自交労働者No.645、2005年5月1日

第一交通は社会的責任を果せ

4・20行動

北九州、東京で総行動を展開

各地でも座り込み、宣伝など実施


 第一交通は社会的責任を果せ自交総連は4月20日、05春闘第3次統一行動として、第一交通の社会的責任を問う一日行動を展開。北九州、東京では第一交通本社への抗議や、証券会社への要請などの総行動を行いました。また、この日は全国でもさまざまな行動(宮城=運輸局前座り込み、奈良=三重県内の12駅頭でビラ宣伝)が行われました。
北九州

争議を早期に解決しろ
総勢150人で本社に抗議

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第一交通本社前で争議を解決せよとシュプレヒコールを行う参加者=4月20日、福岡・第一交通本社前
 第一交通産業本社に対して「全面解決をせまる」行動と位置づけた北九州行動は、小倉駅を含め3か所の早朝宣伝、小倉北区・堺町公園で決起集会、本社での抗議・要請を実施しました。

 この行動は、大阪地連70人、福岡地連59人をはじめ、大阪労連、福岡県労連、北九州地区労連の支援により総勢150人の参加で、大きく成功。3月30日の大阪高裁の「保全抗告」却下の決定後の運動として、佐野南海闘争勝利へ一歩前進するものとなりました。

 本社前では、団体交渉の申し入れ書を渡そうとしましたが、玄関前に陣取った4〜5人の職制は「受け取る立場に無い」「最高裁で争う」と言葉を発して、またしても「申し入れ書」を拒否する暴挙を行いました。大阪労連の上田議長は「この暴挙は、企業として社会的責任を放棄するもの。日本最大のタクシー企業として断じて許されない」として「国民的に第一交通を包囲する運動を構築する」と決意を述べました。最後に「第一交通は早期に解決をしろー」「直ちに団交を開けー」とシュプレヒコールを力強く行いました。



東 京

第一交通を上場するな

法守らない企業に資格なし


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団交の申し入れ書を渡す大阪地連の仲間と受け取りを拒否する第一交通の社員
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国交省へ第一交通の悪質ぶりを説明する自交総連の代表
 東京での行動には、本部、大阪4人、東京22人が参加して第一交通の社会的責任を問う宣伝・ビラ配布と要請を行いました。

 東京証券取引所には第一交通を上場しないこと、日興コーディアル証券(第一交通の株多数取り扱い)、スパークス投信(第2位の株主)、全国銀行協会には、法違反や人権侵害をしている企業には投資しないという社会的責任投資(SRI)の考え方に基づいて、第一交通には投資・経済的援助をしないことを要請。スパークス投信のコンプライアンス室長代行は、一般論と断りながら「西武や三菱自動車のように不正が明らかになると株も下がる。そういう点には関心を払っている」と話していました。

 また第一交通がISO環境規格の認証を受けて環境に優しいなどと宣伝していることについて、最低限の法律さえ守らない企業が環境に優しいとか宣伝する資格はないとして、認証した規格協会に再調査するよう求めました。

 国交省、全乗連にも、第一交通の悪事を放置すれば、業界全体のイメージダウンになると要請しました。




残業禁止解除で和解

津地裁伊賀支部 嘱託の解雇(雇止め)は不当

なら・三重近鉄タクシー労組

この成果を全国に

北尾副委員長が職場復帰へ


 自交総連なら合同労組三重近鉄タクシー労組は、残業割増賃金の請求をきっかけに、会社が組合員のみ残業禁止、北尾副委員長を解雇してきた事件で、津地裁伊賀支部で、残業禁止については2月28日に和解、解雇については3月15日に勝利決定をかちとりました。

告発を逆恨み

 三重近鉄タクシーは県内11営業所、360台を保有する会社で、企業内組合がありましたが、労働条件の改悪にも抵抗しないため不満が高まり、04年4月に自交総連三重近鉄タクシー労組が結成されました。

 自交総連労組は、以前からの問題だった残業代未払い等について労基署に相談、上野労基署は8月に未払い割増賃金を2年間さかのぼって支払えという是正勧告を出しました。

 これを逆恨みした会社は、直ぐに1日10時間拘束で3時間休憩という新ダイヤを強行、自交総連組合員にのみ残業、公出、深夜労働を禁止してきました。

 また、同社では60歳定年で63歳までは1年契約の嘱託として雇う慣行なのに、嘱託1年目だった北尾副委員長について、05年1月からの更新をせずに、解雇してきました。

 このため組合が、残業禁止の解除、北尾さんの地位確認の仮処分申請をしていました。

残業禁止を解除

 残業禁止については2月28日に裁判所で、(1)残業及び公休出勤の禁止の解除(2)企業組合と平等の取り扱いをする、という和解が成立しました。

解雇の理由がない

 しかし、解雇事件については、会社が北尾さんの「営収が悪い」「態度が悪い」などとして和解に応じなかったため、3月15日に裁判所の仮処分決定が出されました。

 決定は、事実と証拠に基づき、(1)営収が悪い(2)採算割れになる(3)無線配車を断った、などの会社が主張した理由をすべて否定し、更新拒否には合理的理由がないとして、地位保全と賃金仮払いを命じています。



規制緩和の責任追及に車両デモ

宮城地連 72台、150人が参加


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のぼりをかかげ車両デモの準備を行うタクシー=4月10日、仙台・近鉄物流構内
 【宮城】宮城地連は4月10日、宮城交運共闘の仲間とともに、憲法改悪阻止、消費税増税反対、規制緩和反対などをかかげ、車両デモを実施。72台、150人が参加しました。

 車両デモに先立ち行われた決起集会では、昭和交通労組の守屋書記長が、「規制緩和のせいで、営業収入が極端に下がり、最低賃金以下の賃金も多数発生し、働きながら生活保護を受けないと生活できないところまできている。規制緩和の責任を追及し、多すぎるタクシーを減らす闘いを強めよう」と、力強く決意表明しました。

 その後、2時間かけて仙台市内をパレードし、市民に訴えると、道行く市民から、激励が相次ぎ、参加した組合員も、元気に応えていました。

 この集会や自動車デモの様子は、テレビや新聞でも報道されました。





新たな競争誘導した責任重大

関東ブロック 関運局請願に550人


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請願決起集会を行う関東ブロックの仲間=4月8日、関運局前
 【東京】関東ブロックは4月8日、昨年9月に関東運輸局がだした営業割引メニューの告示に対し、新たな運賃・料金競争を誘導した責任は重大として、請願要請行動を行い、東京、埼玉、神奈川の仲間550人が参加しました。

 請願集会では、主催者を代表して、領家委員長が、首都東京をターゲットに新たな運賃・料金競争を誘導した関東運輸局の責任は重大であることや、これ以上の状態悪化を許さないたたかいとして「タクシー運転免許」実現の課題を結びつけ奮闘しようと訴えました。その後参加者は、「規制緩和の見直しを」「このままでは生活できない」と各々思いを伝えながら請願書を提出しました。

 また、午後からの運輸局交渉には、代表17人が参加し、規制緩和の見直しと必要な規制などを要請。回答した、渡辺旅客第2課長は、「新道路運送法は、公正な競争で良質の高いサービスをめざしたもの。営業的割引は、新たな需要の喚起をめざした告示で、局の誘導はない。ヘルパー取得など敬意を表すが、現状も試験制度がある」として、具体的な回答を示しませんでした。




「できることから行動を」

山口地連

宣伝、対話で乗務員に訴え


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乗務員にビラを手渡し対話を行う山口地連の仲間=4月4日、新山口駅前
 【山口】山口地連は4月4日、05春闘の一環として、防府市と小郡町で宣伝行動を行い、「乗務員個々が認識をし、できることから行動を起こすことが大事」と訴えました。

 宣伝行動の対話では、「生活ができない」「これでは若い乗務員が来るわけがない、年金者ばかり」また中には、「山口県の平均年収273万はうそじゃろう、そねーあるわけない」と、聞こえてくるのは嘆きばかりでしたが、一方では、第一交通の乗務員から、「会社の悪いことを宣伝してくれて、ありがとうございます」とのお礼を言われる場面もあり、自交総連の宣伝がかなり浸透していることがわかりました。



東京地連

「組合の必要性感じてる」

組織拡大統一行動で奮闘組


 【東京】東京地連は4月15日、東京労連の「4・15東京労連組織拡大統一行動」に呼応し、「どうなる運賃、料金競争 今必要なのは減車、大口割引なんかとんでもない」と題し、山手線の主要駅頭での宣伝行動を行いました。

 宣伝行動は、各ブロックに分かれて行い、上野駅のタクシー乗り場でつけまちをしていた東京無線グループの車に乗務するIさんは「なんの説明もないまま大口割引会社になっている。うちには組合がないけど、労働組合の必要性を感じている」と、思いを話してくれました。

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新宿駅前でビラを渡す西部ブロックの仲間=4月15日 上野駅前でビラを渡す東部ブロックの仲間




憲法は国の行動を規制するもの

国民から政府や権力者に対する命令書

 憲法改悪の動きが急速に進んでいます。なぜ今、憲法を変える必要があるのでしょうか? 憲法のどこを変えようとしているのでしょうか? 今回から憲法についての連載を開始します。第1回目は、憲法とは何かについてです。そもそも憲法とはいったいなんなのでしょうか? それについて考えていきます。

(1)憲法ってそもそもなんですか?

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する――

憲法と法律はまったく違うもの

 私たちの日常生活は、刑法や道路交通法などさまざまな法律によって規制されています。ですから、憲法もそんな法律のうちの一つで、国民の行動を規制するじゃまなものと思われるかもしれませんが、憲法とその他の法律とはまったく違います。

 一般の法律は、憲法にもとづき制定され、「スピード違反はするな」など国が国民を規制するものですが、憲法は逆に「戦争をするな」「国は国民の生活を守れ」など国民が国(政府)の行動を規制するものなのです。

憲法は政府や権力者への命令書

 世界の国々で憲法が生まれたのは、市民革命が実現したころのことでした。それまでは、王や貴族のような絶対的な権力をもっていた者が、国民を支配していましたが、憲法によって「たとえ王様でもしてはいけないことがある」と決めたのです。このような国が「立憲主義」、「法治国家」です。

 つまり近代の「憲法」は、もともと、権力者を規制し、庶民の権利を守るもの、言い換えれば憲法とは、国民から政府や権力者への命令書なのです。

 日本国憲法も、この基本を受け継ぎ、主権者である国民が政治権力をゆだねるにあたり、権力を持った者を規制する性格を持ち、憲法を守る者を条文で定めています(99条に国民という言葉がないのはそのためです)。

政府を規制から国民を規制に

 しかし、この命令書を変えようとする動きが、日本でも起きています。憲法に「国民の義務」や「国民の規範」を盛り込み、これまでの「政府を規制する」ものから、「国民を規制する」ものに変えられようとしています。自民党は05年の結党50周年の大会までに改憲案をまとめようとしています。

今回の関連条文

 【第99条】(憲法尊重擁護の義務)天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。



個人情報保護法の取り扱いについて

 自交総連では、個人情報保護法の施行にともない、組合員の皆さまからお預かりした個人情報(組合員データ)については、個人情報保護法にもとづき、適切に管理し、組合員の皆さまの権利利益の保護に努めていきます。

 また、組合員福祉活動の一環として全労済の共済利用を推進し、組合として組合員の委任にもとづく共済契約に関わる事務手続きを行いますが、全労済に対しても、個人情報保護法にもとづく充分な安全管理と組合員の個人情報(データ)の適正な取扱いを求めます。



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