自交労働者No.628、2004年7月15日

 自交総連は7月7〜8日、自交共済事務所で第7回常任中央執行委員会をひらき、新年度運動方針案などを論議しました。

 春闘の総括では、現行賃金体系プラス何らかの原資を引き出して解決した点を評価し、まったくたたかわない組合が増えているなかで、要求を掲げてたたかうという労働組合本来の役割を果たした自交総連の運動が評価されました。

 方針案では、規制緩和の弊害で生活破壊が進行、超低賃金の異常事態となっている状況が各地から報告され、タクシーはまともに生活できる職業ではなくなるという危機感が出されました。打開にむけて、他産別や事業者も含めた共同闘争の必要性や政策闘争、地方政策の実現など、需給調整の再規制なども含めたとりくみが必要だとの意見が出され、タクシー免許実現大運動も提起されました。

 組織拡大では、3か年計画にもとづき、1年目の目標達成(2万5000人)に全力をあげ、2年目の目標へつなげていくことにしました。

 第27回定期大会については、10月12〜14日に北海道札幌・定山渓ビューホテルで開くことを確認しました(参加費一人2泊5食2万5000円)。



運賃規制、附帯決議ふまえ検討
質問主意書に政府答弁

第一交通への処分数は26件に

 日本共産党の富樫錬三参議院議員ら7人の議員が提出していた質問主意書に対し7月6日、小泉総理大臣名での政府答弁書が返ってきました。

 答弁では、交通事故増加など重要問題での政府の責任を回避しつつも、労働者の労働条件向上の必要性や、第一交通グループへの行政処分の実態などを明らかにしています。

 運転者の賃金については、「全労働者の平均…と比較して低い水準にとどまっていると承知している」としたうえで、労基署が監督指導した全国の462事業場中45事業場(9・7%)で最賃法違反があったことを明らかにし、「労働条件の向上を図ることは重要な課題」としています。

 タクシー事故の急増については責任回避の答弁ですが、事業者に対する「監査指導体制の強化を図っている」としています。

 これらの答弁を活用して、支局交渉などで、政府方針にもとづいた、監査指導のいっそうの強化を求めていくことができます。

 「規制改革・民間開放推進3か年計画」にもとづいた規制緩和をするなとの質問では、「ご指摘の附帯決議の内容の趣旨や改正道路運送法の施行の状況をふまえ、検討してまいりたい」としており、附帯決議をふまえることを確認したことは、今後の歯止めに役立ちます。

 供給過剰による客待ち問題については、規制緩和との関係は「不明」と無責任な答ですが、一方では「必要な対策を推進してまいりたい」としており、事態の深刻化は認めざるを得ませんでした。

 第一交通グループの無法については、「厳正な行政処分」を行うとし、同グループへの行政処分は、昨年13件だったのがその後も増えて今回は26件になっていることが明らかになりました。



健康に起因する事故件数

規制緩和前に比べ急増

国土交通省

 国土交通省は、自動車運転者の健康状態に起因する事故等の発生状況をとりまとめました。タクシーの事故は、前年より3件増えて20件となり、規制緩和前の01年と比べると急増していることがわかります。

 過去11年間のデータを見ると、バス・トラックも含めた251件のうち、脳出血など脳血管疾患が81件、心筋梗塞など心臓疾患が78件とそれぞれ3分の1を占めています。深夜を含む不規則労働の場合は、脳や心臓の重大疾患が他の職種よりも多いことが指摘されていますが、規制緩和の前後で大きな違いを見せていることから、規制緩和が拍車をかけていることがうかがえます。

 運転中の脳出血などは、乗客や他車、歩行者をも巻き込んだ重大事故につながります。命を削ってでも走らなければならないほど運転者を追いつめている規制緩和の危険性がまた明確になりました。



局は積極的調査を行え

大阪地連 30人で近運局の責任追及

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タクシー労働者の現状打開を強く要請する大阪地連の代表=6月30日、近畿運輸局内
 【大阪】大阪地連は6月30日、近畿運輸局と交渉を行い、30人が参加し、タクシー労働者が置かれている劣悪な実態を申告するとともに現状打開を強く求め行政責任を追及しました。

 局からは奥旅客第2課長他5人が出席し、対応した奥旅客第2課長は、「運賃の申請・設定は業者の経営判断によるもので、行政が指導、誘導するものではない。また、表彰については、数千件におよぶ膨大な運賃申請があり、日夜、審査に明け暮れ、その努力に対し、労をねぎらう意味で部長の個人的な意志でのものであり、国土交通省表彰制度に基づくものではなく、金一封についても部長のポケットマネーである。低運賃認可による労働への影響は、事後チェック体制の強化と覚書に基づく相互通報制度で行う」などと回答しました。

 参加者からは「局は、長時間労働の実態、タクシー労働者の実態を情報提供や告発を待つのみでなくもっと積極的に調査すべきだ。あまりにも知らなさすぎるのではないか」と行政姿勢にいらだちをぶつけました。

 また、稼働率が悪いのに増車申請が認められ、実態を考えれば減車指導すべきではないかと質すと、局は「車庫さえあれば認めざるを得ない。事後チェックで乗務員の充足率などを調査している。あくまでも車両の増減は経営者の判断で届出による」などと法をタテに問答を繰り返すため、引きつづき追及していくことを告げ交渉を終えました。



埼玉地連

新たに女性部準備会を結成

第24回中央委員会ひらく

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第24回中央委員会で団結がんばろうを行う埼玉地連の仲間=6月29日、埼玉・川越勤労福祉センター
 【埼玉】埼玉地連第24回中央委員会が6月29日、川越勤福センターで開かれました。

 参議院選の最終盤にもかかわらず、共産党の富樫錬三議員が激励にかけつけ、政府に7名連名で提出した質問主意書でのタクシー規制緩和後の責任追及に対し、5日に閣議決定し、答弁書が送られてくる、大いに活用してほしいと訴えました。

 新たに八千代交通労組、鶴瀬交通労組の加盟が当該労組の大会で決定されることを条件に承認されました。

 また、新たに女性部(56人)の準備会が結成され、代表の谷口さん(飛鳥)、松本さん(ダイヤモンド)の2人が決意を述べました。お客さんに首をしめられ殺されるかと思ったとの恐怖感や、女性専用のトイレがほしいなどのアンケート結果を紹介しながら、女性が安心して働ける地位を確立するための努力をしたいと述べると、大きな拍手に歓迎されました。



奈良・三笠運輸

親身な対話で組織拡大

過半数組合めざし奮闘

 【奈良】三笠運輸分会の組合員数は昨年9月に比べ、今年6月、54%増の20人になりました。

 三笠運輸分会は9年前にわずか3人で立ち上げた組合。この間会社からは「自交総連に加入したら解雇だ」などと御用組合と一体になった攻撃をされましたが、今年に入ってから5回も集会を行い、トラック業界「独特の」問題から、第二組合対策など、労働組合らしい討論を行い、2月に新加入2人を実現。6月には新たに4人が加入しました。

 三笠運輸分会では今年の拡大計画を過半数である28人を目標に、がんばっています。

 今回の組織拡大の「秘訣」について、分会の三役は、口を揃えて、親身になって「対話」することだといいます。分会では、土曜日の半分以上を返上して、組合活動に充てていますが、楽しく活動する工夫や努力も欠かせないようです。



京 都

最賃引き上げ求めデモ、請願

6・17行動に120人参加

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昼デモを行う京都地連の仲間=6月17日、京都市内
 【京都】京都では6月17日、2年続けて凍結されている最低賃金(京都=677円)の引き上げを求めて、昼デモと労働局への請願行動が行われ、全体で120人が集まり、京都地連からは8人の仲間が参加しました。

 ハイタク分野では、あちこちで最低賃金に抵触する事案が生まれ、生活保護水準を大幅に下回る低賃金の中、最低賃金が最後の砦となっているいま、この引き上げが求められています。

 行動では、京都総評の大平議長を先頭に組合員が各労組で集めた請願用紙をひとこと訴えながら、職員に渡しました。



ハイタク労組組織率は42%

全 乗 連

組合がある職場は3割弱

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 ハイタク労組の組織率は42%に低下――全国乗用自動車連合会(全乗連)が行っている労組組織実態調査により03年の全国のハイタク労組の組織率が前回調査に比べ、2・8ポイント低下の42・1%であることがわかりました。

 この調査は全乗連が労働組合の組織状況を把握するために、傘下事業者を対象に隔年で実施しているもので、昨年10月末現在の調査では、組合員数は全国で16万5972人と前回調査から6000人減少。組織率は42・1%、2・8ポイントの低下となり、組合がある事業者数も1896社と60社減少。結成率は29・5%で初めて30%を割り込みました。

 また、今回の調査で、未組織労働者の割合が57・9%と半数以上の労働者が未組織職場であることもわかりました。



この成果を全国に


財務資料の公開拒否は不当

北海道地労委 賃下げ前の賃金を払え

北海道・函館金星自動車労組

 【北海道】函館金星自動車労働組合は4月23日、北海道地労委で、組合員が一人だとして団交を拒否し、大幅賃下げを強行した会社に対し、誠実団交の実施と賃下げ前の計算での賃金支払いを命じる決定をかちとりました。
 金星函館ハイヤーでは、99年頃から賃下げの提案があり、その都度交渉ではね返してきましたが、02年7月、会社は第二組合と協定を結び、その後財務資料の公開要求を拒否し、月4万円もの賃下げを強行してきました。また、太刀川(たちかわ)組合員が定年退職し、会社の従業員である組合員が山本さん一人になり、一人では労働組合ではないとして団交も拒否していました。
 今回の命令では、太刀川組合員が退職後も組合に残っていることや、一人であることを強調して組合の当事者性を否認したことは不当労働行為にあたるとして、(1)誠実な団交の実施(2)団交実施までの新賃金と旧賃金の差額の支払い(3)謝罪文の掲示を会社に命じています。



この成果を全国に


会社との団交で全面和解

中労委申し立て取り下げる

大阪・中央交通労組(バス)

 【大阪】中央交通労働組合は6月21日、会社と団体交渉を行い、7年間にわたる労使紛争が全面和解しました。
 このたたかいは、会社が97年度の春闘で「合理化」案を強引に押しつけ、撤回を求め交渉しましたが、まったく聞き入れようとせず、組合員全員が立ち上がり、地労委に救済の申立を行い、その後組合主張を一部認める命令が下されましたが、会社、組合双方が不服として中央労働委員会に再審査を申立ていました。
 しかし、「企業間競争が激化している中では争い事をしている場合ではなく、紛争は労使間に良い結果をもたらさない」と双方が判断した結果、今回の全面和解となりました。
 和解協定では(1)公正な職場環境をつくる。正常な労使関係を構築していく。雇用に関する経営改善などは、組合と可能な限り誠実に協議する(2)中央労働委員会への申し立ては双方取り下げる(3)6月末までに解決金を支払うなどとなっています。




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