1.情勢の特徴と要求前進への課題
(1) 熾烈さを増すくらしと雇用の危機、ルールなき競争と地域破壊
いま、自交労働者のくらしと雇用をとりまく状況は、放置することができない、深刻で、新しい危機に直面している。
タクシー労働者の賃金は、1992年以来連続的に減りつづけ、とくに、消費税増税などの9兆円負担増や「行政方針の大転換」(台数規制の廃止の流れ、増車策への移行)が強行された97年以降、急激に減少し、他産業労働者との格差が広がっている。この4年間に、賃金は全国平均で57万円も減り、格差は過去最高の229万円となってしまった。運収減による賃金低下に加え、賃率引下げ攻撃や権利侵害などによって労働条件は全面的に悪化し、地方によっては地域別最低賃金や生活保護基準額以下となるなど、いまや「生存する権利」の確保さえおぼつかない。さらに、回復の兆しを見せない不況の長期化と規制撤廃の流れなどを背景に、倒産、事業の廃止、撤退(身売り)は全国的に相次いでおり、いっそうの労働条件悪化と雇用不安を拡大させている。
ハイヤー労働者は、「いつ仕事が来るか予想もつかない不安の毎日」であり、経営者は、ダンピング競争に走り、大幅な賃下げを含む「合理化」を多くの職場で連続的に強行しているが、先行き不安から身売り・分割譲渡をはじめ企業の再編も急ピッチで進んでいる。
自動車教習所は、入所者の減少など厳しい環境下におかれており、東京、神奈川など大都市でも企業閉鎖が相次いでいる。経営者は、競争による料金値引き、日曜・夜間営業の延長などの生き残り策に力を注ぎ、人件費の削減、パート・契約指導員の導入をはじめ、これまでかちとってきた権利までも剥奪する攻撃を強めている。
観光バスでは、利用客減や大手旅行業者による無理な運行計画の強要や運賃・料金ダンピングなどにより過当競争が一段と激しくなっているため、経営危機をあおり、アルバイト運転者雇用を日常化させ、大幅な賃下げ「合理化」や長時間労働を労働者に強いている。
そしていま、タクシーの台数規制廃止(2002年2月実施)や小泉「構造改革」を目前にして、「大競争時代」を勝ち残るためのサバイバル(生き残り)作戦はいっそう熾烈化しようとしている。それは、「労働者のくらしと雇用」に、いま以上に重大な影響を及ぼすばかりでなく、国民生活や地域社会にも「安全輸送」や「生活・交通環境」「移動の権利」の面でさらに深刻な事態を引き起こすことにつながる。
(2) これ以上の状態悪化は許さない、不況の長期化と際限なき規制緩和
いま日本社会は、大きな分かれ道に立っている。
森首相に代わって登場した小泉首相は、参議院選挙での「自民大勝」を背景に「聖域なき構造改革」への意欲を重ねて強調し、「不良債権処理」やリストラを優先する姿勢を貫こうとしている。また、「自衛隊を軍隊とする憲法改悪」や「靖国神社公式参拝」など、これまで自民党がやろうとしてできなかった危険な政策をすすめようとしている。
この政策の行き着くところは、「不良債権処理」強行による中小企業の倒産、リストラによる大量失業の出現、軍事大国の道であり、死に至りかねない「痛み」を大多数の労働者・国民に強いるものである。
『これ以上の状態悪化は、許さない』という闘いの強化、悪政との対決は、くらしと雇用だけの問題だけでなく、日本社会の安全と将来にかかわっての重要課題となっている。
こうした局面にあって、「もうけ第一主義」の経営政策で生き残ろうとし、労働者のくらしと雇用の安定、権利保障や国民生活、地域社会への貢献を無視する、そうした経営者の存在は、「法人事業者としての存在意義」を自ら否定するものである。
タクシーでは経営基盤の強化のために、リース制や、AB型でもそれと同等の利益が確保できる賃金システムの導入を狙い、いっそうの累進化と低賃率を押し付ける。雇用面では、正規雇用を排除し、無権利・低賃金の非正規雇用労働者の拡大を推進しようとする−このような労働者犠牲の経営政策は、タクシーにとどまらず、自動車教習所や観光バスなどの「事業のあり方と将来」にとって“百害あって一利なし”というべきものである。 「労働組合の存続・維持」の面についても、労働組合の所属の違いにかかわらず、全国的に大変な事態を迎えている。
1)事業の廃止や第一交通、北港・梅田グループなど悪質経営者への身売りにともなう組織破壊、大規模な「合理化」攻撃によって、組合存続そのものが危ぶまれる事例が目立っていること 2)「合理化」問題への対応の仕方や組合の日常運営への不信・不満などを理由に、『組織崩壊』が生じていること 3)パートなど非正規雇用労働者の組織化の立ち遅れによって、職場(地域)内の組織率が低下していること。さらには、4)『賃上げ、労働条件の改善で思うような成果もなく、入っていても意味がない』あるいは、『将来展望も示されないのでは、魅力がない』などの率直な疑問、意見も組織の内外に顕在化しており、組織拡大での大きな障壁となっていること−などである。
今日、経営側からの攻撃をうけて立つ労働組合の姿勢と対策、将来展望に関わる政策・方針の提起の面にわたって、産業別組織の存在価値がするどく問われている。
(3) 地域を目線に、事業の将来像を見据えて
自交総連は、すでに「タクシー破壊法成立をうけての今後の闘いについて」(2000年7月)と題する方針を提起し、道路運送法「改正」法案の可決・成立という新事態をふまえ、この間の闘いでかちえた到達点をふまえ、職場・地域での闘争体制を再整備し、「台数規制の廃止を許さず、タクシー運転免許の法制化、社会的地位の向上、地域に密着した安心・安全なタクシーを」めざす新たな闘いの前進にむけ決起していくことを呼びかけ、この1年間奮闘してきた。
自交総連は、『自交労働者の未来を決定的に左右する歴史的な局面に突入した』との認識をふまえ、これまでも困難に正面から立ちむかい、団結の力で乗り越えてきた自交労働運動の歴史と伝統に確信
をもち、それに恥じない底力を発揮していく。
21世紀を、自交労働者の希望と働きがいある時代とし、さらにゆきづまった自民党政治を打開するためにも、労働組合運動分野からの接近を重視し、同じ業種の労働者・労働組合との大同団結、それぞれの切実な要求を持ち寄っての公務・民間労働者の共同、労働者・地域住民一体となった『下からの変革の共同』に力を注ぐことが、運動前進の大切な視点であり、そうした運動の先頭に立って奮闘することが強く求められている。
2.重視すべき『3つの運動基調』
(1) 事態改善への期待に依拠し、労働組合存立の原点に立って、たたかう自交総連の本領発揮を
くらしの悪化や雇用不安など全面的な状態悪化が進行し、要求の切実さがいままでになく増しているもとで、労働組合存立の原点である利益擁護、くらしと権利を守る要求の実現を重視し、たたかう姿勢を貫いていく。
とくに、すべての自交労働者を視野に入れての総対話と共同の拡大、産業別統一闘争の展開に全力をあげ、「働くルールの確立」をめざす。重点課題として、底上げと雇用形態をとりあげ、「○○地域から○○%以下の賃率をなくす」「産業別最低賃金の確立」、「違法な臨時・アルバイトを取締れ(タクシー)」などのとりくみを推進していく。
(2) 将来展望を切り開く政策闘争の前進にむけ、それに適合する闘争基盤の強化を
リストラ「合理化」や台数規制の廃止など全面的な規制撤廃攻撃と真正面からたたかい、「タクシー運転免許の法制化、利用しやすい安心・安全なタクシー(観光バス)の確立」、「地域の交通安全教育センターとしての機能強化を(自教)」など21世紀を展望する事業の将来像を見据えた政策提言の提起とその実現にむけ全力をあげていく。
また、組織建設は緊急の最重要課題であることをふまえ、5万人の自交総連構築と幹部・活動家の育成をめざし全力をあげる。
(3) 自公保政権の悪政推進を許さず、全労連運動の一翼を担い国民的共同の前進を
大企業の横暴と自民党政治を引き継ぐ自公保政権の悪政に反対し、労働者・国民の生活と雇用を守り、平和と民主主義を守る国民的共同の前進にむけて奮闘していく。
とくに、職場・地域における産業別統一闘争と結合した地域住民(利用者)との共同を重視し、地域経済や地域社会の民主的発展の一翼を担う。また、組合員一人ひとりの政治意識を高める努力を大切にするとともに、産業別分野に立脚した地域住民(利用者)との接点を重視し、安全性と移動する権利の確保や環境問題を、ともに共同してとりくむ運動課題として位置付け全力をあげていく。
1.「要求課題の4つの柱」と運動の基本方向
(1) 社会的水準の労働条件確立、権利拡大をめざして
● 賃上げと底上げ闘争の強化
1.「権利要求」(正当な賃金の保障) の視点を大切にし、社会的水準の労働 条件確立への接近にむけて、一定の時 期に闘争を集中させてたたかう春闘と 通年闘争としての政策闘争を結合しつつ、賃上げ・時短を中心とする労働諸 条件の改善をめざす。
状態悪化に歯止めをかける闘いでは、「○○地域から賃率○○%以下をなくす」ことをめざす『賃率下限の引上げ』を軸に足切りノルマの引き下げ、累進歩合制度の廃止など賃金体系(制度)の改善を重点課題として全国いっせいにとりくむ。
2.産業別最低賃金の確立(大都市=1500円以上、地方都市・郡部=1000円以上)では、具体的に重点地域を設定のうえ「労働協約ケース」による申し出の可能性を追求する。
また、全労連が提起している全国一律最低賃金制の法制化と現行最低賃金制の改善を重視すると同時に、最低賃金法違反の是正について積極的にとりくむ。
3.労働条件の高位平準化と到達闘争を全国的に展開し、地方(地域)での労働条件の格差是正をはかっていく。
4.賃下げなし・勤務日数減、実効ある時短の制度的確立を重視し、また国民の祝日の休日化(代休などの措置を含む、賃金計算は仮想営収方式)や年次有給休暇の増日をすべての職場でとりくむ。
● リストラ「合理化」反対、権利の確保、倒産・身売りをさせない闘いの強化
1.人件費の大幅切り下げ、賃金制度の改悪や労働力の不安定雇用化を柱とするリストラ「合理化」に反対し、働くルールの確立を求める闘いを展開していく。また、労使関係の対等・平等、正常な労使関係の確立をめざすとりくみ強化をはかる。
さらに、運輸・労働行政の監督・指 導責任を明確にさせるとりくみを重視し、道路運送法や運輸規則、労働基準法を無視し、労働者・労働組合の権利を認めない悪質経営者へのきびしい措置や厳格な処分を迫っていく。
2.反「合理化」、権利確保の闘いを職場・地域闘争として定着、発展させるため、労働基本権や労働基準法など基礎知識の総学習を強め、職場・地域での権利総点検活動を展開していく。
3.倒産や廃業・身売り対策については、「倒産、(悪質経営者などへ)身売りをさせない闘い」の強化とともに、起こり得る事態をも想定し、地連(本)として学習会や対策会議の開催など必要な対策をすすめていく。
事業存続が危ぶまれる事態への具体的な対策では、安易な妥協主義に陥ることをいましめ、経理公開など必要な措置を求めるとともに経営のチェック機能を強め、場合によっては経営改善や再建策の提案を行うことも含め対応していく。この際、組合員全体の合意を重視し、組合民主主義の立場を堅持していく。
4.職場で起こっている差別、支配介入など不当労働行為の一掃を重視してとりくむ。また、裁判(地労委)一辺倒の闘争におちいる弱点を克服することに努め、職場を基礎とする産業別レベルでの反撃体制の確立、地方(地域)労連などの支援体制と社会的包囲、そして裁判(地労委)闘争との結合を重視する。
5.各種政府委員の獲得などについては、 全労連の具体的方針にそった闘いの展開をはかる。とくに、中央・地方で労働者委員候補者を立て、共同のとりくみとして運動強化をはかれるよう奮闘していく。
国鉄闘争については、全労連が提起 する諸行動や署名活動の成功に全力をあげるとともに、「国鉄闘争勝利首都圏共闘会議」や「全動労争議団を勝たせる会」のとりくみに対し積極的に対応していく。
(2) 必要な規制の維持・強化、事業の将来像を見据えた政策要求の実現をめざして
1.タクシーの当面する運動の基本目標((1)台数規制と『運転者優位のしくみの確立』を掲げ、その有効な方策であるタクシー運転免許の法制化をめざし、それへの接近をはかる、(2)安心・安全 な輸送の確立、地域交通の一翼を担うに足り得る輸送分野の拡大など地域に密着した公共輸送機関たるタクシーの発展をめざす)にもとづき、ひきつづき今後の運動展開をはかる。
1)「改正」道路運送法の施行・実 施に対応する基本姿勢としては、「国会の場で確約した政府答弁及び衆・参 議院の附帯決議」の完全履行を重視し、ひきつづき政省令・運用基準策定に関する政府・行政責任を徹底的に追及し、想定される弊害、混乱などへの防止・歯止め措置を求めたたかっていく。
2)政策プロジェクト報告にもとづく「タクシードライバー法案大綱」及び「自主経営の今後のあり方」に関する方針化を行い、タクシー運転免許構想のいっそうの政策的具体化ととりくみ方向を提起していく。さらに、「政策学習強化月間」を設定し組合員総学習を行うなかで、本格的な態勢確立をはかる。
3)タクシー運転免許の法制化に接近していく方策との整合性を勘案しつつ、少なくも、違法なアルバイト運転者などの登録禁止、地理試験内容の高度化、研修制度の充実などの強化がはかられるよう求め、とりくんでいく。また、「これ以上の状態悪化を許さない」との姿勢を堅持し、アルバイトなど違法的雇用形態や運転代行など『白タク』行為の除去などの改善にむけとりくむ。
4)タクシードライバーの質の向上、社会的貢献への努力を重視し、接客態度や労働モラルの改善はもとよりのこと、福祉・介護タクシーのとりくみ強化など福祉・高齢化社会に適応するタクシー輸送領域の拡大にむけ全力をあげる。
5)地方自治体に、地域交通の一翼を担うタクシーの公共輸送機関としての位置付けを明確にさせ、タクシー乗り場の増設やバスレーンへの乗り入れ、乗合タクシーの活用、福祉・介護政策とタクシーの役割と労働者の関与のあり方について検討、具体化させるなどのとりくみを、「地域タクシー協議会」の設置問題を含め要求していく。
2.自教関係では、地域の交通安全教育センターとしての機能強化にかかわる政策提言の実現をめざす運動の強化をはかるとともに、「過当競争の地方(地域)的規制と業務範囲の拡大」、「教習料金の適正化」にかかわる政策要求実現を重視していく。
3.観光バス関係では、公正な取引ルールの確立、安全性と雇用・労働条件の確保のための政策要求を掲げてとりくむ。とくに、運賃ダンピング・区域外営業など法違反の是正や白バス行為の一掃、過労運転の防止措置、労働条件改善にむけての環境整備などを重視し、その実現をめざしていく。
4.仕事を通じての仲間や利用者(教習生)からの信頼獲得、社会的役割を担う自交労働者としての社会的貢献をはかる観点を重視し、運動の強化をはかる。とくに地域住民との接点を追求し、「住みやすい町づくり」や「移動の確保」、よりよい教習と「交通事故をなくす」課題への結合といった視点からの提起を大切にし、そのとりくみを強めていく。
(3) 政治反動反対、反核・平和、国際連帯と国政の民主的転換をめざして
小泉「構造改革」の断行など国民生活全般にかかわる「痛み」の限界をはるかに越える悪政が、今後いっそう強まることが懸念される。このため、政府・国会にむけた悪政阻止の闘いを、広範な各共闘組織とともに、国民的な共同を強めながら大きく前進させていく必要がある。
自交総連は、この1年間、とくに安保優先・大企業本位の政治の転換、平和・民主主義擁護、憲法改悪に反対する国民多数の世論結集をめざす運動の強化を重視し、全国革新懇が示す「3つの共同目標」をいっそう高く掲げ、全力をあげてたたかう。
具体的な運動については、全労連をはじめ、自交総連が参加している民主的な諸団体の行動提起を積極的にうけとめ、その前進をめざす。さらに、地方政治の分野でもいっそう強められている「オール与党」による悪政を打破し、地域住民のくらしや営業、地域経済を守る地方自治体を建設していくためにも全力をあげる。
(4) 5万人の自交総連構築と強大な全労連の建設をめざして
1.産業(業種)全体に影響をもつ比較第1位の組織確立をめざし、5万人の自交総連構築及び産業別組織としての体制・機能強化、幹部・活動家の育成を中心とする『組織の強化拡大』を緊急の重点課題とし、とりくみの具体化をはかっていく。
1)空白県の組織化については、重点地方を設定したうえで、近接地連(本)・ブロックの協力や地方労連との連携をはかりつつ、未組織宣伝行動や懇談・学習会を計画していく。
2)組織拡大の重点目標として、「一桁組合からの脱却、加盟促進」少数派から職場(地域)内多数派へ」を掲げ、各地連(本)での前進をめざす。また、地域実情に適合する「地域タク シー労働組合」(個人加盟方式)の設置を全国的に具体化し、その組織的発展をはかっていく。
3)非正規雇用労働者や自教・観光バス労働者の組織化を明確に位置付け、必要な対策を具体化できるようにしていく。非正規雇用労働者の組織化にあたっては、労働組合規約をチェックし、「パート労働者は加入できない」などの不備・障害があれば、早急に改善し体制整備をはかる。
4)各地連(本)は、組織内点検を行い、機関会議欠席組合や組織機能を失っている少数派組合への対策を重視し、オルグ強化を含む必要な手立てをとっていく。総連本部としては、地方産別組織としての体制・機能が十分に確立していないところへの個別オルグやブロック協力を得ての援助体制を強めていく。
5)春闘時における共同の未組織宣伝や行政当局交渉、合同の学習会幹部学校の実施など「ブロック内共同」を重視したとりくみ強化をはかる。
2.あらゆる傾向の労働者・労働組合との共同を追求していく。地方段階では、リストラ「合理化」や廃業・身売り問題などでの「職場内共同」を重視する他、地方(地域)ごとの緊急的な政策要求をとりあげ、それぞれの条件に応じた共同のとりくみを積極的にすすめる。
3.「200万全労連・600地域組織の確立」めざし、中央・地方でその実現にむけて全力をあげる。また、交運共闘の組織・運動面にわたる機能強化にむけ、積極的な役割を果たすとともに、それぞれの地方で交運関係組合の共同拡大、交運共闘確立への努力を行う。
2.当面する運動の基本的展開について
(1) 2001年秋から2002年春闘にむけた闘争の具体化
2001年秋から2002年春闘にむけての闘いは、自交総連独自の要求と国民的課題とを結合し、春闘の前段闘争と位置付けとりくむ。
闘いの具体化では、「2001年秋から 2002年春闘にむけた闘争方針」を第5回中央執行委員会(9月5〜6日)で討議のうえ決定し、とりくみをすすめる。
(2) 2002年春闘の準備
1.アンケートの実施については、全労連の『働くみんなの要求アンケート』を基本とし、全組合員と広範な未組織・未加盟の労働者を対象とする独自のものを作成しとりくむ。
2.春闘方針は、11月中に執行部原案をつくり、1月下旬には中央委員会をひらき決定していく。春闘方針の職場討議は、1月初旬から執行部(案)にもとづいて行えるように準備する。したがって、各地連(本)は学習会や討論集会を早めに計画し、体制強化に努める。
3.通年闘争の諸課題とそのとりくみ
(1) 通年闘争のとりくみ
1.国民的諸課題などの日常的な闘いについては、全労連や民主的諸団体がとりあげる諸課題について積極的に対応していくこととし、原水協、全国革新懇、非核の政府を求める会、安保廃棄中央実行委員会、国民救援会などとの共同を発展させる。
2.教育宣伝活動を恒常的に強める見地から、『自交労働者月報』の内容の充実と拡大、その積極的活用をはかるとともに、『自交労働者新聞』の内容充実を重視していく。機関紙コンクール、写真コンテストは従来どおり実施する。教宣学校の開催については、ブロックまたは隣接地連(本)で体制をつくったうえで計画を立ててもらい、本部からの講師派遣を行う形で実施していく。
3.不当弾圧や解雇、争議権制限に対してのとりくみ強化をはかるとともに、関係弁護士交流会については事前の出席要請などとりくみを強化し、中執メンバー全員の義務参加のもとに今年度も開催していく。
4.いのちと健康を守るとりくみでは、在職死亡の増加など健康破壊が深刻になっていることを重視し、事業者負担による成人病検診の義務付けや職場の衛生環境整備など安全衛生活動を強化していく。また、労働災害をなくす事前のとりくみを重視し、不幸にも被災労働者が発生した場合には労災認定闘争を行っていく。
「働くもののいのちと健康を守る全国センター」への結集をはかり、積極的なとりくみ参加を行う。
5.道交法闘争を発展させるため、ひきつづきとりくみ強化をはかる。
6.自交共済第20回総会の決定をふまえ、自交共済及び自交共済年金への加入促進運動を行う。また、全労済の各種制度普及に努めるようにし、厚生文化行事は条件によって計画していく。
7.国際連帯活動については、国際労働運動の紹介に努め条件に応じて大衆的国際交流を検討していく。また、世界労連、運輸インターとの関係などについては全労連の対応などを勘案しながら適切に対応していく。
(2) 政党との関係について
労働組合と政党との関係、選挙対策等については、@自民党政治の反労働者・反国民的政策に反対してたたかうとともに、自交労働者の生活と権利、平和と民主主義を守ってたたかう政党と協力・共同の関係を保っていく、A前項の立場に立って、組合員の政治意識を高める活動を行う、B組合員の政党支持・政治活動の自由を保障していく。また資本や警察からの妨害・弾圧には、労働組合の立場から政治活動の自由を保障する見地でたたかう、C政党別選挙に際しては、特定政党・特定候補の支持は行わない。ただし、労働組合の要求実現との関わりで政策協定を結んだ革新統一候補については、労働組合として積極的に支持していく――の4原則をふまえ対応していく。
1.執行体制と顧問の委嘱について
(1) 機関会議開催の計画と本部専従体制
● 機関会議開催の計画
中央執行委員会は、大会及び中央委員会時の開催を含め年5回とする。また中央執行委員会は全地方による構成ではないため、「地方代表者会議」を適宜開催し、地方の幹部・活動家育成に役立たせる相互の経験交流や学習、個別問題での相談などを重視した運営にしていく。
常任中央執行委員会は年5回開催していく他、必要に応じて専門討議を行う。中央委員会は1月に開催し、2002年春闘方針を決定する。
この他、自教部会は定例的に開催することを基本に部会運営の充実によって産業別指導体制を強化していく。また、必要に応じ観光バス・トラック交流会を計画する。
● 本部専従体制について
総連本部の専従役員は、書記長及び書記次長1名、専従中央執行委員2名(ただし1名は全労連派遣)の4名、書記については3名とする。
(2) 顧問の委嘱
顧問弁護団は、東京法律事務所、馬車道法律事務所、代々木総合法律事務所、江東総合法律事務所の4事務所とし、ひきつづき協力を要請。また、公認会計監査については、坂根公認会計士に委嘱する。
2.財政の確立と2001年度予算(案)
(1) 2001年度予算(案)の編成にあたって
予算編成の前提として、(1)「赤字予算は組まない」を堅持し、ひきつづき一般財政の安定化をはかる、(2)登録率80%以上を目標に、それぞれの地連(本)は地方財政確立の課題とあわせ、独自の是正目標を策定のうえ、改善を行う、(3)一般財政の効率的運用に努力するとともに、組織拡大を同時に追求し財政的にも寄与できるよう努めていく−などふまえ必要な財源措置をはかる。
「臨時徴収金」については、長期争議組合支援や未組織対策、大型宣伝カー積立、全労連会館単産特別賦課金として配分、拠出していく。
(2) 各地連(本)の財政基盤の確立
労働組合の日常活動の基本は、「組織」、「教育宣伝」そして「財政」の3つであるが、案外軽視されがちなのが、財政活動である。財政活動は、組合を運営し、日常的な活動を支えるうえで欠かせないものであり、改めて財政基盤の確立を単組(支部)、地連(本)のすべての段階で強化していくことが求められている。このため、すべての地連(本)は財政的基盤の点検と計画的改善をはかるようにし、また不団結や組織力の低下を招くことになる不明瞭な財政支出や「使い込み」などをチェックする機能を確立するようにしていく。
自 交 総 連
|