自交労働者No.639、2005年2月1日


題字

 第27回中央委員会

組織拡大で情勢の打開

規制緩和の失敗は明らか


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全組合が要求を提出して闘うことなど05春闘方針を決めた第27回中央委員会=1月26〜27日、東京・三省堂新宿ホール
 自交総連は1月26、27日、東京・三省堂新宿ホールで第27回中央委員会をひらき、2005年春闘方針を決めました。中央委員会では17人が発言、各地の厳しい労働実態やタクシー台数規制廃止に伴う弊害などを告発、情勢認識を深めました。決定した春闘方針では、全組合が春闘要求を提出すること、規制緩和の実態を暴露する闘いへ、3・4中央行動、組織拡大などにとりくむことにしました。

領家委員長のあいさつ

 2002年2月に規制緩和が実施され丸3年。この間、都市部を中心に約1万3000台の増車、運賃値下げ競争で、事業の活性化どころか疲弊化、秩序の確立でなく混乱を生み出し、タクシーの根幹である「安心・安全」が損なわれる危機に陥り、安全を支える基礎である労働条件も、大変厳しい状況に追い込まれています。

 自教労働者は、景気低迷や構造的な教習生の減少を背景に、料金値引き競争、人件費削減による雇用不安が広がり、観光バスも同じ厳しさにあります。

 他方、業界は、生き残りへの懸念や、これ以上の労働条件の悪化は「良質な労働力」の確保ができないことも含め、規制緩和は失敗だったと、再規制を求める声と、国会議員への働きかけなど新たな動きを強めています。

 国土交通省は「規制緩和を評価するには時期尚早であり、もっと利用者の声を聞くべきだ」としながらも、労働状況の実態調査を始め、また、「労働条件を改善するにはタクシーの資格を厳しくしたほうがよい」との官僚の個人的発言も現れ、こうした行動は違う形で失敗を認めたものといえるのではないでしょうか。

 今日の情勢を切り開く力は、何と言っても自交総連の組織的力量であり、春闘で力量を発揮できるかどうかは、職場における一つひとつの基礎的なとりくみを重視し、日常活動の基本に立ち返り、組織の強化・拡大につなげることが求められているのではないでしょうか。「基本のキ」を通じて、自らの職場をはじめ未組織労働者の組織化に大きく打って出、2年目の目標達成にお互い奮闘しようではありませんか。




資本と対等な立場の確立を

来賓3氏があいさつ

05春闘、 3つの柱で奮闘を
 
全労連・岩田幸雄事務局次長

 05春闘は春闘開始から50年目という節目の年だ。3つの柱((1)働くルールの確立、(2)憲法を職場や生活に生かす運動(3)組織拡大で、政治や資本と対等な立場で物ごとを決めるという国際社会の常識の確立)を目標に奮闘してほしい。また、タクシーの安全・安心を確立するためのタクシードライバー法を作るという運動は全労連も一緒になってたたかう。

官・民一体でお互い奮闘を
 交運共闘・福田昭生副議長

 規制緩和によって交通労働者の賃金や雇用は破壊されたが、このことにどう対処するかをお互いに考えていかなければならない。また、もう一つ重要な問題として政府による公的責任の放棄がある。政府は憲法に規定された公的サービスを提供しなければならないはずだがその責任を放棄している。この問題については官・民一体となってお互い奮闘していこう。

規制緩和責任追及の運動を
 
顧問弁護団・小賀坂徹弁護士

 弁護士交流会(記事4面)でも話題になったが、タクシー労働者の年収が生活保護基準以下が全国に蔓延し、このことが原因で、交通事故や健康破壊など、さまざまな悪循環をもたらしていることはきわめて深刻な事態だ。しかしこのような事態の原因となった規制緩和を作った政治責任を追及していく運動を進めればこの状態は変えられる。共にがんばろう。




中央委員会討論

伝統受け継ぎ団結して闘おう

仲間を増やし要求実現

15地方17人が発言


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機関紙の定期発行や公共交通優先の街づくりなど、さまざまなとりくみが報告された
一桁は二桁、 二桁は100をめざす
 (1)北海道・笹川清史さん

 共同タクシー労組では00年度に月4万円の賃下げ攻撃があり裁判闘争をしている。一昨日最後の証人調べが終わった。次の大会には勝利報告をしたい。北海道は50台150人くらいの規模の会社が多く、組合も一桁が多い。一桁は二桁に、二桁は100に近い数になるよう組織拡大にがんばりたい。

相馬市から新しい仲間を迎えた
 (2)福島・大波文明さん

 地連は昨年、結成以来はじめて2単組が消滅するという屈辱を味わったが、11月に相馬市から福島県自交労組31人を仲間に加え新年を迎えることができた。市内は忘年会どきでも閑散としている。街に人がいないのではタクシーは成り立たない。魅力ある街づくりにタクシー労働者も提案していきたい。

身売り廃業から組合員守りたい
 (3)茨城・高瀬良一さん

 13社のタクシー会社がある茨交グループで自交総連に加盟しているのは3社あるが、大洗につづいて水戸でも赤字で身売りか廃業かという話が出ている。組合員は高齢化しており新しい就職先もない。なんとか営業を続けるよう要求している。組合員を守るためがんばるので、みなさんもご協力を。

未組織の仲間に声をかけ結集へ
 (4)東京・熊谷浩行さん

 自教は16年連続の入所減、ここ2年で東京・埼玉で5所が譲渡されるなど逆風のなかで春闘を闘っている。経営者は人件費の削減を考えており、多摩支部では、早期退職、契約社員の雇止めなどの「合理化」攻撃がきている。未組織の仲間は組合員以上に将来不安を持っている。声をかけ結集していきたい。

2月1日には全県で強力な宣伝
 (5)神奈川・中野清さん

 規制緩和は自交労働者の生活に困窮をもたらした。値引き競争が神奈川に波及するか不安視し、上限張り付きを経営に訴えている。12月には自交総連・全自交・神交運・私鉄で組織している全県ハイタクでも運輸支局に要請した。2月1日には県内23駅頭で規制緩和の失敗を訴える強力な宣伝をしたい。

2組合加盟、 逃げなければ前進する
 (6)石川・奥護さん

 昨年は二つの組合が増えた。大交日の出タクシーでは一人の解雇撤回闘争から自交総連への信頼を得て多数派となり加盟に至った。大運トランスポートでは賃金はもらってみなければ分からないという職場で、辞めたらおしまい、組合つくって闘ってこそ道は開けると立ち上がった。逃げなければ前進する。

悪質な第一交通と闘って47か月
 (7)大阪・堀川卓夫さん

 佐野南海への全国からの支援に感謝。11・14北九州行動では九州の仲間にもお世話になった。第一交通に売られて47か月52件の事件を闘ってきたが、組合がつぶれないので偽装廃業してきた。労働協約など一切守らない第一のやり方をまねて大阪では他にも争議が起きている。「第一症候群」だ。

新加盟組合で賃上げかちとる
 (8)埼玉・香取勝雄さん

 昨年加盟した鶴瀬交通では、十数年前に自交総連の組合があったが、要求が通ると満足して消滅してしまい、ひどい労働条件に戻ってしまっていた。加盟して、嘱託は足切り以上55が60%、2万円アップ、正社員は足切り未満45%が割増賃金などをつけて58%、4万円アップの大幅な改善をかちとった。

一方的な賃下げ強行は許せない
 (9)静岡・諏訪部みゆきさん

 この会議で、苦しみながら闘っているのは自分たちだけではないのだと励まされる。石川タクシーでは昨年歩率5・3%カットが一方的に強行された。会社は富士急グループの一員で会長は労働大臣もやった堀内光雄代議士だ。それが労働法を無視していいのか。裁判の準備をして闘っている。

労働相談から2組合が加盟
 (10)高知・森木良明さん

 地連の組織再建のため2年ぶりに書記長に復帰した。幸い復帰後すぐに労働相談があり、正式加盟を前提にしたオブ加盟の自教労組をはじめ2組合25人の拡大ができた。本部規約の第5条「ハイヤー・タクシー、自動車教習所、観光バスに関する労働者をもって組織する…」にトラックも加えてほしい。

国会議員に家計簿を送ろう
 (11)福岡・坪井洋司さん

 生活保護の集団申請をめざしたが調査が親族にまで及ぶことで申請に踏み切れなかった。不条理だ。あきらめずに今年は国会議員に家計簿を送る運動にとりくみたい。タクシー労働者の実態をアピールできるのではないか。近頃の福岡の情景を詠った一句。「仮眠より目覚めて誰もをらず雪」

組合の必要性を分かってもらいたい
 (12)大分・山野茂利さん

 組合員が減少しているが、営収が下がって賃金も下がるなかで、組合費が高い、上部は要らないなどの不要論が出てきたものが多い。そこで、組合の必要性を分かってもらえるよう、執行委員会の拡大で情報の共有、機関紙の定期発行と読者の声を大切に、職場訪問を強めるなどにとりくんでいる。

会社更生法の適用にむけて前進
 (13)鹿児島・橋口良一さん

 大和交通は12年にわたり自主管理闘争をしてきたが、破産を阻止するため昨年9月、会社更生法を申請し、管理人が選任された。申請に当たり全国からカンパもいただき感謝している。裁判所からは土地と税金の問題点が指摘されているが、会社存続の署名も提出し更生計画の認可めざし奮闘している。

増えすぎたタクシーで事故も
 (14)宮城・本間昭さん

 仙台では経営者が逆特区を申請した。タクシーは危機的な状況だ。国分町では、タクシーがジャマで信号が何回変わっても広瀬通りに出られない自家用車が対向車線を走って歩行者をはねる事故があった。見ていた人がタクシーのせいだと騒いで街頭指導員が袋叩きにあう事件まで発生している。

総量規制、街づくりの政策闘争前進
 (15)京都・安井暁(さとし)さん

 京都ではドライバー法案の先取りとして運転者の登録制度を提案している。大手の1社のみが反対しているが、地域協議会で合意をめざしたい。自動車の総量規制、公共交通優先の街づくりでも、国が路面電車のモデル地区に指定するなど前進している。タクシーも客が増える政策の実現に共同を広げたい。

怒りの行動として近運局座り込み
 (16)大阪・林克己さん

 大阪ではタクシーが2109台増え、92%が値下げしている。2・1には、怒りの行動として、宣伝と近畿運輸局座り込みを行い、タクシーの現状を伝えるパフォーマンスにもとりくむ。拡大のため、予算を組んで専従オルグを配置、職場内の未加入者、OBの嘱託者など目標を決めて5000人をめざす。

すべての値下げ競争反対の運動
 (17)東京・徳永昌司さん

 都内最大の無線グループが昨年末に大口割引の申請を行った。地連は、すべての値下げ競争に反対の運動を展開している。規制緩和の失敗は、最後まで反対した自交総連の正しさを証明している。タクシー運転免許構想の早期実現に向け、運動の強化に努めたい。職場で過半数を組織する組合をめざそう。




先頭に立ち規制緩和反対に決起を

執行部まとめ

春闘はすべての職場で要求提出

今村書記長


 執行部を代表して討論のまとめを行った今村書記長は第1に、討論での要望意見(組織対象にトラックの運転手を入れることに関しての規約改正、家計簿を議員に送付する。国会前で1か月の座り込みを行う)については中執で検討するとし、佐野南海交通労組の55人解雇事件(2月25日審尋)については「判決も含めて大きなヤマ場を迎えているので団体署名と個人署名にご協力をお願いしたい」と訴えました。

 第2に、規制緩和の闘いの強化について「討論の中でも明らかなように規制緩和は失敗した。労働組合の中でも、経営者の中でも新しい情勢の変化が生まれている。立場の違い、組織の違いを乗り越えタクシー・ハイヤー事業に従事する人たちが規制緩和反対の闘いに決起していくよう我々が先頭に立ってイニシアチブを発揮しながらとりくみを強化しよう」と述べました。

 第3に、05春闘では、企業の社会的責任を追及するためにすべての職場で要求を提出することの必要や、全労連が結成以来初めて統一要請書を作り、決起していくことを示しながら、「自交総連でもこれらの要求書を活用しながらすべての職場で要求を出し、決起するという流れを作っていきたい」と話し、討論のまとめとしました。




運動の積み重ねが勝利の道

26人の弁護士が参加

●第27回関係弁護士交流会●

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各地の闘争経験などを聞きお互い交流を深めた第27回関係弁護士交流会=1月25日〜27日、東京・三省堂新宿ホール

 新「道路運送法」施行から3年が経過するもとで、第27回関係弁護士交流会が、東京・三省堂新宿ホールで1月25日から2日間の日程で開催され、10地方26人の弁護士、3人の司法修習生・予定生が参加しました。

 交流会では、(1)宮城地連・秋保交通労組の「一時金不支給に対して集交の合意により労働契約の成立を認めさせた事件」、(2)鹿児島地連・大和交通労組の「破産を阻止するため組合が会社更生法の適用を申請中の事件」、(3)埼玉地連・初雁交通労組の「有休手当の計算が不当で有休権行使を抑制するとして無効の判断をさせた事件」を中心テーマに集中した議論が展開されました。

 どのテーマも厳しい条件のなかで、裁判闘争と職場闘争を結合させ一歩一歩運動の積み重ねが、勝利の最大要因であると評価。今後は企業の社会的責任の確立が必要であり、弁護団も共に闘う決意がされました。




各地の大会

方針、 役員補充などを採択

香川第11回大会

 【香川】香川地連は12月27日、高松・木太町「さのや」にて第11回定期大会を開催しました。

 大会では、運動方針、予算案、役員の補充などが審議討論され、全会一致で採択されました。

 また、大会後の親睦会には多数の参加があり、その中で、特に木太労組の今後の闘いについて討論が集中しました。

 委員長=芝原正広(再)▽副委員長=井元将人(新)▽書記長=池内一夫(再)



新加盟のなかま  (*)高知自動車協会労組(自教)

問題解決に上部加盟

 【高知】高知市にある高知自動車協会で働く仲間は04年12月28日、高知自動車協会労働組合(岸根政博委員長、23人)を結成、自交総連にオブ加盟しました。

 企業内組合として地労委あっせんなどの活動をしてきましたが、現在かかえている問題(労働協約の一部見直しなど)の解決には上部団体が必要として、今回加盟することになりました。

 加盟後、1月6日には団体交渉を行いました。



自 交 総 連