自交労働者No.650、2005年7月15日

安全・安心は労使の共通課題

大阪地連

タク産業の未来見つめ議論

規制強化求め労使懇談会


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懇談会で議論をかわす労使の代表=6月29日、大阪・アピオ大阪
 大阪地連(権田正良委員長)は6月29日、大阪市中央区のアピオ大阪で、「タクシーの安全・安心を守るための規制強化を求める労使懇談会」をひらき、呼びかけに応えた経営者側8人が出席。労使ともにタクシー産業の未来を見つめ活発な議論を交わしました。

 【大阪】岡田副委員長の司会で労使懇談会は開会。主催者の権田委員長は「規制緩和され3年が経過。大変な状況は労使の共通認識だと思う。大阪では、第1次運賃戦争は終息しつつあるが、町野式ワンコインの拡大で第2次運賃戦争を危惧(きぐ)する。利用者に安全・安心を提供することは労使の共通課題だ」と述べ協力を求めました。

 大阪タクシー協会の関副会長(東洋)は、「規制緩和が始まるときに労使が協調して闘えなかった。間違っていた。運賃競争のしわ寄せが誰にかかるのかは明らか、これ以上の競争は避けるべき」と協会としても混乱を望んでいないとしました。

 一方で、大阪タクシー協会の最高顧問でもある関中グループの薬師寺代表は、「8年前から規制緩和すれば運賃戦争になる。下限を設けないと労働者の生存権さえ脅かすと指摘してきた。しかし、新しいルールができたのだから500円で競争せざるを得ない」と新たな運賃戦争への参戦を表明。また、「最近の労働組合は毒のないサソリ。昔は経営側からも一目置かれていた。労働組合がもっと強くならなければタクシーは良くならない」と述べました。

 フリートーキングの後、権田委員長は「タクシー産業を良くしたいとする共通課題で、今後も継続して話し合いたい。そして、府下的協議を呼びかけていく」と話ました。



事態打開へ反転攻勢の運動を

第7回常執次年度方針、予算案を討議


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次年度方針などを討議する常任中執メンバー=7月6〜7日、東京・自交共済事務所
 今年度の運動総括と次年度方針案の討議を目的とする第7回常任中央執行委員会が、7月6、7日の日程で行われました。

 会議では、(1)会計報告、(2)05年度運動方針案、(3)05年度予算案、(4)第28回定期大会の日程と構成員等の議題を討議しました。

 総括では、厳しい情勢の中で05春闘を含め1年間奮闘したことを評価。次年度方針について、今日の組織実情にたった運動を発展させる方針案を策定するために集中した討議が展開されました。

 具体的には、(1)タクシー運転免許実現にむけた運動、(2)組織・財政運営の強化です。

 とくに、組織拡大3か年計画2年目の拡大運動で、昨年9月以降10地方19組合216人が加盟する成果をあげたものの、組織増にいたらず逆に減少となっている状況が明らかとなりました。事態打開のため、反転攻勢の運動で減少に歯止めをかけ増勢に転じるため方針提起と運動が「まったなし」の意見が大勢となりました。

 常任中央執行委員会は、「くらしと雇用・いのちの危機打開にむけて」、原点に立ってたたかう自交総連の本領発揮の立場を鮮明にして、引き続き次年度方針案の討議を行い、9月の中央執行委員会に提案します。



規制緩和見直しの結論を

仙台圏タク問題対策協

「協議会での制度変更不可能」


 【宮城】タクシー事業の規制緩和検証モデルとして行われている「仙台圏タクシー問題対策協議会」は6月27日、第3回会合をひらき、台数過多や運賃・サービス問題への対処を具体化するための議論を展開しました。

 同協議会では、減車へのとりくみ、タクシーセンター的組織の立ち上げについて議論が交わされる一方、国の規制緩和政策の見直しを訴える声も出されました。

 出席した宮城地連の相沢委員長が、「私の考えとしては、規制緩和後3年間が経過してのこの実態であるから、制度的にか、行政的にか何らかの改善として、規制緩和を見直すべきとの結論が出てもいいのではないか」と質問すると、座長の中岫(なかぐき)東北運輸局自動車交通部長は「冒頭で話したが、この協議会では法律とか制度を変えることは不可能だと言っている。法律、制度の改正と並行で何ができるのかという議論をしなければならない」と答えました。

 また、オブ参加をしている国土交通省本省旅客課の桑田まさ子課長補佐は「ここで出された制度改正について提言されたものは、持ち帰って検討材料にしたい」と話しました。



福祉切捨てに反対する運動を

自交総連

福祉・介護タクシー研修会ひらく

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介護事業の現状と今後の課題について説明する安井委員長=6月23日〜24日、京都・ラボール京都

 自交総連は6月23、24日、京都・ラボール京都で福祉・介護タクシー研修会をひらき、8地方から30人が参加しました。

 研修会では、(1)介護タクシーの現状と有償ボランティア輸送について菊池書記次長、(2)明星スターケア介護事業の現状と今後の課題について京都・安井委員長、(3)介護保険「改正」の影響について大阪・東洋タクシー労組の園田氏から報告を受け、討論しました。

 移送介護を事業として成立するためには、移送だけに特化せず介護全般にとりくみ、労働者の質を向上させる必要がある、政府の介護保険・福祉の切捨てに反対する運動が不可欠。NPOのボランティア輸送に対しては、安全性については妥協せず、利用者の拡大の点では協力・共同も必要など、さまざまな観点からの意見が出され、今後、政策としてまとめていく必要性が確認されました。



魅力あるタクシーへの接近は困難

タク事業のあり方研究会

今村書記長が問題点指摘


 「魅力あるタクシー事業のあり方研究会」(座長=山内弘隆・一橋大学商学部長)は7月4日、国交省特別会議室でひらかれ、行政側(自交局旅客課)が提起した『中間とりまとめ(案)』の検討を行い、これまでの議論を集約しました。

 この会合には、自交総連代表として今村書記長が出席し問題点の指摘や補強に関わって意見を述べました。

 研究会の目的は、(1)規制緩和後、景気動向や活発な増車などによりタクシーの経営環境は厳しい、(2)営業収入の減少によって労働条件は悪化、事故の件数も増加傾向、(3)こうした状況をふまえ事業の魅力の向上に資する方策について模索――とされているにもかかわらず、肝心かなめの規制緩和による弊害や混乱を解決するための規制のあり方を除外した形でのまとめ方であり、そうした『とりまとめ(案)』の内容では、現状の悪循環を脱却し、魅力あるタクシーに接近することなどは困難と指摘。補強的意見では、タクシー運転免許の必要性を再度強調しました。



労働者の働く場と生活まもるために

京都地連

「京聯を守る会」発足・レセプション行う


 【京都】京都地連は6月24日、京都・ぱるるプラザで労働者の働く場と生活をまもるための「京聯を守る会」の発足・レセプション行い、自交総連本部をはじめ各地連、京都総評傘下の組合、地域の労組、先輩や弁護士のかたがたが参加しました。

 京聯自動車(株)は、多額の負債が債権回収機構(RCC)に委譲され、再建か倒産・廃業かの状況が続いていました。そこで、京聯自動車労組の委員長、自交総連京都地連の委員長の経験もあるOBの横山末松氏がオーナー株を取得するとともに一族経営を排除、社長に就任することで、RCCと債務免除を含め自主再建の道がまとまりました。

 持ち株会社「京都聯合」の設立にともない、労働組合からも役員を派遣するかたちで経営参加しています。

 今回発足した「京聯を守る会」は、持ち株会社「京都聯合」に資金支援する組織として労働組合が立ち上げたものです。



団結して闘う方針を全員一致で確認

茨交水戸タクシー労組第25回大会


 【茨城】茨城地連のなかで唯一の自交総連加盟組織となった茨交水戸タクシー労組は、7月4日、第25回定期大会を開催しました。

 親会社である茨城交通の経営不振から、今年4月までに常陽勝田、大洗の両社を廃業。従業員は全員解雇となり、営業休止を強行、自交総連に加盟する組合は解散をしました。茨交水戸タクシーも譲渡が延び延びになり今日に至っています。

 同労組は、労働組合として、情勢を分析して的確な方針を立て団結して闘う方針を全員一致で確認しました。



この成果を全国に

個別排除目的の解雇は無効

東京高裁 解雇中の賃金支払い命ずる

神自教・大船自教支部


 神奈川・神自教労組大船自教支部は、勝英自教(本社・岡山、吉村武司社長)に会社が買収され組合員全員が解雇されていた事件で5月31日、東京高裁で解雇無効の判決をかちとりました。

 勝英は00年10月に大船自教を買収、同社を解散して別会社の湘南センチュリーモータースクールに営業譲渡、従業員には全員退職届を出させて大幅に賃金を切り下げて再雇用していました。組合員9人は退職届の提出を拒否したところ、全員解雇されていました。

 組合員の排除後、勝英は、他県から指導員を集め、ダンピング料金で営業しています。

 組合員らが解雇の無効を求めて提訴、横浜地裁で03年12月に勝訴しましたが、勝英が控訴していました。

 今回の高裁判決は、地裁と同様、会社が退職届の提出を求めたことは、再雇用後の労働条件の引き下げに異議のある従業員(組合員)を個別に排除する目的で行われたものと判断、このような不当な目的で行われた解雇は無効とし、解雇中の賃金を支払うように命じています。

 しかし、勝英は最高裁に上告、反省しようとしていないため、闘いが続いています。



自交総連

民主的視点でのチェックが重要

自主経営対策会議 経営改善へ24人が交流


 自交総連は6月24、25日、ラボール京都で自主経営対策会議をひらきました。

 この会議には領家委員長、今村書記長と山形(2社)、宮城(1社)、山口(3社)、福岡(2社)、大分(3社)の自主経営11社の関係者に加え京都、大阪のオブ出席者を含め24人が参加。それぞれの自主経営会社の『経営診断』にもとづく質疑応答と今後の課題について議論を交わしました。

 この中で、今村書記長は、基礎的な経営診断のための指標について報告するとともに、民主的な視点で『収益性』『安全性』『成長性』にもとづくチェックを定期的に行うことの重要性や(構成員への)情報公開の大切さを強調しました。

 経営診断では、5年分の財務諸表から作成された(1)比較損益計算書、(2)百分率損益計算書、(3)比較貸借対照表にもとづく経営状況の報告を受けた後、率直な意見交換や問題点の指摘、経営改善についての相互交流などを行い、その成果を持ち帰ることになりました。



新加盟のなかま  (716)埼玉・栗橋地区自動車労組

いまだ職場復帰できず

 【埼玉】大利根町にある大利根タクシーで働く仲間は1月10日、栗橋地区自動車交通労働組合(林彰委員長)を結成、自交総連に加盟しました。

 あまりの賃金の低さから県労連に相談。埼玉地連を紹介され、今回加盟することになりました。

 加盟後要求書を提出しましたが、3月末に会社を解雇。6月1日に地位保全仮処分で勝利をかちとりましたが、まだ職場に復帰できていません。



自 交 総 連