自交労働者No.642、2005年3月15日



写真
大雪の中、明治公園に集まった1000人の仲間と1000台のタクシー=10時
 タクシー労働者はもう限界、事故多発、安心・安全破壊のタクシー規制緩和を見直せ! タクシー運転免許実現3・4中央行動――自交総連は3月4日、マスコミも注目する中、関東ブロックを中心に、各地方からの代表派遣を加え、2000人(タクシー1000台、徒歩部隊1000人)が明治公園での総決起集会、国土交通省への請願、日比谷野外音楽堂での中央集会に参加。午後からは代表が、各政党申し入れ、関係機関交渉(一部3日実施、関係記事2面)も行い、一日総行動を展開しました。

写真
国交省へ請願を行う車両部隊=11時
写真
個人請願を行う参加者=11時
写真
日比谷野音での3・4総決起集会=12時
写真
政党要請(写真は共産党)を行う参加者=14時

2000人が国交省へ請願

 「3・4中央行動」に先立ち3月3日、全労連会館で全国のブロック代表参加による意思統一会議がひらかれ、中央行動の成功にむけての意思統一が行われました。

 4日は、朝から大雪が降る中、午前10時から明治公園で総決起集会が行われ、1000台のタクシーと1000人の仲間が参加。総決起集会では主催者を代表して領家中央闘争委員長が規制緩和実施後、全国でタクシー事故が蔓延していることや、タクシー労働者の年収が生活保護基準以下まで落ちた現状にふれ、「政府は、タクシーは規制緩和によって活性化し、悪質事業者は衰退して良質な事業者のみが生き残り、乗務員の労働条件は改善されると断言したが、実際にはさまざまな矛盾を引き起こしている。タクシーの規制緩和は失敗。政府・行政の責任は免れない。その責任を追及し新たな規制を求めていこう」とあいさつ、続いて全労連の西川副議長が「全労連もすべての労働者の先頭に立って、05春闘を勝利するためにともに闘う」と連帯あいさつを行いました。その後、参加者は国交省へ場所を移し、個人請願にとりくみました。

 午後からは代表が政党要請と、関係機関交渉を行い、各政党要請では、「党としては、この現状を改善するために全力でとりくむ」(共産党)などの対応を受けました。

 今回の行動に参加した東京・天龍交通労組の石沢治彦さん(60)は「国交省の職員はタクシーの賃金で生活できるのか考えてもらいたい」と話し、東京・大和交通労組の渡辺夏生さん(47)は「なにもかも規制緩和ではなく、緩和できるものはし、台数制限など緩和しなくていいものはするべきではない」と話していました。




全組合で要求提出を

第1回中闘

4月20日に一日行動実施


写真
05春闘の当面する対策を決めた第1回中闘=3月3日、自交共済事務所

 自交総連は3月3日、東京・自交共済事務所で第1回中央闘争委員会(第3回常執)をひらき、「05年春闘の当面する対策について」を決めました。

 討議では、国交省が仙台のタクシー問題対策協議会を設置せざるを得なくなった事態も分析、各地方で実態を暴露し、自治体へ働きかけていくことの重要性が強調されました。

 当面の対応方針では、(1)最賃違反、累進歩合廃止を軸とする底上げ、違法な雇用形態の是正、(2)増車・運賃値下げ競争への反撃、(3)仙台の協議会へ本部も協力して対応していくことを決めました。

 全組合の要求提出、1職場1重点要求を徹底追求し、以下の統一行動にとりくむこととしました。

 ◇第1次=3・4中央行動◇第2次=3・17(回答指定日の翌日)時間内外の報告集会等◇第3次=4・20春闘要求実現と「第一交通の社会的責任(CSR)を問う一日行動」実施。




規制緩和失敗を認め中止しろ

国交省 「3年程度だから今は困難」


写真
国交省で規制緩和の失敗を追及する自交総連の代表
 国交省交渉には、領家委員長他30人の代表団でのぞみ、丸3年余の経過を通じ明らかになった規制緩和失敗の責任を厳しく追及するとともに、タクシー運転免許の法制化など実効性ある規制強化の方向に政策転換を行うよう強く求めました。

 省側からは、小宮山自交局旅客課課長補佐ら4人が応対。「経営環境、労働環境ともに厳しい状況下にあることは認識している」としつつも、「全乗連と一緒に運転者の実態調査を行っているところだ」「規制緩和を中止しろということだが、3年程度だから、実態を踏まえることは今は困難」などと回答。タクシー運転免許の法制化要求では、「新たに雇い入れた者への指導教育期間も5日が10日になった。2種免許があるし、東京・大阪では特別措置法で運転者の登録制度がある。このような制度によって運転者の質は確保できる」と述べました。

 これに対し組合側はいっせいに反発。労働者の実態を示しつつ、「実態把握がまったくなされていない」「賃金など状態悪化やモラルの低下を防ぎ、安心・安全な輸送を担うには、新たな規制が必要ではないか」など怒りと抗議の発言を繰り広げました。

 まともに対応しない省側に対し、交渉団は、責任ある者の出席による再交渉を要求、1時間半に及ぶ交渉を打ち切りました。




推進者として実態調査すべき

規制改革民間
開放推進会議
「規制緩和検証のシステムある」


写真
規制改革民間開放推進会議へタクシーの実態を調査するよう申し入れる自交総連の代表
 3・4行動の一環として、内閣府・規制改革民間開放推進会議への申し入れ交渉を実施しました。

 この申し入れは、小泉内閣が進めるさらなる規制改革のシンクタンク的役割をこの推進会議が果たしていることから行ったもので、現在のタクシー実態の検証と新たな規制を求めました。

 具体的には、(1)タクシー規制緩和を推進した者の責任として、どのような事態が引き起こされたのか、国民の利益になっているのかどうか、調査・検証を行い公表すること。(2)タクシー規制緩和政策を見直し、運賃政策などさらなる規制緩和を中止すること。(3)タクシー運転免許の法制化こそが規制のあり方の改革であることを認識することなどを要求。

 対応した規制改革民間開放推進室の長瀬友則企画官と安藤剛参事官補佐は、「国交省とも一定の話はしているが、具体的に実態がどうなっているのかということは把握していない」とコメント。さらに「規制緩和を検証するシステムはある」と明言しました。

 今後も、自交総連の要請を「受けていきたい」として、資料を13人の委員に渡すことを確約しました。

 交渉には、領家委員長を先頭に、東京、大阪、宮城の書記長など7人が参加しました。




規制緩和見直しで共同

全乗連 「一緒に運動やりましょう」


写真
全乗連に共同でのとりくみを要請する自交総連の代表

 全乗連との懇談には領家委員長ら8人が参加、川村労務委員長、三浦経営委員長ら7人が対応しました。

 自交総連から、春闘の統一要請書にそって規制緩和の見直しに向けた共同のとりくみを要請したのに対し、川村・三浦両氏は、私見も含むとしながら次のように答えました。

 本日は雪の中、大変な行動を実施されてご苦労さまでした。タクシー業界に対する情熱に敬意を表します。

 規制緩和についての基本的な認識は皆さんと同じだ。しかし、規制緩和で増えた車両に「仕事をやめなさい」とはできないので、仮に今再規制しても自然に退出するには10年かかる。この苦しみは相当続くのかな、と思う。個人タクは、平均年齢も高いし、自然退出してもらえば、比較的やりやすい。

 全乗連としても、タクシー議員連盟で行政を呼んだり、ものを申している。

 再規制で、蛇口を閉め、新規参入を止めなければいけない。事故が増えているし、サービスだって、「衣食足りて礼節を知る」ということだから、規制緩和は失敗だったと思っている。

 運賃・増車競争に走らないように業者が協力して再規制をかちとらないと、業界が衰退してしまう。

 一緒にできる運動があれば、申し入れていただいて、一緒にやりましょう。




監督体制、相互通報の強化を

厚労省 「タクシーは重点的にやる」


写真
最賃違反の是正などを厚労省に求める自交総連の代表

 厚労省交渉は、自教共同センターと共同で行われ、権田副委員長ら20人が参加、省側から労基局監督課福田剛之厚生労働事務官ら6人が対応しました。

 回答の要旨は次のとおりです。

 (1)監督体制の抜本的強化、相互通報制度の充実=規制緩和の中で問題が生じていることは承知している。タクシーは重点的にやるよう指示している。

 (2)タクシーの最低賃金法違反や累進歩合制度の是正=是正勧告を出し指導している。確かに累進歩合がある限り後戻りがあるのは懸念される。現場では賃金制度改善まで切り込んでやっていると認識している。(通達が出せないのか、との問いに)口頭で全国監察官会議でも言っている。

 (3)サービス残業の根絶、タクシーでみられる支給総額が常に一定の賃率となるような割増賃金支給方法の是正=悪質なものは強制捜査もしている。(支給総額が一定の賃金について)違法性が強い。

 (4)長時間労働の是正=改善基準告示の順守については、国交省と連携してやっている。

 (5)高年齢者雇用安定法の徹底=罰則はないが、指導と支援で対応したい。

 (6)退職時に資格取得費用と称して違約金等を請求される事例=一般的には、一定の勤務義務を課して途中退職したら全額弁済というのは違反だ。




高知地連

附帯決議に沿った指導を

運輸支局交渉に6人参加


写真
タクシー運転免許の法制化などを政府に上申するよう要請する高知地連の代表=2月23日、高知運輸支局
 【高知】高知地連は2月23日、曲直瀬委員長ほか6人が参加して高知運輸支局交渉を行い、タクシーの再規制やタクシー運転免許の法制化などを政府・国交省へ上申することなどを申し入れました。

 支局側からは門屋運輸支局次長と徳廣輸送課長が対応し、「需給バランスの破綻については認めるが、高知県経済は長引く不況で低迷しており、タクシーの自由化だけが影響しているとは言えない」とし、地連側の「労働条件改善にむけ、国会附帯決議に沿った事業者への指導」については、事業者への指導を確約。また、「タクシー協議会の開催は、マスコミを入れるなどオープンにしてひらかれたものとする」には、検討するとしました。

 その他、代行運転事業者の法違反については警察と連携して、改善をはかるとともに、今日の申し入れは局に報告するとしました。




規制緩和失敗訴え宣伝行動

福島地連

40人でビラ300枚配付


写真
タクシー乗務員にビラを渡す福島地連の仲間=2月9日、福島駅
 【福島】福島地連は2月9日、福島駅周辺でタクシー規制緩和の失敗を訴える宣伝行動を行い、40人が参加。ビラ300枚を配布しました。

 宣伝行動では、宣伝カーから小山委員長がマイクで訴える中、仲間が、乗務員や通行人にビラを配ると、タクシーを降りて受け取りにくるなどの好評となりました。

 今回の行動に参加した大和交通労組の藍原さんは、「今までは無理やりビラを渡しているような感じだったが、今回は乗務員が自ら受け取りにくる姿に驚いた。しかし、一般の人はタクシー乗務員の賃金は高いものだと思っていたようで、ビラを見てビックリしている姿にこちらが驚かされた。今後も宣伝行動を行い、規制緩和後のひどい実態を訴えながら、タクシー規制緩和失敗の世論喚起をしていきたい」と感想を話しています。



自 交 総 連