自交労働者No.610、2003年10月1日


大阪・佐野南海労組に勝利決定

賃金の支払いを命じる

大阪地裁 第一交通本社の責任認定

 第一交通の偽装廃業・組合員55人全員解雇の攻撃とたたかう大阪地連佐野南海交通労組は9月10日、大阪地裁岸和田支部より、第一交通本社の責任を認め、解雇の無効と賃金支払いを命じる全面勝利の仮処分決定をかちとりました。

争議解決へ申し入れ

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ビラを作り第一交通の無法ぶりを市民に訴える仲間=03年5月

 【大阪】第一交通は01年3月に佐野南海交通(佐野第一と改称)を買収して以来、あらゆる手段での攻撃にもかかわらず組合がつぶれないため今年4月16日、事業所ごと廃業・全員解雇という暴挙をを強行しました。同一営業区域内に兵庫の御影第一を進出させて、組合をやめればそこで雇うというあからさまな偽装廃業です。

 組合では、会社が廃業されてしまったため、親会社の第一交通本社を相手に解雇の無効を訴えていました。

 地裁決定は、第一交通本社が佐野第一や御影第一を資本・役員・経理・人事・労働条件決定に至るまですべて支配していたことを認定、法を無視して労働条件を切り下げ、組合員を放逐するために佐野第一を解散したと指摘して、本社の責任を認め、同社に賃金の仮払いを命じています。

 全国に数十社6000台を展開する第一交通の本社の責任を明確にした決定は、今後の同グループの違法行為の追及の点でも重要な意義をもつものです。

 組合では、さっそく決定をビラにして地域に宣伝。9月18日には、第一交通本社がある北九州へむけて、権田委員長はじめ8人の宣伝隊を組織し、すべての争議を話し合いによって解決する団体交渉の再開を求める申し入れと宣伝行動に出発しました。



組合員3人を不当解雇 会社の攻撃と闘う

北海道・ふじ交通労組

 
 【北海道】滝川市と砂川市に営業所をもつふじ交通では、3人の組合員が不当解雇されたり、委員長が不当逮捕されるなど組織攻撃がつづいています。

 ふじ交通労組は昨年8月に9人で結成、五十数人まで組織を拡大し、今春闘でも会社の賃下げ提案を認めず闘っていました。この組合の前進を嫌悪する会社は7月、1年雇用の3人の組合員に「雇い止め」を通告してきました。3人は国鉄分割民営化の際に解雇された国労と全動労の争議団員で、ふじ交通労組の結成にも協力、今年正式に組合に加入したばかりでした。同社は乗務員不足で3人を解雇する理由はまったくありません。

 さらに8月、会社は「2200円のチケット不正があった」として組合委員長を業務上横領で告訴、砂川警察署が逮捕し、無実を訴え黙秘している同氏を拘留しています。

 組合では、地連や砂川労連の支援も得て、地労委申立てや警察への抗議を行い、闘っています。






仲間を集めて組合結成

新加盟組合

1年間で16組合700人が加盟

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東京地連では未組宣伝用にリーフレットを作成しタクシー乗り場でタクシー労働者に配布
 昨年1年間に自交総連に新加盟した組合は9地方16組合約700人その特徴を分析しました。3か年計画を提起し組織拡大に全力をあげようとしているいま、今後の組織拡大に生かしましょう。 加盟組合の内訳は、タクシー12、バス・トラック他が4となっています。

 加盟の理由では賃金・労働条件に不満が一番多く、深夜・残業割増が支払われない、入社時の約束と違うなどの不満から加盟してきています。次が産別結集の必要性。企業内組合では力が足りないとして、自交総連と一緒に闘うことにしたもの。企業譲渡などによる賃下げ「合理化」反対もありました。

 加盟の形態では、未組織の組織化(親睦会の組合化も含む)が約半分です。最初は一人か二人で地連や県労連に相談、援助を受けて仲間を集め組合結成にこぎつけたものです。次は企業内組合からの加盟で、以前から交流や情報を提供していたことが加盟につながりました。北海道のハイタクユニオンは、個人加盟組合を地連が結成し、加入申込書付のビラをつくって大規模な宣伝を行い、組合員を増やしています。

 以上のように、労働条件や賃下げなどで不満をもっている労働者が多数いることは間違いなく、そうした仲間に呼びかけ、相談にのる日常的な宣伝や地道なとりくみが重要なことがわかります。

グラフ


グラフ


◎1年間の新加盟組合
 (02年9月〜03年8月、オブ含む)
10/15 京 都・汽船タクシー新労組
10/31 京 都・第二ヤサカ交通労組
11/6 奈 良・京都ハイウエイ支部
11/18 京 都・京自交京都タクシー舞鶴支部
12/1 奈 良・生駒市衛生社支部
1/13 福 岡・ワーカーズコープ福岡労組
2/27 千 葉・小湊鉄道バス労組
4/7 京 都・洛東グループ労組
4/14 千 葉・ヘルスセンター交通労組
5/9 東 京・内山観光労組
5/12 宮 城・ハイタク一般東北三紀トラフィック分会
6/15 神奈川・生田高砂交通支部
6/21 北海道・ハイタクユニオン
7/7 神奈川・ワイキャブ横浜支部
7/8 神奈川・ワイキャブ相模原支部
7/8 福 島・川俣本田自動車労組

9地方 16組合 約700人



健康に起因する事故件数

ハイタクは前年の2倍

 国土交通省は、自動車運転者の健康状態に起因する事故等の発生状況をとりまとめました。運転者の健康状態に起因する事故は、01年から02年にかけて、バス5→18(3・6倍)、ハイタク8→17(2・1倍)、トラック9→12(1・3倍)と急増しています。

 その内容(病名)をみると、過去10年間の200件のうち、脳出血など脳血管疾患が64件、心筋梗塞など心臓疾患が64件とそれぞれ3分の1を占めています。従来から、深夜を含む不規則労働の場合は、脳血管や心臓の重大疾患が他の職種よりも多いことが指摘されてきました。

 02年2月に強行されたバス・タクシーの規制緩和が、その傾向に拍車をかけています。

 運転中の脳出血などは、乗客や他車、歩行者をも巻き込んだ重大事故につながります。命を削ってまでも走らなければならないほど自動車運転者を追いつめている規制緩和の危険性がまた明確になりました。

表

表




人身事故対処マニュアル
(7)公安委の呼び出し免停)への対応


刑事処分確定前には出頭しない

組合と相談し、公安委へ通告

この事故で、罰金はいくら?

 検察庁の呼び出しで担当検事の事情聴収の際に、しゃべる言葉で判断するといい。ストレートに「50万円くらいの罰金が来るんですか」と聞けば、検事は「この事故でそんな高額な罰金は来ないだろう」というはずです。今度は極端に金額を下げて、「20万位で済みそうですか」と聞けば、検事が「これだけの事故を起こしたんだから、そんな安い罰金ではないだろう」などというでしょう。この程度のやりとりをすると、検事は恐らく、略式裁判に君がOKすればその書類に基づいて裁判官が決定するので私には分からないよ、と逃げるかも知れません。こんなやりとりの中でいくらの罰金になるのか判断するしかありません。

 書類にはサインしない、略式裁判にも応じない、という態度をこちらが示した時「これだけの事故を起こして反省の色がない。罰金で収まるわけないだろう。公判請求(裁判)するから」と、高飛車に出る検事がいることもあります。こんないい方をした時は要注意です。

免停の呼び出しがあったら

 公安委員会からの呼び出しのハガキがきたら、即、組合の役員に知らせること。刑事処分が未決(罰金などが決まってない時)の場合は簡単に出頭しないこと。もし出頭して先に免許停止を受けてしまうと、その後に刑事処分で無罪(不起訴処分)となった時、免許停止分を返してくれといっても返してくれません。特に争う場合は重要です。

 公安委員会では、刑事処分と行政処分は違うんだといってきます。しかし、処分をされる我々にとっては同一事件です。その事故によって、罰金がきて、免許停止処分になります。このことだけは忘れずに。

 行かなくて不利益にならないのか? 大丈夫です。公安委員会からの呼び出しのハガキがきたら、即、組合の役員に知らせます。このハガキに書いてある担当者に直接、電話をします。今、検察庁で、事故の事実関係が違うとの理由で、事実関係確認作業中なので罰金が確定していません。したがって、免停処分は受けられません。ただし、刑事処分が確定すればこちら側から出頭しますといってください。

 かなりしつこく担当者より、30日処分だから、講習が終わればすぐ免許証が戻り運転はできるから、事実関係を聞くだけだから来てくれないか、などと出頭するよういわれますが、こちら側もそれなりに「刑事処分が決まらない限り行けません」といい続けて下さい。どうしても、電話では無理だという時には、公安委員会(処分課)まで出掛け、担当者(または、相談コーナー)と会って、手続きを完了して下さい。場合によっては「刑事処分が決まったら、こちら側から出頭します」との文書を入れても構いません。この手続きはスグにして下さい。



自 交 総 連