自交労働者No.629、2004年8月1日 |
国交省交渉増車でも監査しろ「入る基準はない」大阪地連 |
大阪地連は7月20日、茨木高槻交通(株)が「下限割れ運賃」を申請したことに対し、国土交通省本省(東京・霞ヶ関)旅客課と午後1時から約1時間にわたって交渉を行い、省の見解をただしました。 交渉には、本部の久賀書記次長をはじめ権田大阪地連委員長・林書記長、熊谷茨木交通労組委員長(地連副委員長)、酒井高槻交通労組委員長・上田書記長が参加し、国土交通省からは小宮山旅客課課長補佐と遠藤係長が対応しました。 交渉では、権田委員長が、大阪のタクシー状況や規制緩和の弊害について説明。「特に増車や多重割引運賃多様化による営業収入の落ち込み。それをカバーするための長時間過密労働の実態、それらが起因をしている交通事故の増大。また、北摂地域への三菱の進出やMKの進出の動きとあわせ、三菱による低運賃政策、これに対抗するため茨木高槻交通(株)が組合の同意を得ないまま下限割れ運賃を申請していると訴えました。 また、高槻交通労組からは、「会社がおこなった運賃変更申請は、下限割れ運賃であり、標準人件費が10%を超えて下回るものである。労使の合意が必要ではないか」と見解をただしました。 これに対し小宮山課長補佐は、「申請について労使の合意か、もしくは、過去に2年間に労働基準法に違反及び自動車運転者の労働時間等の改善基準が認定されていないかのいずれかでよい」と新しい見解を示しました。 また林書記長は、「申請は机上の計算で18%から37%の賃下げになる。このことは長時間過密労働を惹起(じゃっき)することになる。それはタクシーが「安心・安全」な乗り物ではなくなることを意味する」と訴えました。 さらに、茨木交通労組からは「増車した会社で車両がホコリをかぶったままになっている。増車した車両が動かなくてもいいのか、増車で監査に入ることはないのか」との質問に、遠藤係長は担当係ではないのでと断りながら、「増車で入る基準はない。近畿運輸局が独自で決めていれば別」と回答しました。 交渉は平行線をたどりましたが、最後に権田委員長から、「直ちに再規制は無理でも衆参での附帯決議の誠実な履行はできる」と附帯決議の履行を求め交渉を終えました。 |
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選挙結果
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しかし、選挙結果にあらわれた民意は、政治の転換を強く求めていることを反映していると思います。この到達度は、固定されたものではなく、選挙結果を受けた政治は、国民の求めているところとは違い、一層の矛盾と怒りを深め、質的転換をともなった新たなたたかいが広がる可能性があります。他方、こうした結果に止まらざるを得なかった大きな要因に、国民の真の力を結集しうるような労働組合運動の「存在価値」と力関係がはたらいていると思います。 新たな情勢のもとこれを推し進める社会的力は政権を揺さぶるような日本労働組合運動の再生――正社員・組織労働者対象の運動に矮小化することなく未組織・不安定雇用労働者の組織化を壮大な第一義的課題として、全労連、自交総連の組織の強化・拡大を旺盛に進め、産業・職場、地域における当面の諸要求実現と結びつけ、苦しさの根源である悪政転換につなげていくことが求められています。その一歩を職場・地域から着実に進めてまいりましょう。 |
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情勢は厳しい時こそがんばる
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54組合282人の参加のなか、領家委員長は「東京地連は歴史的に自交総連の運動の先頭に立ちがんばってきた。今後もこの運動を継承してがんばる」と主催者あいさつをしました。 基調講演を行なった今村書記長は「規制緩和は失敗だ。いまこそタクシー運転免許の法制化運動が重要」と語りました。 東京地連・鈴木書記長は「財界の攻撃を打ち破り、各単組の成果獲得を評価。今後『新たなタクシー像』にそった運動の追求と、組織の強化拡大に全力を」など、総括と運動方針の第1次案を提起。 討論は、12の会場に別れて分散会と2日目に全体討論を行い、「情勢は厳しい時こそ頑張る」決意を固めました。 |
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知識を身につけ日常活動に
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初日では、主催者あいさつにたった石垣議長が、規制緩和後の仙台市の増車率が全国一であることをとりあげ、共産党が国会に質問主意書として仙台のタクシーの実態をふまえ規制緩和の弊害の是正を追求するとともに一方では経営側のなかにも減車の流れが出始めていることを報告。また、今村本部書記長が「自交総連の25年の歩み」と題して講演を行いました。 2日目は、特別講演として「最賃法違反是正の闘いと賃率改善」について古川安全労組の横山さんが、「自主経営の取組みの到達」について秋保交通労組の近さんが行いました。 参加者からは、「困難なときこそ、多くを学ぶ」「組合員の意志統一は時間がかかる。情報を提供し、議論して決める」「労働者の権利は使わなければ意味がない」などの感想が寄せられました。 |
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運転代行
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6月1日より運転代行業の運転者への2種免許義務付けがスタートして1か月、全国で27人が道路交通法違反で摘発されたことが警察庁のまとめでわかりました。 同庁のまとめによると、6月の取り締まりでは、全国16府県で合計27人が摘発され、うち12人が逮捕されています。 逮捕者の中には下命・容認による運転代行事業者が4人含まれており、一部の代行事業者に対しては営業停止や認定取消し処分も出ています。 27人の内訳は無免許運転者が22人、事業者の下命・容認が4人、そのほか教唆・幇助が1人。逮捕者は運転者8人、事業者4人の計12人となっています。 全国16府県の摘発で最も多いのは福井4人、次いで千葉、秋田がそれぞれ3人。下命・容認による逮捕者は秋田、福島、長野、福井で各1人となっています。 |
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労基法違反は83%
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ハイタク事業場の労働関係法違反は83%、改善基準告示違反は56%――厚労省の03年の監督実施結果からわかりました。各地の労基署が自動車運転者を使用する事業場に監督に入った結果、判明した違反をまとめたもの。 トラック・バス・ハイタクとも7〜8割の事業場が法違反を犯し、なかでも半数以上が労働時間に違反しています。今年はバスの法違反が80%(前年74%)、改善基準違反が64%(同47%)と増えています。 監督を実施した事業場数は、前年よりかなり増えて全体で4047、ハイタクで462事業場でした。数年来、厚労省に監督数を増やすように申入れてきたことが一程度実ったといえますが、それでも89年にはハイタクだけで1000以上の事業場に入っていたのに比べればまだ少なくなっています。 違反率を見ても、監督に入りさえすれば、ほとんどの会社で違反が見つかるのが現実です。規制緩和で状態が悪化しているなか、いっそうの摘発体制の強化が求められます。 |
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労災認定タクシーも依然として突出 |
厚生労働省は6月、(1)過労死・障害などの労災認定状況と(2)労災動向調査の数を明らかにしました。 過労死・障害などは、01年12月の労災認定基準の緩和以降、大幅に増えていますが、なかでも運輸業は01年度の28件が02年度72件、03年度81件と急増し、業種別でも最も多くなっています。 労災動向調査は、業務上の交通事故などすべての労災についてまとめたもの。労災発生の頻度を表す度数率、労災の重さを表す強度率を示しています。 03年では観光バスの度数率が急増しており、規制緩和で不規則労働・長時間労働が強要されているバス労働者の健康・安全問題が深刻になっています。 タクシーは前年より減ったものの、他の職種と比べると依然として突出した水準になっています。 |
自 交 総 連 |