自交労働者No.614、2003年12月1日


11・19統一行動

規制緩和失敗の責任を取れ

国交・厚労省に怒りの請願

  どうしてくれる 安心・安全、くらしの破壊 政府は規制緩和失敗の責任を取れ――自交総連は11月19日、秋闘の第2波統一行動として交運共闘の中央行動とともに規制緩和の実態を暴露する宣伝・運輸局交渉などを全国いっせいに実施しました。中央では、関東ブロックの仲間が朝から霞ヶ関周辺での宣伝行動、その後、国土交通省、厚生労働省へ個人請願行動、日比谷野音での総決起集会に参加。また午後からは代表が省庁交渉も行いました。

行政はまじめにやれ

雇用・年金・規制緩和反対・民主的公務員制度確立などを求め、日比谷野音に5000人が集まり総決起集会=12時
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 朝9時から交運共闘と共同で霞ヶ関周辺で宣伝行動を開始。宣伝カーからタクシー労働者の悲惨な実態を訴え、ビラ1万枚を配りました。

 宣伝行動後、交運共闘も含め参加した約2000人以上の仲間は国交省と厚労省に国会附帯決議の完全履行や労働条件の不利益変更、解雇などは法に基づき対処することなどを求めた請願書を一人ひとり手渡す個人請願を行い、参加者は、「行政はもう少しまじめにやってくれ」などの一言を添えて請願書を手渡しました。

霞ヶ関周辺で規制緩和の失敗と安心・安全の確立を訴えるビラを配る自交総連の仲間=9時
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 昼休みには、日比谷野外音楽堂で全労連が主催する総決起集会に参加。あいさつをした熊谷議長は、「私たちの運動がこれまで以上に重要です。年金大改悪、大増税ノー、賃下げを許さない運動を広げていこう」と呼びかけました。

 午後からは、代表が厚生労働省、国土交通省と交渉し、規制緩和の失敗や解雇ルールの徹底などについて要請しました。また、11月20日には警察庁とも交渉しています。

厚労省の担当者に最賃法違反の是正などを求める請願書を渡す仲間=11時
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 埼玉・飛鳥交通大宮労組坂本貴志さん(52)は「この行動で政府が規制緩和を見なおしタクシーを再規制してくれるように願っている」

 東京・東都自動車労組二階堂諭さん(50)は「年金の受給年齢を引き上げるなら会社に対して、受給年齢まで働かせるよう強制するよう国に要請したい」

 東京・飛鳥交通第2労組喜代永和伸さん(52)は「今後は組織拡大をがんばり、多くの仲間と共同で規制緩和反対の運動をさらに前進させたい」

 神奈川・メトロ自動車横須賀支部春山昭夫(59)さんは「こんなに大勢の人が集まって感心が強いと思った。規制緩和のせいで、神奈川では刺傷事件まで起きた。これからもこのことを重要視して規制緩和の矛盾を追及していく運動をしたい」と話しています。



国交省交渉 「結論を出すのは時期尚早」

 国土交通省との交渉には交運共闘坂田議長ら50人が参加。タクシー関係では自交局旅客課多門課長補佐らが答えました。

 省側は、規制緩和の弊害について「規制緩和が直接の原因となって事故やトラブルが増えていることが明確に数字として表われてはいない。規制緩和が有害という結論を出すのは時期尚早」などと答えたため、組合側が抗議しましたが、省側は「統計上の数字がない」との無責任な態度に終始しました。

 事態の重大性を認識せず、事故が増えていないとの認識では、有効な対策がとれないのは明らかで、組合側はトラック、タクシーの実態を示して厳しく追及しました。

 国会附帯決議の実行、悪質業者への処分については「厳正に処分する」としましたが、東北や北陸信越運輸局では処分が極端に少ないと追及すると「たしかに差がある」と認め、「やはり人がいなければ監査ができないということで、必要な増員要求もする」と答えました。また、関東・近畿運輸局のような専任の監査指導部は全国に設置する方向だ、としました。

 タクシー運転免許の法制化については、「資質の向上の一つの手段としてタクシー免許というものがあるということは認識している」としながらも、現行の二種免やセンターの登録制度で質の確保はできていると強弁しました。

法違反の改善を徹底しろ

厚労省交渉「今後も重点的に指導する」

 厚生労働省交渉では労基局監督課子安係長らが対応しました。

法違反の是正や改善基準告示の徹底などを要請する交運共闘の代表
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 労基法や改善基準告示の遵守指導を求めたのに対して「自動車運転者の対策は最重点の一つとして指導している」と答えましたが、組合側が「重点といいながら毎年違反率が高いままなのはなぜか」と追及すると「人がいないので(違反がありそうな)怪しい所をピックアップして行っている」と弁解、十分な監督体制がないことが明らかになりました。労働条件の一方的改悪についても、法に反しないかのような説明をしたため、組合側は厚労省の姿勢をきびしく追及しました。

 累進歩合制度がほとんど全社で蔓延しているとの追及には「現場で(監督官に)知識不足があれば指示したい」とし、累進歩合禁止の通達解釈は変わらないと確認しました。

 具体的な問題について、第一交通の問題については「話は聞いている」とし、「不当労働為があったのが事実であれば許されない。地労委が判断し、救済が図られていくと思う」と答えました。

 また、東京の天龍交通が新たにつくったコーストサイド(タクシー)という会社が社会保険から脱退し、社長が品川社会保険事務所が公認していると説明している件については、「赤字会社の社会保険の脱退という特例は一切認めていない。事実確認をしたうえで適切な措置をとる」と答えました。

事故防止の対策を早急にとれ

警察庁交渉

「供給過剰が原因なら問題」

 警察庁交渉は11月20日に実施、久賀・菊池書記次長ら5人が参加し、当局から交通局企画課杉課長補佐らが対応しました。

 タクシーの交通事故が92年からの10年間で1・9倍になっていることについては「その通りで、死者も全体では減っているのに、タクシーでは減っていない」と答え、違反も増えているとして、10年間で通行禁止違反、交差点通行違反などが倍以上になっていることを明らかにしました。「供給過剰で事故が増えるのなら重大な問題」とし、自交総連が提出した運転者アンケートも参考にしたい、と答えました。

 駐車違反などの取締りについては、「違反の背景にある運行管理、労務管理を改善することは重要で、事業者の責任も追及する」としました。

 タクシー強盗対策では、タクシー強盗防犯対策会議で議論し対策をまとめると答えました。同会議に現場の運転者が入っていないとの質問には「運転者の声が反映されるようにしたい」としました。



規制緩和の害悪が明らかに

交通問題研究会 労働者の闘いが重要

交通問題研究会で発言する京都・安井委員長=11月22〜23日、大阪・池田市
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 労働者・国民本位の交通政策の確立を考える第5回交通問題研究会が11月22、23日、大阪・池田市でひらかれ、自交総連からは大阪・京都を中心に35人が参加しました。

 集会では関西大学の安部誠治教授が、交運研の政策が実現した例も紹介しながら、規制緩和一辺倒でない新しい交通のあり方を提起。分科会では、旅客と物流に分かれて討論し、自交総連の参加者がタクシーの規制緩和が安全と環境を破壊している実態を紹介。鉄道、バス、航空の現場でも規制緩和で安全性が低下している様子が報告されました。

 交通運輸のすべての職場で規制緩和が害悪をおよぼしていることが明らかになり、交運労働者の闘いの重要性が強調されました。



 新加盟のなかま  (681)東京・実用労働組合

 問題解決に新組合結成

  【東京】東京都葛飾区にある実用興業株式会社で働く仲間は10月31日、実用労働組合(白田(はくた)国夫委員長、17人)を結成、自交総連に加盟しました。

 同社には中労協の議長組合である実用興業労働組合がありますが、民主的な運営がされず、職場内の問題を解決するため新たな組合を結成しました。

 現在は、会社側も認め、11月17日には地連役員を交え第1回の団交を行いました。



人身事故対処マニュアル
(10)嘆願書の作成と飲酒運転の対応


嘆願書は相手の立場に立って

酒酔い運転は「殺人罪」と同様

30日以上の診断でもあきらめない

 初診で、診断書が「全治1か月」、薬を14日分受け取る。ところが薬をもらった後は全然、病院に行ってなかったということもあります。見舞いや病院へ尋ねて初めてそのことが分かり気が付くことがあります。だからあきらめないこと。そんな時には、ケガの日数を改めさせることができます。30日以上は重傷、30日未満は軽傷です。

示談ができるなら出頭を延期する

 出頭日がきまり、その先、数日中に示談ができるようだったら、地検(地方検察庁)の出頭日を延期してください。地検にTELし、どうしても行けない用事ができてしまった。日時を延期してほしいと要請をする。日時の延期は、いつでも自由にできます。出頭日はこちらからこの日にしてくれと要請します。

上申書などの作成も視野に入れて

 (1)会社の社長から、または、上司から、渉外係(事故)から―示談の経過、相手側との折衝の経過、本人の勤務態度、これまで事故や違反がなかったこと、職場では模範的な人だということなど。(2)組合の委員長から―本人の生活状況、家庭状況、組合から見た勤務状況、模範的な人物、仲間からも信頼できるなど。(3)友人からも―クラブに属していて世話役活動をして責任感が強いなど。

嘆願書の作成も視野に入れて

 (1)仲間から嘆願書を書いてもらう、5名連記、または、10名連記で。(2)示談ができていなくても相手側からも嘆願書を書いてもらう。嘆願書の「案文」はこちら側で作成していくこと。相手の立場に立った内容とし、家庭のこと、勤務状況のこと、事故の後の処理状況のこと、小刻みに見舞いにきてくれたこと、本人も深く反省していることなど、大事なことは「処分は望みません」「刑事処分 (行政)は一切しないで下さい」などを文言に必ず挿入することです。ただし、相手の了解が原則(必要)です。

飲酒運転で事故になったら最悪です

 酒にからむ事故は組合でとりくむことは不可能です。お酒を飲んで事故を起こした場合は、業務上過失ではなく、「危険運転致死傷罪」(刑法第208条の2)が新設され、今度からは『殺人罪』に問われると同様に考えてください。お酒を飲んで車を運転しては『絶対駄目だ』ということを知りながら酒を飲んで運転・事故を起こしたということになります。

 車は、走る凶器だといわれています。アルコールは8時間以上経過しないと身体から抜け切れません。朝、会社側の点検でアルコールが検出(または、匂い)された場合は、その日は休む(または、午前中)など思い切った決断をすべきです。アルコール処分基準(0・25→0・15ml)が変わったことにより、お酒の好きな乗務員は二日酔いにも特に注意が必要です。



自 交 総 連