自交労働者No.658、2005年12月1日

生活も安全も守れない

国は規制緩和失敗の責任を取れ

11・16統一行動


 このままでは食っていけない、安心・安全も守れない――自交総連は11月16日、増車・運賃値下げ競争の中止を求め、政府・国土交通省の規制緩和失敗の責任を追及する統一行動を実施。各地で宣伝や運輸局交渉、集会などを行いました。この日は全労連の統一行動日にあたり、各県労連の行動にも参加、また他単産の仲間からも激励を受けての行動となりました。

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運賃競争反対の横断幕を掲げて座り込む関東ブロックの仲間=11月16日、東京・国交省前
国交省前座り込み

 東京では、神奈川・埼玉の仲間も参加して、朝から主要駅と霞が関の官庁街で宣伝を行いました。10時には国交省の前に400人が集まり座り込みを開始、全労連坂内事務局長、全運輸労組幅副委員長らがかけつけ激励しました。併行して国交省と交渉しました。

 また、関東ブロックは18日に関東運輸局交渉を行いました。

東北運輸局と交渉

 宮城地連は、東北運輸局と宮城労働局交渉を交運共闘の仲間とともに行いました。
 運輸局では実効性のある再規制や事後チェック体制強化などを申し入れ、労働局では長時間労働や最賃違反の是正指導、合同監査の強化を求めました。

福島駅前で宣伝

 福島地連は、福島駅前で宣伝。駅構内で待機しているタクシー乗務員や市民にビラや機関紙を配布し、宣伝カーから規制緩和失敗とタクシー免許の法制化について訴えました。

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駅構内で待機する乗務員にビラを配る福島地連の仲間=11月16日、福島駅
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仁比参院議員を迎えて国会報告交流会をひらく福岡地連=11月16日、志免町

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駅前で市民にビラを配る山梨地連の仲間=11月16日、甲府駅
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個人請願の後、代表22人で近畿運輸局と交渉する関西ブロックの仲間=11月15日、大阪・近畿運輸局
甲府駅前で宣伝

 山梨地連は、甲府駅前で宣伝しました。山梨では規制緩和の影響があまり出ていないため市民の反応はもうひとつでしたが、未組織労働者の関心は高く、快くビラを受け取っていました。

近畿運輸局に請願

 関西ブロックは、15日に実施。京都・大阪・奈良・和歌山・兵庫から250人が大阪城公園に集まり決起集会。権田議長は「国は規制緩和の失敗の責任を取れと言いたい」と強調しました。集会後、近畿運輸局までデモ行進して個人請願書を提出しました。

 運輸局交渉では、国会附帯決議の完全遵守や、名義貸し問題、京都のタクシーセンター設立、奈良・和歌山で地域協議会がひらかれていない問題などを追及しました。

中国運輸局と交渉

 中国ブロックは、18日に広島で中国運輸局と交渉、日本共産党の仁比参院議員も同席しました。交通事故の増加など規制緩和の弊害を指摘、また、岡山国体での市と特定業者の不公正な契約などを追及しました。

 交渉後2泊3日の未組織宣伝行動に出発しました。

議員迎え報告集会

 福岡では、各地区労連の自治体要請に参加するとともに、仁比参院議員を迎え、国会質問などについて報告を受けました。

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タクシー乗務員と対話する鹿児島地連の仲間=11月16日、鹿児島市内
労働組合に期待

 鹿児島では駅や港で宣伝。対話の中で「昨年からすると1日の水揚げが5000円位落ちた」「うちは会社のやりたい放題。あなたたちの組合に期待している」などの声があがっていました。




見直しは真剣に考える

国交省交渉
規制緩和の被害追及


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国交省と交渉する自交総連の代表=11月16日
 11月16日の国土交通省交渉には、領家委員長ら19人が参加、自交局旅客課纉c(くわた)課長補佐らが対応しました。

 各地で運賃競争が激化していることについて、省側の「基準に従って認可している」との一般的な回答に、参加者が現実がいかにひどい実態になってるかをきびしく指摘すると、省側は「法律が変わって、今の道運法では(賃金問題に対処する)ツール(道具)がない」としながらも、「賃金にしわ寄せがきていることは認識している」「厚生労働省と連携して対処する」と答えました。

 大阪のワンコインタクシーなど名義貸しの問題では、「立入検査もして違反があれば処分する」とし、合法的なリース制と違法な名義貸しの線引きはどこにあるのかとの質問には、「運行管理がきちんとされているかどうか」を見ていくとしました。

 沖縄では緊急調整措置を継続したのに、仙台では緊急調整措置適用を求めた事業者の逆特区申請に反対した国交省の態度の矛盾を指摘すると、「裁判になっているので…」として答えず、発動要件を適正実車率など絶対的指標に改正するように求めたのに対しては「何が『適正』かを決めるのは難しい」と難色を示しました。

 参加者からは、規制緩和をしてうまくいったと思っているのか、と厳しい指摘が相次ぎました。省側は、「ドライバーの現状は問題視している。問題があるから見直しをしようとしている」「『過去のいきさつにこだわらず』という要請もふまえ、私たちも今は重要な時期になっていると思っているので真剣に考えていきたい」との認識を示しました。




法廷でビデオ上映

宮城・国家賠償訴訟

増車の影響つぶさに再現


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宮城・国家賠償訴訟第2回口頭弁論後にひらかれた報告集会=11月7日、仙台市内
 【宮城】宮城地連の組合員69人が国を相手取って1億744万円を求めている損害賠償請求訴訟の第2回口頭弁論が11月7日に仙台地裁で行われました。

 傍聴席が組合員で満席になるなか、原告の青野邦彦さん(仙都タクシー労組)が、仙台駅の乗り場や国分町など、仙台市内のタクシー実態を自ら撮影したビデオを法廷で上映、「増車による影響と現実」を訴えました。さらに、客待ちタクシーの影響で、自家用車による死亡事故や暴徒化した市民による暴力事件が発生しているなど「規制緩和は道路運送法第1条に反している」と証言しました。

 終了後の報告集会で相沢道彦委員長は「この裁判は、全国の仲間にかかわる闘いだ。宮城地連の組織の強化拡大でも成果を飛躍的に果たすことが、勝利の道だ。最後までがんばる」と決意しました。

 次回は1月23日。



石川地連

福井〜能登で宣伝

204人が憲法改悪反対アピール


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福井から加賀、能登をまわってタクシー労働者と対話した石川地連の宣伝行動=11月3日、福井市内
 【石川】憲法公布59周年の11月3日、石川県の法人・個人タクシー、運送会社などで働く自交労働者204人が「自交労働者の皆さん――『戦争をする国づくり』憲法改悪に反対しましょう」のアピールを発表。地連は同日と翌日に全労連オルグの久賀孝三さんの応援も得て8人で能登、加賀の7市町と福井市での対話宣伝行動を行いました。

 福井では「1月に上限運賃にやっと戻ったと喜んでいたら100台も増車になった」「1日の運収が1万円にもならない」、値下げ競争が行われている七尾では、アンケートで「運収や賃金は下がった」が100%となっており、「会社も運転手もやっていけない」「お客全体は減っており共食いをしてるだけ」という状況が明らかになりました。

 地連は11月17日の石川運輸支局交渉で、このアンケート結果をもとに、無謀な運賃値下げを認可した運輸局の責任を追及しました。



この成果を全国に

北海道・明星自動車労組

経営資料の提示など合意

中労委で和解 今後は誠実に交渉


 北海道地連・明星自動車労組は、会社が新入社員から労働条件を切り下げ、組合員にもそれを押し付けようとした問題で、11月9日に中労委で和解をかちとりました。

 明星自動車では、03年7月から別労組との合意にもとづき新採用乗務員の賃金を変更、その後組合に加入した者にも新賃金をおしつけてきました。今年2月、北海道労委は、組合との交渉で会社が経営状況の資料も提示しなかったことなどを認定、組合の存在を著しく軽視するものとする命令を出していたため、会社が再審査を申し立てていました。

 中労委では、その場で必要な経理資料の提示を受けたうえで、(1)会社は、新賃金提案の根拠となる経理資料を含めて組合に提示し、誠実に交渉する(2)今後の団体交渉についても別組合と同等の対応、資料の提示について誠実に対応する――との和解が成立。今後の労使関係の正常化をめざしていくことになりました。



春闘方針を提起

第1回常執

怒りを行動に変えよう


 自交総連は11月19日、大阪自交会館で第1回常任中央執行委員会をひらき、2006年春闘方針案について討議しました。

 提起された第1次案は、来春闘を『怒りを行動に、変えよう ルールなき競争と格差社会 06春闘』と位置付け、たたかおうとしています。

 情勢の特徴とのかかわりでは、「くらし・雇用・いのちの危機打開にむけて」「働くルールの確立、企業の社会的責任を問う闘いを」「タクシー政策のあるべき方向性を問う新たな段階を迎えて」「安心・平等・平和な社会へ、ストップ! 悪政推進」「組織の強化拡大は重点課題、総がかりで目標達成を」の4つを提起。学習を重視し、みんなの力を合わせ、世直し春闘の前進をはかる方向での闘いをめざします。

 統一行動では、(1)規制緩和の失敗を問う2・1宣伝行動、(2)全国いっせいの申し入れ行動(2月中〜下旬)、(3)未組織の組織化キャラバン宣伝行動、(4)中央行動(3月上旬)、(5)タクシーシンポジウムの開催(4月22日)など早めの行動計画を打ち出しています。



各地の大会

新加盟の仲間を拍手で歓迎
石川第19回大会


 【石川】10月8日、石川地連第19回定期大会が8組合31人が参加しひらかれました。

 大会では、新加盟の大運トランスポート労組(小松)、達田タクシー労組(金沢)、大交タクシー労組小松営業所の仲間が紹介され拍手に包まれました。

 秋の闘いでは、11月の全県キャラバンや運輸支局・金沢市交渉にとりくむことなどを気めました。

 委員長=奥護▽副委員長=土方泰三▽書記長=井上登(いずれも再)

自主経営の将来展望確認
山形第45回大会


 【山形】山形地連は11月10日、鶴岡市勤労者会館で第45回定期大会を開催し、05年度運動方針を決めました。

 大会は、ハイタクの2支部が自主経営の闘いを進めており、自教では競争関係の激化などきびしい環境におかれていることから、直面する問題の解決と将来を展望する自交総連の政策に確信をもち、運動を展開していくことを確認しました。

 大会では、今村書記長が「タクシー運転免許と規制緩和」と題する講演を行いました。

組織拡大なくして活路なし
和歌山第33回大会


 【和歌山】和歌山地連は11月13日、17人が参加して第33回定期大会をひらきました。

 仲委員長は、宣伝での対話で生活費を稼ぐのに精一杯との声があることを紹介し、苦しいが一人でも多く仲間が地連に入るよう奮闘しようと訴え、杉本書記長も方針提案で、組合員が高齢化していることなどから拡大なくして活路なし、と強調しました。

 委員長=仲順久▽副委員長=佐野至則、寺村正夫▽書記長=杉本孝(いずれも再)

原点を重視し組織拡大へ
福岡第43回大会


 【福岡】福岡地連は11月13日、志免町・シーメイトで第43回定期大会を開催しました。

 大会では、労働条件の改善、プロドライバーとしての資質向上、安心・安全確保のとりくみ強化や労働組合の原点・原則を重視し、組織の拡大強化などのため、本大会を契機に全力で奮闘することを誓い合いました。

 委員長=坪井洋司(再)▽副委員長=田中健一(再)、牧文夫(新)▽書記長=緒方満(再)▽書記次長=宇野誠二(新)



新加盟のなかま  (719)宮城・仙台西観光バス労組

就業規則もない

 【宮城】仙台市の仙台西観光バス労組(榊原茂委員長、5人)は11月2日、自交総連に加盟しました。

 同社では、就業規則もなく、運行管理もされず、劣悪な労働条件が押しつけられていました。改善めざして今年8月に組合を結成、交通労連に加盟しましたが、何の指導もないため、この間の宮城野観光などの自交総連の闘いを聞き、改めて自交総連に加盟しました。団交で要求が前進しています。



大阪地連

60回大会記念のレセプションひらく


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琉球舞踊も披露された大阪地連第60回大会記念レセプション=11月18日、大阪・KKRホテル
 【大阪】大阪地連は11月18日、大阪市内のKKRホテルで第60回定期大会記念レセプションをひらき、組合員をはじめ、弁護団、国会議員、経営者ら多数が参加して60年の歴史を祝いました。

 権田委員長は、歴史をふまえ、80年、100年と大阪地連の運動を発展させていきたいとあいさつしました。



交運研 韓国交通事情調査(2)

組織率高い労働組合

歩合給の比率は低い
平均の6割の水準


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ソウル駅前でインタビューに応じてくれたタクシードライバー=10月26日

 韓国のタクシー労働組合は、ソウルでは組織率99%です。訪問した運輸産業研究院は経営者団体がつくった組織ですが、苦笑しつつ「労働組合は強い」と言っていました。

 二つの産別組合があり、企業別ではなく地域ごとに団体交渉をして統一労働協約を結んでいます。会社が違っても同じ労働条件が適用されるわけで、日本より相当進んでいます。

 賃金は、一般労働者の6割程度で、ソウルの平均年収が1556万ウォン(171万円)。固定給7割、歩合給3割となっているので、売上げによって給料が大きく変動することはないそうです。

 実際、街頭でインタビューした労働者は、「売上げはわからない、チェックしてない」「会社から売上げを増やせといわれたことはない」と言っていました。

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自 交 総 連