自交労働者No.656、2005年11月1日

第28回大会

規制緩和の失敗明らか

闘いで世論に変化


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領家委員長
 変えよう ルールなき競争と格差社会、団結と統一 3万人自交総連の構築を――自交総連は10月19、20の両日、東京・台東区民会館で25地方231人が参加して第28回定期大会をひらき、05年度運動方針を決めました。第1日は、領家委員長のあいさつに続き来賓あいさつ、方針提案、討論、長期争議組合の決意表明、第2日は、機関紙コンクール・写真コンテストの表彰、討論、執行部答弁を行い、方針・予算等を満場一致で可決しました。

領家委員長あいさつ 組織拡大を基本に

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25地方231人が参加して、2005年度運動方針などを確立した自交総連第28回定期大会=10月19〜20日、東京・台東区民会館

 タクシーの規制緩和がされて3年8か月、増車と運賃値下げ競争で、安心・安全は崩壊、ルールを守らない悪質企業――いわゆる悪貨が良貨を駆逐する流れが顕著になり、賃金・労働条件は悪化しました。規制緩和は何ら有益な結果をもたらしておらず、失敗だったと断言しないわけにはいきません。

 しかし自交総連の闘いは世論の変化をつくりだしました。規制緩和の弊害を指摘する報道も相次ぐようになり、国交省の交通審議会小委員会にも自交総連の代表が選任されました。我々の主張の正しさを無視できなくなったということです。これで満足せず、いよいよ攻めに転じることが重要です。今後の産別行動を成功させていきましょう。

 総選挙の結果、数を頼んでの悪政の押しつけは強まるでしょう。規制緩和でわかるように、労働者・国民の苦しみの根源は悪政であり、その転換なしに解決することはできません。職場から反撃しましょう。

 攻勢的な闘いのためには、職場を基礎に学習と合わせ組織の強化拡大が必要です。増大している非正規労働者をはじめとする未組織労働者を組織化するのは労働組合の任務です。拡大を喫緊の課題として日常活動の基本にすえ奮闘しようではありませんか。

第28回定期大会参加者数
出席 委任 定数
役  員 31 31 (100%) 31
中央委員 54 59 (93.7%) 63
代議員 86 21 107 (81.1%) 132

171 26 197 (87.2%) 226
傍  聴 44
来賓・報道他 13
総  務

総  計 231



自交総連の闘いをバックアップ

来賓3氏があいさつ


国賠訴訟などバックアップ
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国分副議長

 全労連・国分武副議長 全労連の組織拡大運動に協力してもらい久賀オルグも送り出してもらって感謝している。全国的に拡大で前進してほしい。最低賃金に満たない現状を打破する闘いや規制緩和の責任を問う仙台での国賠訴訟は賃金闘争の新しい試みとして全労連も全面的にバックアップしていきたい。

労働者を孤立させないよう

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板垣弁護士

 顧問弁護団・板垣光繁弁護士 小泉首相は極端な米国べったりだが、日本の貿易相手はアジアが圧倒的な点をみても国の行先を間違っている。規制緩和に正しく反対した自交総連の水準に自信を持って、ドライバーとしての誇りを取り戻し職場で一人の労働者も孤立させないようがんばってほしい。

政治の責任を果たさせる

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仁比参院議員

 日本共産党・仁比聡平参院議員 総選挙での支援に感謝する。みなさんの闘いが、政府をして規制緩和の矛盾を認めざるを得ないところまで追い込んでいる。矛盾を認めるなら規制緩和の見直しをしなければ道理が通らない。その政治の責任を果たさせるため、実情をよく学んで、国会で力をつくしたい。



大会討論

多彩な闘いを報告

13地方21人が発言


国賠訴訟の法廷満員にした

 (1)宮城・青野邦彦さん 規制緩和失敗の国の責任を問うため国家賠償訴訟に踏み切った。第1回口頭弁論では仙台地裁最大の法廷を満員にし、組合員が意見陳述、報告集会もひらいた。第2回ではVTRで実情を告発する。全国からも注目される訴訟にぜひとも勝利したい。

自交総連の運動が評判に

 (2)福島・今川光幸さん 地連は10周年を迎えた。経営者は当初は恐れていたが、批判型から提案型の運動に進むなかで、自交総連は会社も救ってくれると理解を示す人も出てきた。低運賃の会社を運輸支局に問い質したところ無届が発覚。自交総連が目を光らせていると評判になった。

全国の地連にも女性部を

 (3)埼玉・谷口敦美さん 女性にとって働きやすい職場作りのため昨年10月に女性部を設立した。7月にはバザー&模擬店フェスティバルを成功させ、機関紙も発行している。私たちの大きな夢は全国の地連にも女性部を設立してほしいことだ。女性の相談窓口になっていきたい。

若い力で元気よく運動する

 (4)東京・熊谷浩行さん 所沢中央自教支部の争議が4年5か月ぶりに勝利和解した。悪評高い経営者との厳しい闘いだったが、全国のみなさんの支援に感謝する。東自教の大会で37歳の私が新しく書記長になった。制度政策要求の実践、業務拡大など元気よく運動を進めていきたい。

企業内組合が加入したいと

 (5)神奈川・中野清さん 神奈川の新免・増車は1554台、値引き合戦も懸念され、労働者の生活を圧迫している。川崎の企業内組合で無線配車の不平等を訴えるビラを配布したところ懲戒処分。相談にのり、組合運動の基本を教えるなかで自交総連に加入したいと言ってきている。

会社再建のために労使共同

 (6)京都・上坂(うえさか)克実さん 京聯自動車ではバブル時代の投機の失敗による莫大な借金がRCC(整理回収機構)送りとなり、職場存続の危機となった。責任のあるオーナーは退陣させ、RCCとも交渉し債務を削減、現在は労使で再生に関する協定を結び、協力・共同でとりくんでいる。

許可や取消し基準の実効を

 (7)大阪・園田公作さん 名義貸しのワンコインは行政処分が重なり許可取消し基準に近づいてきたが、別会社をつくり、一つ取消されても別会社にシフトしようとしている。このようなやり方を許さないため、許可基準・取消し基準に実効性を持たせるとりくみを中央でも考えてほしい。

4人の組合が70人になった

 (8)鹿児島・西原正志さん 鶴丸労組では4人まで落ち込んだ組合員が70人に増えた。駐車禁止でつかまると1週間の出勤停止・10日間のトイレ掃除・草むしりという乗務員いじめに反発して、自分と仲間の身を守るために入ってきたものだ。来年は100人以上にするためがんばりたい。

バスも違法な低運賃野放し

 (9)大阪・松下末宏さん バスは00年の規制緩和以降、標準運賃の半額以下の無届の違法運賃が横行している。人件費も整備費も出ない額だ。高速のパーキングエリアで違法運賃の実態を宣伝し共感を得た。人件費・原価が保障されない違法運賃を野放しにする国交省を追及していきたい。

最低賃金を告発したら解雇

 (10)北海道・笹川清史さん 最低賃金法違反を告発したら解雇されたハイタクユニオン釧路北交分会、悪徳企業の一方的賃下げ、一時金不支給と闘っている共同タクシー労組の闘いにご支援を。札幌でも、乗客はいないのに街にはタクシーがあふれている状態で深刻な実態だ。

宣伝の継続が拡大の成果に

 (11)東京・徳永昌司さん 地連では毎月2回の宣伝行動を実施し5年目を迎えた。継続は力で、宣伝後に相談が寄せられ、組織拡大につながっている。最近できた新免会社の組合は5人で結成し24人になった。拡大と同時に世代交代が安定的に行われるよう若い幹部の育成が急務だ。

県都静岡市に自交総連を

 (12)静岡・小粥(おかい)泰則さん 浜松では花博後、乗客が大幅に減り厳しい状態だ。全国規模で規制緩和を止めなければならないが、そのために地連にできることは組織拡大が一番と考え、機関紙の発行も準備、体制強化をはかり、県都静岡市に自交総連をつくるため努力している。

多すぎるタクシーを減らせ

 (13)埼玉・岡崎満さん 県の北部や周辺部では、1か月22〜23勤、始発から終電まで仕事をして、最低賃金に満たない。こうした悲惨な現実の根源は「多すぎるタクシー」にある。「多すぎるタクシーを減らせ」を県内すべてのタクシー労働者の合言葉にしようとがんばっている。

臨時・定時制の仲間に光を

 (14)石川・奥護さん この1年で4組合49人の仲間を増やし組織拡大計画2年度目の目標を達成した。臨時・定時制の仲間に光をあてて接近してきた成果だ。憲法を守るため九条の会アピールの賛同者を組織現勢より多い148名集めて自交労働者版のビラをつくり宣伝した。

公共交通優先の街づくり

 (15)京都・安井暁さん タクシー運転免許法制化の署名が5000人を突破した。京都にタクシーセンターをつくるとりくみと結合させた成果だ。交通政策では、京都をストラスブールにと言って、欧州ですすんでいるように自家用車の総量規制を図り、京都を公共交通優先の街にしたい。

第一交通に必ず勝利する

 (16)大阪・岩永英雄さん 佐野南海の争議は、現在61件の事件になっている。第一交通の不当行為を断罪し単組・地連の損害賠償請求を認めた地裁判決の控訴審判決が明日でる。偽装廃業の仮処分は最高裁にかかっている。長い闘いだが、必ず勝ち抜いて勝利の報告をしたい。

北九州の半額運賃は却下

 (17)福岡・江口昭弘さん 北九州の遠賀タクシーが申請していた初乗り300円の半額運賃は、一時は認可される心配もあったが、18日に却下された。不当な運賃競争を引き起こさないよう引き続き闘っていく。地連は、最高時よりかなり後退してしまっているが、組織拡大していきたい。

津久見タクの攻撃と闘う

 (18)大分・穴見博信さん 津久見タクの不当労働行為事件は8月に勝利和解した。経営が私鉄資本から切り離されてオーナー社長になってからさまざまな攻撃が続き、賃下げ提案も出ているが、不当行為を続けるなら自主経営も辞さないというつよい決意で対決し、賃下げは許していない。

闘いで大きく世論を変えた

 (19)宮城・小梛順章(おなぎ よりあき)さん 仙台の多すぎるタクシーは、事故・渋滞・環境汚染など社会問題化し弊害が続発している。春闘では、経営側との政策合意も背景に、対策協議会や運輸・労働局交渉、抗議行動、国家賠償訴訟の提起などで大きく世論を変えてきた。現在、減車にむけ具体的な数字を入れた緊急提案を出し、市内5000人の乗務員の賛同署名を集めるとりくみをすすめている。

怒りの矛先を経営者・国に

 (20)大阪・堀川卓夫さん 規制緩和闘争では同一地域同一運賃と需給調整規制を旗幟鮮明にして闘っている。安いワンコインタクシーは800台が流しており、乗客を奪われる他社の乗務員の不満がつのっている。この怒りの矛先を運輸行政にむけさせ、値下げの悪魔のサイクルに走る経営者や規制緩和を進める小泉内閣に責任をとらせるよう多くの人にアピールしていく闘いが求められている。

大口割引反対訴訟を準備中

 (21)東京・池田忠司さん 東京でも運賃値下げ競争が本格化し、大口割引が9月から実施されているが、日の丸やグリーンキャブでは自交総連と交通労連が共同で反対の集会をひらくなど、産別の枠を越えた反対運動が広がっている。地連では、規制緩和と大口割引を誘導した国交省の責任を追及する訴訟を準備し、割引が実施された職場では割引かれた運賃との差額を補てんさせるよう闘っていく。

争議組合が決意表明
場内カンパ16万2650円

写真 厳しい情勢のもと不法・不当な経営の攻撃に抗して果敢に闘う長期争議組合が、第28回定期大会で紹介され、激励の会場カンパがされました。

 大会第1日目に、大会に参加した北海道=共同タクシー▽宮城=宮城地連、秋保交通▽埼玉=県南交通、飛鳥交通▽神奈川=三共自教▽大阪=佐野南海、国際タクシー▽奈良=三重近鉄タクシー▽鹿児島=大和交通の10単組12人の争議内容と組合員を紹介(写真)。代表して4年半にわたって第一交通産業と闘う、佐野南海労組の堀川委員長が「憲法や労働組合法などの法律を無視した攻撃を許せない、我々はこの法律に基づき勝利するまで断固闘う」と決意表明をしました。

 権田副委員長が「大会に参加した争議団にカンパを」と訴え、参加者から16万2650円が寄せられ、大会参加の交通費補助として配分しました。

執行部
答弁
タクシー運転免許の法制化

なくして事業の将来はない

 執行部答弁に立った今村書記長は、討論の特徴について言及。大変きびしい情勢下にあるにもかかわらず、全国各地で自交労働者の利益擁護と事業の将来展望をかけて奮闘している姿が鮮明に示された大会であったと述べました。また、次代を担う若手や女性からの積極的な発言が相次いだことを紹介し、明るさを感じさせる変化が生まれていることに、参加者全員の確信へとつながったものと思うと述べました。

 まとめでは、初代書記長・福永主計氏の言葉である『次代の幹部を育てきれない幹部というものは、幹部とはいえない』を引用し、実践的な経験を通じてその人自ら育ってもらう手助けをするとりくみの重要性を強調。また、面の闘い、産別視点による運動強化をはかる必要性があることについてふれ、最賃違反の一掃、違法なアルバイト是正、運賃値下げ反対、増車抑制などの課題において、地域全体を変える視点で産業別統一闘争の展開を進めるよう呼びかけました。さらに、タクシー運転免許の法制化なくして、規制緩和によって生じた弊害の除去や安心・安全の確保、事業の将来はないと強調。主要なタクシー関係の組合が自交総連と同じ要求を掲げていることや利用者団体からも歓迎されていることを述べた上で、世論形成にむけたいっそうの運動強化の必要性を指摘しました。



自 交 総 連