自交労働者No.636、2004年12月1日


自交総連

11・18中央行動

政府の責任で必要な規制を

2000人が怒りの抗議

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規制緩和の失敗を国交省に認めさせると同時に、タクシー運転免許の法制化などを求めて、2000人が参加した決起集会=9時30分、日比谷野音

 どうしてくれる 安心・安全、くらしの破壊 規制緩和は失敗!政府の責任で必要な規制を――自交総連は11月18日、交運共闘とともに規制緩和の実態を暴露する11・18中央行動を実施しました。関東ブロックの仲間が朝から霞ヶ関周辺での宣伝行動、その後日比谷野音での決起集会、国土交通省へ個人請願行動。また代表が各省交渉も行い、午後からは議員要請も行いました。

国交省は失敗を認めろ

 朝8時45分から交運共闘と共同で霞ヶ関周辺で宣伝行動を開始。宣伝カーから労働者の悲惨な実態を訴え、100人でビラ5000枚を配りました。

霞ヶ関周辺でビラを配る自交総連の仲間=8時45分
報告・まとめ集会であいさつをする穀田議員(共産)=14時、衆議院第2議員会館
国交省に請願を行う仲間=10時35分

 宣伝行動後、日比谷野外音楽堂では決起集会が行われ、交運共闘も含め2000人の仲間が参加しました。集会で杉山忠通議長は「交運労働者の労働環境は劣悪化し、利用者に対する輸送の安全確保などに与える悪影響は拡大するばかり。実効性ある新たな法規制を確立すべき」とあいさつ。また、各団体の決意表明では自交総連を代表して菊池書記次長が「乗務員の賃金が平均で地域最賃を下回る県が全国で4県もある。これが規制緩和の実態だ。怒りをもって国交省に訴えよう」と決意を述べました。

 その後、国交省に実効性ある新たな法的規制などを要請する請願書を一人ひとり手渡しました。

 個人請願行動が行われている中、代表による国交省、総務省交渉も行われました。

 午後からは、厚労省交渉と自交総連の独自行動として、タクシー運転免許の法制化など政策課題での議員要請行動を行い、最後に、報告・まとめ集会が行われ、一日の行動を終えました。

 今回初めて行動に参加した、東京・日本交通労組の山口真さん(26)は「これだけの仲間がいることにとても心強く思いました。国交省は一日も早く規制緩和をやめてほしい」と話しています。




国交省

実効性ある規制の確立を

「実態に耳を傾け努力したい

 国土交通省交渉には、交運共闘杉山議長、領家自交総連委員長ら22人が参加。「規制緩和政策をあらため、公共交通機関としての社会的役割を果たせる実効性ある新たな法的規制の確立」を中心とする要請を行いました。

 タクシー関係では、とくに、タクシー運転免許の法制化要求、法違反の一掃と悪質事業者対策の強化などを重視。省側の明解な回答を求めました。

 省側は、総合政策局政策課・加藤課長補佐ら関係局(海事・鉄道・自交・航空)から14人が参加。タクシー問題で応対した自交局旅客課・小宮山課長補佐は、「運転者の資質確保では、(運輸規則等)関係法令での定めがあり、新たに雇い入れた者への指導教育期間も5日が10日になった。東京・大阪では特別措置法で運転者の登録制度がある」とした上で、「このような制度によって質は保障し得る」と述べました。

 これに対し組合側はいっせいに反発。規制緩和後の労働者の実態を示しつつ、「実態把握が全くなされていない」「賃金など状態悪化やモラルの低下を防ぎ、安心・安全な輸送を担うには、新たな法規制が必要ではないか」と迫りました。

 政策課加藤課長補佐は、「小泉政権のもとで、その政策方針をふまえてやっている」としつつも、「関係者と相談しながら事業分野の実態・悩みにも耳を傾け(改善に)努力したい」と答えました。




総務省

規制改革政策を改めろ

「事業者の緩和が目的だ」

 交運共闘として「交通運輸事業に関わる規制改革『自由化』政策を改めること」を求めて、総務省交渉を実施しました。

 この交渉は、これまでの政府が行って来た規制緩和の政治が、総務省(前・総務庁)から出されており、今日の混乱した事態をまねいた責任を問うと共に、国土交通省や厚生労働省など、行政による指導監督体制を充実させることを目的に実施したものです。

 具体的な要求は「交通運輸の安全確保と環境保全、さらにその必須条件である労働条件改善と輸送秩序の確立に向けて速やかに改善措置を講じること」を軸にして、当面、事後チェック体制の強化をはじめ、公務員の定員削減計画の中止・撤回と国民・利用者への行政サービス向上のための国の行政要員を大幅に増やし、指導監督体制を充実強化するとともに、業務の遂行に必要な要員・予算を確保することでした。

 対応した行政管理局の永留世悟課長補佐は、規制緩和については、「各事業者の規制を緩和すること目的に行ってきた」と、これまでの行政を正当化する答弁を行い、「東京のタクシーも、深夜割り増しが1割下がり2割となった」と、まったく労働者の実態からの感情をさかなでする発言に終始しました。

 今後、交運共闘としてさらなる総務省への行動を強化しなければなりません。




厚労省

労働行政として責任ある指導を

「関係法規に沿って対応する」

 厚生労働省は「タクシーで導入されている刺激的な労働条件は速度違反や交通事故を誘発する背景となっているから、認められた場合は廃止するよう日頃から指導している」と回答。これは交運共闘の11・18中央行動における交渉でタクシーに関する要求に対する回答です。

 交渉は、トラックの貨物運賃の無理な発注条件が基準法違反の背景になっていることの是正、港湾労働者の24時間体制における労働条件問題、国鉄1047人の解雇問題の早期解決などの要求に合わせて、厳しさが極限状態となっているタクシー労働者の「最低賃金法違反の是正、累進歩合制度の廃止、不払い残業の根絶など法定労働条件の確保対策を」を求めたものです。

 対応した子安係長をはじめ7人の担当官は全ての要請に、労働基準法や改善基準に沿った基本的な回答に終始しました。

 しかし、組合側の交渉団は「回答が優等生すぎる。問題は、労働者へ無法な攻撃を繰り返している事業者に具体的に指導し、改善させることだ。同様の趣旨の要請を何度も繰り返してきたが、現場から改善された報告は全く受けていない」「累進歩合の進行はエスカレートするばかりだ」と反論。「このまま放置すれば、タクシーの安心・安全輸送が崩壊するばかりだ。労働行政として、責任を持って行政指導を」強く要求しました。




タクシー運転免許の法制化を

議員要請

「タク議連立ち上げ研究している」

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国会議員にタクシー運転免許の法制化を要請する自交総連の仲間=13時

 11・18中央行動では、タクシー運転免許実現大運動方針の第1次議員要請として、国会議員78人にタクシー運転免許の法制化を求める要請行動を行い38人が参加しました。

 対応した議員は「タクシー議連を立ち上げて研究している。大阪はひどい現状だ。淀川では一般車の進入を禁止するくらいの規制が必要」(民主・中川氏)や、議員が不在のため秘書が対応した場合でも「今すぐどうこうすることはできないが、放置もできない問題だ」(自民・江崎氏秘書)、「規制緩和はひどいものだ。生活保護基準以下ということについては質問主意書を作ったらどうか。来年の1月から次の国会が始まるので、衆議院用と参議院用の2つあるといい」(共産・山口氏秘書)などの対応を受けました。




第1回常執

05春闘方針案を討議

すべての組合で要求提出

 自交総連は11月11日、福岡・「ワーカーズコープタクシー福岡」会議室で、第1回常任中央執行委員会をひらき、当面する行動の意思統一と05春闘方針案の討議を行いました。

 当面する行動では、11・18中央行動に全力をあげるとともに、地方では、タクシー免許実現大運動の一環として労働局・署、運輸局・支局交渉や宣伝にとりくみ、11月15日から緊急アピールにもとづく労組・経営(団体)への共同の申し入れを実施することを確認しました。

 春闘方針案は、「みんなの要求 みんなで実現、共同の力で悪政打破」と位置付けた第1次案を討議。春闘開始50年にふさわしい、労働組合の最大の闘いの場として、すべての組合が要求を出して闘うこと、まともな雇用と働くルールの確立、企業の社会的責任を追及していくことなどを重点にとりくむことが論議されました。

 春闘方針を決める第27回中央委員会は、来年1月26、27日に東京・三省堂新宿ホールで行うことを確認、12月の中執で第2次案を討議します。




第一は組合つぶしをやめろ

11・12北九州行動

本社前で争議解決を要請

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第一交通本社前で要請行動を行う参加者=11月12日、福岡

 【大阪】自交総連は大阪地連と共催で11月12日、福岡・小倉区の堺町公園で、第一交通産業との争議の全面解決を目指す11・12北九州行動決起集会を行い250人が参加。第一交通産業本社前までデモ行進、同社前での要請行動を行い争議の解決を求めました。

 午前10時からの決起集会では、主催者を代表して領家委員長が「第一交通産業は、人間を大切にすることを標榜しているが、その本質は労働者イジメを行うなどまったく別のものである。黒土会長の全乗連大会での発言も、自らが天にツバするものである」とあいさつしました。

 その後、大阪地連の林書記長が「決議文」を読み上げ参加者で採択しました。

 デモ行進では「第一交通は法律を守れ」「組合つぶしをやめろ」とシュプレヒコールを連呼するデモ隊に車や市民が立ち止まり聞いていました。

 第一交通本社前では、代表団が要請書を手渡そうとしましたが、同社の管理職は受け取らず、どこからとなく「要請書を受け取れ」とシュプレヒコールが巻き起こり熱の帯びた行動でした。

 佐野南海労組の組合員らは、「今回の北九州行動も大成功に無事終えました。なかまの支援を肌で感じられて励みになり、本当にありがたく思います」と謝辞を寄せています。




積極的役割が大切

自主経営対策会議

6地方21人が参加

 自交総連は11月10、11日、福岡・「ワーカーズコープタクシー福岡」会議室で、自主経営対策会議をひらきました。

 会議には、自主経営を行っている山形(2社)、宮城、奈良、山口(3社)、福岡(2社)、大分(3社)の関係者を始め領家委員長、今村書記長など21人が参加。宮城(=秋保交通)、奈良(=北星交通)については、新しく立ち上げた自主経営会社として初の参加となりました。

 地方報告では、現在発生している経営上の困難を含め闘争全般における問題点などを出し合うとともに、その改善方向についてもみんなで討議し、理解を深めました。

 まとめでは、今村書記長が、今一度、原点・原則に立ち返ることの重要性や自交総連運動を支える自覚的勢力としての積極的役割を果たすことが大切であると指摘しました。




各地の大会

多くの仲間を加入させよう
和歌山第32回大会

 【和歌山】和歌山地連は11月14日、第32回定期大会を開催。
 仲委員長は、「規制緩和で労働者の権利を守らない会社がはびこる時代になり、組合がなければ経営者の言いなりにされてしまう、組織拡大にがんばろう」と訴えました。
 新年度方針では、個人加盟組織を生かし、一人でも多くの仲間を加入させようと意思統一しました。
 委員長=仲順久▽副委員長=佐野至則、寺村正夫▽書記長=杉本孝(いずれも再)

組合員の目線の政策闘争へ
福岡第42回大会

 【福岡】11月14日から2日間の日程で、福岡地連第42回定期大会が大分県日田市で開催されました。
 大会では「組織の拡大・強化なくして要求前進なし」「組合員の目線からの政策闘争へ」などを柱とする運動方針に旺盛な討論がされ、総括案、決算・予算案が圧倒的多数で採択され、次の役員を選出しました。
 委員長=坪井洋司(新)▽副委員長=田中健一(新)▽書記長=緒方満(再)▽書記次長=牧文夫(再)

組織拡大に向け新体制確立
大阪第59回大会

 【大阪】「自交総連結成の原点に立ち、 守ろう雇用・くらし・いのちと平和」をスローガンに大阪地連は、11月16〜17日の両日、池田市・不死王閣で第59回定期大会をひらきました。
 大会では全議案を原案通り承認。また、役員選出では、組織強化・拡大を最重要課題とした新体制を固めました。
 委員長=権田正良(再)▽副委員長=沢田茂(新)、岡田紀一郎(再)、堀川卓夫(再)、林克己(新)▽書記長=久保義雄(新)




運転中の携帯使用罰則

改正道交法が施行

 11月1日より改正道交法の一部が施行され、運転中の携帯電話使用による摘発は全国で6021件となっています。(11月3日、午後3時現在。警察庁調べ)

 今回の改正道交法の施行により、以前は事故を起こした場合のみ罰則の対象となっていた運転中の携帯電話の使用は、今後運転中に手で持って通話したり、メールの送受信などのために画面を注視した場合でも罰則として、反則金大型7000円、普通及び二輪6000円、原付5000円が科されることになり、基礎点数として1点も科されます。また一定期間に反則金を支払わないと起訴(交通反則通告制度)され、刑事裁判か家庭裁判所の審判を受け、刑の確定後5万円以下の罰金となります。ただし、警察庁の説明では、タクシー無線機の場合は運転中にマイクで通話しても問題ないとしています。

 飲酒検知拒否については、検知拒否に対する罰則を、現行の5万円以下の罰金から30万円以下の罰金に引き上げられました。体からアルコールが抜けるには約8時間はかかると言われていますので、出番前夜の飲酒は注意が必要です。

 その他として、レッカー移動した車両の売却までの期間の短縮(3か月↓1か月)、暴走族対策(集団暴走行為、騒音運転等及び消音器不備に対する罰則の見直し)も実施されています。

 なお自交総連の手帳では印刷の関係上、改正前の制度となっています。

交通反則通告制度
 運転者の違反が比較的軽いものは、一定期間内に郵便局か銀行に反則金を納めると、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けないで事件が処理される制度。



新加盟のなかま  (704)高知・安全ハイヤー労組

解雇撤回にむけ加盟

 【高知】高知県中村市にある安全ハイヤーで働く仲間は11月12日、安全ハイヤー労組(高森政彦委員長、2人)を結成、自交総連に加盟しました。

 年休の取得や営業車のガスボンベが期限切れのまま営業していることなどを当局に告発したことから今年7月に不当解雇され、解雇撤回をめざし加盟することになりました。

 正式加盟後、地位保全のための仮処分申請を高知地裁に出しました。



新加盟のなかま  (705)福島県自動車交通労組

組織強化めざし加盟

 【福島】相馬市にある福島県自動車交通労組(荒川光義委員長、31人)は11月3日、組合事務所で定期大会をひらき、自交総連加盟の議案を全員一致で採択。福島地連への加盟を決めました。

 同労組は昨年2月に開催された自交総連東北ブロック教宣学校の交流を機に情報交換していたもので、組織を強化し労働条件の維持改善と社会的地位向上のためには上部組織が必要として、今回加盟しました。



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