自交労働者No.627、2004年7月1日

最低限度の生活さえ営めない賃金

 タクシー労働者の年収は、前年より2万円下がって276万円になり、91年以来の最低をまた更新しました。年間労働時間は増えて2486時間、1時間当たりの賃金は1110円です(厚労省「賃金センサス」)。
 地方ごとにみると、年収の最低は沖縄の190万円、以下徳島215万円、佐賀216万円、秋田217万円と続きます。労働時間では、奈良2976時間、鹿児島2904時間が長くなっています。時間当たり賃金では、鹿児島が793円で最低でした。
 鹿児島市の生活保護基準額(4人家族)は、年間296万円ほどです。年収230万円のタクシー労働者は、生活保護の理念である「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)さえ営めないということになります。大部分の地方が同様で、タクシーの年収が生活保護基準を上回るのは東京など数県のみです。このままではタクシーの安全と安心は守れません。

グラフ
表




収入水準の向上へ何をしたのか

共産党議員質問主意書 政府の責任を問う

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国会に提出されたタクシー事業の改善などに関する質問主意書=6月15日
 「政府はこの間、タクシー労働者の収入水準の向上のために、どのような方策をとってきたのか」――日本共産党の7人の参議院議員は連名で6月15日、タクシー事業の現状改善等に関する質問主意書を提出しました。
 質問主意書は、規制緩和による弊害の是正と改善方策について聞き、昨年の政府答弁書が「労働条件の向上を図ることは重要な課題」といいながら、実際は一段と低下していることの認識を問うのをはじめ、事故増加、監査体制の不備、緊急調整措置・運賃認可の見直し、第一交通問題などについて政府の見解を質しています。
 【提出議員】
富樫 錬三(埼 玉)
大沢たつみ(兵 庫)
大門みきし(比 例)
はたの君枝(神奈川)
西山とき子(京 都)
八田ひろ子(愛 知)
宮本たけし(大 阪)




東北ブロック宣伝行動

月の給与は6〜15万円

福島でも状態悪化が深刻

 【宮城】自交総連東北ブロック協議会は6月14日、秋田市、盛岡市、北上市に続き、福島・郡山市といわき市で未組織宣伝行動を行い、宮城4人、山形2人、福島から東北ブロック協議会の小山副議長・沼倉事務局長を始め7人が参加しました。
 宣伝カーからの訴え、アンケート調査を行い、市民、未組織、未加盟の労働者へ規制緩和によるタクシー労働者と家族の暮らしや生活、命までも脅かされている実態を訴えました。
 郡山駅前といわき駅前での聞き取りでは各社とも賃金体系はほとんどがオール歩合で、月の給与を聞くと、はずかしくて話せないようでしたが、調査の統計では6万〜15万円でした。
 また、タクシーの台数は、どちらも異常に多いと答え、代行車も多く、なんとかしてほしいとの声も聞かれました。 (渡辺敏春)




再規制求め奮闘しよう

関東ブロック第26回総会 6地方23人が参加

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次年度の具体的な戦術などを確認した第26回総会=6月23日、東京・入谷区民館
 【東京】自交総連関東ブロック協議会は6月23日、東京・入谷区民館で第26回総会をひらき、6地方23人が参加しました。
 主催者あいさつにたった高松議長は、規制緩和によりタクシーが全国で1万台増加し、運賃値下げや増車による営収低下で、長時間労働を余儀なくされている実態や、ハイタク業界を荒廃に追いこむ「相対運賃」の導入や経営者の中に自由競争を推進するものと再規制を求める2極化現象が現れていることについて触れ、最後に再規制を求めて政治運動と結合し、タクシードライバー法案の実現にむけ、奮闘しようと呼びかけました。
 03年度総括と次年度運動方針案を提案した鈴木事務局長は、未組織宣伝行動、幹部学校、教宣学校の総括案を提案するとともに、組織の強化拡大を柱とした次年度方針を提起。総会では、次年度の具体的な戦術を全員で確認し終了しました。



大阪地連

乗務員の生の声を調査

労働実態アンケートを実施

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アンケートを乗務員に手渡す組合員=6月17日、大阪駅前
 【大阪】大阪地連は6月17日、新大阪駅、大阪駅で日本共産党の宮本たけし参院議員同行のもとタクシー労働実態アンケートを行いました。
 新大阪駅前では林書記長がタクシー乗務員にアンケートの協力を訴え、行動参加の組合員がアンケート用紙とビラを手にタクシープールで手渡しました。
 調査が進むなか、岡田副委員長は「国交省や近運局は交渉でも『規制緩和はまだ実験段階』『水揚げは私どもの関知するところではない』などとのべています」と行政の態度を批判。また、権田委員長は「長時間労働が業界に蔓延し、その結果、事故が増大。大阪は全国ワースト1です。さらに、賃金は最低賃金にも届かない状況が生まれています。その上、小泉政権によって年金改悪が強行採決されました。生活を守るため政治を変えましょう」と訴えました。




総務省

事故防止に改善勧告

相互通報など徹底を

 総務省は5月26日、自動車運送事業の事故防止対策に関する「行政評価・監視結果」に基づく勧告を国交省・厚労省に出しました。

解説:この勧告は自動車運送事業における安全を確保し、事故防止の徹底を図る観点から、運輸局・労働局の指導・監督の実施状況を調査した結果、死亡事故を起こした事業者に対する特別監査を実施していない、相互通報を受けたのに監査・監督をしていないなどの事例が判明したとして、(1)同一事業者における同一原因事故防止の指導(2)運行管理及び車両整備管理の徹底等(3)地方運輸局等と労働局との相互通報に基づく措置の徹底――を勧告しました。
 両省では半年後までに、勧告内容にあった制度改善などを報告するとしています。
 しかし、本年4月の大阪・バス部会による運輸支局交渉でも相互通報制度が機能していないことが明らかになるなど、今回の勧告で、事業者、行政がどこまで改善するのか今後の動向を注目する必要があります。

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2種免義務化がスタート

運転代行業

無免許運転で13人摘発

 6月1日より、運転代行業運転者の2種免許義務付けがスタートしました。道路交通法の無免許運転違反による摘発件数は、全国で13件13人(6月13日現在)となっています。
 運転代行業法は01年に成立し、約3年の猶予期間を経て施行。警察庁はこれまで、運転代行業者に対し2種免許の計画的取得や、指定教習所での教習・技能検定制度の導入など、2種免の取得を指導してきました。しかし04年3月末現在の取得率は約25%にとどまっており、今後の違反件数の増加が懸念されています。
 今回摘発を受けた千葉では、逮捕者3人のうち2人が同一代行業者。また、福井では、市内での飲酒検問の実施により違反が発覚、これにより他の2人も2種免なしで代行業務を行っていたことがわかり、従業員3人を書類送検。また、同業者の刑が確定しだい、県公安委員会が認定を取り消すことにしています。
 警察庁では今後、飲酒検問などで代行運転自動車に対する2種免許の確認を徹底し、違反行為には摘発などの措置を講じ、厳正に対処するよう各県警に指導しています。




65歳まで雇用を義務づけ

高齢者雇用安定法改正

定年延長か継続雇用制度

 高齢者雇用安定法の改正が6月5日の参議院本会議で成立しました。改正法は、厚生年金の支給開始年齢が引き上げられるのに合わせて、65歳までの継続雇用を事業主(会社)に義務づけるものです。
 事業主は今後、(1)65歳までの定年の引き上げ、(2)定年後もひきつづき雇用する継続雇用制度の導入、(3)定年の廃止――のいずれかを実施することが義務づけられます。ただし、罰則規定はなく、違反事業主に対して、助言・指導、勧告が行われるとされています。
 定年延長については、段階的に引き上げる特例期間が設けられています(表参照)。
 継続雇用制度については、労使協定で継続雇用制度の対象者の基準等を定めることとなっていますが、法施行後3年(大企業)〜5年(中小企業)の猶予期間中は、労使協定がまとまらない場合に事業主が就業規則に基準を定めただけでも認められます。



 新加盟のなかま (694)民主的運動めざし結成

 東京・自交総連盈進労組

 【東京】東京都大田区にある盈進自動車で働く仲間は6月14日、自交総連盈進労働組合(小野宏二委員長)を結成、自交総連に加盟しました。
 東京地連には以前盈進自動車労組が加盟していましたが、4月に脱退したことから、産別を重視する仲間が民主的な運動をめざし結成することになりました。
 6月16日には会社社長と対角線交渉を行い、組織として認めさせています。




自 交 総 連