自交労働者No.640、2005年2月15日


タクシー労働者の生活はもう限界

各地で規制緩和失敗をアピール

2・1宣伝行動 デモや座り込みも実施


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労働実態の改善を求め近運局前で怒りの座り込みを行う200人の仲間=大阪
 タクシー労働者の生活はもう限界――自交総連は規制緩和4年目の2月1日、全国いっせいに規制緩和失敗の責任を問う2・1宣伝行動を行い、利用者・市民に、規制緩和後のタクシー労働者の年収や労働条件が悲惨な実態におちいっていることなどを訴えました。

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デモ行進に出発する40台のタクシー=宮城
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駅前広場で規制緩和政策に怒りの抗議を行う仲間=埼玉
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通勤途中の市民にタクシー労働者の実態訴える仲間=東京

タクシー40台でデモ行進

 【宮城】規制緩和に抗議する集会とデモ行進にとりくみました。集会を、地元河北新報や朝日・連合通信の新聞社、朝日・NHKのテレビ局が取材。集会後には、市内中心部にむけてタクシー40台でデモ行進を行い、100人が参加しました。

デモ行進で安全・安心訴え

 【埼玉】「安全で安心して利用できるタクシーをめざす2・1統一行動」を展開し、258人が参加。駅前広場での集会後、市内でデモ行進を行い、ビラとシュプレヒコールで「大幅減車・同一運賃・乗務員の待遇改善で、安全・安心・快適なタクシーを」と訴えました。

230人が参加し宣伝行動

 【東京】都内20か所の駅頭で宣伝行動を行い、230人が参加。早朝の丸の内駅前での宣伝行動を皮切りに、各駅頭で通勤途中の市民にビラを配布し、宣伝カーから生活保護基準以下の年収が全国で蔓延していることや、規制緩和後のひどい実態などを訴えました。

34か所でビラ2000枚

 【神奈川】朝8時から夕方まで34か所で2000枚のビラを配布。横浜駅西口では、ドライバーが車を降りて受け取りにくるほどの好評となりました。また同時にタクシー免許構想のパンフも一緒に配布し、これを真剣に読んでくれている姿も見受けられました。

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3mののぼりを立て宣伝カーから訴える仲間=石川
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京都駅前で規制緩和の失敗を訴える仲間=京都

3mののぼりで市民に訴え

 【石川】折からの寒波の到来で吹雪の中、金沢市で11人の仲間がビラ配布と「政府は規制緩和の失敗を認めよ」と書いた横断幕と3mののぼり旗2本を立て、宣伝カーから訴えを行いました。また、当日の行動は新聞3紙、テレビ局4社が取材に訪れ、夜のニュースでは大きく報道され、反響を呼びました。

交通運輸の仲間と宣伝行動

 【京都】府下6か所で42人が参加して「規制緩和失敗の責任を問う2・1宣伝」を行いました。昼間は京都市内を、夜は京都駅前に場所を移し、34人の仲間が他の交通運輸の仲間とともに、宣伝カーから規制緩和の実態を訴え、道行く人にビラを配布しました。

200人で怒りの座り込み

 【大阪】寒波到来の中、3か所に分かれ、いっせいにタクシー労働者の悲惨な現状をつづったビラを配り宣伝カーから市民に訴えました。その後、近畿運輸局前で200人の組合員が、真っ白な息を吐きながら座り込み、国土交通省・近畿運輸局に労働実態改善のための「規制強化」を求める「2・1怒りの行動」にとりくみました。

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宇部空港でビラを配り訴える仲間=山口

県内を2班に分かれて宣伝

 【山口】当日は風速15mの風が吹く中、県内を2班(地連2人、下自交2人)に分かれて行いました。宣伝行動では本部のビラと中国ブロックのビラ2種類を配布し、宇部空港では、寒風でビラを飛ばされそうになる中、タクシー乗務員が次から次と窓を開けてビラを受け取っていました。





くらしの要求アンケート

生活実感「苦しい」が86%

7割以上が運転中に眠気

タクシーの安全性に重大な懸念


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 「くらしの要求アンケート」の集計結果がまとまり、回収枚数は26地方、1万1845枚、回収率は48・3%でした。

60歳以上は過去最高の21・8%

 平均年齢は前年より0・7歳伸びて52・1歳、勤続は0・2年伸びて9・9年、経験は0・6年伸びて13・1年でした。また、年齢構成では、60歳以上が前年よりも増え、過去最高の21・8%となりました。29歳以下はわずか1・6%しかいません。

あいかわらず多数の生活苦しい

 生活実感では、「かなり苦しい」と「やや苦しい」を合わせて86・0%となり、圧倒的多数が苦しい生活を余儀なくされているのはあいかわらずです。

3万円以上の賃上げ要求が54・2%

 賃上げ要求では、平均要求額は、3万7295円と前年(3万8257円)より962円減っていますが、職種別ではハイタクが3万7997円(前年比3830円増)と生活のために大幅賃上げを求める声が再び増えています。

政府要求トップは年金制度確立

 政府に対する要求では、①年金改悪阻止と最低保障年金制度確立②最賃額引き上げ③税負担の軽減が上位となりました。また今回は、新たに「いまの職場でとくに不満を感じること」をあげてもらい、全体では、①賃金が安い76・1%、②労働時間が長い38・9%、③有給とれない30・6%の順でした。賃金が安すぎるという人が各地方で70〜100%と非常に高率で圧倒的多数を占めていることは、自交労働者の賃金の劣悪さを象徴しています。

規制緩和で労働時間、事故増加

 タクシー規制緩和以降の変化をたずねたところ、営収は減った85・2%、賃金は減った84・8%、労働時間は増えた43・6%、事故やヒヤリ体験は増えた51・6%となりました。国土交通省は、規制緩和の検証は「時期尚早」としていますが、現場の労働者の実感ではその害悪は歴然としています。

 事故やヒヤリの原因として思い当たることについては、「長時間労働で眠気を抑えられない」が「よくある」と「時々ある」を合計して、74・1%と全体の7割以上のタクシードライバーが「眠気を抑えられない」という現実は、タクシーの安全性に重大な懸念を生じさせるものです。




夜の街に長蛇の列を作るタクシー

東京地連実態調査 乗務員からはあきらめの声


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ずらりと続く空車タクシーの列=2月4日、東京・銀座
 【東京】夜の繁華街に長蛇の列を作る空車のタクシー東京地連は2月4日、夜の銀座で、タクシーの実態調査を行いました。

 この日は金曜日という週末にもかかわらず、実態調査を行った、銀座周辺では、どのタクシー乗り場でもひたすら長い空車の列ができ、乗り場まで行く途中で停車していた乗務員は「先頭に行くまでここからだと1時間はかかるよ」となかばあきらめの声を寄せていました。

 また、実態調査のようすを見ていた利用者が「テレビで見たけど、タクシー運転手の年収は生活保護基準以下らしい」などの話をしている姿もあり、先の報道や、宣伝行動による影響で、国民的に関心が高まっていることも伺えました。

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乗務員から現場の実態について聞きとりを行う東京地連の仲間

 この他、東京では、増車による営収低下だけでなく、新たな問題として、自家用車(通称白タク)による違法営業(実態調査日にもそれらしき行為を目撃)も問題になりつつあり、東京地連では、今後も実態調査などを続け、行政に対し新たな闘いを展開することにしています。




第一は争議の全面解決をはかれ

佐野南海交通労組 本部支援の行動に50人参加


 東京の世田谷・尾山台駅で1月27日午後「私たちは、当地に住む第一交通産業の社長である田中社長に、一日も早く解決の決断を求めて大域の皆さんご理解とご支援をお願いします」と、ハンドマイクを通しての声が響き渡りました。

 この行動は、自交総連本部が第一交通産業と闘う佐野南海交通労組を支援する行動として田中亮一郎社長に「裁判所・検察庁・大阪地労委の流れにそって争議の全面解決を」求める行動として実施したものです。この日は、田中社長の自宅周辺で宣伝を含めビラ1000枚を配布する行動に東京・大阪の仲間50人が行動に参加しました。

 現在、第一交通産業は、団体交渉の申し入れを無視し、裁判による時間かせぎなどの攻撃で組合潰しを続けています。

 大阪地連と佐野南海労組は、解決に向け団体・個人署名の要請をしています。全地方の積極的なご協力を要請します。




要求はすべての出発点

全労連・評議員会 05春闘方針決める

 「もう一つの日本は可能だ! 05春闘の前進で、安心・平等・平和な社会へ」をスローガンにした05国民春闘の決定を主目的とした全労連第36回評議員会(全労連会館)が1月27、28日に開催されました。

 冒頭、熊谷議長は、「要求はすべての運動の出発点だ。労働者のくらしや職業生活からの要求を、職場を基礎に闘う原点で、全労連の『統一要請書』が相乗効果を発揮させ、必ず成果を出すために執念をもって闘い抜こう」と強調しました。

 05国民春闘方針では(1)春闘の積極的伝統を継承・発展させる。(2)賃下げを許さず、すべての労働者の賃上げをめざすこと。(3)企業の社会的責任(CSR)の追求と、働くルールの確立を。(4)05春闘における組織拡大・強化などの提案を満場一致で採択しました。



新加盟のなかま  (709)石川・大運トランスポート労組

安定した生活求め結成

 【石川】小松市にある大運トランスポート(運送会社)で働く仲間は11月19日、大運トランスポート労働組合(山口博委員長、5人)を結成、自交総連に加盟しました。

 職場では公休日も一切とれず、社会保険や税金、車の償却などすべての経費を運転手に負担させてきましたが、会社に対する社員の怒りが爆発。安定した生活ができる賃金と労働条件を求めて要求書を提出して闘っています。



自 交 総 連