自交労働者No.661、2005年2月1日

06春闘 変えようルールなき競争と格差社会

第28回中央委員会

組織拡大で情勢の打開

規制緩和の失敗は明らか


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春闘勝利をめざし団結がんばろうをする参加者=1月25〜26日、東京・池之端文化センター

 自交総連は1月25、26日、東京・池之端文化センターで第28回中央委員会をひらき、2006年春闘方針を決めました。中央委員会では15人が発言、各地の厳しい労働実態やタクシー台数規制廃止に伴う弊害などを告発、情勢認識を深め合いました。決定した春闘方針では、全組合が春闘要求を提出すること、規制緩和の実態を暴露する闘いへ、3・3中央行動、組織拡大――などにとりくむことにしました。

領家委員長のあいさつ

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領家委員長

 新道運法が施行されてこの2月で丸4年がたちます。国土交通省によれば「規制緩和によって市場競争を促進し、利用者利便の向上をはかり、需要拡大により事業は発展し、そこで働く労働者の労働条件も向上する」というのが道路運送法改正の目的でした。
 しかしこの間、都市部を中心に1万5000台の増車、運賃値下げは7種目73種類以上であり、大阪で見られるような40数種類ともいわれる運賃値下げ競争が展開されています。公正な競争秩序の破壊、諸法規の逸脱、事業運営の二極化と疲弊的な状況が生じています。
 賃金は04年度全国平均年収は269万円、全国47都道府県のうち35道府県が生活保護基準を下回る状況が生じています。
 まじめに働いても、生活保護基準を下回る「働く貧困者」の激増は、職業としての誇り、人間としての生きる尊厳性を奪おうとしています。
 道運法施行4年間の実態は、利用者、労働者、事業いずれの側面から見ても、まったく逆の結果になっており、規制緩和は失敗であったことが事実により証明されました。
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全組合が要求を提出して闘うことなど06春闘方針を決めた第28回中央委員会

 また、自教や観光バスも、経営側の攻撃は、賃金・労働条件の「合理化」や権利破壊にとどまらず、規制緩和による労働法制の改悪で雇用形態も職場に大きく影響しています。企業の社会的責任を放棄し、モラルハザードを引き起こしています。
 組織の強化拡大では今日の段階は、各地連・地本、各単組の計画に基づく、具体的なとりくみをいかに展開するかであります。
 仲間のおかれている状況はさまざまであり、非常に多面的です。この一つひとつに応え、これを労働組合に結集していくことの日常活動を通じ、所期の目標達成にむけ旺盛に運動を展開してまいりましょう。

第28回定期大会参加者数
出席 委任
(率)
定数
役   員 30 30 (96.8%) 31
中央委員 56 60 (88.2%) 68
86 90 (90.9%) 99
会計監査
特別中執
傍   聴 45
来 賓 他 10
合   計 144




安全のための規制は強化を

来賓2氏があいさつ


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宮垣事務局次長

新しい流れを春闘でつくる

 全労連・宮垣忠事務局次長 タクシーの規制緩和によって増車・運賃値下げ競争による賃金・雇用破壊、悪質事業者による輸送秩序の崩壊を起こした政府の責任は重大だ。
 いきすぎた規制緩和は見直して、安全のための規制は強化しなければ国民の安全・安心は守れない。
 市場原理主義で、格差拡大の社会ではなく、額に汗して働いた人たちがむくわれる新しい流れを今春闘でつくりたい。
 タクシー運転免許法制化にむけ全労連も一緒にがんばる。

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小部弁護士

規制緩和反対の声を大に

 顧問弁護団・小部正治弁護士 弁護士交流会では話題にでなかったが、第一交通のたたかいで、『第一交通黒書』の内容が判決で認定される状況があり運動が進んでいる。
 国賠訴訟は、勝つか負けるかが問題ではなく、裁判を通じて規制緩和反対の声を大にすることが大事だ。またこのような訴訟は初めから弁護士が相手にしないことが多いが、組合が熱意を持ってたたかうという姿勢を示せば、弁護士も逃げないので、運動を進めてほしい。




怒りを行動に、団結して闘おう

中央委員会討論

仲間を増やし要求実現

11地方から15人が発言


利用者が安心できる乗務員に
 (1)福島・松本武さん 乗務員になって2年だがもっと勉強したくて参加した。規制緩和は最大の悪政であることは経験の浅い私にもわかる。運収をあげるために寝る時間を惜しんで働いても家族を養うことさえ困難な状態を一日も早く打破しなければならない。利用者が安心できる乗務員、安心して働ける職場環境をつくりたい。

格差で希望持てない社会にノー
 (2)東京・熊谷浩行さん 『下流社会』が出現したと言われる。格差の広がりは、将来の希望をもあきらめる「希望格差」につながる。自教労働者は、出生率の低下から将来不安が増大している。昨年の年末一時金闘争では、闘う姿勢と団結力で要求を前進させてきた。職場政策の実践と制度・政策要求の実現が今後の鍵になる。

第一交通に100%勝利の高裁判決
 (3)大阪・堀川卓夫さん 第一交通とたたかう佐野南海労組への支援に感謝します。昨年10月の損害賠償等の高裁判決は和解協議での第一交通の不誠実な態度を裁判所も理解し100%の勝利判決となり、第一交通は上告できなかった。最高裁にかかっている偽装廃業・全員解雇事件の仮処分抗告審に、底力を発揮して勝利したい。

賃下げや譲渡を警戒してたたかう
 (4)静岡・伊藤雅晴さん 掛川タクシーでは、浜岡原発の工事で営収が大きく伸びていたが01年に工事が終了すると減少に転じた。春闘では賃下げ提案があると思うが、安易な妥協はせず、かつ冷静に対応したい。経営者が高齢で後継者がいない。身売りや譲渡の危険もあるので資料を集め、事前同意協定の合意をめざしている。

構造改革の濁流押し返す共同を
 (5)石川・奥(おく)護さん 11月に能登から福井まで久賀さんの協力も得て宣伝を行った。立ち止まって聞き入る人もいて代議士と間違えられた。規制緩和の失敗は明らかだ。構造改革・市場万能のの濁流を押し返す社会的反撃の共同を地方・地域から起したい。憲法を守る闘いでは中央でも大きな力を発揮してもらいたい。

四国の宣伝キャラバン成功めざす
 (6)高知・森木良明さん 2月23日からの四国4県での宣伝キャラバンを成功させ、組織拡大に全力をあげるため準備している。責任地方として4県すべてに代表を送りたいが、財政的にとても苦しいので、カンパのお願いをしたい。久賀特別中執が下関に来たら、四国にも足を伸ばしてもらいたい。

首長からタクシー運転免許賛同署名
 (7)鹿児島・師岡(もろおか)満さん タクシー運転免許法制化の賛同署名で離島を含め14市5町と県に要請、2市3町の首長から署名をもらった。労働組合がもっとがんばれとハッパをかける町長もいて、タクシーの実態に理解が深まったと思う。大和労組の会社更生法申請では、手続き開始までねばり強くたたかっていきたい。

不安定雇用者も対象に組織拡大
 (8)大阪・園田公作さん 東洋労組では昨年夏以降12人の組織拡大をした。従来、組織化の枠外だった定時制の人を地連の労働者供給事業に組織したからだ。労供や一人でも入れるハンドルユニオンをきちんと位置づけ具体的手立てをつくしていくことが大切だ。憲法問題では、いまたたかわなければ労働者の権利も守れない。

規制緩和と粘り強く闘っていきたい
 (9)神奈川・春山昭夫さん 横須賀ではかつて、17社中11社の仲間が減車協議会を作って市役所、警察に陳情し、要望書を提出。神奈川新聞にも大々的に取り上げられた。こうした今までの行動が生きて幸い規制緩和後は横須賀においては一台も増車させていない。これからも規制緩和と粘り強く闘っていこうと思う。

地連の運動で政策要求に一歩前進
 (10)京都・上坂幸男さん 京都では、政策的課題の一つとして、乗務員の登録制をめざしている。今年の経営団体の新春の集まりで運輸支局長が乗務員登録制はなんとしてもやりたいと発言をするまでになった。京都地連の運動と役割が乗務員登録制を一歩一歩進めている。今後も利用者利便の立場で運動を進めていきたい。

初心に返って組織拡大に奮闘
 (11)福岡・宇野誠二さん 福岡西鉄労組の脱退・分裂問題では執行部内の意識・認識のずれが組合員に波及していたもので、反省すべき点だ。今回のことで、組織拡大の重大さを再認識した。組合員や幹部の意識・認識のずれをなくすように、原点・原則に立ち返り、今春闘では初心に返って、組織拡大に全力で奮闘する。

運動として平和問題にとりくもう
 (12)東京・舞弓義隆さん 戦後一人も戦争犠牲者を出さない日本を築けたのは、憲法9条と憲法前文に代表される平和憲法が存在することが最も大きな要因であり、その役割を大きく果たしたからだ。
 今日参加のみなさんは、孫や子に平和な社会を伝える重要な責務がある。そのために労働運動としてこの平和問題にとりくもう。

訴訟を力の限り闘い続けていく
 (13)宮城・青野邦彦さん 小泉改革の規制緩和路線は徐々にほころび、この間世間で起きた事件や事故が規制緩和に対しての疑問を投げかけている。われわれの告発運動が下地になってこうした世論を持ち上げてきたことに確信を持って、宮城地連は、東京地連の提訴したもう一つの国賠訴訟と連帯し、力の限り闘い続けていく。

現場の声を結集した要求作りを
 (14)大阪・庭和田裕之さん 大阪地連では、すべての傘下組合に統一要求はもちろんのこと現場の組合員の声を結集した職場要求づくりを進めること、一職場一重点要求を確立し、3月上旬までに全単組が「要求書」を提出するよう指示している。そして、3月15日のストライキを背景に昨年より実利を求める06春闘を組合員とともにめざす。

対話と日常的なとりくみで組織拡大
 (15)東京・川崎一則さん 多くの単組での対話と現場での日常的なとりくみ、地連としての主要駅頭での未組織宣伝を月2回、5年間継続など、こうした努力もあって組合員数は1万1500人に到達した。一方で、規制緩和のもたらすあれこれの対応に追われて拡大が思うように進んでいないのも事実で、今後の大きな課題だ。



小泉改革5つの破壊からの脱却を

執行部まとめ

すべての職場で要求提出


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今村書記長

 執行部を代表して討論のまとめを行った今村書記長は執行部の役割として、この半年間は今後10年間のタクシーの将来を決定する重要な局面として、情勢にふさわしい役割を果たしてもらいたいとしました。
 タクシーの台数規制については、国・行政が台数そのものを減らす仕組みができないのであれば、運転者の資質を高め、その数をコントロールすることによって、実質的な台数規制を行うほかにないとして、タクシー運転免許実現にむけてのとりくみの強化を強調しました。
 また、このような問題を引き起こした小泉構造改革路線による5つの破壊(衣食住交通の安心・安全、街の冷え込み、弱肉強食のもとでの権利破壊、組織の防衛、憲法改悪)からの脱却を主張し、情勢動向に対する的確な認識をお互いに持つことの必要性を強調しました。最後に今春闘では3月2日までにすべての職場で要求書を提出し、決めた方針は実践し、お互いが仲間を信頼し、歴史的な闘いにしていこうと呼びかけました。




●第28回関係弁護士交流会●

各地の闘争を活発に討論

28人の弁護士が参加


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各地の闘争経験などを聞きお互い交流を深めた第28回関係弁護士交流会=1月24〜25日、東京・池之端文化センター
 1月24〜25日、自交総連第28回関係弁護士交流会がひらかれ、9地方28人の弁護士、3人の司法修習生(予定者含)と中央執行委員が参加しました。
 会議では、小賀坂弁護士が憲法改悪問題にふれて基調報告。特別報告として、(1)大量増車にもかかわらず緊急調整措置を発動しない国の不作為を追及している国家賠償訴訟=宮城・菊地弁護士、(2)大口割引の認可取り消しと損害賠償を求める訴訟=東京・宮川弁護士、(3)第一交通の不当労働行為との63件もの係争事件=大阪・藤木弁護士――の3つをとりあげたほか、4月から施行される労働審判制について小部弁護士が報告しました。
 昨年6月に提訴した宮城の国賠訴訟では、法的には難しい問題もありながら、組合の熱意を受けて訴訟にふみ切り、3回の弁論で国側の矛盾点も明らかにし、大きな成果をかちとっていることなどが報告され、活発に討論されました。
 また、参加各弁護士から各地の事件について報告がされました。


自 交 総 連