4 最低賃金以下の賃金は違法です

 【問い】 水揚げがあがらず先月の給料は10万円を切りました。最低賃金というのがあると聞きましたが、この給料は違反ではないですか?

 【答え】 違反の疑いが濃厚です。違反の場合は計算して差額が請求できます。

 営業収入の落ち込みや足切り以下の低賃率により最低賃金(最賃)に違反する例が増えています。地方はもちろん、大都市部でも違反が頻発しています。この低賃金は規制緩和をすすめる国の政治や運輸行政の責任が大きいのですが、現に最賃に違反しているものはきちんと差額を支払わせる必要があります。
 使用者は、最低賃金法で定められた最賃額以下の賃金で人を働かせることはできず、もし支払った賃金が最賃以下だった場合、最賃との差額を支払わなければなりません。
 最賃には地域別最賃と産業別最賃があります。タクシーには産別最賃はまだありませんので対象となるのは都道府県ごとに決められている地域別最賃です。

 最賃法違反の例

●宮城県のタクシー労働者で、
 足切り(40万円)未満35%のオール歩合賃金(35%のうち歩合給が30%、割増賃金5%)。
 1か月198時間(所定176、残業22時間)働いて営収が36万円だったとする。
●支払われる賃金総額は…36万円×35%=12万6000円
●最賃と比較の対象となる賃金は…
 36万円×30%=10万8000円
 その時間額は…
 10万8000円÷総労働時間(176+22時間)=545円...(A)
 宮城県の最賃の時間額(02年度)は、617円...(B)
●A<Bなので、この例は最賃法違反。
 差額の72円×198時間=1万4256円を支払わなければならない。
 地域別最賃はすべて時間額で決められていますので、実際に得た賃金と比較する場合は、賃金を時間額に換算して比較することになっています。

 最賃と賃金の比較方法 

 【賃金の時間額】
 まず賃金のうち最賃の対象とならない賃金を差し引きます。対象とならないのは、@臨時給A一時金B残業割増C休日割増D深夜割増E家族手当、通勤手当、精皆勤手当と決まっています。これらを除いた額で最賃額を上回らなければなりません。
 歩合給の時間額=歩合給÷総労働時間
 固定給の時間額=固定給÷月の所定時間(年平均)
 歩合給と固定給がある場合は、それぞれ計算して足し合わせます。

 【最賃の時間額】
 都道府県ごとに決められていて、毎年10月前後に改定されます。
 最新の最賃額は、このホームページのデータ集の地域別最低賃金額をご覧ください。

 【両者の比較】
 時間額を比較し、賃金が最賃を下回っていれば最賃法違反で、使用者は差額を支払う義務があります。

 従来、実際に最賃法違反が生じるのは特殊な例でしたが、最近ではまれでなくなっています。月十数万円という賃金の場合、最賃法違反かどうか計算してみる必要があります。

2002年度の地域最賃額(最新の額はデータ集を参照)
北海道 637円 青 森 605円 岩 手 605円 宮 城 617円 秋 田 605円
山 形 605円 福 島 610円 茨 城 647円 栃 木 648円 群 馬 644円
埼 玉 678円 千 葉 677円 東 京 708円 神奈川 706円 新 潟 641円
富 山 644円 石 川 645円 福 井 642円 山 梨 647円 長 野 646円
岐 阜 668円 静 岡 671円 愛 知 681円 三 重 667円 滋 賀 651円
京 都 677円 大 阪 703円 兵 庫 675円 奈 良 647円 和歌山 645円
鳥 取 610円 島 根 609円 岡 山 640円 広 島 644円 山 口 637円
徳 島 611円 香 川 618円 愛 媛 611円 高 知 611円 福 岡 643円
佐 賀 605円 長 崎 605円 熊 本 606円 大 分 606円 宮 崎 605円
鹿児島 605円 沖 縄 604円 (金額は毎年10月前後に改定されます)




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