自交労働者No.620、2004年3月15日

3・4中央行動

国交省前抗議の座り込み

2000人が請願行動

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3・4中央行動で国交省に請願を行うために集った1000人の仲間と1000台のタクシー。このもようはマスコミでも報じられた=10時

 無謀な増車・運賃値下げで、安心・安全・くらしの破壊 政府・国交省はタクシー規制緩和失敗の責任をとれ!――自交総連は3月4日、「3・4中央行動」を実施しました。関東ブロックを中心に、各地方ブロックからの代表派遣を加え宣伝行動、国交省前座り込み行動、請願行動を行い2000人が参加しました。また午後からは代表が省庁交渉も行いました。

 「3・4中央行動」に先立ち、3月3日、台東区民会館で全国のブロック代表参加による「規制緩和実態交流会議」が行われ、各地の規制緩和による弊害を交流しました。
 4日は、朝から東京の主要駅頭4か所と霞ヶ関周辺でビラ1万枚を配布し市民に規制緩和の弊害を訴えました。10時からの国交省前での座り込みと請願行動には1000人と車両1000台が参加しました。

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東京駅前で市民にビラを配り、規制緩和の失敗を訴える仲間=9時

 駅頭宣伝でビラを受け取った大学生は「タクシーがこんな状態だとは全然知りませんでした。運賃競争で利用者の安全が損なわれるような政策ならいますぐに変えてほしい」、また宣伝行動に参加した国際交通労組の松浦美千代さんと相原真恵さんは「安易にタクシーの数を増やしたのは無責任すぎる。結局私たちのことはなんにもわからないからこんな政策しか考えられない」と話しています。
 座り込みに参加した山形地連・渋谷光義(50)さんは「国交省にはタクシーで生活できるような政策を作ってもらいたい」、宮城・仙都タクシー労組栗山清光(53)さんは「規制緩和はもちろん反対だが、無許可営業を29年間も見落とすような行政ならもういらない」、埼玉・県南交通労組渡辺好雄(55)さんは「いつも労働者に負担を転嫁するような政策はもうたくさん」、東京・日本交通労組福井達也(36)さんは「稼動していない車がある会社にはしっかりと監査をして欲しい」、神奈川・ひまわり交通労組多喜武三(35)さんは「タクシー運転免許制度で社会的地位を確立し、胸をはれる仕事になるような政策を望んでいる」、京都・京聯労組益日莞爾(63)さんは「京都では街にタクシーが溢れかえっている。こういう現状を生み出すことになった規制緩和の失敗は明らか。運賃競争は集団自殺行為だ」など怒りの声をあげていました。

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国交省前で仲間に要請書を手渡す車両請願部隊=11時国交省前で座り込みを行い規制緩和の弊害を訴える仲間=10時



省庁交渉

規制緩和の現状を厳しく追及

規制緩和失敗の現状を認めろ

国交省「すべてが良いとは思わない」

 国交省交渉には、領家委員長ほか49人の代表団で臨み、丸2年の規制緩和を通じて明かになった失敗の責任追及と、4つの請願事項にもとづく明確な回答を求めました。
 応対した自動車交通局旅客課・多門勝良課長補佐他5人は、組合側の「『規制緩和でタクシー事業は活性化する。労働者・利用者にとっても利益につながる』『問題が起こるとしても緊急調整措置や運賃の認可制維持、事後チェック制の徹底で大丈夫』とした主張はことごとく、破綻しているではないか」との追及に対し、「1〜2年で評価できるものではない。もう少し時間をかけ、どういう効果があったのか見極める必要がある。すべて良いとは思っていないが…」などと述べ、失敗の現状を認めようとはしませんでした。
 また、根本的な解決策であるタクシー運転免許の法制化については、「運転者の資質向上は、安心・安全にとって必要なもの」とした上で、「必要かどうか、慎重に検討すべきと考えている」と回答。この他、日雇い・アルバイトや名義貸しの一掃、過労防止にかかわる実態調査の実施、運賃値下げへの歯止め措置、悪質事業者対策などについては、「法令違反があれば厳正に対処」「監査をやって違法行為があれば、関係行政機関と連携して厳正に対処」などと回答しました。



防犯対策の義務化を

警察庁 「各団体から意見聞く」

 3月4日、警察庁への申し入れ・交渉は高松副委員長ほか4人で行いました。
 今回は、駐車違反や交通事故対策に関しては、11月に申し入れていたため、文書提出のみとなり、タクシー強盗に関する防犯対策のみに絞られました。
 警察庁が、策定中の「タクシー強盗防犯対策」の基準づくりに際し義務化を、新人・女性乗務員への防犯実地訓練、防犯仕切り板の100%設置を、今後も防犯対策の会議には運転者の代表参加をなどの要請に対し、警察庁生活安全局生活安全企画課高橋課長補佐はコンビニや銀行強盗も同様、強制力をもたせる基準案にはならない。自主的に業界がとりくんでいただきたい。第2回の防犯対策会議以降、各団体からご意見をいただき、第3回を年度内に開きたいと考えています。その後は運用面で詳細を示したい。具体的な設備面については、GPSと連動した緊急通報装置や、スモークスプレー、防犯仕切り板を助手席側にも、お金はできるだけ少なくもつこと。乗務員の訓練に経営者の訓練・指導も視野に入れ、ハード・ソフト両面からの基準としたいと答えました。
 ニセ札対策については、同課で対応することになると答えましたが、時間がなく要請のみとなりました。



運賃競争回避で共同を

全乗連「協力できることは協力したい」

 全乗連には3月8日に「タクシーの危機打開に向けた協力・共同の要請」を申し入れました。領家委員長、高松副委員長、今村書記長ら7人が参加、全乗連から川村労務委員長、三浦経営委員長ら6人が対応しました。
 要請は、規制緩和後の危機的な状況は、タクシー事業の将来そのものをも危うくするものと指摘し、規制緩和見直し、増車・運賃競争の自制、年金改悪反対などでの共同を求めたものです。
 川村労務委員長は、需給調整と運賃がタクシーの基本だが、それがゆらいでいる。規制緩和されて2年たつが、いいところは全然ない。刻一刻と事態は深刻になっている。何とかしなければならない。労使が真剣に話し合って解決しなければならない時期だと思っている――との認識を明らかにしました。
 三浦経営委員長も、運賃競争は回避しなければならない。(東京無線の)割引は競争の引き金になりかねないということで凍結になった。東京では、ある程度(事業者も)自制していると思う。経営側が(規制緩和見直しを)言うと、もうけのためだといわれて世間で理解されないこともあるので、みなさん方がどんどん言ってほしい。協力できることは協力したい――と述べました。
 その他、福祉・介護タクシーの充実などについて、自治体からの助成の充実、厚労省と国交省の協議によるボランティア輸送の規制緩和などについて、意見を交換しました。



悪化する労働条件を認識しろ

厚労省「事態は真摯に受け止める」

 厚労省交渉には高松委員長ら9人が参加、省側から労基局監督課子安係長ら6人が対応しました。
 「ハイタクは重点業種として適切な監督・是正をはかっている」といういつも同じの一般的な回答に、組合側が、規制緩和後2年で労働条件が急速に悪化、事故や自殺も相次ぐ異常事態だと認識してほしいとつよく要請した結果、「規制緩和が労働条件の悪化に結びつくことについては危惧している。(ひどい)実態については真摯に受け止めたい」と答えました。
 具体策については、◇累進歩合は監督時に見つければ是正指導している。通達で示している累進歩合の解釈は変えておらず、(省内でも)折に触れて適切に推進するように徹底している◇最低賃金違反は、ともかく賃金支払いの時点で最低賃金を割っていれば違法。改善を指導する◇法違反などでとくに悪質なものがあれば刑事処分、書類送検手続きをとる――としました。
 労働者の健康問題については、全国的な道路旅客運送業の有所見率は63・7%、全労働者平均は46・7%で、たしかにタクシーは高いとしながらも、他にもっと高い業種もあるなどとして、通達を出して指導を徹底することには難色を示しましたが、労働安全衛生法等の遵守の徹底をはかると答えました。



第1回中闘

要求提出、全職場で

4・15に2時間以上のスト

 自交総連は3月3日、第1回中央闘争委員会をひらき、春闘の当面する対策について検討、全職場で必ず要求を出し切り、1職場1重点要求の獲得や4・15年金ストの成功に全力をあげることなどを決めました。
 春闘の当面する対策は次のとおりです。
 (1)3・4中央行動(自教3・8)の成功をめざす。
 (2)すべての組合が要求を提出し、1職場1重点要求の設定と獲得への徹底追及。
 (3)増車・運賃値下げ競争に歯止めをかけるため、経営者にも申し入れる。
 (4)最低賃金一掃や日雇い・アルバイト乗務員の根絶など底上げ闘争を重視、運輸・労働行政の責任を追及。警察や自治体にも申し入れる。
 (5)4・15年金ストライキの規模は2時間以上とし、全員参加で結集する。経営者の協力・共同を追求する。交運関係労組と共同で自動車パレード、決起集会など多様な形態でとりくむ。
 (6)「働くルール」と「年金」の二つの署名に重点的にとりくむ。
 (7)悪政の打破をめざし、年金改悪反対、自衛隊イラク派兵反対の闘いに結集する。
 (8)3〜5月を組織拡大月間とし、700人増の2万5000人の達成をめざし、対話・宣伝・職場訪問などに集中してとりくむ。空白県対策やブロック内共同による組織化のための行動を強化する。



組織拡大の成果と問題点討議

中国ブロック定期総会

主要駅頭で宣伝行動も実施

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広島駅前でビラをまき対話をする広島地本中谷委員長=2月11日
 【山口】中国ブロックは2月9、10日、下関市で第1回定期総会と学習会をひらきました。
 総会は、ブロック内の組織拡大宣伝行動の日程と新役員の選出を行い、学習会では、山口県学習協会長の講演と、「私と自交総連」と題した討論を全員発言で行い、2日目は本部久賀書記次長の講義と、組織拡大の成果と問題点についての討論。全員参加の春闘を確認しました。
 午後から翌日にかけ、下関駅を皮切りに山口・広島県内の主要駅頭で宣伝行動を行い、ビラ500枚を配りました。
 5000円以上3割引きのステッカーを貼った労働者に、割引いた分は全部運転手持ちと聞かされ、黙っていないで自交総連と共に闘おうと呼びかけました。


千葉地本

あぶれにも最賃保障を

空港タク問題で当局に申告

 【千葉】千葉地本は成田空港のタクシー乗務員が最低賃金を下回っている問題で2月24日に県労働局、3月4日に運輸支局に申し入れを行いました。
 成田空港でのタクシー労働は規制緩和以降、料金安売りの定額料金により、売上は低下し、労働者の賃金は最低賃金を下回る事態を招いています。タクシー乗り場の順番を抽選で決め長時間待機をしてもあぶれてしまい、保障もなくただ働きをするという問題も起きています。
 千葉地本ではこのような事態を踏まえ、?最低賃金を下回る部分の保障、?保障についてはこのような事態が生じはじめた2年前にさかのぼること、?あぶれについても最低賃金の保障は当然であり全社を調査して保障すること。また、当然あぶれは開港当時からであることから保障についてはさかのぼること?この状態のなか労働者が亡くなっていることにも注目すること(要旨)――の4つについて申し入れを行いました。



自 交 総 連