自交労働者No.670、2006年6月15日 |
全面勝利の判決かちとる
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第一交通産業は01年3月に南海電鉄系列のタクシー会社7社を買収し6社の組合をつぶしてきました。しかし、真夏の炎暑下での2時間近くの虐待「点呼」や不当解雇・配転などの数々の攻撃にもかかわらず、佐野南海交通労組が団結を維持してつぶれなかったため、03年4月に佐野第一交通を会社ごとつぶして組合員を全員解雇するという暴挙を強行しました。 この偽装解散にあたって第一交通は、規制緩和を悪用、兵庫の御影第一の事業区域拡張を申請して、佐野第一から2キロしか離れていない所に営業所を新設、非組合員は移籍させ、組合員のみを残して解散したものです。 判決後の報告集会では、堀川委員長が横断幕に「大勝利」と書き入れると、会場から拍手がわき起こり、組合員・参加者の笑顔がはじけました。 |
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会長・社長にも共同不法責任
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大阪地連・佐野南海交通労組がかちとった大阪地裁堺支部の判決は、組合側主張を全面的に認める内容です。 判決は、御影第一が佐野第一の事業継承会社であることを確認し、佐野南海交通労組組合員に対する雇用責任を認定したうえ、組合つぶしを目的に佐野第一を偽装解散させた親会社の第一交通本社の責任をも明確に認定し、判決の確定まで毎月約1200万円の賃金相当額を組合員に支払うことを命じています。 さらに、本社の黒土始会長、田中亮一郎社長にも共同不法責任があるとして組合員・佐野南海労組・大阪地連に対する総額3900万円の慰謝料支払いを命じています。 第一交通は、これまで幾多の不当労働行為で組合をつぶし、批判には知らぬ顔を通してきました。しかし業界トップグループ企業本社の会長・社長の共同不法責任をも認定した判決に今後の社会的批判の高まりは避けられません。組合では、この機を生かして全面解決めざし本社所在地の北九州での宣伝など引続き奮闘することにしています。 判決に先立ち、本件の仮処分事件の抗告を最高裁が5月22日に棄却、御影第一の雇用責任を認めた高裁決定が確定していました。 |
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産別指導体制の強化を確認
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この会議では、06春闘中間総括、06年度運動方針(案)骨子と予算大綱を主要な議題として議論をしました。 春闘総括では、加盟組織の78・2%が要求提出したなかで29・9%が一定の原資を引き出しことに加え、1職場1重点要求でも、定年延長などを獲得して解決したこと。タクシー運転免許の実現めざす政策課題では、3・3中央行動をはじめ、4・22シンポジウムを成功させ、交通政策審議会のタクシーサービスの将来ビジョン小委員会への座り込み行動を実施するなか、同委員会の報告書骨子案に影響を与えた報告がされました。 次年度の運動方針(案)骨子では、(1)07年に結成30周年を迎えるにあたり実勢3万人の組織達成する課題、(2)「未来をかけ、歴史的な闘いの先頭に立って」交政審・小委員会報告書の内容を実行させる、大運動を構築すること、(3)産別指導体制の強化を柱に練り上げることとしました。 |
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将来を見据えた報告書を
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交通政策審議会の第7回タクシーサービスの将来ビジョン小委員会は6月6日にひらかれ、国交省事務局が提示した報告書骨子(案)にもとづく集中的な審議を行いました。 公共交通としてのタクシー 骨子(案)は、(1)時代認識、(2)タクシーの位置付けと期待される役割、(3)タクシーの将来ビジョン:「総合生活移動産業」へ、(4)タクシーの現状と課題、(5)基本方針:「総合生活移動産業」への脱皮を促進する施策を、(6)具体的な施策案、で構成され、とくに、(3)のテーマでは、「公共交通機関としての安全・安心なサービスの提供」「多様化・高度化するニーズに対応したサービス提供の促進」「渋滞・環境問題への対応策」の3つが取り上げられています。 運転者の質の向上を提起 具体的な施策では、運転者の質の確保・向上と問題のある事業者の市場からの退出促進が第1番目に提起され、運転者の要件の見直し(2種免許に加え事故歴や一定の講習の受講を要件化)や運転者登録制度の導入(登録制度の政令指定都市への拡大、地理試験の内容などの見直し等)が盛り込まれています。 タク免導入を明記すべき こうした骨子(案)に対し、専門委員として小委員会に参加している今村書記長は、公共交通機関としてタクシーを位置付けていることなどに一定の評価を行いつつも、「報告書の中に、『タクシー運転者資格制度の導入を検討する』との文言を明記すべき」との意見を述べ、「その方向性なくして輸送の安心・安全、運転者の誇りと働きがい、タクシーサービスを通じての地域貢献を将来的に担保する道はない。5年後、10年後のタクシー像を見据えた報告書であるべき」と強調。また、規制緩和によって生じた『市場の失敗』(タクシー労働者の貧困化や渋滞・環境問題)を解消する手立てはないと主張しました。 運動の成果が確実に反映 小委員会審議はいよいよ最終局面に。6月20日には第8回小委員会がひらかれ、最終報告書を取りまとめる予定です。 これまでの運動の反映として、成果は確実に上がっています。同時に、タクシー労働者にとっての最大の焦点は、何と言ってもタクシー運転免許の法制化及び緊急措置としてのタクシーセンターの改革の方向の取り扱いにかかっています。 この面での主張を小委員会審議の最後の最後まで貫き通すとともに、より高い質の報告書として取りまとめさせ、その内容を次の段階では、政府・行政をして政策化させ、実行に移させる運動を継続する必要があります。 (施策案等は紙面の関係上一部省略してあります) |
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年収格差は251万円
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2004年のタクシー労働者と男子常用労働者の労働条件比較がまとまりました。全国平均で、男子常用労働者の年収520万円に対し、タクシー労働者の年収は269万円、格差は前年より7万円ひらいて251万円に拡がりました。 年間収入を年間労働時間で割った時間賃金では、タクシーが1099円、男子常用が2584円で、タクシーは半分以下の43%にしかなりません。 地方ごとにみると、時間賃金でタクシーが男子常用の半分を超えたのは埼玉、千葉、富山、広島の4県のみ。格差が最大の徳島では、タクシーは男子常用の33%と3分の1ほどにしかならないひどい実態です。 (注)この労働条件比較は、自交総連が継続的に行っているもので、全乗連や業界紙が計算し公表しているものとは数字が異なります。詳細は『月報』5・6月号に掲載しています。
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東北ブロック
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宣伝行動ではアンケートをとりながら実態調査を行い、乗務員さんに話を聞くと、ほとんどの仲間が未組織で組合はないと答え、労働環境は非常に悪く、最賃が補償される会社はあるものの、劣悪な状態でした。 青森空港で元自交総連組合の書記長をしていた仲間と会うことができ、「組合がなくなってめちゃくちゃになった。若手に音頭をとる人がいれば」と話していました。 最終日には、組合のある会社の経営者の方々と懇談を行い、弘前タクシー・桜交通・十五番タクシーの経営者に規制緩和反対の運動の協力とドライバー法実現に向けたとりくみの理解を求めました。 |
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悪質違反への処分を強化
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国土交通省は5月26日、タクシー・バス・トラック会社について、酒気帯びや過労運転など悪質な違反を事業所ぐるみで行った場合には、一回で事業停止処分ができるように処分基準を強化する通達を出しました。8月から実施されます。 《解説》違反事業者への処分は違反の内容に応じて車両停止○○日車などと決まっていて、点数が付与されます。現行では、その点数が累積して50点を超えて初めて事業の停止処分が行われますが、今後は悪質なものは一回の違反でも事業停止になるということです。 悪質というのは、酒酔い・酒気帯び・過労運転などで、事業所ぐるみの場合7日、監督不十分の場合は3日の事業停止になります。 このような処分強化は、規制緩和後の労働条件悪化と交通事故の増加に何らかの対処をせざるをえなくなったためです。昨年12月には抜き打ち監査など監査方針の強化、今年2月には厚労省との合同監査、最賃法違反の相互通報、そして今回の一発で業務停止など相次いで対策が出されました。 処分強化自体は必要なことで、自交総連も従来から求めてきたことですが、めまぐるしく通達が改正されること自体が事後チェックの限界を示しているといえ、運転者の資格強化など根本的な対策の必要性を表わしています。 自動車運送事業者の悪質違反に対する行政処分の厳格化について (2006.5.26 国交省自交局) 1.背 景 昨今、運転者の酒気帯び運転や過労運転による重大事故や、運転者が酒気帯び運転を行っていたことを事業者が黙認している等極めて悪質な事案が後を絶たないことを踏まえ、重大事故や悪質違反の防止、悪質事業者の改善、さらには悪質事業者の市場からの排除について検討を行ってきた。本年2月には事故を効果的に防ぐため予防的監査の導入等監査手法の見直しを図り、また4月には、厚生労働省との連携強化等、順次強化を図ってきたところである。 2.主な措置内容
3.実施時期 平成18年8月1日から実施する。 |
自 交 総 連 |