄りました。

 松崎明厚生労働省労働基準局長が、是正指導に事業者が従えば名前は出さないという扱いだ、と答えたために、同議員がさらに追及すると、同局長は、指導に従わない、違反を反復するというような場合には、書類送検、強制捜査も行う、その時は公表していると答えました。

 さらに同議員は、自民党の有力な国会議員に第一交通産業から多額の献金が行われている、タクシー業界を監督する行政に大きな影響力をもつ議員が、このような悪質業者から多額の献金を受けているのは重大だと坂口大臣に献金問題を指摘しました。


最賃法違反に厳正に対処

質問主意書に政府答弁 労働条件向上は重要課題

 日本共産党の7人の参議院議員が提出していたタクシー行政の改善に関する質問主意書に対し、7月4日付で小泉首相名で答弁がありました。

 質問主意書は、規制緩和によりタクシー労働者の労働条件が劣悪化していると指摘、附帯決議も守られていないとして、政府の対応をただしています。

 答弁は、02年に監督したタクシー事業場374中32(9%)で最賃法違反があったことを明らかにし、今後もタクシー事業は重点的に監督指導を行い、違反には厳正に対処するとしています。

 また、タクシー事故に関し、労働条件の向上を図ることは重要な課題と認識しているとした他、道運法・労基法などの法令遵守、累進歩合・ノルマの禁止、適正な運転者数の確保、アルバイト禁止などについても、それぞれの違法性を認め、必要な指導を行っているとしています。

 一方、客待ちタクシーによる交通渋滞は、具体的に把握していない、下限以下の運賃値下げ認可の査定内容については、個別企業のことは答弁を差し控えたい、など無責任な答弁もあります。

 質問主意書を出した7氏は、富樫練三=埼玉▽井上美代=東京▽大沢辰美=兵庫▽西山登紀子=京都▽畑野君枝=神奈川▽八田ひろ子=愛知▽宮本岳志=大阪の各議員。


規制緩和の実態報告ルポ


実車率過去最低の42%

東京

乗務員の健康破壊も進む

 東京地連では規制緩和の弊害が現場でどのように影響しているのか、深夜の繁華街で実態調査を実施しました。

都内タクシー乗り場
空車タクシーの列で乗り場は大渋滞
=4月7日、都内タクシー乗り場

 規制緩和後1年数か月が経過し、東京地区でも1000台を超す増車が行われ、都内タクシーの02年度平均日車営収は、前年度に比べ3・6%ダウンし年度平均の最低値を更新しています。実車率も減少していて、5月は、過去最低の42%となっています。

 東京地連は、これらの統計が営業現場にどう跳ね返っているのか、今春闘時に深夜の実態調査を2回実施してきました。銀座、新橋、赤坂、六本木等は、表通りは言うに及ばず、裏道まで空車で埋め尽くされ、「タクシーが多すぎるよ、何とかしてくれ」と悲痛な訴えです。その上、新橋、赤坂地区は4月から空車タクシー進入禁止地域を指定し、規制に乗り出しました。所轄署は、空車タクシーによって地域住民の自家用車の出入りができないとの苦情が殺到しているし、緊急車両も出動できない状態を是正するための処置としています。東京地連はこの調査結果をもとに関係省庁に規制緩和失敗を追及してきました。

 一方、乗務員はこうした実態から、これまで以上の超長時間労働を余儀なくされ、健康破壊が進んでいます。東京労働局は、7月2日に東旅協に対し、都内タクシー乗務員を対象とした健康状況調査を行った結果、健康診断の際の有所見(何らかの異常あり)率が87・7%に達したことを踏まえ、乗務員の健康確保対策について通達を出しました。健康問題で労働局が業界の指導に乗り出すことは異例のことです。これも規制緩和の弊害であることは間違いありません。




この成果を全国に


乱脈経営に反省求める

退職金1450万円払わせる

宮城・宮城野観光バス分会

 宮城地連宮城県バス労組宮城野観光バス分会は、残業代・退職金不払いの事件で6月23日、勝利和解をかちとりました。

 宮城野観光バスでは、堀井社長の乱脈経営による多額の借金の責任を労働者に転嫁し、一方的な賃下げが強行されたため、労働者は組合を結成して闘っていました。

 残業代が一切支払われず、退職しても退職金も支払わないという会社に、組合が破産を申立てて追及すると、その都度会社が少しだけ支払うという異例の闘いとなりましたが、残業代については02年7月に調停が成立して360万円が支払われ、今回退職金について1450万円を支払うという和解が成立しました。

 分会では「労働者の権利を認めずやりたい放題の社長に大きく反省を求める結果となり、闘いのなかで宮城県バス労組が結成されたことも大きな成果」として、今後もバス労働者の生活と権利を守るために奮闘すると決意を表明しています。


7年間の不当行為決着

地裁勧告で勝利和解

大分・湯平(ゆのひら)生コン分会

 大分地連大自交労組湯平生コン分会は7年にわたる不当労働行為との闘いについて5月14日、勝利和解をかちとりました。

 湯平生コンでは、96年に経営権を譲り受けた穴井社長のもと、新入組合員への出向強制、軽微な事故での解雇処分などの組織破壊攻撃がつづき、賃金・一時金の減額提案を組合が拒否すると、輸送部門を他社に委託するとして組合員の運転手5人全員を解雇していました。01年10月、裁判で解雇無効が確定した後も、賃金の一方的減額や一時金不払いがつづき、「経営不振」として自宅待機などが行われていました。

 大分地裁の勧告に従い、(1)退職金・解決金総額1540万余円の支払い(2)組合員は会社が解散せざるを得ない状況を理解し退職する、という内容で和解しました。

 分会では「家族ともども闘い抜いてきた。これまで培ってきた自交総連魂を忘れることなく今後の生活の糧とする」と支援へのお礼を述べています。




人身事故対処マニュアル
(4)検事の取り調べへの対応


調書確認は独自のメモで対応

訂正箇所は必ずその都度修正を

 今回は担当検事から調書を読まれている時の注意です。調書に間違いがある場合は必ずその都度修正するようにしましょう。

検察庁で取り調べられたら

 当日は、担当検事の取り調べがあります。取り調べといっても、事故当日、警察官立ち会いのもとで、実況検分が行われ、警察官が現場見取り図を作成したその関係資料などを元にして確認をする作業が行われます。

 担当検事より現場見取り図を示しながら、調書を読み聞かせます。間違いなければここに、サインをしてください。印鑑を押してください。印鑑がなければ拇印でいいです。といわれます。サインをし、印鑑を押す。その手続きが完了すると、次に、略式裁判の書類を見せられます。担当検事が略式裁判の仕組みを説明します。本人がそれでお願いしますという返事をすれば、その略式裁判を了解したとの署名を求められます。同時に印鑑を押してくださいといわれます。略式裁判を了解し、署名をし、印鑑を押す。この手続きですべてが完了します。

 裁判官(所)が、書類のみで判断を下し、罰金をきめます。罰金が決まったら、裁判所(簡易)から、罰金が確定した。何時(○月×日)までに納入しなさいとの通知がきます。君が、その通知で罰金を納めれば、すべてが完了です。

 逆に、本人が、「略式命令応諾書」にサインせずに頑張れば罰金を支払う必要がなくなる可能性が出てきます。検事が罰金を支払わせようと思えば起訴して正式裁判にかけるしかなく、まず、違反関係で起訴することはほとんど考えられないので「不起訴」となる例が90%の確率であります。

おかしい箇所はすぐに修正

 検察庁で、大事なことは、警察官(署)が作り上げた調書を担当検事が、読んだ時、その箇所、その言い回し、ニュアンスなど、おかしいなと思ったら、即座に、「今の箇所、ニュアンスがおかしい」「言葉を修正してください」「そんな意味でいってなかったはず」などといってください。同時に正しい言葉に書き改めさせてください。

 この場合、担当検事は「全部、読んじゃうから、読み終わってから、おかしいということをいってくれるか」というはずです。この方法は駄目です。全部、読み終わった時、修正したい箇所が、1か所のみだったらいいが、何か所もあったら覚えていられません。また、修正したい箇所をそのまま過ぎると、その箇所が気になり、次に読み聞かせられる内容が理解出来なくなります。担当検事にどんな言い方をされても、どんな対応をされても、必ず、その場所は1回1回(その都度)修正させてください。

 結果的にこれが決め手になります。この時、事故当時の記憶のメモや、独自に作成した見取り図が生きてきます。独自に作成した見取り図や、メモは、堂々と見ながら対応して下さい。




 新加盟のなかま  (675)北海道ハイタクユニオン

 個人加盟方式を採用

  【北海道】北海道地連は6月21日、個人加盟方式の北海道ハイタクユニオン(笹川清史委員長、12人)を結成しました。

 同労組は、道内のハイタク労働者、自教、観光バス、トラック運転手、個人タクシーなどを対象とし、道地連第43回定期大会で提起、承認を得て今年6月に結成しました。

 札幌地区を中心に宣伝行動を実施し、広く呼びかけた結果、これまでに12人が加入しています。


 新加盟のなかま  (676)福島・川俣本田自動車労組

 闘う組織が必要

 【福島】伊達郡の本田自動車商会で働く仲間は7月8日、川俣本田自動車労組(横川一夫委員長、13人)を結成、自交総連に加盟しました。

 同労組は企業内組合でしたが、今春闘で会社から退職金カットの提案があり、闘うには上部組織が必要として以前から交流のあった本田交通労組に相談して加盟することになりました。

 現在は提案の撤回と労働条件の改善をはかるため奮闘しています。


 新加盟のなかま  (677)神奈川・ワイキャブ横浜支部 
(678)神奈川・ワイキャブ相模原支部

 2支部を結成

 【神奈川】神奈川県のワイキャブ横浜営業所と相模原営業所で働く仲間は7月7日、ワイキャブ横浜支部(大豆生田(おおまめうだ)繁委員長、40人)▽8日、相模原支部(小沢国生委員長、50人)を結成、自交総連に加盟しました。

 同社には企業内組合がありましたが、深夜手当や残業代の不払いなどがあり、県労連に労働相談を行ったところ、神奈川地本を紹介され、加盟することになりました。

 加盟後は、どちらの支部でも組合つぶしが行われ、組合では反撃しています。



自 交 総 連